注意! この記事には、一部端末で表示できない文字が含まれています。
黒板太字(𝔹𝕝𝕒𝕔𝕜𝕓𝕠𝕒𝕣𝕕 𝕓𝕠𝕝𝕕)とは、主に数学・物理学などで使われる書体である。
概要
もとは手書きにおいて太字を表す書き方だが、現在では特定の集合を表すことが多い。
例えば、「nは自然数である」は「n∈N」または「n∈ℕ」と表す。
学術書では、ベクトルや特定の集合などは太字で表すが、これを手書きでやろうとすると「N」を書いた後でなんべんもなぞり書きするなどしなければならないし、活字に比べて違いが分かりにくい。
そこで、手書きでは縦線を二重に書いて白抜きのボールド体っぽくし、「これは太字ですよ」と示すようにした。
活字やコンピュータでは単に太字にすれば事足りるはずだが、いつしか黒板太字自体に「専用の意味を持つ記号」というイメージがつき、専用の黒板太字フォントが用意されるようになった。
数学記号として
集合
主な黒板太字が表す集合を列挙する。「集合」の記事も併せて参照されたい。
より詳しくは𝕎𝕚𝕜𝕚𝕡𝕖𝕕𝕚𝕒の当該項目を参照。
- ℕ…自然数(ℕ𝕒𝕥𝕦𝕣𝕒𝕝 𝕟𝕦𝕞𝕓𝕖𝕣)
- ℤ…整数(ドイツ語で数を表すℤ𝕒𝕙𝕝から)
- ℚ…有理数(ℝ𝕒𝕥𝕚𝕠𝕟𝕒𝕝 𝕟𝕦𝕞𝕓𝕖𝕣では実数とかぶるため、「商」を表すℚ𝕦𝕠𝕥𝕚𝕖𝕟𝕥から)
- ℝ…実数(ℝ𝕖𝕒𝕝 𝕟𝕦𝕞𝕓𝕖𝕣)
- 𝔸…代数的数(𝔸𝕝𝕘𝕖𝕓𝕣𝕒𝕚𝕔 𝕟𝕦𝕞𝕓𝕖𝕣)
- ℂ…複素数(ℂ𝕠𝕞𝕡𝕝𝕖𝕩 𝕟𝕦𝕞𝕓𝕖𝕣)
- ℍ…四元数(発見者の𝕎𝕚𝕝𝕝𝕚𝕒𝕞 ℝ𝕠𝕨𝕒𝕟 ℍ𝕒𝕞𝕚𝕝𝕥𝕠𝕟から)
ベクトル・行列
ベクトルは、手書きでは黒板太字にする方法と、高校で習った、上に矢印を書く方法がある。
一般的な理工学書では(黒板太字ではない)太字が多く、矢印は高校の教科書ぐらいでしか使わない。
一般的なワープロソフトでは「上に矢印」を書くのが大変だから、というのもあるが、「ベクトル=有向線分」とは限らないため、矢印ではイメージに合わない場合も多い。
行列は他に表記法がないため、活字では太字、手書きでは黒板太字で表す。
その他
ただのアルファベットに特定の意味がある場合、黒板太字でそれを強調する場合がある。
例えば、微分でdをdy/dxと書くと変数と間違えてdを約分しちゃうかも、と思ったら、黒板太字で𝕕y/𝕕xと書けばよい。
他に、「ⅇ」「ⅈ」「ℼ」などの特別な意味を持つ定数は斜体の黒板太字で表される場合があり、𝕌𝕟𝕚𝕔𝕠𝕕𝕖でも立体とは別にこれらのフォントがサポートされている。
フォントとして
かつてワープロ専用機が主流だった頃は、文字修飾に「白抜き」がサポートされていることが多く、簡単に黒板太字を表現することができた。
パソコンが普及すると、これらの文字修飾は「太字」「文字色」などに代えられるようになり、𝕎𝕚𝕟𝕕𝕠𝕨𝕤や𝕄𝕒𝕔が標準でサポートしていない白抜き文字は、ほとんど使われなくなっていった。
一方、上述の通り数学では使われるため、外字として専用フォントが用意されることも多かった。
𝕃𝔸𝕋𝔼𝕏でも元から採用されている。
インターネットでは、機種依存文字であったために使用がためらわれていたが、𝕌𝕟𝕚𝕔𝕠𝕕𝕖が標準となったことにより、ほとんどのデバイスで黒板太字がサポートされるようになった。
現在では、𝕌𝕟𝕚𝕔𝕠𝕕𝕖においてアルファベット26文字の大文字と小文字すべてに黒板太字が用意されており、一部の文字では斜体字も別にサポートされている。
文字コード表から入力するのは大変なので、ℙ𝕝𝕒𝕚𝕟𝕊𝕥𝕪𝕝𝕖などの入力支援ソフトを活用すると便利である。
ニコニコ大百科の自動リンクシステムでは、黒板太字は通常の文字と同一視される。したがって、この項の「𝕌𝕟𝕚𝕔𝕠𝕕𝕖」は「Unicode」に自動リンクされる。
Unicodeでの扱い
実は、数学記号として一般的なものとそうでないもので位置が異なる。
一般的なものについては、U+2100-U+214F「文字様記号」の面。
そうでないものについては、U+1D400-U+1D7FF「数学用英数字記号」の面に収録されている。
そのため、16ビットまで(16進数で四桁)までしかサポートしていない端末の場合、それ以降が表示されないことがある。表示できる端末であっても、カーニング(フォント間の隙間を調整すること)が「文字様記号」では行われず「数学用英数字記号」で行われる場合があり、表示が微妙に異なることがある。
例えば、本記事の「集合」の項に使われている黒板太字のうち、「𝔸(A)」だけ表示されなかったり、他の文字よりずれていたりしないだろうか?
Unicode上の位置については、以下を参照されたい。
- Unicode一覧(0000-4DFF) …文字様記号 CHNPQRZ πγΠΓΣ Ddeij を収録
- Unicode一覧(17000-1FFFF) …数学用英数字記号 それ以外のラテンアルファベットを収録
書き方の例
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