あるいは : 管理局の白い魔王
それとも : 管理局の白い冥王
魔砲使いとは、砲撃系の魔法を得意とする人たちをさして使われる言葉である。
概要
砲撃系の魔法という時点で何かおかしいというのはさておき、創作作品においてはときどき見られることがある職種のひとつである。
「魔砲少女」というコンセプトを明確に打ち出したのは、「成恵の世界」における劇中アニメ「魔砲少女四号ちゃん」がはじめてであると考えられる。「四号ちゃん」においては、第二次大戦期の戦車をモチーフにした魔砲少女たちが登場し、砲撃戦を繰り広げる。
そのままのタイトルをつけた作品としては月刊少年ジャンプ(現ジャンプスクエア)で連載していた『魔砲使い黒姫』があげられる。
考察
精神科医の斎藤環は、著書「戦闘美少女の精神分析」において、サブカルチャーにおいて広く登場する武装して戦う少女を、「ファリック・マザー」(男根を持つ母親)を援用して「ファリック・ガール」と形容した。
この文脈において、「砲」は男根のメタフォリカルな代償物たりえることがまず了解されなければならない。
一方で、「魔法少女」の源流は、「魔女」ひいてはシャーマンとしての「巫女」にあることは論を待たない。
機械文明と男性中心的な社会の上部構造において、抑圧され続けてきた女性の呪性は、フォークロア或いはサブカルチャーの底流において維持されてきた。しかしこれだけでは、「魔法少女」が「女の子」の関心の対象たりえることを説明しているに過ぎない。
ここで「魔女」と「魔法少女」の間にある隔たりを再確認しておく必要がある。ありがちなロリコン非難の文脈においては、少女愛者は対象が「御しやすい」ゆえに少女に関心を抱くのであると理解されている。だいたいこうした理解は実際の幼児虐待者の「機会性」と「嗜好性」の違いを把握していない。
真の少女崇拝とは、「純粋さ」と「制御不能な力」をその本質とする。ここで崇拝という語を用いたのは、これが本質的には投影対象を転倒させた「自然崇拝」(アニミズム)の一形態であるからに他ならない。
ナボコフは「ロリータ」の先駆ともいえる作品に「Volshebnik」の題を冠している。これは「魅惑者」(enchanter)として訳されたが、ロシア語の原義に従えば「魔法使い」である。実に示唆に富んだ例ではなかろうか。
一見、サブカルチャーの徒花であるあるかのような「魔砲少女」というコンセプトであるが、その文脈を仔細に検討すればその半ば必然とも言える合理的来歴が見て取れよう。
「呪術性」と「純粋さ」を兼ね備え、「制御不能な力」を体現する、「男根」を持った少女―それは「完璧な人間」を夢想する空虚な追窮の果てに現れた一つの理想形である。
或いは、魔砲少女を愛でることは、敗戦によりその上部構造を「去勢」され、「軍事」について語ることをサブカルチャーの領域に落とし込まれたこの国における、奇形的な反逆の一形態といえるのかもしれない。
代表的な魔砲使い
- 高町なのは(魔法少女リリカルなのは)
- 霧雨魔理沙(東方Project)
- 魔砲使い黒姫
- 四号ちゃん
- 巴マミ(魔法少女まどか☆マギカ)
- ティオ・プラトー(英雄伝説 軌跡シリーズ)
- 「らき☆すたオンライン」における成実ゆい
- 蒼崎青子(魔法使いの夜)
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関連項目
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