高速戦隊ターボレンジャーとは、1989年2月25日~1990年2月23日にかけてテレビ朝日系列で放映されたスーパー戦隊シリーズの第13作目にして、平成初のスーパー戦隊シリーズである。
2013年3月1日より、東映特撮ニコニコおふぃしゃるにて劇場版のみ公式配信開始。
あらすじ
2万年前、暴魔百族と人間、そして人間に協力する妖精の戦いがあった。
妖精たちの守護獣・聖獣ラキアによって暴魔は封じられ、戦いは終結。
しかし、現代。人間による自然破壊により妖精は滅んでいき、ラキアの力も弱り暴魔は復活してしまう。
人間に対する積年の恨みを晴らすため、侵略を開始する暴魔たち。
その暴魔に対し、妖精の生き残りであるシーロンは人間の協力者である太宰博士とともに暴魔との戦いの準備を進め、妖精を見る事ができる、東京都立武蔵野学園高校3年A組の5人の生徒に地球の未来を託すこととした。
シーロンにターボブレスを与えられた5人は強化服を纏い、「高速戦隊ターボレンジャー」として立ち上がった!
作風
前年の『超獣戦隊ライブマン』がハードでシリアスな展開だった事から、本作はより低年齢層に寄せた明るく単純明快なストーリーが志された。
その為に敵である暴魔百族とターボレンジャーの戦いは地球を狙う悪と地球を守る正義の戦いでしかなく、『ライブマン』で試みられた嘗ての友と戦うと言った様な個々の因縁は排された。
しかし中盤でキリカが登場してからは第三勢力のヤミマルとキリカを中心に据えられ、嘗ての同級生同士と言う深い因縁を持つ敵が用意され、ドラマ性のある展開が繰り広げられた。
同時に数年来に渡って続いている青春路線も受け継がれており、本作では主人公を高校生とする事でそれを表現している。同じく高校生を題材にした戦隊として後年の『電磁戦隊メガレンジャー』があるが両者のスタンスを端的に表すと、『ターボレンジャー』はヒーローが高校生をしていて、『メガレンジャー』は高校生がヒーローをしている。
前者は当時の多くがそうであった様にヒーローは完全無欠の絶対的な存在として描かれている。高校生活の中でも各々が運動神経に恵まれ花形的な立場にあった。それに対して後者は普通の高校生がヒーローを演じており、より親しみ易い身近な存在となっている。それぞれの作品が生まれた時代のヒーロー像が反映されている。
高校生の他に取り入れられたモチーフとして、自動車と妖精が挙げられる。
自動車と言うのはデザイン、メカニックモチーフであり、戦隊ヒーローのマスクと巨大ロボに合体するメカが共通デザインとなっている。それまでの巨大メカはSFテイストの強いデザインであったが、本作では実在の自動車に近いデザインとなった。前作『ライブマン』で身近な動物がメカのモチーフに採用されマスクとの共通化が計られたが、本作ではメカニック系統の作品でそれが行われたのである。自動車と言うのは高校生や妖精にそぐわないと指摘されるが、飽く迄もデザイン面のモチーフに留まっており基本的にドラマには関与しない。この分かり易いモチーフ選択は成功し、玩具の高い売れ行きに繋がった。
ドラマを組み立てるのが高校生、デザインが自動車と来て、世界観、設定面のモチーフが妖精である。妖精と言う超次元的な存在を設け、ヒーローであるターボレンジャーが持つ力の源も妖精に根差している。こうしたファンタスティックな世界観は後に『恐竜戦隊ジュウレンジャー』で本格的に開花し、90年代や以降の作品で頻繁に取り上げられる事となった。
これにより本作は、青春路線や第三勢力を中心にしたドラマを受け継いで80年代戦隊の集大成とも言うべき内容であり、同時に分かり易いデザインモチーフやファンタジー路線と言った90年代戦隊の萌芽とも言える作品となった。
レンジャー表記の復活
「○○マン」という名称が主流を占めていた当時のスーパー戦隊シリーズだが、ゴレンジャー以来久々に「レンジャー」表記が復活した。
ゴレンジャーがスーパー戦隊シリーズとして数えられていなかった当時としては初のレンジャー表記戦隊である。
なお、次点となっていた名称も「カーレンジャー」とレンジャー表記であり、これは同じ車モチーフの激走戦隊カーレンジャーにて採用されることとなる。
スーパー戦隊オールスターズ
バトルフィーバーJから数えて第十作目である前作・超獣戦隊ライブマン(当時、ゴレンジャーとジャッカーはスーパー戦隊シリーズではなく「戦隊シリーズ」として別カウントされていた)の第一話では先輩戦隊たちが勢揃いする特別編が予定されていたが、撮影スケジュールの都合でお流れに。
しかし、史上初のスーパー戦隊大集合という一大イベントは完全に消滅したわけではなく、ライブマンの次作であるターボレンジャーにて実現することとなった。
このため、第一話では暴魔百族の幹部たちの前にターボレンジャーとバトルフィーバーJ~ライブマンまでの先輩戦隊たちが現れて過去のスーパー戦隊の活躍を紹介するという特別編となっており、二話が実質的なターボレンジャー一話である。
「せっかく53人も戦隊ヒーローがいるんだし、一話で幹部連中全員倒せばよくね?」とか疑問を抱いてはいけない。
ちなみに、超新星フラッシュマン最終回にて反フラッシュ反応が原因で地球を去ることになったフラッシュマンの五人もこの場にいるのだが、地球に戻ってこれた理由は特に説明されていなかったりする。
ようするに、こまけぇこたぁいいんだよ!!
巨大要塞ロボ・ターボビルダー
前作・ライブマンに引き続き、一号ロボ・ターボロボと二号ロボ・ターボラガーによるスーパー合体(スーパーターボロボ)が登場するのだが、今作ではそれに加えて移動要塞・ターボビルダーがロボに変形することによって実質的な三号ロボが新登場。
これは今までの巨大母艦に変わる存在としての登場であり、次作・地球戦隊ファイブマンのマグマベースにも同等の要素が引き継がれた。
なお、スーパーターボロボとターボビルダーが合体することによってスーパーターボビルダー(劇中では無敗の、まさに無敵要塞)となることが可能。
これはスーパー戦隊シリーズ初の三体合体である。
高校戦隊ターボレンジャー
第一次ミニ四駆ブームだった当時の流行を反映して「車」をモチーフにしたターボレンジャーだが、もう一つの特徴はメンバー全員が高校生ということである。良い子は十八になってから免許を取って車を運転しましょう。
さらにもう一点、妖精という要素を入れることによって、機械である車と神秘的な妖精、高校生という年齢から若さを前面に押し出したターボレンジャーは、先輩戦隊たちに門出を祝われて華々しいスタートを切ったのだが……
スーパー戦隊シリーズ、苦戦の始まり
バトルフィーバーJから数えても11作目である今作は、さすがに新要素を加えてもマンネリ化は避けられなくなってきていた。
そんな背景もあって、ライブマンの頃は年間平均10.6%だった視聴率がターボレンジャー前半に平均8.6%まで急落。
さらにターボレンジャーの運の無かったところは、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(宮崎勤事件)の影響で、サブカルチャー的なものへの風当たりが強かった時代だったことだった。
このためか、あるいはバンダイが資料にて発表している「週休二日制が定着し、金曜日に番組を観た子供が翌日おもちゃ屋に来てくれる」という理由のためか、従来土曜日18時から放送されていたスーパー戦隊シリーズは、金曜17時30分へと放送枠の変更がなされた。
さらにこの移動先でも、裏番組として「らんま1/2 熱闘編」がスタート。平均視聴率は7.6%まで下がってしまう。らんま1/2の影響は次作のファイブマンまで続き、この人気裏番組との苦闘が続くこととなる。
人気のあった玩具
視聴率面では苦戦したターボレンジャーだったが、一方でターボロボを筆頭とした玩具には人気があり、低迷する視聴率と裏腹に関連玩具の売上はシリーズ最高(当時)を記録。
アクションの特徴
全体的にスピーディな構成が心掛けられており、個人の名乗りが廃止されている。『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』ではレッドターボの個人名乗りが新撮された。
本作ではジャンプした戦士が壁や仲間を蹴って足場にし勢いをつける戦法が多用された。これは本作のみならず、以後のシリーズでも特徴的なアクションとして導入されている。
またこれまでのシリーズ作品では、怪人に止めを刺すのは必ず全員で協力した必殺技であったが、本作より個人の必殺技で怪人を倒す場面が見られる様になる。これによりその回の主役人物がドラマの盛り上がりを引き継いだまま止めを刺せる様になった。
人物・戦力紹介
高速戦隊ターボレンジャー
太宰博士が妖精シーロンの協力を得て開発したスーツを、妖精を見る事が出来る五人の戦士が変身する戦士。普段は同じ高校生の同級生なので抜群のコンビネーションで戦う。
妖精の力が消えると変身を維持する事が出来ず、劇中では力を失い全身が白い姿になる事もあった。
炎 力/レッドターボ |
野球部に所属しておりエースピッチャーで四番である。元は成績が良かったがターボレンジャーとして活動するようになってから著しく下がっている。 レッドターボとしての戦闘力は高く、ジンバやヤミマルと幾度も死闘を繰り広げ、ラゴーンやレーダといった強敵を一人で打ち倒した。 『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』にも出演し、「スーパー戦隊すべての力が集まった今、君たちに与えられた力強い勇気で青く輝く地球を守ってくれ!」と主題歌を捩った言葉でゴーカイジャーを激励しターボレンジャーの大いなる力を託している。 演じる佐藤健太は本作の主題歌も担当しており、声の良さが印象深い。佐藤は後年、自身が出演していない『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の主題歌も担当した。 |
山形 大地/ブラックターボ |
陸上部員で走るのが好きとされ、『脱出だ!サムライの町』、『愛を呼ぶ魔神剣』など主役回では走っている姿が目立つ。 個人武器のTハンマーで放つ『ハンマーブレイク』が必殺技で、ジャーミンとクロコボーマを纏めて倒す威力がある。 |
浜 洋平/ブルーターボ |
水泳部に所属する爽やかな青年。二枚目だかおどけたり冗談を言ったりする事も多い。とても誠実な性格で泳げない子供に熱心に泳ぎ方を教えたりする。 Jガンと言う光線銃を専用武器として持ち、ガンマンボーマとは激しい銃撃戦を繰り広げた。またターボレーザーと合体させる事でJマシンガンと呼ばれる形態になる。「くらいやがれ!」の一言と共に『Jガン乱れ撃ち』を決める。 クールな二枚目からくだけた一面が次第に増えていったのは演じた朝倉の地に近付いた結果であり、本来はそのポジションにあった俊介が割を食ってしまった。その事を朝倉は俊介を演じた片桐に詫びているが、片桐も結果的に俊介が合っていたと語っている。 |
日野 俊介/イエローターボ |
普段はとても陽気に振舞っているがその陰には哀しい過去を隠している。その為に主役回ではどこか憂いを秘めた表情が目立つ。 体操部に所属していて戦闘でも、それを活かしたアクロバティックな動きを見せる。高く跳躍しながらBボーガンから必殺の一撃を射る『ジャンピングボーガン』が必殺技。 |
森川 はるな/ピンクターボ |
高校では生徒会長を努めるターボレンジャーの紅一点。 |
ターボレンジャーの技・武器
ターボレーザー
ターボレンジャーの共通武器で楕円形の光弾を発射するレーザーガン。ターボレーザーソードが内蔵されており分離して使用する。
ターボカセット
ターボレンジャーの個人武器で折り畳むとカセットテープの様な形状となる。ターボレーザーソードの代わりにターボレーザーと合体させる事が可能。
コンビネーションアタック
必殺技までの繋ぎに使われる連携技の総称。幾つかのバリエーションがあるが最も一般的なのは、ブラックとブルーがパンチ、イエローとピンクがキック、そして最後にレッドが剣技で致命傷を与えると言うパターンである。
ターボレーザープラズマシュート
初期の必殺技で、全員のターボレーザーで上空に巨大なエネルギー球を作り出し、それを暴魔獣に落として攻撃する。ヤミマルに破られた。
Vターボバズーカ
プラズマシュートがヤミマルに打破された事で太宰博士の手で新たに開発された必殺バズーカである。基地から転送されたバズーカ本体にターボアタッカーのエンジンが合体して使用可能となる。
チェンジマンで登場して以来定番となった必殺バズーカであるが、実はVターボバズーカは幹部級の相手を一人も倒していない。
巨大ロボ
スーパーターボロボやスーパーターボビルダーといった強力な戦力を有し、非常に充実している。
ターボロボ(ターボGT、ターボトラック、ターボジープ、ターボバギー、ターボワゴン)
五台のターボマシンが『合体シフトターボロボ』の合体コードで合体して誕生する巨大ロボ。ターボジープとバギーがそのまま両足になっており、ローラースケートの要領で高速移動する事が可能。自動車メカの合体ロボだが、空中飛行は疎か、宇宙へ行く事も出来る。
主な必殺技は高速剣で相手を切り裂く『高速剣ターボクラッシュ』だが、時にはターボカノンの銃撃で巨大暴魔獣を倒す事もあった(『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』でもライブロボのダブルカノンとの同時射撃で冥府神サイクロプスを斃している)。また変り種の決め手としては、スモウボーマ戦の上手投げがある。この回の戦闘はターボロボが廻しを締めて相撲を取ると言う異色作であった。『5分間の変身』の回では高速剣は五人全員が登場していないと使えないと言われていたが、修理の際に改修されたのか後にレッドを欠いた四人の状態でも使用している。また空中回転してパンチを決める『ターボパンチ』も得意技として多用された。この技はロボは縦方向に回転しているのにコクピットは何故か横に回転している。ターボシールドと言う盾も装備しているが使用回数は少なかった。
最近の作品に比してターボロボのみならずこの時期の戦隊に共通して言える事だが、ロボの動きが軽快でとても機敏なアクションを見せる。
DX超合金五連合体ターボロボは大ヒットを記録した。
ターボラガー/ラガーファイター
開発が遅れていたがターボロボの破壊に伴い急遽進められ完成された、ターボレンジャーの新たなロボ。
サンダーバード2号を彷彿させる曲線的な機首を持ったラガーファイターが、格納庫に保管された様子に始まりターボビルダーの屋上から飛び立つ描写は壮観で、特撮番組に於けるミニチュアを使用したメカの格好良さが存分に堪能出来る。
ターボラガーはその名の通りラガーマンをモチーフにしており、「バトルボール、キックオフ!」の掛け声と共にラグビーボールを模した爆弾のバトルボールを蹴り上げて戦闘を開始する。大抵はそのままバトルボールでダメージを与えていたが、後半では暴魔獣が受け止めたり打ち返す描写もあった。斯様に劇中でも印象的だったバトルボールだが、『超空合体DXターボラガー』には附属していなかった(尤も、仮に附属したとして遊びようが無いのだが)。バトルボールの他には肩に装着されたビッグラガーガンが武器。上空で高速回転しながら強烈な飛び蹴りを見舞う『スクリューラガーキック』が必殺技である。
テーマソングの『タックル!ターボラガー』は石原慎一の戦隊シリーズ初参加楽曲で、力強く重厚な歌声が非常に格好良い曲となっている。
スーパーターボロボ
ターボロボとターボラガーが『スーパーシフト』で合体した超巨大ロボ。主な強化、外見の変更が上半身に集中していて下半身が貧弱でアンバランスだが、暴魔獣を一回り上回るその巨体から放たれる威圧感は凄まじい。暴魔獣が必死に攻撃してもビクともしない頑強さを持つ。巨大ラゴーンを倒していないので全勝ではないが、同時に巨大ラゴーンに倒されてもいないので無敗である(巨大ラゴーンに必殺技が効かなかった時点でターボレンジャーはスーパーターボビルダーの合体に切り替えているので、スーパーターボロボはダメージを受けておらず最後まで無傷だった)。
必殺技は三角形のビームを放つ『スーパーミラージュビーム』で、その威力はラスボスである巨大ネオラゴーンをも一撃で屠るほど。
スーパーターボビルダー
ターボレンジャーの基地であるターボビルダーが変形、内部にスーパーターボロボを格納する形で合体したターボレンジャーの最強戦力。大地を割る破壊力の『スーパーターボビルダービーム』が必殺技で、『スーパーミラージュビーム』に耐えた巨大ラゴーンと、暴魔の本拠地である暴魔城を粉砕している。尚、スーパーターボロボが合体しない単なるターボビルダーの時点でも巨大ジンバを倒すほどの圧倒的な火力を有していた。
司令官
妖精と交流し暴魔百族の脅威を知り、対抗する為に私費を投じてターボレンジャーの装備を開発した。
自身は妖精を見る事が出来ない為に、妖精を見る為に妖精グラスを開発した。ターボレンジャーの5人に「君達だけなんだよ。妖精を見る事が出来るのは。君達が信じたからだ。心の底から信じたから、妖精シーロンを見る事が出来たんだ」と語っているが、つまり太宰博士は妖精を信じていなかったのか。そして信じていないから見る事が出来ない妖精を見る為の道具を開発した事になる。
たった一人でターボレンジャーの全戦力を作り上げた資金力の高さが話題であったが、『未来戦隊タイムレンジャー』にて浅見グループの会長である事が明かされ謎が氷解した。
妖精最後の生き残りであり、ターボレンジャーと太宰博士に協力して暴魔百族と戦った。暴魔獣が出現するとその暴魔獣に関する伝承や知識を語り戦いに貢献している。
暴魔との戦いが終わった後は、聖獣ラキアの元へと去った。こうして地球から全ての妖精が消えましたとさ。
暴魔百族
二万年前に人間と妖精の連合軍に敗れ封印された妖魔。地球の環境破壊が進み封印が弱まり現代に復活した。
暴魔百族と言う様に多数の一族で構成されている。
後年、多数の特撮ヒーロー作品で辣腕を振るう篠原保の戦隊デビュー作であり、その魅力的なデザインが存分に堪能出来る。
首領
暴魔大帝ラゴーン
暴魔百族の支配者で普段は暴魔城にある大帝の間に鎮座している。凶悪な形相の本体と無数の腕や触手、顔が居並ぶ衝立の組み合わせが禍禍しくも凄まじい迫力を醸している。
失態を繰り返す部下には厳しく、また暴魔の中にもラゴーンに従わない者も居るが、暴魔大帝として暴魔城と暴魔百族を守らなければならないと言う使命感を持っており、忠実な配下はそんなラゴーンに宝物や人間を捧げようと奮起する。
ヤミマルの策に嵌まりレッドターボとの一騎打ちを余儀無くされるが伸縮自在の腕やその手に持った剣で大いに苦しめた。レッドターボのGTクラッシュで刺し貫かれ死んだかに思われたが初めて玉座から立ち上がり、巨大化した。他の暴魔とは異なり自らの意思による巨大化であり、巨大化した後も自我を有している。巨大ラゴーンはターボロボを圧倒しスーパーターボロボのスーパーミラージュビームにも怯まなかったが、スーパーターボビルダーのスーパーターボビルダービームを受けて爆発四散した。
余談だが108匹の暴魔獣が封印されていると言う大封印に、同族の別個体なのかラゴーンに酷似した暴魔獣の姿が確認出来る。
死後は不完全な姿で異次元に待機し、時折、暴魔獣を巨大化させヤミマルらを困惑させた。
暴魔大帝ネオラゴーン
完全に死んではおらずターボレンジャーとヤミマルの戦いを見ていたラゴーンが両者を利用して復活した姿。以前とは対照的に装飾の少ない人型の姿で、その優れたデザインには定評がある。ヤミマルから暴魔の王座を奪還した。
ターボレンジャー、ヤミマルと三つ巴の死闘を繰り広げ大いに苦しめたが、最終的にGTクラッシュで斃された。以前と同様に巨大化するも今度はスーパーミラージュビームで死亡している。
ラゴーン、ネオラゴーン共にVターボバズーカではなくレッド単体の必殺技であるGTクラッシュでやられている事と、巨大ラゴーンでは耐えられたスーパーミラージュビームで(パワーアップして復活した筈の)巨大ネオラゴーンがやられている事から、戦隊シリーズファンの間ではとても弱いラスボスとして語られているが、何れの形態でも等身大の戦闘では高い戦闘力でヒーローを圧倒している。また決着が着くまでの流れも当初は優勢だった存在が不自然に一発逆転され負けるのではなく、優勢に戦闘を運びながらもターボレンジャーも着実に攻撃を重ねやがて勝利する非常に納得のいく展開になっており、名勝負に相応しいと言えよう。
幹部
暴魔博士レーダ
暴魔百族の幹部であり、ラゴーンに次ぐ第二位に位置付けられる。博士と言う様に非常に博識で、暴魔獣について多くの知識を持っており作中で披露される。妖術の使い手でもある。武器の魔笛透視杖を奏でる事で暴魔再生巨大化光線を放ち、同時にその音色がターボレンジャーを苦しめて動きを封じる。
妖術とその頭脳を武器にターボレンジャーを苦しめたが一向に倒せない事からラゴーンの叱責を受け、そのマントを脱ぎバトルモードとなってレッドターボとの戦いに臨んだ。GTクラッシュにより爆発するも「おのれ、決してこのまま死ぬ俺ではないぞ!」と言い残している。この台詞から再登場が予想されたが路線変更の影響か復活する事は無かった。
2010年現在、石橋雅史が戦隊シリーズでレギュラーを演じた最後の役柄である。
暗闇暴魔ジンバ
暴魔百族の幹部の一人。元は人間の武人で愛する姫の為に命を尽くして戦い続けたが、致命傷を負った彼は姫に無残にも見捨てられた。その恨みから誕生した暴魔である。他に類を見ない元人間の暴魔と言えよう。その出自からか愛を強く憎んでおり、愛を餌に成長するアギトボーマを育てていた。
レッドターボとライバル関係にあり手元から離れても自在に操れる暗闇魔神剣を武器に幾度と無く激闘を繰り広げた。一度はGTクラッシュの直撃を受けながらも鎧の残骸から本体が復活する描写があり、何らかの秘密があるものと思われたが、路線変更の煽りを受けてそれについて触れられる事無く倒された。自身の頭部と同じ形状のエネルギー体を宙に描き、そこから暴魔再生巨大化光線を出す。モニターを通じて攻撃すると言う奇想天外な妙技も披露した。
死後、その肉体は巨大ジンバとしてヤミマルに利用され、ターボロボを合体不能に追い込んだ。そのジンバはヤミマルに操られるだけの傀儡であり、ターボロボの撃破もジンバでは無くヤミマルの手柄として認識されている。
多くの強敵を葬ったレッドターボのGTクラッシュだが、実はレッドターボのライバルであったジンバはレッドターボの攻撃に加え四人のターボレーザーによって倒されている。逆に言えばGTクラッシュだけでは死ななかったのであり、ジンバ>>>GTクラッシュと言う越えられない壁>>>ネオラゴーン、ラゴーン、その他の強敵と言える。
姫暴魔ジャーミン
幹部の紅一点。人間の女性に近い顔だが、素顔は蛇の様な顔である。鞭を武器に戦う。家庭の温もりや温かさを憎悪していて、戦士は星の様に孤独なものと考えている。その信条から氷魔と炎魔の兄弟やスズナリボーマのリンに残酷な運命を課した。ジンバと同様に口からエネルギー体を出して暴魔再生巨大化光線を放つ。
体内に自身のダメージを一手に引き受けるクロコボーマが封印されており、自らの立場が追い詰められた際には大復活させて共に戦った。しかし最後はブラックのハンマーブレイクでクロコボーマ共共致命傷を負い、クロコボーマを巨大化させて息絶えた。
かっとび暴魔ズルテン
幹部の一人だが前述の三人よりは格下である。コメディリリーフ的な惚けた存在だが相応の実力があり、俊介からも「ズルテンはあれで結構やるよ」と評されている。俗っぽく欲深い性格で、ラゴーンへの貢物を自分で拝借しようとする面がある。また日和見主義でもあり、ラゴーンが斃れた際にはヤミマルに従い、ネオラゴーンが復活すると掌を返した。そのお陰か初期から登場している幹部では唯一終盤まで生き残るも、最後はガーゾックで出撃しターボビルダーの砲撃で散華した。
法螺貝から光弾を発射するズルッポ吹き矢とスリングショット型のズルパッチンを武器にする他、かっとびズルテンと言う車の姿に大変身する能力を有している。かっとびズルテン形態では幹部や暴魔獣を背中に乗せて走るが、中でもジャーミンが載って鞭で叩いた時は「もっとぶって~!」と興奮してスピードアップした。法螺貝を高らかに鳴らす事で暴魔再生巨大化光線を出す事が出来、その時の音色が印象深い。
前述した様にガーゾックで出撃して死亡と言う、幹部としての見せ場が全く無いぞんざいな最期を迎えている。しかもコクピット内部の描写こそ新撮されているが、ガーゾックが撃墜される場面は初期から使われているバンク映像である。幹部としては前代未聞の扱いであろう。
翌年の『地球戦隊ファイブマン』でもガロアやドンゴロスが情けない最期を描写されているのだが、前者は映像表現にこそ難があるものの精神に異常をきたした事が描かれているし、後者は金に取り付かれその欲が身を滅ぼす表現であり、何れも意図があった。しかしズルテンの場合はまともな描写すらされていないのである。
怪人
暴魔獣
所謂怪人の総称で暴魔百族の大半を占めている。ネーミング法則は『~ボーマ』であり、スズナリボーマ一族と言った呼び名もある様に個体名ではなく一族全体の名前の様だ。幹部との生物として明確な違いは不明。全ての暴魔獣が邪悪なわけではなく、聖獣ラキアの高潔な精神に触れて改心する者や当初から平和を愛する心を持ち合わせている者、長い封印の間に戦いに嫌気が差した者も居た。
二万年前の戦いで各地に封印されており、幹部の手によって封印を解かれて復活する。その際には『大復活! 暴魔獣、~ボーマ!』と名乗り上げる事が多い。この名乗りは幹部も行っていた。モチーフの幅が非常に広くダンゴボーマやカセキボーマの様な物体、タメイキボーマやキオクボーマの様な抽象的なもの、ヒトツメボーマの様な外見的特徴を表現したものと多岐に渡る。極め付けにはノッペラボーマ、単なる駄洒落である。またレーサーボーマやガンマンボーマの様な二万年前に存在したと言うのに無理があるものも少なくない。また赤鬼、青鬼やドクロ怪人と暴魔獣とは異なる妖魔も登場した。
ターボレンジャーによって倒されると幹部が暴魔再生巨大化光線を放って復活巨大化される。巨大化を担当する専門の幹部が居るのではなく、全ての幹部が巨大化を可能としており、一時期は首領であるラゴーンもやっていた。また他の作品とは異なる特徴の一つとして、巨大化した暴魔獣は厳密には生き返ったわけではなく、生前の自我や人格は持ち合わせていない。人語も喋らず唸り声を上げるのみで、巨大化させた者の操り人形である。
余談だが暴魔百族の守り神と称されたジャシンボーマ、暴魔の守り神である超魔神ボーマ、流れ暴魔の守り神とされる暴魔蝙蝠ドラグラスと異様に守り神が多い。
戦闘員
ウーラー兵
暴魔百族で最も数が多く、戦闘員としての役割を担う。ウーラー一族と言う暴魔でも最下級の種族である。族長にはウーラーボーマが居り、死をも恐れぬ勇気とラゴーンへの忠誠心を併せ持つが、ジャーミンらからは最下級の一族と蔑まされていた。ウーラーボーマが倒された際には丁重に弔い墓前でターボレンジャー打倒を誓っており、種族内の結束は固い。
地球上のあらゆる場所に潜んでおり、幹部や怪人の「湧けッ、ウーラー!」の声に応えて出現する。
武器は投擲すると爆弾にもなる鎌の邪骨剣。その他にダンゴボーマより授けられた、複数のウーラーが絡み合い球状になり転がって障害物を押し潰すウーラーダンゴや、ウーラーがその身を犠牲にして地中に潜り刺激を与え地割れを引き起こす死を恐れぬ勇気を体現したウーラー人柱を使う。
専用のテーマソングがあり『爆発!ウーラー街道!』の回で挿入歌として使用された。
ウーラー隊長ウー、ラー
その名の通りウーラー兵を率いる隊長格で、通常のウーラーが黒なのに対して赤い体色をしている。知能も高く言葉を話す事が出来る。
爽やかな声なのがウーで、低い声をしている方がラーである。ラーはガラバーを運転して戦う事が多かった。共に巨大な鎌を武器としている。
流れ暴魔
暴魔百族と人間の間に産まれた混血児で、暴魔からも人間からも蔑まれている。しかし本当は人間と暴魔の架け橋となる存在である。劇中に登場したのはヤミマルとキリカの二人のみ。カシムも流れ暴魔を名乗ったが彼の正体はキリカの父親であるキメンボーマその人であり、純粋な暴魔である。
流れ暴魔ヤミマル/流星光
流星光の名前でターボレンジャーと同じクラスに転校生として現れたが、その正体は流れ暴魔ヤミマルである。土蜘蛛を彷彿とさせる土着的なコスチュームを纏っている。二万年前の戦いで人間からも暴魔からも相手にされなかった為に封印されなかったが、自らが辛い目にあってきたために強い恨みを抱いている。当初の目的は暴魔に認めて貰う事だったが、途中から自分達流れ暴魔こそが全てを制する存在と方針を変更した。
二万年の間修行を重ねていた為にその戦闘力は非常に高く、プラズマシュートを真っ二つにし、幹部と比較しても何ら遜色は無い。しかし純粋な暴魔ではないからか幹部なら誰でも可能な暴魔獣の巨大化が自力では出来ず、傍らのヤミクモに頼っている。また七つの武器を持つがその武器の生成を担うのもヤミクモである。分身してから流星剣で敵を切り裂くヤミマル分身剣は、ターボレンジャーのスーツを完全に切り裂くほどの威力だった。
運命の赤い糸で結ばれたキリカの覚醒と同時にパワーアップし、目にも鮮やかな真紅の鎧にコスチュームが一新された。それに伴い特殊能力も強化され、それまで入れなかった暴魔城への入城が可能になり、暴魔獣の巨大化も出来る様になった。秘技としてヤミマル闇隠れの術がある。自身は相手のダメージを素通りし、一方的に攻撃する事が出来ると言う強力な術だがそれ故に代償も大きく、使うと自らの生命力を消耗する。
暴魔百族と認めて貰おうとターボレンジャーを苦しめたヤミマルだが、キリカと共に全ての頂点に立つ事が新たな目的となった。一時は配下を失ったラゴーンの元に身を寄せたが全ては野望の内で、頃合を見計らいレッドターボとラゴーンの一騎打ちを仕掛けてラゴーンを抹殺、暴魔城を簒奪した。
しかしラゴーンは実は死んでおらず、今度は逆にラゴーンに利用されネオラゴーンの復活と共に力を失ってしまう。執念で変身能力を取り戻したがキリカとの間に齟齬が生まれており、袂を分かって再び一人きりで孤独な戦いに身を投じる。最終決戦に乱入するがネオラゴーンの返り討ちに合い、あわや暴魔城と共に死を迎えるのみと思われた。だがターボレンジャーや山口先生、それに何よりキリカの言葉で再起し、運命の赤い糸で脱出した。
最後はキリカと共に人間と暴魔の架け橋になるべく旅に出る。
第三勢力として登場し一時とは言え暴魔を支配下に置いたが、最後にはハッピーエンドを迎えると言う珍しい存在である。特に最終回はヤミマルが主人公の様ですらあった。
流れ暴魔キリカ/月影小夜子
キメンボーマが人間の女性との間に儲けた子供で、十八歳の誕生日を迎えるまでの間、オマモリボーマが見守り、ドクロ怪人が父と母に扮し人間として育てられていた。ヤミマルと出会い流れ暴魔として覚醒し、以後、行動を共にする事になる。力に恋慕の情を抱いていたが、流れ暴魔として覚醒した時にそれを捨て去っている(同時にその非道な振る舞いに、力からも決別を宣言された)。また幼い頃に俊介と会った事がある。
ヤミマルとは運命の赤い糸で結ばれた相手である。これは比喩表現ではなく本当に二人の小指から赤い糸が出ており、物理的に相手の足を引っ掛けたり、結界を張ったりするのに使われた。最終回でヤミマルの命を救ったのもこの赤い糸である。
月光剣と暴魔再生巨大化光線を放つ大型手裏剣が武器。
ヤミマルと共に流れ暴魔が世界を制するのを目的として行動していたが、カシムとの出会いや人間だった頃に好意を寄せていた力と触れ合う事で考えを改め戦いの意志を失った。しかしヤミマルへの愛が消えたわけではなく彼を案じ続け、最後はそんな彼女の想いがヤミマルを助けたのである。戦いの後はヤミマルと旅立った。
劇場版
2万年前に妖精フローラがその命と引き換えに封印したジャシンボーマの復活を巡るターボレンジャーと暴魔の攻防が描かれる。
他の暴魔獣と一線を画したジャシンボーマのデザインは劇場版の怪人に相応しい迫力を醸している。
前作『超獣戦隊ライブマン』では戦隊シリーズ史上初めて作られなかった劇場版が本作では復活。東映まんがまつりの一編として公開されている。しかし次作『地球戦隊ファイブマン』では再び劇場版が作られず、以後『百獣戦隊ガオレンジャー』より毎年作られる様になるまでスーパー戦隊シリーズの劇場映画は作品毎にまちまちとなった。
封切りは第4話の放送と同日であり非常に早期の劇場公開であった。
映像ソフト
TVシリーズ
傑作選として1巻に5話収録で全6巻と計30話分がVHS化されている。
2003年より戦隊旧作のDVDリリースが開始されたが古い作品と新しい作品を交互に発売する為に、満を持して2012年5月より発売が開始された。旧作では最後発となる。
好意的に解釈すれば最後と言うのは切り札と言えるであろう。←単にそういう順番だからだってば!
劇場版
VHSは単品発売。
DVDはスーパー戦隊 THE MOVIE BOX及びスーパー戦隊 THE MOVIE VOl.3に収録されている。
関連動画
公式配信
無料配信期間は72時間(2013年3月4日15時まで)であった。
その他
公式配信を除く映像は暴魔百族の監視下にあり、発見次第滅亡の憂い目に遭っている。ここではその監視下を逃れ今も活動を続けている動画の一部分を紹介。
関連商品
関連チャンネル
関連コミュニティ
関連項目
- 特撮
- 特撮作品一覧
- スーパー戦隊シリーズ
- スーパー戦隊VSシリーズ(「ガオレンジャーVSスーパー戦隊」でレッドターボが名乗りで客演)
- 激走戦隊カーレンジャー(二つ目の車モチーフ戦隊)
- 炎神戦隊ゴーオンジャー(三つ目の車モチーフ戦隊)
- 電磁戦隊メガレンジャー(二つ目の高校生戦隊)
- 東映特撮ニコニコおふぃしゃる
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