龍驤(りゅうじょう)とは、大日本帝国海軍の航空母艦「龍驤」をモデルとした、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん~艦これ~』に登場する艦娘(かんむす)である。
史実における龍驤の概要
変遷する計画と艦の特徴
1929年11月26日、横浜船渠にて起工後、1931年4月2日に進水。1933年5月9日に横須賀海軍工廠にて竣工した。竣工後は呉鎮守府に配属。
元々はワシントン海軍軍縮条約の対象外であった10,000t未満の水上機母艦を新造する計画だったものが、海軍司令部の要求で航空母艦として建造されることになったのが始まり。この段階では排水量9,800tと小型の予定で建造が開始されたものの、途中で締結されたロンドン条約で新たな制限が課されてしまったため設計を大幅に変更することになった。
が、この段階で既に船体部分は完成しており、小さめの船体に格納庫等を追加するスペースなどあるわけものないので上部に構造物を追加する措置がとられたからさぁ大変。1段の予定だった格納庫を2段にするというおい待てやな変更の結果、細めの船体なのに上部に行くに従って幅が広がる、正面から見れば逆三角形というものすごくヘンな外観の艦艇に仕上がった。だがそれがいい。
よく浮いてられるなと思ってしまうインパクト絶大なその威容は関連動画で是非自分の目で確かめてもらいたい。見た目のインパクトは扶桑型戦艦とタメを張るレベル、と個人的に思う。素人目に見てもそんなんなんだから、当時の関係者はただただ不安だった模様。
少しでも排水量を減らすため当時はリベット打ちが主流だった工法に電気溶接を取り入れたり色々したけどどうしても重心が高くなり、 搭載能力の向上とともに増加した重量も相俟ってさすがにそのままでは浮力が危ないためバルジ(船体側面に取り付ける2つの膨らみ)が増設され、 内部はバラストを兼ねた予備の重油タンクとされた。
しかしながら、そこから重油を使用してしまうと旋回時に転覆してしまう恐れがあったため使用することは出来なかった。 つまり、付いているのにないのと同じ。船体についた2つの膨らみは付いてないのと同じなのだ!強調したことに他意はない。ナインダヨ。
1929年起工にも関わらず1933年竣工とやけに時間がかかっているのは変更に次ぐ変更のため。度重なる設計追加の結果完成した龍驤は、あれもこれもという言わば欲張りに振り回された末に生まれた艦艇と言える
他の外観の特徴として、珍しいアイランド(艦橋)等が上部構造物のない完全なフルフラットの甲板を持つ。
これは帝国海軍所属の空母で改造ではない最初から空母として設計・建造された空母の中では唯一である。胸の元ネタは多分こっち。そんな甲板だが、全幅23mとかなり狭い。 おかげで発着時に船体が傾くと航空機搭乗員は横目に海面が見えたという。想像するとかなり怖い状況である。ただでさえいっぱいいっぱいなバランスなんでこれが限界だったんだよ……。
また、艦首と艦尾の乾舷(ざっくり言うと水面からの高さ)がとっても低いのも特徴。普通に航行するだけで艦首は波しぶきが入りまくる。これだけ無理な構造なんだから当然のように居住性も最悪で、乗員からは不満の声が噴出しまくったとか……。
就役~遭遇する災難と2度の改修
そんなこんなで就役。
が、就役後すぐに発生した友鶴事件(龍驤自身が遭ったわけじゃないので詳細はグーグル先生でどうぞ)の反省から、復原性(簡単に言うと大きく傾いたらどれぐらい耐えて元に戻れるか)向上のための改修を受けることになる。バルジの大型化や機銃の撤去等いろいろやったけどやっぱり不安定。元が元だから仕方がないね。
生まれも大概災難な龍驤だが、更なる災難が襲いかかることとなる。それは、1935年9月26日に発生した第四艦隊事件である。
演習のため編成された第四艦隊が、遭遇した台風によって転覆こそなかったものの所属していた全ての艦艇が大規模な損傷を受け、他艦では殉職者まで出てしまったという大きな海難事故であり、龍驤の被った損害も飛行甲板下部の艦橋囲壁圧壊に後部ハッチ損壊と大きなものだった。艦これに於いて自己紹介で気にしているのはこの事。まだ初陣前なのに……。
この事故により改善目的の2度目の改修を受けることになった。その結果、排水量が2000トン増加し1万トン級の空母として生まれ変わった。
実戦~活躍と最期
最初期では赤城、加賀、鳳翔らとローテーションで航空戦隊を組み、一時期は鳳翔と共に一航戦を務めたこともある。艦これにおいて一航戦と言えば赤城と加賀のコンビであるため、意外に思うかも?
その後、1937年8月に発生した第二次上海事変に参加。赤城が大規模改装につき戦列を離れていたため、鳳翔・加賀とともに上海沖へ出撃。陸軍の上陸部隊や海軍陸戦隊を支援した。日華事変でも中国方面で行動。開戦前から数多くの作戦に参加、戦果を上げる。
1941年12月、運命の大東亜戦争開戦。龍驤は南遣艦隊の一員として南方海域の攻略支援に就く。開戦日である8日にフィリピン諸島のダバオを空襲。翌日にはレガスビーを空襲し、17日にはダバオ攻略支援を担当。龍驤は次々に各地を転戦し、続く1月23日には蘭印攻略を支援し、2月10日は油田地帯のパレンバン攻略を支援。13~14日にかけてはバンカ海峡で連合軍艦船12隻を空襲で撃沈する戦果を挙げた。15日にはカスパル海峡で連合軍艦隊を攻撃している。
3月1日、スラバヤ沖海戦に参加して米駆逐艦「ポープ」を爆撃。4月1日にはインド洋にて8隻の連合軍商船を撃沈する。開戦からずっと戦い続けてきた龍驤はここでようやく休息を得られ、シンガポール経由で4月23日に呉へ帰還した。
1942年6月のミッドウェー作戦では隼鷹と共に別働隊として陽動を兼ねるアリューシャン作戦に参加。龍驤の攻撃隊はダッチハーバーを空爆し、アメリカの領土であったアッツ島、キスカ島を占領することに成功する。1942年6月3日~7日のことである。 詳しい人はもうお分かりだろうが、この攻略中まさにミッドウェー海戦が行われていた。結果はご存知の通り。後に龍驤と隼鷹を陽動に回したことは当時の司令官山本五十六最大の失策と指摘されたりもしている。
ミッドウェーでの惨敗後、残存艦隊と合流した龍驤は内地へ帰還。ミッドウェー海戦で第二航空戦隊が消滅してしまったため再編成が行われ、龍驤は新生第二航空戦隊の座に就いた。
その後は瀬戸内海西部で訓練をしていたが、8月初頭に米軍がガダルカナル島へ上陸する。この事に危機感を覚えた上層部はただちに機動部隊をソロモン方面へ進出させる方針を決定。新生一航戦(翔鶴、瑞鶴、瑞鳳)が派遣されるはずだったが、就役から日が浅い瑞鳳が外され、代わりに龍驤が参加。3隻の空母は護衛を伴ってトラック諸島へ向かったが、そこで偵察機から「ガダルカナル島沖に空母1隻を含む敵艦隊発見」の報せが飛び込んでくる。これを受けてトラックへの寄港を取りやめ、機動部隊は一路ガダルカナルへ進出した。
龍驤最後の出撃は米軍によるガダルカナル上陸作戦に端を発する第二次ソロモン海戦である。陸軍支援のため艦隊を分散させたのだが、これが失策で分散させすぎて龍驤は孤立する形となった。単艦で攻撃を行うところを米軍偵察機に発見され、空母サラトガからの攻撃機多数による集中攻撃を受ける。爆弾4発(うち1発艦橋直撃、将校ら全滅)、魚雷1発を受け沈没する。1942年8月24日のことであった。
この海戦に於ける日本側の戦没艦は龍驤のみ。米軍司令官は龍驤の存在に気をとられ同海域にいた翔鶴、瑞鶴に気づけなかった。奇しくも龍驤は囮として機能したのだった。現在も同海域海底にて眠る。
艦これにおける龍驤の概要
容姿
飛鷹、隼鷹と同系統のアレンジ衣装(あちらが巫女風のロングスカートに対してこちらは陰陽師風のミニスカート)に身を包み、ツインテールと艦首を模したサンバイザーがトレードマークの元気娘。同じく、艦載機は式神として解釈されている。
靴は高下駄のような厚底になっており、実は本人は非常に小柄。小さい船体を嵩上げした構造の史実からかと思われる。
航空母艦らしいフルフラットである。どこがって?そりゃおめぇ……。史実で強調した意味なしタンクを表しているのだとしたら、世界は残酷である。飛行甲板ならもっと残酷。考え過ぎな気もするが。しかしながら中破時は谷間らしき稜線が……?提督個人の願望解釈の分かれるところか。
なお、龍驤の公式イラストを描いたくーろくろ氏のpixivコメントによると、「真横から見れば分かる程度には胸があります。」とのこと→リンク(コメント欄参照)
『Febri』Vol.20のコメントによれば、胸が平らなのは全通式平甲板を表現した物らしい。現実は残酷である。
横須賀出身なのになぜか関西弁。つまりエセ。ボイスも非常にエセ関西弁らしいものとなっている。
MVPを取った際は積極的にアピールしたりと非常にやかましいとっても元気。かわいい。
見ての通り漢字が難しいためか、提督達からは子音を取ってRJちゃんと呼ばれることが多い[1]
余談だが、特にフラット関係の話題に上がる某Rさんと呼ばれる艦娘がいるが、ゲーム開始時から1年以上にわたりRから始まる艦娘は一人しか存在していなかった。そして、2014年6月6日に軽空母 龍鳳(大鯨)が実装され、某Rさん=特定されることはなくなったはずだが、あっちのRさんはフラットじゃないので取り違える提督はそうそういない。
飛鷹改に続いて2014年4月9日のアップデートで、龍驤改のボイス追加と共にグラフィックが新規絵に差し替えとなった。画風が大きく変わった他、ミニスカートは実はサスペンダーで吊っていることが明らかになったり、陰陽師風服の下はカッターシャツを着ていることが判明し、一部では朝潮型駆逐艦龍驤とか呼ばれたりしている。そして中破絵は筋も無くなり、よりフラットに……あれ? あの艦載機、どこから飛んで来たんだr(中破)
ゲーム内の性能
レアリティは銀背景で、比較的序盤からドロップによる入手が可能。
軽空母の中では相当癖のある性能となっている。ちなみに、龍驤は日本海軍の分類では正規空母だったが、艦これにおいては軽空母に分類される。これは鳳翔も同じ。
第2スロットの搭載機は24と軽空母では1位タイだが、第1スロットが9、第3スロットは5(改造後開放される第4スロットも5)とかなり偏り、総合的な運用能力では飛鷹型に軍配があがる。 艦載機の配分に迷う提督は多いのではないだろうか。
メインは第1・2スロットとし、第3・4スロットは偵察機や射程アップのための副砲搭載スペースとするか、艦攻艦戦の底上げとすることが多いか。なお、艦載機の機数は開幕航空戦の制空権争い並びに開幕雷爆撃のダメージに関係するもので、砲撃戦においては1機だろうが46機(空母で最大の搭載機数を誇る加賀改の第3スロット)だろうが装備を「1つ」積んでいるとみなされるので搭載機数の少ないスロットに艦爆・艦攻を積むことは決して無駄ではない。
飛鷹型と違い速力が高速なため組む艦を選ばないのは強みだが、同じ高速で改造段階の多さから能力が頭一つ抜ける千歳・千代田が壁として立ちはだかる。壁だけに。
しかしながら実際のところ好みの問題になる程度の差である(当社調べ)。実際メイン運用してるけど燃費はマシな方だからなかなか使える娘よ!大事なのは愛さ!
主な使い道は他の空母とタッグを組んでのフォロー役。制空権さえ取って貰えるなら、搭載数の多いスロットにレアな艦攻を積む等して十分活用できる。
極端な例では、この考えを発展させ、最少スロット以外を副砲で埋め、制空権奪取を全力で放棄して5機の艦爆でぶん殴るという変則的な運用すら考案されている。5機しか艦載機がないなら、全滅しても5機分しかボーキの支払いはないのだ。
「逆に考えるんや。制空権なんて取られちゃってもいいやって、そう考えるんや」
航空戦はオマケで砲戦でバ火力を振るうこの戦法はハマれば中々強力だが、「RJちゃんその戦い方空母やない、航空戦艦や!」と言いたくなる事請け合いである。なお、この5機スロットが全滅してしまった場合完全に置物となり一切戦闘に参加できなくなるので注意。
そして改二へ…
2014年5月23日のアップデートで待望の改二実装!運営のツイートにより複数の艦娘の新改装の実装が事前に告知されており、別のツイートで羽黒はほぼ確定だったもののこちらは当日まで完全に伏せられていた。
中型艦ということで巡洋艦か軽空母の予想はされていたものの、既に改でのイラスト更新があった龍驤を挙げるものはいなかった。
改でのイラスト更新があった艦娘の改二実装は初であり、イラスト更新=改二の代わりと捉えられていた状況を打破したと言え、同じ境遇の艦娘を愛する提督に希望を与えたと言えるかもしれない。
まず性能面はというと、ピーキーな配分だったスロットに拍車がかかっており、第1スロットは9→18、第2スロットは24→28となった。一方第4スロットは3に減少。そして火力はフル改修でなんと40。
これは後に実装された隼鷹改二と並んで軽空母トップに輝くほどである(実装当初は正規空母である二航戦や五航戦も超えていたが、後に両者に改二が実装されたことで抜き返された)。
第2スロの搭載数も合わさり、航空戦の最大火力と砲撃戦の火力は鶴姉妹を上回る。すごいぞ龍驤!改造時の初期装備としてレアな爆戦こと零式艦戦62型、同アプデで開発可能となった二式艦上偵察機を持っているのも嬉しい。
ただし素の対空値は千歳型や飛鷹型に大きく劣り、搭載数的に有用なのは第1・第2だけであるため相変わらず汎用性は微妙である[2]。第3・4スロットには上述の副砲やレア装備の熟練艦載機整備員を積んだり、偵察機や対潜哨戒機など搭載機数の大きいスロットに入れるにはもったいないものを装備させると良いだろう。また、改造レベルはLv75であり、「高い練度」の中でもなかなか上位に位置することに注意。
2014年11月14日アプデにより追加された対空カットインシステムを有効に扱える、空母としては珍しい存在として注目されている。小口径主砲が搭載出来ない艦(主に駆逐艦と軽巡以外)は発動するためにはスロットを高角砲(副砲)と高射装置の2枠使う必要がある(戦艦は別の組み合わせも可)ので、戦艦と重巡は弾着観測射撃を諦めることになり、他の空母では搭載数の無駄が大きくなってしまう。
しかし龍驤の場合有用な搭載スロットは第1第2スロということで3スロ4スロを条件の装備とすることで無駄を抑えることが可能。 艦戦で制空をとりつつ艦攻or艦爆で爆撃し、敵の艦載機は対空カットインで減らすというまさに八面六臂な活躍が可能なのだ!すごいぞ龍驤!
容姿は改二としては珍しく衣装に大きな変更がなく、変更のメインは艤装部分である。特徴的だった飛行甲板を模した巻物はよりド派手に、式神型の艦載機も迫力ある配置が目を引く。 そして皆気になるであろう、公式4コマですら度々ネタにされてしまうあの部分に関してだが……えーっと……うん。世の中触れないほうがいいこともあるよネ!「なんでや!」
ほっほぉ…うちの関連静画大切に思ってくれてるん?それはちょっち嬉しいなぁ…
改グラフィック差し替え後
龍驤改二
関連動画ありがと!これで赤城や加賀に負けないかなって、そりゃあ無理かぁ…アハハハハ…
ほぉ…新しい関連コミュニティが出来たみたいだよ。いってみよう!
うちがいるから、これが関連項目やね!
脚注
- *「驤」を単漢字で探すのは困難だが、最近のIMEなどでは最初から「龍驤」が変換候補として登録されている物もある。また、クラウド利用の予測変換の場合高確率で汚染反映されてだろうから本当はこのように書く必要もないのだが、愛されている証拠であろう。
- *しかし、龍驤以降に改二が実装された飛龍・蒼龍・隼鷹の艦載機スロット配分を見ると改造前よりも一部スロットが極端に少なく設定されている。また、2014年夏イベントで新規実装された雲龍も、「改飛龍型」でありながら飛龍改と比べると第4スロットがやはり極端に少ない。こうしたことから、龍驤改二は改二・新規実装空母のテストベッドと言えるかもしれない。
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