鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)とは、漫画・アニメ『鬼滅の刃』の登場人物である。CV:関俊彦
概要
本作の黒幕に位置する人物であり、主人公・竈門炭治郎および鬼殺隊の宿敵。
その正体は“原初の鬼”。世に蔓延る鬼は全て彼の血から生まれた生物であり、その全てを血の呪いで縛り統制しているのが鬼舞辻無惨である。
普段は長い黒髪を後ろで纏めた美青年のような姿をしているが、姿形を自在に変えることが可能であり、作中では成人男性、成人女性、少年…と様々な顔を使い分けて人間社会に潜んでいる。
徹底した秘密主義っぷりはそれだけに留まらず、配下の鬼達には「自分の名前を他人に喋ると死ぬ」という呪いまでかけており、そのため鬼達からは基本的に「あの方」と呼称されている。
更には鬼の全てがどこにいるのかも大体把握しており、距離によっては思考すら読むことが出来る。
目的は「陽の光を浴びても死なない完璧な生物になること」。
しかし完璧な生物は自分一人でいいと考えており、その目的達成の為に嫌々ながらも同族を増やしているという状態である為、配下の鬼達の命は羽根のように軽く扱われる。ただ、全員嫌いというわけではなく、累などお気に入りの配下はいる模様。
彼にとって鬼が己のために働くのは当たり前であり、鬼達の行動の評価は全て減点方式で行われる。
そんな彼だが短慮かつ感情的な行動が多く、性格も非常に自己中心的。現実でもそこらへんにいそうなブラック上司。
加えて沸点も低いために不愉快なことがあるとすぐ怒りを露わにし、たとえ(自身が精鋭で組織したはずの)十二鬼月相手であっても、容赦なく理不尽な制裁を加える。
特に印象的なエピソードとして、下弦の伍・累が鬼殺隊に殺された折に、下弦の鬼の存在意義を疑った彼が残る下弦の鬼達を召集、その場で下弦の壱を除く全員を殺害してしまったというもの(通称「パワハラ会議」)があり、そこで下弦の面々が殺された理由も
という些細かつ理不尽なものばかりで、しかもこの処刑による戦力低下が後々自分の首を絞めているのを見るに、一時の感情に身を任せた短絡的な行動だと言わざるを得ない。
※しかも2人目については「お前は敵に遭ったら逃げようと思っているのか?(要約)」→「いいえ思っていません!」→「お前は私の言うことを否定するのか」という流れであり、4人目についても「強くなるために血を下さい!(要約)」という懇願に対しての反応なので、どうにも救いが無いというか、思考を読まれることも含め鬼達にとっては本当にどうしようもなかった。タチの悪いことに、4人目はただの癇癪任せの無理難題ではなく、正論でもある。「きっと役に立って見せます」という発言に対し「お前の実力でどのようなことができる?具体的に何時までだ?達成することによって具体的に私にどのような利益がある?」と具体的なプレゼンすることを要求しており、普通の企業でも当然行われていることである。実力の伴わない者が何のプランもメリットも説明できずリソースだけ要求すれば即却下されるのも当然であろう(即粛清はさすがにおかしいが)。
『鬼滅の刃』には、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』をオマージュしていると思われる場面や設定がよくあるためか、『ジョジョの奇妙な冒険』の悪役DIOと比較されることが多い。DIOは小物のような言動もとるが、悪の魅力を感じさせるシーンも多い。それと比べ、無惨はそのようなシーンが皆無であり、上に立つものとして尊敬できる部分もなく、傍若無人な振舞いが目立ち、お世辞にもあまりカリスマ性に溢れているとは言いがたいため、ダサい、中身が全くない、魅力がないことがもはや魅力などの意見がある。一方で、いい意味でも悪い意味でもどこか人間臭く、それゆえに次に何をするか読めないキャラクターでもあり、嫌われ役である悪役としては魅力的に描かれているとの意見もある。また、表面上では無惨を慕っている部下達だが、死ぬ間際などに無惨のことを1人も考える部下がいなかったことがDIOとの大きな差である。
また、読者・視聴者からはこうした彼の部下への理不尽な言動を受けて「パワハラ上司」呼ばわりされるようになり、そこから派生して「パワハラの呼吸の使い手」だの「現在作中で最も十二鬼月を殺した人物」だの好き勝手言われるなど、ネタキャラとして愛されつつもある。
ニコニコ動画においても、アニメOPの彼の登場シーンでは赤字コメントで彼への罵倒が書き連ねることが半ば恒例化するなどの盛り上がりを見せている。2020年のネット流行語100では、同年に『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の興行収入300億円達成によって「300億の男」として話題となった煉獄杏寿郎(第3位)をも上回り、年間大賞を獲得した。しかしながら、人気投票では人気がなかった模様。
余談だが、癖毛であるためファンからワカメと呼ばれることもある。
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刀鍛冶の里での禰豆子の太陽克服以来、鬼を動かさなかった彼であったが、これは後に彼にとって命取りとなる柱稽古の時間を鬼殺隊員に与えてしまう結果となる。
そして、単行本16巻収録の第136話「動く」にて太陽を克服した禰豆子を狙い、遂に自身で動きを見せる。
鬼殺隊最高管理者の産屋敷耀哉の下に単身現れ、鬼殺隊の長との邂逅を果たし、床に伏せて今にも息絶えそうな耀哉を見て醜く屍の匂いがすると見下すが、直後に無惨と耀哉は同じ血筋であるということを打ち明けられる。
しかし、そんなことを意に介さず、「私には何の天罰も下っていない 何百何千という人間を殺しても私は許されている この千年神も仏も見たことがない」と吐き捨てた。
だが、耀哉も無惨の夢は「永遠・不滅」であることを指摘するが、「君は思い違いをしている 私は永遠が何か・・・ 知っている 永遠というのは人の想いだ 人の想いこそが永遠であり 不滅なんだよ」と説いた直後に、撒菱を混ぜた大量の爆薬で館もろとも無惨を爆破。そして、烏の緊急招集で産屋敷邸が襲撃されたことを知った柱を含む鬼殺隊員が集結。
さらに珠世の特攻により、鬼に対して効力を発揮する毒薬を打ち込まれる。
この機を逃すまいと、鬼殺隊もこの場で無惨を倒すことを決意、無惨も上弦の鬼全員に加え、下弦程度の力を持たせた鬼を集結させた無限城を出現させ、双方の戦力を全て注いだ総力戦が始まる。
ここから、話数にして実に60話以上、単行本にして7冊に及んだ最終決戦の火蓋が切られる。
各々が因縁の相手との決着を、そして双方共に多くの犠牲者を出しながらも、戦闘中に成長を重ね、想いをつなぐことにより上弦が次々に敗れることで、鬼殺隊に徐々に優勢となってゆく。
だが、無惨も肉の繭から復活を遂げ、第一陣隊士を軽く食糧にし、珠世にとどめを刺すと遂に到着した冨岡義勇、そして竈門炭治郎との直接対決に至る。
その場にて
しつこい
お前たちは本当にしつこい 飽き飽きする 心底うんざりした
口を開けば親の仇 子の仇 兄弟の仇と 馬鹿の一つ覚え
お前たちは生き残ったのだからそれで充分だろう
身内が殺されたから何だというのか 自分は幸運だったと思い
元の生活を続ければ済むこと
私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え
何も 難しく考える必要はない
雨が風が 山の噴火が 大地の揺れが どれだけ人を殺そうとも
天変地異に復習しようという者はいない
(中略)
鬼狩りは異常者の集まりだからだ
異常者の相手は疲れた
いい加減終わりにしたいのは私の方だ
と言い放つと、鬼にすら慈悲をかけていた炭治郎は怒りを通り越した厭悪の表情で彼を
「無惨 お前は 存在してはいけない生き物だ」と返した。
そして、戦闘が開始されると、炭治郎の右眼を軽く潰すと背中の触手で二人を追い詰め、兪史郎の作戦で遅れて到着した甘露寺、伊黒も加わり、鳴女の制御を奪った兪史郎を取り込もうとするも失敗、たまらず無惨も鳴女を爆殺するが、直前に兪史郎は崩壊する無限城から無惨や隊士を地上に排出することに成功。
日の出まで1時間半もの時間が残ったが、とうとう無惨を倒すことが現実味を帯びたことで、夜明けまでの死闘が開幕。
異常なまでの自己再生能力に生き残った柱たちも苦戦し、炭治郎も無惨の血の毒で倒れてしまう。
しかし、伊之助、善逸、カナヲも加わり赫い刀身、兪史郎の紙眼も使い協調体制が引かれるが、これをも退け、カナヲを手にかけようとしたそのとき、炭治郎が復活。
日の呼吸の神髄にたどり着いた炭治郎は無惨と互角に渡り合うが、この時に無惨も自身に打ち込まれた毒の正体の一つを知り、自身が9000年分老化していたことに気付く。
縁壱が付けた古傷すらも隠せなくなった無惨は遂に逃亡を図るが、伊黒と炭治郎の妨害により息切れするまでに消耗。分裂での逃亡も珠世の毒によって阻害され、伊之助と善逸の加勢もあり壁に磔にされた時に陽光が差し始める。
だが、ここに来ても死を逃れようとする無惨は肉の鎧を纏い、まるで赤ん坊のような姿の肉塊へと変貌を遂げ、身体を焼かれ、生き残った隠たちの自動車や家具による妨害によって弱体化するが、土に潜ってまで生き延びようとする中、体内で炭治郎が最後の一撃を放ち悶絶。
断末魔の叫びをあげると鬼の始祖はようやくその千年以上にも及ぶ生涯に終止符を打った。
しかし、死の直前に「人の想いが受け継がれる」事をある意味理解し、自身の血全てを注いだ炭治郎に自らの夢を託し、炭治郎を鬼の王へと変貌させた。
関連動画
関連静画
関連項目
- 鬼滅の刃
- 鬼
- 竈門炭治郎
- 産屋敷輝哉
- 十二鬼月
- パワハラ
- パワハラ会議
- しつこい(鬼滅の刃)
ニコニコ治郎待て!! 待ってくれ頼む!!
私の意志を 思いを 継いでくれ お前たちが!!
お前たちにしかできない お前らは神に選ばれし者だというのがわからないのかニコニコ治郎行くな!!
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