魔法少女とは、魔法を使うことのできる少女やそのような人物を主役として創作された作品ジャンルのことである。1990年代以降は魔法に限らず超常的な力で活躍する少女全般を指す言葉にもなっている。
概要
漫画やアニメ、ゲームなどのサブカルチャーにおいて重要なジャンルの一つとなっている。萌え要素の一つとされている。
魔女っ子などとも言われるが、東映魔女っ子シリーズ最終作「魔法少女ララベル」(東映動画、1980年)あたりから取られたと思われる。その後の青年向け「魔法少女リリカルなのは」(2004年)のヒットの影響が大きい。以降、「砂沙美☆魔法少女クラブ」(2006年)や「魔法少女まどか☆マギカ」(2011年)と「魔法少女」との言葉が出てくる著名作品が続く上に「魔法少女モノ」の語呂がいいからと推測できる。先行していた「魔女っ子」という呼称が東映アニメーションの登録商標となり他社は使えなかったことも一因だろう。
男子向けの仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズと並ぶ子供向け作品では人気のジャンルの一つである上に変身を採用する作品が人気が高いために変身ジャンルの印象が強いが必ずしも変身は必須ではないので変身ジャンルとは言えない。
女子の憧れの職業である女性アイドル歌手分野との親和性も高く、パロディネタも含めてアイドルストーリーを採用することが多いが純粋なアイドルジャンルとは別のジャンル。アイドルジャンルは概ね自助や共助の美しさを表現しているが(スポーツ根性ジャンルの一種)、魔法少女は神様レベルではないものの元々能力がある者であったり、能力がゼロでも魔法はもちろん使い魔やアイテムなどに他助される立場で基本努力はしなくてもよい傾向があるところが理由である。
初期の魔法少女
魔法少女の源流とされるのがアメリカのコメディ映画・テレビドラマである「奥様は魔女」「奥さまは魔女」をヒントに作られた「魔法使いサリー」(横山光輝、1966年、東映動画)と「ひみつのアッコちゃん」(赤塚不二夫、1969年、東映動画)である[1]
学術研究者の須川氏によるとこの2作品が魔法少女(作品)のプロトタイプで、前者をサリー型、後者をアッコ型と分類している(後述)。
当初は女の子の憧れの存在という印象が強い少女限定ジャンルとの空気であった。
1970年代に入ると特撮において石ノ森章太郎原作の少女向け特撮で学園コメディ&変身ヒロイン「好き! すき!! 魔女先生」(1971年、東映)が制作される。初期は当時の魔法少女アニメの特撮化がテーマで設定では異世界からきた魔女がヒロインであるが、途中からは変身ブーム(第二次怪獣ブーム)にヒントを得て敵と戦うアクションシーンが加わった。後に同氏が手掛ける日本初の本格魔法少女特撮「透明ドリちゃん」(1978年、東映)、東映不思議コメディシリーズの「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」(1989年、東映)に繋がったと思われる。
東映や東映動画以外の制作プロダクション参入
1980年代になると「魔法のプリンセスミンキーモモ」(1982年、葦プロダクション)に続きスタジオぴえろの魔法少女シリーズ「ぴえろ魔法少女シリーズ」〈「魔法の天使クリィミーマミ」(1983年)、「魔法の妖精ペルシャ」(1984年)、「魔法のスターマジカルエミ」(1985年)、「魔法のアイドルパステルユーミ」(1986年)、「魔法のステージファンシーララ」(1987年)〉といった東映や東映動画以外の制作プロダクションで制作された作品群[2]
大人の事情を語ると広告代理店は読売広告社、テレビネットワークは日本テレビ系またはテレビ東京系が共通点。スタジオぴえろは元々スウェーデンの児童文学「ニルスの不思議な旅」(1980年)の日本語版アニメを制作する目的で設立された。葦プロダクションは竜の子プロダクションからのの独立組。
この時代の背景により男性マニア層(いわゆる大きなお友達)の視聴がしやすい作品が登場したと思われる。背景には女性が社会進出する社会風潮があり、1986年には男女雇用機会均等法が施行されたことも大きい。男女平等が進んだからとされる。
ただ中森明夫のコラム「『おたく』の研究」(1983年)がきっかけになりせっかく立ち上がったファン活動の現場で暗雲が立ち込める。同コラム連載2回でわざわざミンキーモモや魔法少女ではなく超能力モノであるが「ななこSOS」(1983年)の作品名をあげて「そういうのが好きな二次元コンプレックス男は気持ち悪くないか、思春期以降の男だろ現実の女性に興味持てよ、モテるような言動と容姿をしろよ」と男性ファンを非難したからコミュニティとしてはたまったものではなかった。
また、にわかに「魔法少女限界説(表現の倫理問題等)」が浮上するようになる。大人の事情でヒロインを事故死させてしまったり、ヒロインがスッポンポン事故を起こした。次の世代でも改善されずヒロイン役が疲れ果てて逃亡、ヒロインの大半が死亡…少女みんなのトラウマ。
戦闘美少女=戦うヒロイン化
1989-1990年の東映不思議コメディシリーズの特撮ヒロイン作品(「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」、「魔法少女ちゅうかないぱねま!」、「美少女仮面ポワトリン」)といった作品群にコメディ要素を抑えてスーパー戦隊要素が追加された「アニメ版美少女戦士セーラームーン」(1992年)の世界的ヒットにより以降は戦闘美少女へ大きく変化した。この1980年代~1990年代前半までの転換期の中で、女性はもちろん男性ファン層の拡大も起こり、抵抗なく親しまれるようになった。制作側もそれにこたえるよういわゆるOVAや深夜アニメのマニア層も意識した作品を制作するようになり人気ジャンルとして成立した。
ただし変身系の戦闘少女の起源として最も日本アニメ界に多大な影響を与えたのはメディアミックス企画として登場した「キューティーハニー」(1973年)であろう。以後もしばらくは再放送の定番となり、94年以降は幾度かリメイクされるなどファンによる支持も厚く、90年代以降の戦闘少女作品のベースとなっている傑作である。
世界での人気の原動力は欧米音楽界で、当時欧米にてガールシンガーがパワフルな女性像を歌う曲が人気を集め、同じ女性像を持つセーラームーンと重なった結果とされる。欧米人からみた日本のポップカルチャーはマリオシリーズ、ドラゴンボールシリーズ、セーラームーン、ポケモンであり、その後生まれた日本のポップカルチャーには興味が薄い傾向である。見た目が幼い、弱い女性像が多く描かれる傾向が一気に離れる原因の一つであろう。
少女向け作品
1990年代後半には変身せず代わりに魔法少女風コスプレといった魔法少女ファン活動要素を導入した「カードキャプターさくら」(1996年)や魔法少女モノの勃興に大きく貢献した東映アニメーションがオリジナル作品として投入した正統派魔法少女モノの「おジャ魔女どれみ」(1999年)が発表され長期シリーズ化。「東京ミュウミュウ」(2002年)や「ぴちぴちピッチ」(2003年)なども登場している。
マニア層のスピンオフ、パロディ作品
2000年代以降はマニア向け作品となり、美少女ゲーム(男性向けアダルトゲーム)スピンオフの「魔法少女リリカルなのは」(2004年)、本家のパロディ商業作品である邪道魔法少女も含めて一大勢力として安定したようにみえた。
少女向けは戦闘美少女・アイドルへ
「どれみ」終了後、本来のターゲット層向けは魔法要素を排除し(ナージャを挟んで)、ドラゴンボールシリーズの戦闘手法を加え純粋な戦闘少女作品に転換した「プリキュアシリーズ」(2004年~)が大ヒットとなる。なお、紛らわしいが同シリーズには魔法をモチーフにした「魔法使いプリキュア!」があるがあくまでも戦闘少女であり魔法少女作品とは言えない。特撮作品である「ガールズ×戦士シリーズ」(2017年~)の「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」(2018年)も魔法はモチーフ程度でベースは戦闘少女である。
また「プリティシリーズ」(2010年~)「アイカツシリーズ」(2012年~)のアイドルアニメがアーケードゲームで大ヒットし長期シリーズ化している。
これらは魔法を使って何かしらを解決する魔法少女モノとは別の作風であるが不思議な力で変身するという点は魔法少女モノのエッセンスを組んでいる。
低迷期
2010年代の「魔法少女まどか☆マギカ」(2011年、シャフト)のダークファンタジーストーリーの導入以降、ほぼ一通りのことをやり切った感がある上、アイドルアニメ(スポーツ根性アニメの一種)の急成長に押され低迷した。事実上まどかマギカが最後の国内本格魔法少女作品といえよう。
サンリオ系統は魔法少女要素が強い作品もあったジュエルペットシリーズが終了後、2020年に久々に少女向けかつ・戦闘少女要素が薄い「ミュークルドリーミー」が2年放送後したがシリーズ化はされておらず少女向けは戦闘少女・アイドル物が大部分である。
さらに2023年の一時期には女児向けアニメが『プリキュア』とマスコットキャラ作品『ぷにるんず』の2作品しか存在しないという魔法少女どころか女児アニメの低迷も深刻な状況となっている。
ライブアイドルが作品設定をパロディすることがあり魔法少女りりぽむに代表される歌手がいたが長くは続かなかず、ほぼ同時期地方有志によるご当地作品の展開もあったが、ご当地キャラはゆるキャラやローカルヒーロー、ご当地アイドルが中心でありそれらに押されるような形で魔法少女に波及することはなかった。
さらに2010年代の後半に入ると、WEB小説が初出となっている作品、特に2020年代から女性向けは悪役令嬢モノのアニメ化の波に押され、WEB小説のみならず小説系列では人気を取りにくいオリジナルの魔法少女系はさらに低迷するという悪循環となっている。
代わりにWEB漫画の攻勢により、邪道魔法少女漫画は数を増やしている。
魔法少女というジャンルや属性が多くの人に認知されているものであり、そこからのギャップのある設定を生み出しやすい。それが初動のインパクトで注目を集めやすいWEB漫画・SNSなどの媒体と相性が良い為と思われる。
傾向としてはまどマギの影響が最も強い残酷なダークファンタジー系、王道では中々変身しないような人物(男・中年・老人・人外など)が変身する異種系、戦いの中で苦しみ辱められる姿を強調したエロ系、魔法少女というジャンルのパロディ系といったところか。
キャラクター設定
ファンの分析によると魔法少女は、「人間界に来た者」と「人間界出身」という風に分けることができ、日常生活している世界と異なる世界が1つないしは複数存在しているケースが多い。また当該人物が魔法少女になる過程においても、元々魔法を自在に操ることのできる者と、物語の序盤などで魔法少女になるきっかけを手に入れる者の2通りに大きく分けることができる。この辺りの分類について大学研究では、サリー型とアッコ型に分類されている。須川氏によるとサリー型魔法少女とは「魔法使いサリー」に代表される異世界からきてすでに魔法が使えるタイプ、アッコ型魔法少女は「ひみつのアッコちゃん」に代表される普通の少女が良いおこないをしたご褒美として魔法の力を与えられるタイプとしている。Wikipediaではサリー型魔法少女を先天型魔法少女、アッコ型魔法少女を後天型魔法少女と独自の用語で表現している。
この作品ジャンルはあくまでも少女向けに作られていることから魔法少女は主要ターゲットとほぼ同じかちょっとだけ年上の小学校低学年~10代である。ただし、パロディ作品などの理由で高い年齢の場合もあるので一概には言えない。
必ずしも善良とも言えず、ダークサイド設定もされる場合もある。闇堕ち魔法少女や悪堕ち魔法少女と呼べばいいのか分からないが…。魔法(魔術)には白魔術と黒魔術があるからこのような設定も違和感がなく消化される点は魔法少女世界の懐の深さがうかがえる。
戦闘美少女との言葉について
「戦闘美少女」との言葉については精神医学者の斎藤環氏自身の趣味の知識を元に精神医学を使ってオタク(表記はひらがな「おたく」)の心理を分析した2000年4月出版、2006年文庫化再出版の「戦闘美少女の精神分析」が初出とみられ、それを元にWikipediaに安易にページが作られたものと考えられる。結果として当時の同人誌即売会参加者を誹謗中傷することになった中森明夫氏の80年代のロリコン向け雑誌のコラム「『おたく』の研究」(1983年)よりまともな内容であるが、90年代の感覚に基づいて書かれているために否定的なニュアンスを匂わせる古くさい部分が散見できる。また90年代後半以降の「美少女」はアダルトゲームの婉曲表現も含まれるがゆえ、あまり印象が良くないので言葉の使用に注意を要すると思われる。
他ジャンルの戦闘美少女化
ヒロインキャラの戦闘美少女化の動きはAR/VR系やメカ少女などにもみられ、その例として「ソードアート・オンライン」(2008年~)、「ストライクウィッチーズ」(2005年~)、「艦隊これくしょん」(2013年~)などが当たると思われる。
その起源についてははっきりとは断定できない。能の「巴」や江戸時代の「傾城水滸伝」など、戦う女性をメインとした作品は古くから存在していた。しかし、現代の戦うヒロインの流れに大きな影響を与えたと言える作品はやはり手塚治虫の「リボンの騎士」(1953年~)が定番となるだろう。少女歌劇の宝塚歌劇団の娘役がたまたま男役を演じたことがヒントになった(主人公は天使のいたずらにより少女であるが少年の心も持ち合わせることになった。もちろん戦闘時は少年の心である。心身共に少女のまま戦う現代の戦闘美少女とはズレがみられ悩みどころである)。
生産系少女(仮)について
90年代後半から台頭し始めたジャンル。代表的なのはガストから出た「アトリエシリーズ」(1997年~)だろう。これは主人公の少女が錬金術師としてアイテムを製作し、目的を目指していくシリーズである。定番ゲームとしてほぼ毎年発売されており、ファンの支持が厚いシリーズであることが窺える。
錬金術なので要素としては調合と魔法であり、基本的には前者の割合が大きいが、魔法要素も含む場合は大枠で見れば魔法少女のジャンルに含まれるかもしれない。正確には魔女であることが多いのだが妙齢の女性がこの手の作品で主人公ということはあまりないので、基本的には魔法少女でいいと思われる。
これをベースとして、主人公の少女を錬金術師や薬師とする設定がWEB小説では人気ジャンルの一つであり、書籍化された作品もかなり多い。男性主人公であるケースも多いとか言ってはいけない。
ただしアニメ化まで行く作品は基本的に無かったものの、2022年10月にWEB小説発である「新米錬金術師の店舗経営」が放送予定となっており、アニメにおいては単独ジャンルとしては衰退している魔法少女系界隈へのカンフル剤となることを期待したいところである。
いちキャラクターとしての魔法少女の器用
特に2010年代以降の作品においては「まちカドまぞく」「怪人開発部の黒井津さん」など魔法少女が主役ではない作品の敵役・ライバル役として/多種多様なヒーローの1人として、「魔法少女というキャラクター」が採用しているケースも多い。
そしてこれらは同時に主役に負けないキャラクターを確立する為、邪道魔法少女的要素が含まれるのも少なくない。
海外作品について
日本では衰退する一方、海外ではアニメ、特撮とも日本作品を参考に手探りで制作されるようになる。
地域ごとの代表作として、
- 中国:「巴啦啦小魔仙(バララシャオモーシェン)」(2008年~、アニメ&特撮)、「小花仙(シャオフーシェン)」(2013年~、アニメ)、「星学院」(2015年~、アニメ)、「舞法天女(ダンシングベイビー)」(2016年~、特撮)
- 韓国:「フラワーリングハート(플라워링 하트、Flowering Heart)」(2016年~2017年、日韓合作アニメ)
- ヨーロッパ:「ウィッチ -W.I.T.C.H.-」(2004年~2006年、漫画原作のアニメ、イタリア)、「LoliRock(ロリロック)」(2014年~2017年、アニメ、フランス)、「ミラキュラス レディバグ&シャノワール(Miraculous, les aventures de Ladybug et Chat Noir)」(2015年~、仏韓日共同制作アニメ)
- アメリカ:「スティーブン・ユニバース(Steven Universe)」(2013年~、アニメ)「悪魔バスター★スター・バタフライ(Star vs. the Forces of Evil)」(2015年~、アニメ)
などが制作されている。中国で盛んな理由は中国共産党による欧米および日本作品の排除政策がある。ネットも含め事前検閲制で表現の自由はないものの忖度すればクリエイターとして作りやすい環境にある。韓国ではフラワーリングハート以降は主だった作品は見当たらず(筆者が見落としている可能性もある)日本作品の吹き替え版が中心。たぶん休戦中とはいえ朝鮮戦争中で国力に余裕がないのであろう。欧米は前述の通り90年代のセーラームーンでほぼ停止しているとみられる。アメコミ風など本来の欧米センスにアレンジされ日本作品とはかけ離れる傾向がある。
2017年に美少女戦士セーラームーン実写版(2003年、東映)以来の本格特撮シリーズ「ガールズ×戦士シリーズ」(OLM)が開始されたが、前作のように子役(女優)を採用せず、現役アイドル(歌手)を採用したアイドル系戦闘少女作品または疑似魔法少女作品であり純粋な魔法少女作品とは言いがたい。
以上のことを考えると2020年現在日本の伝統的作風を引き継ぐ純粋な魔法少女作品は中国以外は作られていないと思われる。
先駆け的ジャンル分け(定番)
- 魔法の国からの来訪者:魔法使いサリー(華の魔法使いマリーベル)
- 道具を授かって魔法:秘密のアッコちゃん(ぴえろ魔法シリーズ)
- 大きなお兄さんにも大人気系:魔法のプリンセスミンキーモモ(CCさくら)
- 大きなお兄さんに大人気:ドリームハンター麗夢
- 特撮ヒロイン作品:魔法少女ちゅうかなぱいぱい!(美少女仮面ポワトリン)
- 複数ヒロイン戦闘美少女:美少女戦士セーラームーン(プリキュアシリーズ)
- 過去の魔法少女のパロディ系&スピンオフ:魔法少女プリティサミー(魔法少女リリカルなのは)
- 肉体言語:ぷにぷに☆ぽえみぃ(大魔法峠)
- ダークファンタジー:魔法少女まどか☆マギカ(結城友奈は勇者である)
- 新興海外作品:巴啦啦小魔仙[バララシャオモーシェン、中国](舞法天女[ダンシングベイビー]、中国)
- ガールズ特撮:美少女戦士セーラームーン実写版(ガールズ×戦士シリーズ)
- 3DCGアニメ:巴啦啦小魔仙第8期以降[バララシャオモーシェン、中国]
主な魔法少女(年代別)
- 1960年代 - 日本の夜明け。
- 1970年代 - 東映全盛時代。かすかな兆候はあった。
- 1980年代 - この辺りから明らかな異変が起こり始める。
- ミンキーモモ(魔法のプリンセスミンキーモモ)
- クリィミーマミ(魔法の天使クリィミーマミ) - ぴえろ魔法少女の1作目
- ドリームハンター麗夢 - AVからリメイクされOVA計6話が作られた
- ぱいぱい(魔法少女ちゅうかなぱいぱい!) - 東映実写枠初の魔法少女
90年代以降魔法少女は爆発的に増殖する。そしてサービスシーンは過激化の一途をたどる。
- 1990年代前半 - 魔法少女兼戦闘美少女へ変化
- 1990年代後半
- 2000年代前半
- 2000年代後半
- 秋姫すもも(ななついろ★ドロップス)
- 桂心(マジカルハート☆こころちゃん)
- 小藍(巴啦啦小魔仙、実写→アニメ、中国制作)
- 2010年代前半
- 2010年代後半 - 日本作品の低迷期、海外作品の勃興
- 2020年代 - 海外作品は3DCG傾向
※一応、原作の初出年で分けてみた。なので、MAHO堂は1990年代後半、いんく、ルイズは2000年代前半にした。
戦闘美少女化以降のキャラクターカラー
戦闘美少女化以降はスーパー戦隊に倣い立ち位置や性格にあわせてキャラクターにカラーを割り当てられやすい。概ね下記の通りの傾向がある。
- ピンク - イエローとともにメインヒロイン色。スーパー戦隊シリーズの影響もあるが、大和撫子、日本女性を称える色でメインに割り当てられやすい。ただし概ね天然ちゃん。
- イエロー - 戦闘少女化当初のメインヒロイン色。月野うさぎ(美少女戦士セーラームーン)、小藍(巴啦啦小魔仙)など。お姉さんキャラ、マスコット的な妹系キャラ、活発な少女、「あざとイエロー」と俗に言われる性格付けなど、バリエーションが豊富なのが特長。
- ブルー - 水野亜美(美少女戦士セーラームーン)の影響か頭脳明晰またはリーダーの空気があるキャラクターに割り当てられる。「あたしって、ほんとバカ」と自らの愚かな言動に気づき嘆いた魔法少女もいたような。メインヒロイン役は虹原いんく(もえたん)ぐらいしかみられない。
- パープル(バイオレット) - 本来敵キャラに使われやすい色である紫も、青からの応用で使われやすく、なかでも土萠ほたる(美少女戦士セーラームーン)や暁美ほむら(魔法少女まどか☆マギカ)などの神秘性のあるイレギュラーキャラに割り当てられやすい。また、王族を表す高貴な色から年齢設定が上であるなど、大人っぽく設定されているキャラの割合も多い(ハートキャッチプリキュア!の月影ゆりなど)。青も紫も異常といえる人気キャラが多い傾向がある。
- レッド(またはオレンジ) - 情熱的またはコミカルキャラが多い。アニメ版火野レイの印象が強く影響と思われる。大阪弁使いも。
- グリーン - スポーツ得意なキャラ。よって戦闘能力めちゃ高い。変身せず敵をぶっ飛ばしたすごいキャラもいたような。
- ホワイト - 紫系よりも神秘的かつ清潔なイメージ。とはいえ、どちらかと言えば単体で使われることは少なく(特に女児向け作品だと女児に人気がありすぎる)、サブカラーあるいは強化形態での色として用いられる事が多い。
- ブラック - 紫系以上に敵向けのカラー。闇落ちを連想させることも。というより主人公側で使っているのは冥王せつな(美少女戦士セーラームーン)や美墨なぎさ(ふたりはプリキュア)ぐらいでは?
アニソンライブでもキャラクターカラーは重要な要素で特別なルールがない限りお好きなキャラクターの色のペンライトを振ると吉。
お供キャラクター
欠かせない存在の「お供キャラ」であるが、初めての登場はアッコちゃん(赤塚氏原作)の白猫(?)シッポナで、特撮としてはセーラームーン(武内氏原作)の黒猫ルナと思われる。そういえば猫のうち黒猫は魔女の使い魔の代表例で魔法少女でも設定しやすそうに感じる。万人向けの「魔女の宅急便」も黒猫のジジだったり。
大人の事情~テレビ局編~
全てチェックしたわけではないが概ねテレビ朝日系、日本テレビ系、テレビ東京系にて放映された。
テレビ朝日系(旧NET テレビ系)
テレビ朝日系については在京キー局を傘下に持つテレビ朝日ホールディングスの主要株主が東映(約15%)であり放送枠が確保しやすいことがあると思われる。今は総合放送であるが開局当初は教育放送で免許が下りており、本来少女向けである魔法少女作品を放映するには環境が整っていたと考えてよい。
日本テレビ系
同系列とのつながりがないが元々読売新聞の広告枠担当社のひとつでアニメ枠に強い読売広告社の存在が大きいと思われる。
テレビ東京系(旧東京12チャンネル)
テレビ東京系の在京キー局テレビ東京は元々財団法人日本科学振興財団の運営の科学技術学園工業高等学校授業放送局「科学テレビ」(1964年)であり、やはり教育放送であったから流れから都合がよかったかもしれない。その後ネットワークを組んでいた大阪の毎日放送(MBS)や日本経済新聞社などに引き取られ東京12チャンネル(1973年)→テレビ東京(1981年)となり免許が総合放送局になった。80年代に放送枠を持っていた読売広告社、制作会社葦プロダクションやスタジオぴえろが組んで作ったのが始まりと思われる。なお同ネットワーク初の地方局テレビ大阪の開局は1982年。
北海道での魔法のエンジェルスイートミントの放映はテレビ北海道が開局したばかりで中継局の開局が間に合わず道民の多くの人の記憶にないらしい。
学術研究者
約半世紀の長きにわたり内外共に楽しまれているジャンルであるが、学術者として研究テーマにしている研究者は須川亜紀子氏(横浜国立大学)ぐらいと思われる。著書に「少女と魔法~ガールヒーローはいかに許容されたのか(NTT出版)
」があり、研究室(?)にはほむほむが危険と指摘しているQB(ぬいぐるみ)がいるもよう。それはさておき女性向けポップカルチャー作品を通じてジェンダー(社会での性や文化での性)について研究されている。
関連項目
脚注
- *「サリー」は現在一般的によく知られているテレビドラマ版の「奥さまは魔女」、「アッコちゃん」はテレビドラマ版の前に作られた映画版の「奥様は魔女」をヒントに作られている。この両作は設定やストーリーが全く異なるが、映画版を原点にしてテレビドラマ版が作られたという間接的な繋がりがある。
- *「ミンキーモモ」は葦プロダクション、「クリィミーマミ」~「ファンシーララ」はスタジオぴえろの制作。制作会社は異なるが広告代理店側のプロデューサーが同一人物という共通点があったこともあり、モモとマミが共演する短編作品が制作されている。
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