『髙』は環境依存文字の通称・梯子高であり、一般的には高島屋と表記される。
概要
大阪・難波に本社を置く大型百貨店。
2008年の売上高は約8,777億円に上り、関西の大型百貨店では最大、日本全国で見ても4位の規模を誇り、単一の屋号としては売り上げトップである。
一般的に高級百貨店として人気があり、珍しく関西と関東、そして中京の三大都市圏で高いブランド力を持つ。心斎橋の大丸とともにミナミを代表する百貨店、三越と並ぶ日本橋の二大百貨店、銀座の三越・難波の髙島屋という東西比較として良く列挙される。髙島屋の薔薇の包み紙の威力には定評があり、会員カードはローズカードという。また、高島屋はハイランドグループ(語源は高島を英語読み)という百貨店組合を作っており、水戸市の京成百貨店、浜松市の遠鉄百貨店、大垣市のヤナゲン、佐世保市、佐賀市の玉屋などが参加している(閉店した丸栄もそうだった)。
元々は、飯田半七という商人が京都で起こした呉服屋が始まりで、この創業者が滋賀県高島の出身であったことから、「髙島屋呉服店」として開業し、現在に至る。つまりそもそもの本店は京都であった(なお、大丸も創業は京都である)。
南海電鉄と仲が良く、鉄道会社直営の百貨店を近畿の大手私鉄の中で唯一持っていない同社にとって重要なターミナルデパートとなっている。また、相模鉄道の横浜駅のターミナルデパートとして高島屋が入居しており、東西の私鉄2社のターミナルデパートとして重要な役割を果たしている。
一時はエイチ・ツー・オー リテイリング(阪急阪神百貨店)との合併も検討されていたが、白紙になった。
代表的な店舗
年間売上高が1,000億円を超える店舗を4ヶ所、700億円を超える店舗をさらに2ヵ所持っており、並みの百貨店の旗艦店クラスの店舗を6店持っていることになる。
また、年商1,000億円以上の店舗を4店保持しているのは髙島屋(グループ店舗含む)のみである(かつては京都店も超えていた)。また、他にも高崎、大宮、柏、岐阜、堺、泉北、岡山、港南台、玉川、洛西などに店舗があり、店舗数は国内の百貨店で一番多い。特に柏は地方店舗の雄と言われていた時期があり、柏そごうの撤退後は、柏エリアで一人勝ちとなっている(まあ百貨店自体が圧されてるのだが、百貨店空白域となった松戸の顧客も囲った)。一方、大宮店や立川店は事実上ショッピングセンター的な状態となっている。
競合他社と比較して閉店した店舗が少ないのも特徴であり、百貨店史に残る大失敗をした津田沼店のほかは、あとは中小都市の小型店舗(八王子店、和歌山店、津山店)ぐらいである。その一方で、出店条件には妥協しない姿勢を貫くせいか、入札で競合他社に破れたり、交渉が決裂し白紙化したケースも多い(博多阪急のテナント区画など)。
大阪店
南海電鉄難波駅に併設されている実質上の本店で、荘厳な近代建築が印象的な大型店。売り場面積は関西第3位の7.8万平方メートルにも及び [1]、高島屋店舗で最大。 大胆に改築を施した阪急百貨店とは対照的に、従来の建物の意匠を残したままでの増築・改築を施している。
年商は1,414億円。関西では最大であり、直営店でも2018年度には66年ぶりのトップに躍り出た(なお、グループだと名古屋高島屋が上回っている)。
ミナミの入り口にして中心地であり、向いのなんばマルイと本店に囲まれた駅前は、大阪で最も賑わうエリアの1つ。演説のメッカでもあり、毎日だいたい何かの団体がシュプレヒコール演説を行っている。
また、堺筋沿いには松坂屋のものだった建物を改修した東別館がある。オタロードのすぐ近く。
京都店
四条河原町にあり、大丸(四条烏丸)と同じ通りにある。
京都発祥の髙島屋であるが、この店舗は本店ではない。また、もともとの本店は、四条高辻にかつて存在し、現在は京都銀行本店となっている。
京都市中心部の繁華街のど真ん中で、大丸やマルイ(かつては阪急)と至近距離で激戦を繰り広げているが、年間売上高はその中で長らくトップを誇っており、881億円に達しているなど京都の地域一番店である。ちなみに、最盛期には1000億円以上の売上を誇っていた。
敷地の端っこにある小さな建物とその土地をどうしても買収できず、そこだけ凹んだ形で店舗が建てられているちょっと変わった店。
非常に横に広く売り場面積は約6万平米に及ぶが、景観保護条例で高層化できないため7階までしかない(しかも1階あたりの高さが低い)。
日本橋髙島屋S.C.
日本橋。売場面積6.2万平方メートル。
本館は難波本店と同じく、重厚な近代建築の建物で、百貨店でありながら国の重要文化財に指定されている。三越と並んで日本橋のランドマークとして知られており、たまに建物を混同される。
重厚な作りと三越への対抗意識で、様々な宣伝活動を行ったため、髙島屋本店と勘違いされることもしばしば(大変失礼な話である)。
年商は1,342億円で、大阪店、横浜店に匹敵し、直営店売上年間首位の年もある。だが、近接する三越本店には及んでいない[2]
2018年より百貨店に隣接再開発ビル下層の専門店街を含めたショッピングセンター形態として名称変更した。
玉川店
東急二子玉川駅の近隣に立地。店舗面積は2.4万平方メートルながら、売上は437億円と上位50傑にランクインする。1969年、それまで日本の百貨店が手がけてこなかった郊外型ショッピングセンター店舗として初めて出店。
鉄道利用客のみならず自家用車利用客も想定した大型の駐車場を構える店舗で、この玉川店の成功に刺激を受けた他の百貨店やスーパーマーケットチェーンも郊外型店舗を出店するようになったという記念碑的店舗として知られる。
横浜店
相鉄横浜駅ビル=『相鉄ジョイナス』に入居している旗艦店で、横浜駅西口の関内エリアにある。売場面積は5.4万平方メートル。青い色のカーテンウォールが特徴的。
年商は1,316億円で、横浜市内の主要百貨店の中でも最大の売上を誇る。また、高島屋店舗で最大の売上を記録することが多かったが、東京店、大阪店の増床によってここしばらくは3位となっている。
そごうの旗艦店である横浜そごうと、駅を挟んで近接しており、お互い鎬を削る。なお、横浜には港南台にも店舗があり、分店扱いで売上を合算している(そのため、実はそごうとほぼ互角であるともいわれている)。
新宿店 (タカシマヤタイムズスクエア)
JR新宿駅新南口前にある。売場面積は5.4万平方メートル。
60年代に挑戦しながらも断念せざるを得なかった新宿進出を果たした悲願の店舗。元々は現在の新宿ルミネに入居することを目指していた。
当初は、日本最大の激戦区に店を構えるということもあって、年商2,000億円を見込んでいたが、伊勢丹新宿本店を初めとする百貨店群にものの見事に惨敗。2018年現在の年商は約733億円(伊勢丹は年商2,700億円以上、小田急も当店を上回っているが、京王には肉薄してきている)。
この数字は、単体で見れば決して低くはなく、むしろ大型百貨店として十分な売上高なのだが、テナント料の高さが災いして、60億ともいわれる賃料のせいで2013年まで赤字続きだった。そのため、土地を買収して経費を大幅コストダウンさせている。
新宿駅新南口の再開発に伴って巻き返しを狙っており、国内最大級のバスターミナル、バスタ新宿のオープンに伴う南口の通行客増やヨガスタジオの開設などの成果が見られてきている。
もう、新宿のお荷物なんて言わせない。
ジェイアール名古屋タカシマヤ
JRセントラルタワーズの核テナントとしてオープン。2017年に増床した結果、売場面積は8.7万平方メートルと松坂屋本店を上回り名古屋最大の百貨店、高島屋グループ最大の百貨店となった。
また、2000年のオープン以降、猛烈な勢いで売り上げを伸ばし、2011年には松坂屋を抜いて名古屋トップの百貨店となった。2018年の売上高は1,557億円と三越本店すら追い抜いてしまい、業界4位と高島屋で最も売上が高い店舗となっている。
その勢いは凄まじく名駅エリアから近鉄、松坂屋を業態転換、撤退させてしまった。また、栄から名駅周辺へ人の流れを変えてしまったとまで言われている、勢いは衰えることなく、2015年には松坂屋名古屋店からも地域一番店の座を奪取。さらに2016年にはお隣のJRゲートタワーにタカシマヤ ゲートタワーモールを開業し勢力を拡大。名実ともに黒船として君臨する。
JRと髙島屋の合弁会社であり、直営店ではないが、その貢献度は計り知れない。
いよてつ高島屋
伊予鉄道松山市駅に併設。愛媛県にある四国最大、最高売上の店舗。
元々そごうと提携し「いよてつそごう」として1971年に開店。売場面積3.9万平方メートル、年商は336億円。松山市を代表する百貨店として君臨していたが、2000年のそごう破綻にともない、すぐさま提携を解消(それまでもそごう店舗としては黒字続きで優秀な成績を収めていた)。2001年に高島屋と提携し直し、「いよてつ高島屋」として再出発。
伊予鉄道と髙島屋の合弁会社であり、直営店ではないが、年商は直営店の地域店舗並みである。
柏店(千葉県)
東武野田線柏駅の駅ビル「柏高島屋ステーションモール」の核店舗。
地方型店舗の雄とまで言われた優良店舗。かつては柏そごうとライバルを築いていたが、柏そごうが閉店し、立川店と大宮店が事実上専門店ビル化している中で、数少ない純粋な地域百貨店となっている。
店舗面積は2.7万平方メートル、年商は380億円に上っており、ライバル柏そごうの顧客も取り込んだ。
岐阜高島屋
岐阜市に唯一残った百貨店で、衰退著しいと言われている柳ヶ瀬エリアにある。地域一番店であり、またヤナゲンも高島屋と同じハイランドグループなため、岐阜は完全に高島屋のテリトリーである。
しかし、岐阜は名古屋へのストロー現象が著しく、またアピタ、イオンなどの郊外型ショッピングセンターとの競争もあり、かつて近鉄百貨店と名鉄系列の新岐阜百貨店が姿を消している。高島屋でなかったら岐阜から百貨店は消えていたかも知れない上に、近年は同店舗のジェイアール名古屋タカシマヤに吸い取られるという事態も発生しており、都市規模に反して業績もさほど振るっていない。
建物所有者との交渉が折り合わず、2024年7月31日をもって閉店となることが決定した。老朽化した建物の電気設備の改修工事を巡っての対立であったが、貸主は賃料をギリギリまで下げており、これ以上の設備投資は出来ないとして決裂した。
岐阜高島屋の閉店により、岐阜県は全国4番目の百貨店なし県という不名誉な称号を背負うこととなってしまった。
堺店
南海のお膝元の一つである堺市ではイオン北花田の阪急百貨店の撤退により、百貨店は高島屋のみとなっており、南海高野線堺東駅のターミナルビルの堺店と泉北ニュータウンの泉北店が構えている。
かつてはなんば本店と合算(南海沿線はすべて合計値として計上していた)していたが、2017年から独立して売上を計算することに。その結果、堺店より泉北店の方が売上が高いことがわかった。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
関連リンク
脚注
- *第1位はあべのハルカスの近鉄あべの橋本店で約10万平方メートル。2位は改築終了後の梅田阪急百貨店で8.6万平方メートル、4位はそごう店舗を買い取った大丸心斎橋店で7.7万平方メートル…どこも増床し過ぎ。
- *しかし、三越はようやく本店と銀座店を分けて売上を計上するようになり、本店は年商1,553億円と、実はそこまで大差ないことがわかった。
- *カーメンマンが、バレンタインデーにチョコレートをもらった様に装うため、高島屋(玉川店)でチョコを買っている。
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