黄ピクミンとは、任天堂のゲームシリーズ『ピクミン』に登場するピクミンの一種である。
概要
黄色い体色と、頭部に生えた大きな耳のような器官が特徴のピクミン。この耳はシリーズを通して彼らの特殊能力の源となっている。学名は「耳を持つピクミン」を意味する Pikminidae auribus とされる。
初代『ピクミン』では、主人公キャプテン・オリマーが2番目に訪れるエリア「希望の森」で発見される。赤ピクミン、青ピクミンと並び、シリーズのほぼ全ての作品に登場する基本のピクミンであり、プレイヤーにとっては長い付き合いとなる。
シリーズを通して能力が最も大きく変化してきたピクミンでもあり、その変遷は各作品のゲームデザインを色濃く反映している。初代では爆弾の専門家、2では電気技師、3以降はそれに加えて土木作業員としての役割も担うなど、プレイヤーは作品ごとに異なる黄ピクミンの運用を求められる。
能力
黄ピクミンの能力は、シリーズの歴史と共に大きく変遷してきた。ここでは、全シリーズに共通する基本能力と、各作品で変化してきた固有能力について解説する。
高く飛ぶ
全シリーズを通して黄ピクミンが持つ、最も基本的かつ象徴的な能力である。大きな耳を羽ばたかせることで、他のピクミンよりも高く投げ上げることが可能。これにより、通常では届かない崖の上のアイテムを回収したり、背の高い原生生物の弱点を直接狙ったりと、三次元的なマップ攻略において重要な役割を果たす。『ピクミン2』のCMソング「種のうた」で歌われているのもこの能力である。
シリーズごとの固有能力
黄ピクミンの真骨頂は、作品ごとに与えられたユニークな固有能力にある。その変遷は、ピクミンシリーズのゲームデザインの進化そのものを物語っていると言っても過言ではない。
- ピクミン
- 初代『ピクミン』において、黄ピクミンは「バクダン岩」を扱える唯一のピクミンであった。バクダン岩は、フィールドに点在する黒い岩の壁を破壊できる唯一の手段であり、これなくしては進めないルートや回収できないお宝も多い。
- プレイヤーは黄ピクミンにバクダン岩を拾わせ、壁や敵の近くに投げることで起爆させる。この能力から、初代の黄ピクミンは一部のプレイヤーから「爆弾魔」の愛称で呼ばれることもある。高く飛ぶ能力と合わせ、高台にあるバクダン岩を回収し、それを使って新たな道を切り開くという、パズル要素の強いゲームプレイの中核を担っていた。
- ちなみに、開発段階では全てのピクミンがバクダン岩を扱える仕様だったが、最終的に黄ピクミン専用の能力として差別化が図られたという経緯がある。
- ピクミン2
- 『ピクミン2』ではゲームシステムが大きく変わり、黄ピクミンの役割も劇的に変化した。バクダン岩を扱う能力は失われたが、新たに「電気耐性」を獲得している。
- 今作から登場した電気のギミックや、電気を放つ原生生物(エレキムシ、ヘラクレスオオヨロヒグモなど)は、他のピクミンにとっては触れると即死してしまう非常に危険な存在である。黄ピクミンは(コッパチャッピーを除けば)この電気に対する完全な耐性を持ち、感電することなく電気ゲートを破壊したり、電気を帯びた敵と戦うことができる。
- 地下洞窟という新要素が加わり、閉鎖的で危険な空間を探索することがメインとなった『2』において、黄ピクミンの電気耐性は攻略に不可欠な能力となっている。特に、トラップ満載の難関ステージ「水中の城」などでは、彼らの存在が文字通りプレイヤーの生命線となる。この大胆なモデルチェンジは、黄ピクミンのアイデンティティを「爆弾」から「電気」へシフトさせ、その後の方向性を決定づけた。
- ピクミン3
- 『ピクミン3』では、高く飛ぶ能力と電気耐性を引き継ぎつつ、さらに新たな能力が追加され、より多才なピクミンへと進化した。
- 第一に、「穴掘りが速い」という特性が加わった。地面に埋まっているお宝やアイテムを掘り出す際、他のピクミンよりも素早く作業を完了させることができる。
- 第二に、「通電」能力が追加された。切れた電線の間に黄ピクミンを並べることで、彼ら自身が導体となって電気を流し、回路を繋いでギミックを作動させることが可能になった。
- 一方で、初代の十八番だったバクダン岩は、今作では全てのピクミンが扱えるようになったため、黄ピクミンの固有能力ではなくなった。また、空中を自在に移動できる羽ピクミンが登場したことで、「高く飛ぶ」という能力の唯一性がやや薄れたという見方もある。
- ピクミン4
- 『ピクミン4』では、これまでの能力が整理・強化され、黄ピクミンはその専門性を再確立した。
- 高く飛ぶ能力と電気耐性は健在。電気ギミックは再びピクミンにとって危険なものとなり、黄ピクミンの耐性の価値が高まっている。さらに、電気を好むという生態も描かれ、通電することで頭の花が咲き、成長することがある。そして『3』で追加された穴掘り能力はさらに強化され、より明確なアドバンテージとなった。これにより、黄ピクミンは「高所担当」「電気担当」に加えて「土木担当」という確固たる専門分野を確立したと言えよう。
- 宇宙犬オッチンの登場により、高所のアイテムを突進で落とすなど、黄ピクミンの役割を代替できる場面も増えている。しかし、オッチンはあくまで1匹のユニットであり、多数のピクミンで効率的に作業を進める本作のゲームプレイにおいて、黄ピクミンの価値が失われたわけではない。むしろ、状況に応じてオッチンと黄ピクミンを使い分ける、新たな戦略性が生まれている。
能力の変化まとめ
| シリーズ | 高く飛ぶ | バクダン岩 | 電気耐性 | 穴掘り速度 |
|---|---|---|---|---|
| ピクミン | ◯ | ◎ (専用) | × | - |
| ピクミン2 | ◯ | × | ◎ | - |
| ピクミン3 | ◯ | ◯ (全種可) | ◎ | ◯ (速い) |
| ピクミン4 | ◯ | × | ◎ | ◎ (最速) |
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関連項目
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