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概要
初代・神武天皇の父親である日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊（ひこ なぎさたけ うがやふきあえず の みこと）を主祭神として祀る。日南海岸国定公園内に所在し、平成29年（2017年）には神社周辺が名勝として指定された。地元では「鵜戸さん」と呼ばれ親しまれる神話の里・宮崎県の有名な神社の一つ。
「海幸山幸」の神話として知られる山幸彦（彦火火出見尊）が海神の娘である豊玉姫と結び身ごもった子供（主祭神）を海中で生む訳にはいかないと海に面する岩窟に産屋を建てたのが初めとされる。第10代・崇神天皇の代に創建されたとされ、延暦元年（782年）には天台宗の僧侶が勅命により神殿を再建し別当寺（べっとうじ・神社を管理するための寺院）を建立した記録が残っている。古くは「鵜戸権現」と呼ばれていたものの、明治期の神仏分離とともに寺院を廃し神社となった。本殿は幾度かの改修を重ねつつも1300年以上同じ様式を保ち続けている。
岩窟にある本殿に至る断崖に沿って石段を下り降りる珍しい形の神社。周りには太平洋の広大な風景が広がり、荒波によって作られた奇岩が多数みられる。
また、日南市で長年春季キャンプを行う広島東洋カープが毎年必勝祈願の参拝を行う事でも知られる。
亀石と運玉
鵜戸神宮の名物のひとつとして、本殿のすぐ下方に豊玉姫が出産時に乗ってきたとされる「亀石」がある。その名の通り亀の形をした大きな石で、背中には枡形のへこんだ箇所がある。
このへこんだ部分に「運玉」という素焼きの玉を投げ入れる風習があり、男性は左手、女性は右手で願いを込めながら投げることで上手く入ることができれば願いがかなうとされる。見事入った運玉は運気がこもったものとして改修されて「運玉お守り」として販売されている。
もともとは賽銭を投げ入れる風習があったものの、子供が賽銭目当てに崖を降りるという危険な行為が目立ったことから、昭和29年（1954年）に小学校とともに賽銭に代わるものとして新たに作られたものが運玉で、地元の小学生たちによって作られている。
お乳岩とおちちあめ
豊玉姫が海に帰る際、残していった子を育てるため自らの乳房をくっつけたとされる「お乳岩」が岩窟に現在でも残っており、この伝わりから鵜戸神宮は縁結び・安産・子育ての神社として知られるようになっている。
このお乳岩からは今でも天然の水がしたたり落ちており、この水「お乳水」を元にして作られた銘菓「おちちあめ」は名物の一つとして知られている。
シャンシャン馬
江戸から明治期の古い風習として、宮崎で結婚した夫婦が花嫁を馬に乗せ花婿が手綱を取り鵜戸の神前へ報告するというものが残っている。今でこそドライブロードが整備されて走りやすい日南海岸ではあるが、その当時は「七浦七峠」と呼ばれる山越えや断崖絶壁をいくつも超える非常に険しい道のりであったとされる。
この馬に付けられた鈴飾りが「シャンシャン」と鳴ることから「シャンシャン馬」と呼ばれるようになり、民謡「シャンシャン馬道中唄」にも残っている。明治中頃にこの風習は廃れ、現在では3月末に鵜戸神宮で行われる「シャンシャン馬道中」と10月下旬の宮崎神宮大祭で催しとして行われる程度になっている。
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