黄泉のツガイとは月刊少年ガンガンで連載されている漫画である。
概要
漫画『鋼の錬金術師』で有名な荒川弘の最新作。荒川弘が月刊少年ガンガンで連載するのは鋼の錬金術師以来(約11年ぶり)なので、往年のガンガンファンは本作を一読して狂喜した。
ストーリー
妹アサが大好きな少年ユルは狩りなどをしながら、山奥の村で平和な生活を送っていた。しかし、突如ヘリコプターや銃火器を所有する謎の集団に村を強襲されてしまう。急いで妹の下へ向かったユルはそこでアサと名乗る者に出会う。知り合いのデラはユルを逃がそうとするが、敵の攻撃に手こずる。そんな時にユルは「幽霊」「妖怪」「化け物」「UMA」「異形」「対なるもの」と呼ばれる「ツガイ」を出現させ、敵を倒す。
登場キャラクター
- ユル
- 本作の主人公。「夜と昼を別つ子」の片割れ。
- 第1話時点で数え17歳の少年。両親がいない分、妹のアサのことを溺愛している。狩りに長けており、弓の達人。
- 東村の襲撃の際に、デラによって左右様の主人にさせられる。
- 襲撃を避けて下界に降りて市井に紛れるが、現代の生活になじむのには苦労している。
- 世のあらゆるものを強制的に「とじる」ことができる「封」の力を持つと言われているが、単行本4巻時点ではまだその能力には目覚めていない。
- デラや左右様から事情を聞き、東村も完全には信頼できないと理解すると、まずは両親を探し話を聞くことを目的とするようになる。
- 従えるツガイは「左右様」。元は東の村の守り神として鎮座していた石像。長身で筋肉質の男女のツガイとして顕現している。
- 戦闘能力が高い上に、元が石像なため拳銃程度の銃器は物ともしない耐久力も誇る。
- 「左右様」は本来は「夜と昼を別つ子」を抑え込むための役割を持っているが、今代ではなりゆきで「夜と昼を別つ子」の片割れであるユルに仕えることとなった。
- アサ
- ユルの双子の妹。「夜と昼を別つ子」の片割れ。
- 東村にはツガイがなりすましていたと思われる偽者のアサがいた。
- 世のあらゆるものを強制的に「とく」ことができる「解」の能力をすでに会得している。細かい制御はまだできていない。
- 能力に目覚めると共に右目が異形化したため、普段は眼帯で覆っている。
- 「解」の能力はツガイ使いとツガイの契約を解くこともでき、影森家襲撃後に襲撃者からツガイの契約を奪い取っている。
- 本編開始の10年前に両親とともに村から抜け出したが、両親は行方不明となり、現在は影森家に保護されている。
- 東村襲撃の際には「解」の能力で村の結界を破り、襲撃部隊の強襲を可能にした。
- アサのことが大好き。
東村関係者
- デラ
- 東村の番小物。普段は下界に住み、定期的に東村に物資や情報などを運ぶ役割を持った一族である田寺家の今代。本名は田寺リュウ。
- ツガイを見ることができるが、自らのツガイは持たず、もっぱら銃器や手りゅう弾の扱いまで含んだ自らの戦闘技術他で戦う。影森家からは何人ものツガイ使いを狩られた仇敵と認識されている。
- 東村の襲撃の際には銃器で武装した影森家の地上部隊を返り討ちにし、ガブちゃんのツガイからも逃げ切って、ユルを左右様の主人にした。
- 村を脱出後はユルを下界で保護するためのカバーストーリーとして、ユルを息子として同僚のハナと偽装結婚という体をとっている。
- 段野ハナ
- 東村の番小物。デラの後輩。体育会系の女子。自らのツガイとして「前虎後狼」の「虎鉄」と「二狼」を持つ。
- ジェイソン・●テイサムが好き。
影森家関係者
- ガブちゃん
- ツガイ使いの少女。赤いパーカーに金髪三つ編みなのでパッと見は赤ずきん。
- 使役するツガイは「ガブリエル」。上下の歯型の姿をしたツガイで、両者がタイミングを合わせて顎を閉じることで敵を食いちぎる。
- 東村の襲撃に参加し、ツガイを見ることができない東村の住人を多数殺害した。しかし、子供には手をかけていない。ユルと左右様によって左足と右肩を射ぬかれ、しばらく静養する事になる。
- 影森家が襲撃された際には襲ってきた「牛頭馬頭」などの複数のツガイ使いを返り討ちにしている。
- 戸籍を持っていない、痛みには慣れているなど闇が深そうな過去をにおわせている。
- 影森ジン
- 影森家当主ゴンゾウの三男。メガネをかけてきつい目つきをした影森家実働部隊の長。
- 使役するツガイは「掃除屋(スカベンジャー)」。深海魚のような姿をしたツガイで「愛」はチョウチンアンコウのように疑似餌で獲物を誘い込んで一飲みしてしまう。「誠」は「愛」が一度呑み込んだものを吐き出すことができる。
- 「誠」と「愛」を同時運用する事により大量の武器などを手軽に持ち運びする事ができるという利点も生まれている。
- 影森アスマ
- ゴンゾウの次男。いつも笑顔を絶やさない地獄耳の情報担当。
- 使役するツガイ「朝霧」は身体の一部を蝶として放つことができ、気取られずに相手の情報を抜き取ることができる。
- 影森ゴンゾウ
- 影森家の当主。禿頭の老人。「夜と昼と別つ子」を生み出す東村の役割は終わったと考えており、東村に引導を渡そうとしている。
- 影森ヒカル / 波久礼ヒカル
- ゴンゾウの長男。太り気味でジャージ着用のおじさん。漫画家を生業としており、波久礼ヒカルはペンネーム。
- 漫画家としてもかなり成功しており、将来的には家を継がずに漫画を描いて平和に生きていきたいと考えている。
- 使役するツガイは「黒白(こくびゃく)」。白黒のマリモのような姿で白い方が「ホワイト」、黒い方が「ベタ」と名付けられている。漫画で言う修正液と墨の役割を現実世界に及ぼすことができ、ヒカルの画力と合わせて壊れた屋敷の修復などに便利に使える。
用語
- ツガイ
- 一般的には「妖怪」「神様」「化物」などと言われる存在。本作ではまとめて「ツガイ」と呼ばれる。その呼び名の通り、2体1組が原則となっている。
- 一般人には見ることさえできないが、ツガイを見ることができる人間も存在しており、そのような人間はツガイと契約する事でツガイを使役する事ができる。
- 主の引継をしないまま主が死ぬとツガイは「野良ツガイ」となり、地縛霊のようにその場に縛られ、数十年から数百年の時間をかけて消滅する。
- 夜と昼を別つ子
- 「夜と昼を別つ双子」とも言われる。東村で400年に一度生まれるとされており、日の出を境目に生まれた男女の双子はそれぞれ「解」と「封」という特別な能力を授かり、ツガイを総べるものになると伝えられている。
- 時の権力者たちからその能力を手に入れようと狙われる存在であり、今代ではユルとアサが該当する。
- 能力に目覚めるには一度死んで、あの世とこの世の境目にいるツガイの能力を受け入れる必要がある。受け入れると能力を手に入れ、現世によみがえる。一方、受け入れずにそのまま死ぬことも選ぶこともでき、歴代の夜と昼を別つ子の中には能力を得ずにそのまま死ぬことを選んだものも存在している。
- 東村
- 東の村とも言われる。「夜と昼を別つ子」を生み出す場所として知られている。
- 現在では特定の道順を通らないと入ることができない結界で隔離されており、経路を知らない者には侵入も脱出も不可能。
- 村では科学技術を全く取り入れていない数百年前の生活を続けており、鉄砲さえその存在を知られていない。
- 一方、下界と呼ぶ現代社会とのつながりのために「番小物」と呼ばれる下界との窓口になる一族を複数放っている。しかし、長年の間に東村に反旗を翻す影森家などの反抗勢力も生まれてしまっている。
- 村の中も一枚岩とは言えず、夜と昼を別つ子の扱いを巡ってのちぐはぐな行動も見られる。
- 影森家
- 元は東村の血族だったが、現在では東村とは決別して独自のツガイ使いの力を使った組織として成立している集団。
- 夜と昼を別つ子の片割れのアサを保護しているが、東村と同様にその扱いについては内部で分裂している。
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関連項目
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