『魔導具師ダリヤはうつむかない』とは、甘岸久弥によるWeb小説である。
書籍版のキャラクター原案とイラストはイラストレーターの景が1巻から8巻まで担当したが他作品を含めて降板し、9巻以降のイラストは駒田ハチが担当する。
原作書籍版と、コミカライズコンプエース版タイトルは
「魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~」
(作画:釜田)
コミカライズMAGCOMI版のタイトルは
「魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~」
(作画:住川惠)
概要
「小説家になろう」にて2018年04月から連載開始。同年10月にはMFブックス(KADOKAWA)より書籍版第1巻が発売。挿絵は景が1巻から8巻まで担当、9巻以降のイラストは駒田ハチが担当する。書籍化の際、番外編の書き下ろしや本編の加筆修正が行われている。2024年3月現在、既刊10巻(本編9巻+番外編1巻)。
2019年4月にはコンプエースとMAGCOMIにてコミカライズの連載が2本開始された。コンプエース版の連載は全10話にて完結。
2021年4月にはルチアを主人公とした書下ろし番外編「服飾師ルチアはあきらめない~今日から始める幸服計画~」も発売。2023年8月現在、既刊6巻。
2023年10月27日にはテレビアニメ化を発表、併せて公式サイトが開設された。
あらすじ
過労死した前世の記憶を持つダリヤは、幼い頃から魔導具師になる為に歩んできた。良い妻になろうといわれるがままおとなしくしていたが、婚約破棄を機に好きなように生きようと決める。
気分転換として素材採取に出た森で酷い怪我をした魔物討伐部隊の騎士ヴォルフに出会い、ポーションを飲ませ街まで送り届ける。
その後街中で運命的な再会をした二人は、意気投合し友情を誓う。そして二人は色々なものに巻き込まれ、時に巻き込みながら色々な物を食べて飲み、様々な魔導具を生み出しこっそりと人工魔剣の製作を夢見る日々を送る。
登場人物
主要人物
ダリヤ・ロセッティ
本作の主人公。前世では新卒で入った企業でクレーム対応に回され、そのまま過労死した。その事から一人で死ななくて済むよう、婚約者の言いなりになっていた。一方的な婚約破棄で目が覚め、思うように生きると決意。その後周囲からの助言を受け、ロセッティ商会を立てる。婚約破棄後自由に製作出来るようになった為、色々な魔導具を生み出す事になる。色々と危なっかしい。料理が得意で時々前世の記憶を生かし珍しい料理を作る。父譲りの酒飲み。
ヴォルフレード・スカルファロット『死神』『魔王』
魔物討伐部隊にて先陣を切る赤鎧を務める青年騎士。高い魔力を持つが、外部魔力が無く身体強化以外の魔法は一切使えない。非常に目立つ容姿をしており、人間関係で色々と苦労をしてきた。ダリヤと出会って以降、ダリヤの自宅で料理を振舞われる機会が増え、その珍しい料理の虜になっている。ダリヤから試作品を貰い使用すると、それが大体大量受注へと繋がる。魔剣の名付けにはロマンを求め、やたらと凝った闇方面の名付けをしようとする。ダリヤと同じく酒飲み。腰派。
友人・家族・職人仲間
カルロ・ロセッティ(故人)『給湯器男爵』
ダリヤの父。腕の良い魔導具師で男手一つでダリヤを育て上げた。大酒飲みでだらしない所も多々あったが、面倒見が非常に良く、死後に格好いい話があちこちから出てくる。が、ダリヤにより水虫疑惑が付与された。名前を自由に使えとはそういう事じゃない。足派。
イルマ・ヌヴォラーリ
ダリヤの幼馴染で友人。腕の良い美容師。遠慮のない感想を述べてくれる為、ダリヤの試作品のテスターを良く請け負う。夫のマルチェラとは非常に良い夫婦関係を築いており、ヴォルフに魅了されず普通に接する事が出来る数少ない女性の一人でもある。
マルチェラ・ヌヴォラーリ
イルマの夫でダリヤの友人。運送ギルド所属の運送人。ロセッティ商会の保証人で、商会立ち上げを勧めた一人でもある。イルマとは非常に仲睦まじい夫婦。後にダリヤを通してヴォルフと友人になる。
メッツェナ・グリーヴ
マルチェラと親しい運送ギルド所属の運送人。ロセッティ商会の保証人で、商会立ち上げを勧めた一人。人懐っこく対人トラブルの執り成しが上手い。
フェルモ・ガンドルフィ
寡黙だが腕の良い小物職人。病気で休業中のガラス職人の妻が居る。ダリヤとの共同開発依頼を機に親しくなり、ダリヤの製作にも関わるようになる。項派。
商業ギルド関係者
レオーネ・ジェッダ
商業ギルド長。子爵の地位を持つ。妻であるガブリエラへの愛が重い。
ダリヤの父カルロの高等学院時代の先輩。
ガブリエラ・ジェッダ
商業ギルド副ギルド長。レオーネの妻。
元庶民。カルロに借りがある一人。ダリヤの商会立ち上げを押し、商会長としての振る舞い等をサポートした。
イヴァーノ・バドエル 改姓後イヴァーノ・メルカダンテ
当初は商業ギルド職員であったが、ロセッティ商会の可能性に惹かれて商業ギルドを辞し、ロセッティ商会員となる。商売人としてやりがいあり慌ただしく胃の痛い日々を通して、貴族とやり合う術を磨いていく。妻と2人の幼い娘がいる。カルロとも親交があり、カルロの最期に立ち会った。胸派。
ドミニク・ケンプフェル
商業ギルド所属の公証人。カルロの友人。ロセッティ父子が揃って世話になったベテランの公証人。
魔物討伐部隊・王城関係者
グラート・バルトローネ 『灰の魔人』
魔物討伐部隊長であり侯爵家当主。魔剣、灰手の使い手。魔物討伐部隊の過酷な環境を改善しようとしている。
グリゼルダ・ランツァ 『水の魔人』
魔物討伐部隊副隊長。侯爵家の三男。槍使いで爬虫類が大嫌い。
ランドルフ・グッドウィン
ヴォルフの友人で魔物討伐部隊の同期の赤鎧。盾持ちを務める熊のような大男。国境伯の次男。隣国育ち。
ドリノ・バーティ
ヴォルフの友人で魔物討伐部隊の同期の赤鎧。庶民で実家は下町の食堂。お調子者。
ジルドファン・ディールス 『金の梟』
王城の財務部長を務める。侯爵。
服飾ギルド
フォルトゥナート・ルイーニ
服飾ギルド長にして子爵。しかしその心は根っからの服飾師である。ダリヤが開発した複数品名付け親。
ルチア・ファーノ
ダリヤの幼馴染で友人の服飾師。家族で小さな工房を経営していたが、五本指靴下をきっかけに服飾魔導工房長に就任。服に並々ならぬ熱意を注ぐ。番外編の主人公を務めている。
冒険ギルド
アウグスト・スカルラッティ
冒険者ギルドの副ギルド長で子爵。スカルファロット家の分家筋でありヴォルフとは親戚関係。
ジャン・タッソ
冒険者ギルドの素材管理部長。元上級冒険者で現在でも自ら素材を採りに行く事がある。ロセッティ家の生み出した魔導具が大量生産される際に、素材入手の為長期の遠征や泊まり込みをした結果、妻に二度逃げられている。
他貴族・他商人
グイード・スカルファロット 『氷蜘蛛』
水の魔石の生産管理に王都の下水から、水の供給や浄水を一手に担う水の伯爵家と称される、スカルファロット伯爵家長男。王城勤めの上級魔導師。ヴォルフの事を気にかけてはいても、上手く接する事が出来ずにいた。胸派。
ヨナス・グッドウィン
グイードの従者兼護衛騎士にして友人。炎龍の魔付きで片手が鱗に覆われている。魔付きの影響で味覚が大きく変化している。
ヴァネッサ・スカルファロット
ヴォルフの母で第三夫人。アルテアの学友で元護衛騎士。15年前家督争いに巻き込まれ、命を落とした。
オズヴァルド・ゾーラ 『銀狐』
魔導具店「女神の右目」店主。冷風送機の開発により男爵位を得た。ゾーラ商会商会長。カルロの友人であり高等学院の後輩だった。カルロに大きな恩がある。現在は三人の妻を持つ。塔にはダリヤが幼い頃に一度招かれたきりであり、ダリヤの記憶には無かった。
アルテア・ガストーニ
ガストーニ公爵家前公爵夫人。ヴォルフの母が護衛騎士を務めていた縁から ヴォルフにとっては貴族としての考え等を教えてくれる叔母のような存在。互いの虫除けの為にヴォルフとの交際を匂わせている。
トビアス・オルランド
ダリヤの兄弟子で元婚約者。カルロの親友の息子であり、オルランド商会長の弟。本人曰く『真実の愛』と出会い、結婚前日新居にて婚約破棄をダリヤに突き付けた。婚約破棄後、魔導具の利益契約者名義を巡ってダリヤと争い、ダリヤが自分の商会を立ち上げる要因を作った。
用語説明
オルディネの国 『魔石の国』
本作の主な舞台となる国。王政で建国以来200年以上一度の戦争もない。国全体の治安は良く、特に王都の治安は女性が一人で街を歩ける程良い。主要人物の大半は王都住まい。自由の国とも言われ、自由度の象徴として自由恋愛主義(双方の同意の元特定多数の付き合いをする)が挙げられる。また、同性婚や重婚も認められている。王都では水の魔石が安く安定供給されている為、水に不自由はしない。水洗式トイレも一般的で下水も整備されている。魔石の関係か家電にあたる生活魔導具が他国と比べて大きく発展している。他どこの国の料理も取り入れる為、多種多様な料理が存在する。
婚約腕輪
男性から女性、もしくは双方で贈り合う。婚約指輪兼結婚指輪のようなもの。相手の目や髪の色の石を入れる事が多い。男性が贈る場合、相手が2ヶ月以上生活できる値段のものを贈り万が一の事態があっても、腕輪を売ってしばらくは生活出来る保険金のような役割も兼ねている。婚約破棄となった場合でも、通常は受けとった側に所有権がある。返せなんてのは論外。
通貨
半貨・銅貨・銀貨・大銀貨・金貨が主。ダリヤの感覚では日本円に換算すると半貨50円・銅貨100円・銀貨1000円・大銀貨1万円・金貨10万円前後。
魔法
火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・治癒魔法の五要素魔力が存在し、貴族では重視されやすい。魔力は通常15段階で分けられ、試験の基準にもなる。稀に魔力が多すぎて15単位に収まらない者も。
神殿
医者も存在はするが、重い怪我や病気は神殿で神官に治療してもらう方が一般的。治療は有料で、症状が重いほど高額になるが、ほとんどの怪我や病気の治療が可能。病気ならば医者を怪我なら神殿を頼るのが普通。四肢を欠損した場合も、7日以内であれば神官による再生が可能。7日を過ぎると、症状が固定されてしまい治療不可となる。
関連動画
関連静画
テレビアニメ
スタッフ
- 原作:甘岸久弥(MFブックス/KADOKAWA刊)
- キャラクター原案:景
- 原作企画:フロンティアワークス
- 監督:久保洋祐
- シリーズ構成:東出祐一郎
- キャラクターデザイン:栗田聡美
- 音響監督:長崎行男
- 音楽:大谷幸
- アニメーション制作:颱風グラフィックス×イマジカインフォス
キャスト
主題歌
関連リンク
- 原作連載「魔導具師ダリヤはうつむかない」
- コミカライズ連載 最新 「魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~」
- ニコニコ静画版
- TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」公式サイト
関連項目
- 2
- 0pt