ダーピー(Derpy)とは、北米のアニメ「My little pony Friendship is Magic」(日本放映版:My Little Pony -トモダチは魔法-)に登場するキャラクターである。
担当声優はTabitha St. Germain(同アニメの別キャラクター、ラリティやグラニースミスやプリンセスルナと同じ声優)。日本語吹き替え版の担当声優は内山夕実。
概要
灰色の毛皮に金髪のたてがみ、金色の瞳で、泡(シャボン玉?)のキューティーマークを持ったペガサスポニーの女の子。最も特徴的なのはその目で、瞳が互いに別々の方向を向いており、なんだかかわいい。
このアニメには、名前が呼ばれることが無く台詞がほとんどなくストーリーにも殆ど関わらない、脇役未満のようなモブキャラクター、背景ポニーがたくさん出てくる。しかし何度も繰り返し登場していたり、少ない出番の中でそれぞれの個性を垣間見せていたりする背景ポニーも多い。そんな背景ポニーの中でも、最もブロニーからの人気があるキャラクターがこのダーピーである。
背景ポニーなので小さく目立たない形で映っていたり、数秒だけの短時間のみ登場することが多い。ドジをして物事を混乱させたり、突拍子もないことをして他のポニーをびっくりさせていたり、妙にズレたことをしていたりといった、天然ボケのドジっ子(アホの子)キャラという役回りが多いようだ。どこかにダーピーがさらりと登場していないか注意しながら見ることも、このアニメを楽しむ方法の一つと言えるかもしれない。
ダーピーと言う名前はブロニー(このアニメのファンの「大きなお友達」の総称)によって勝手につけられた名前であるが公式に採用されている。フルネームはダーピー・フーヴス(Derpy Hooves)。日本語での表記ゆれがあり、「フーヴス」が「フーブス」となっていたり、中点無しの「ダーピーフーブス」と書かれることもある。なお、「フーヴス(hooves)」とはひづめを意味する「フーフ(hoof)」の複数形。
初登場後の人気の上昇、公式の反応
第1話の背景として初登場した際に、その互い違いの瞳からすぐにブロニーたちから注目された。そして英語圏のインターネット掲示板4chanにおいて「Derpy Hooves(ダーピー・フーヴス)」という通称が付けられ、徐々にその名前がブロニー間で定着した。
ちなみに第1話でダーピーの瞳が互い違いになった事の理由について、このアニメの製作総指揮者だったローレン・ファウスト氏が質問に答えたところによると
「As far as I know, her wall eyed moment was an accident -- or perhaps a layout artist entertaining him/herself. Who knows?(私が知る限り、偶然の手違い。もしかするとスタッフのおふざけだったのかもしれないけど。ぶっちゃけわかんない。)」
とのこと。
このようなファンからの注目は制作者たちの側もしっかりと把握したようで、その後もダーピーは互い違いの瞳のままで背景ポニーとして時折登場した。そしてブロニーたちからの人気の高まりを反映するかのように、シーズン2以後は出番が増していった。
第40話での快挙
そして迎えた、第40話(シーズン2の第14話)「The Last Roundup(邦題「アップルジャックの家出」)」のテレビ放送。
このとき、ダーピーはレインボーダッシュによって「ダーピー」と呼びかけられた。これにはブロニーたちは驚き喜んだ。なぜなら、自分たちファンが勝手につけた名前である上に、後述するように「derpy」とは少し問題のある俗語であるため。「公式が採用することはまずないだろう」と考えられていたからである。
しかも、この回でダーピーはそれまでのような背景役とは違い、「間抜けな行動をしてレインボーダッシュをひどい目に合わせてしまう」という目立つ役柄な上に、ちゃんとレインボーダッシュとの会話・台詞まで用意されていた。
「大きなお友達であるブロニーたちによる熱心なファン活動。そしてそれを無下に拒絶せず、それどころかある程度は取り入れてくれさえする公式制作サイド」という、このアニメの特徴的な文化を代表するようなキャラクターであるとも言えるかもしれない。
名前に関する諸事情、規制
「derpy」の「DERP」とは、「頭が弱い」「馬鹿」な事を揶揄するニュアンスが強い言葉で、ネット上で目が互い違いになっている人・キャラクターの画像によく添えられる単語でもある。そして「目が互い違いになる病気(斜視)の人々」や「知的発達に障害がある人々」は実在するので、「それらの人々を馬鹿にして使われる危険がある/心を傷つける恐れがある」言葉でもあり、扱いに注意が必要な俗語である。
よって、マイリトルポニーの玩具やトレーディングカードにダーピーの商品は存在しているが、「ダーピー」という名称で販売されることはほぼなく、何らかの方法で名前が曖昧にされている(「ファンから愛されてるポニー」という名称だったり、カードに書いてある文章四つの頭文字をつなげると「D」「E」「R」「P」になったりとか)。
また、上記の第40話「The Last Roundup」は一時期iTunesストアから削除されたことがあった。そして復活したときにはテレビ放映されたときと異なる様々な修正が加わっていた。レインボーダッシュが「ダーピー」と名前を呼ぶことはなくなり、ダーピーの目も互い違いではなくなっており、しゃべり方も子供っぽい感じではなくなっていたのだ。何らかの規制が入ったものかと思われる。
(ただししゃべり方に関しては、声優のTabitha St. Germain氏はテレビ放映版ではダーピーが女の子だという事を知らずに「男の子っぽい感じ」で演じていたそうなので、より「女性らしい」演じ方へと修正しただけ、という説もある)
ブロニーたちはこの修正に落胆したが、制作者側の声明によるとテレビ放映版が正式版だそうで、「ダーピーという名前でなくなった」と言うわけではないらしい。
東日本大震災チャリティ企画において
ローレン・ファウスト氏は東日本大震災が発生した2011年3月、イラスト投稿SNSウェブサイト「deviantART」の彼女のユーザーページにおいて、日本への募金チャリティ企画としてMLPのキャラのスケッチ5枚を販売した。
その5枚の絵のうち、4枚の題材はそれぞれ「アップルジャック」「ラリティ」「トワイライトスパークル」「ピンキーパイ」といった、このアニメの主要キャラたちだったが、残る1枚はなんと背景ポニーであるダーピーを描いたものだった。上記の事情からか「ダーピー」という言葉はページの文中で使われていなかったが、その絵のサンプル画像のファイル名は「derpy11.jpg」であった。
しかもダーピー以外の4枚は2008年に制作過程に描かれたものだったが、ダーピーだけは2011年に書き下ろされたもの。ブロニーがダーピー好きということを理解して、サービスとして付けたものと思われる。このダーピーのスケッチはオークションに出され、2,151ドルで落札された。
Ditzy Doo(ディッツィー・ドゥー)?
ちなみに、本来はダーピーのデザインは「Ditzy Doo(ディッツィー・ドゥー)」と言うペガサスのためのものだったらしい。この「ディッツィー・ドゥー」は第11話「Winter Wrap Up(邦題:冬をお片付け)」で名前だけ登場しているが、本人は登場していない。
名前が出たシーンは、「鳥を迎える係のディッツィー・ドゥーが、間違えて北へ行っちゃった!」「ほんっとにドジなんだから!去年西へ行ったの反省してないわけ!?」という会話だったので、どうもディッツィー・ドゥーはお馬鹿な子のようだ。と言うかditzyとは女の子(特に金髪の女の子)を「ズレてる、抜けてる、頭がカルい」と評するときの俗語らしい。
以上の理由から、本来の公式的な名前は「ディッツィー・ドゥー」じゃないの?という意見もある。ただしローレン・ファウスト氏を始めとした公式サイドも「ダーピー」へのブロニーたちの思い入れを踏みにじりたくはないらしく、「ディッツィー・ドゥー」として彼女が登場したことはない。前述したように本編に「ダーピー」と名前を出して登場済であるので、今後もディッツィーとしての登場はないと思われる。
二次創作での扱い
ブロニーのコミュニティは非常に大きなものであり、二次創作も盛んである。当然、人気者のダーピーに関する二次創作も多い。
元が背景ポニーなので公式設定は乏しく、少ない描写の中からブロニーたちが割と自由に二次設定を創作し、時にはそれをゆるく共有しあっている。
マフィン好き
これは第4話「Applebuck Season(邦題:一人でできるもん!)」でピンキーパイとアップルジャックがマフィンを無料で配ろうとした際、集まったポニーたちの群衆の中にダーピーも混じっており、「マーフィーン♪」と呟いていることから派生していったもの(実際にはほかに二人のポニーも全く同じタイミングで同じ口の動きをしており、ダーピー一人の台詞と言うわけではなかったのだが)。
その後、このマフィン好きと言う設定は公式にさりげなく取り入れられており、ダーピーの関連商品でマフィンが背景に加えられたり、さらにはテレビアニメ本編の背景に登場したときによく見るとカバンの留め金がマフィン型になっていたりしている。
郵便配達
少しは本編の描写と関連があった「マフィン好き」とは違い、テレビアニメ本編にはこの設定は登場していない。むしろ第15話「Feeling Pinkie Keen(邦題:ピンキーパイの予言?!)」では別の仕事、引っ越し業者っぽい作業をしている(そして失敗し、トワイライトスパークルの頭上に植木鉢、金床、荷車、ピアノを落下させている。死ぬだろ普通)。
どうもブロニーによるfanfiction(二次創作小説)などで登場し、徐々に広まった設定のようだ。
テレビアニメ本編で郵便配達として登場したことはないが、公式の許諾を受けて出版されているコミックスで郵便配達として登場しており(同コミックスは日本語に訳されて発売されている↓)、こちらの二次設定も影響はファン活動の中だけにとどまっていない。
Dr.Hooves(ドクター・フーヴス)との関係
二次創作においては、茶色で砂時計のキューティーマークを付けた男性のアースポニー「Dr. Hooves(ドクター・フーヴス)」と関わっていることが多い。名前のうち「Hooves」の部分が共通だからか。時にはカップリングされることもある。
ちなみにこの男性アースポニーもやはり背景ポニーのうちの一人であり、有名なSFドラマ「Doctor Who(ドクター・フー)」、特にデイビッド・テナント演じる10代目ドクターを彷彿とさせる見た目をしている。そのため、ブロニーたちによって「Doctor Whooves(ドクター・フーヴス)」と呼ばれていた。
Hasbro公式は、以前はこの男性背景ポニーについてTime Turner(タイム・ターナー)と名付けていた。しかし最近では公式も、「Dr. Hooves(ドクター・フーヴス)」と、ブロニーたちの呼び名に準じた名称で表記し始めている(読みは同じだが、綴りがDoctor Whoの商標権を刺激しない形に改めてある)。
関連動画
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関連項目
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