1番人気の呪いとは、
- 1990年代までの天皇賞(秋)で1番人気の競走馬が勝てないジンクス。詳細は天皇賞(秋)の記事を参照。
- 2022年のJRA平地GⅠレースで1番人気の競走馬の勝率が極めて低い事を指しての言葉。本項で解説する。
概要
2022年のJRA平地GⅠは単勝オッズ1番人気の馬が一度も勝てない事態が続いていた[1]。2022年10月23日の菊花賞までで15連敗、前年のホープフルステークスから数えて16連敗を記録し、10月30日の天皇賞(秋)で1番人気のイクイノックスが勝利して止まったものの、史上最長記録を更新した[2]。さらにその後も1番人気が勝てないレースが続き、チャンピオンズカップ終了時点で20戦1勝、勝率.050に達した。そのため、今年のGⅠは1番人気になったら負けるジンクスが存在するのではないか?という声が、ちらほら挙がっている。
単に負けるだけでなく、2着は天皇賞(春)のディープボンドとジャパンカップのシャフリヤールのみ、馬券に絡んだのも皐月賞のドウデュースと秋華賞のスターズオンアースが加わるのみ。去年の年度代表馬・エフフォーリアが大阪杯や宝塚記念で馬群に沈むなど、20敗のうち実に掲示板を外すこと12回という有様で、今年のGⅠは常に荒れる傾向にある。
理由としては、現在の中央競馬はどの重賞も軒並み優勝するような圧倒的な強さを持つ競走馬がおらず、有力馬の力が拮抗して群雄割拠の有り様を見せている[3]など様々な考えがあるが、それにしてもこれほどまでに1番人気が勝てないのは稀。90年代まで天皇賞(秋)で1番人気が勝てなかった(シンザンからミスターシービーまで18連敗、ニッポーテイオーからテイエムオペラオーまで12連敗)、いわゆる府中の魔物を思い起こす競馬ファンも多いと思われる。
粗品の呪い及び池添謙一との関係について
1番人気の呪いと同時に注目されるものとして、お笑いコンビ・霜降り明星の粗品が本命に挙げた馬が悉く敗れる「粗品の呪い」があり、1番人気の呪いと同時に発動したこともある。
しかし、安田記念で挙げたソングラインが勝利、またそのときの鞍上の池添謙一騎手がGⅡ・セントウルステークスにおいて1番人気のメイケイエールで勝利した。そのため、池添騎手にはどちらの呪いも無効化する能力があるのではないか?とされていたが、スプリンターズステークスでは同馬・同騎手でも1番人気で敗戦したため、その可能性も無くなった。
GⅡ以下も含む重賞の1番人気成績
2022年のJRA平地重賞全体では、全129レースのうち、1番人気が勝ったレースは、
- 小倉大賞典(アリーヴォ)
- 阪急杯(ダイアトニック)
- チューリップ賞(ナミュール)
- 金鯱賞(ジャックドール)
- 阪神大賞典(ディープボンド)
- 日経賞(タイトルホルダー)
- アーリントンカップ(ダノンスコーピオン)
- 京王杯スプリングカップ(メイケイエール)
- 平安ステークス(テーオーケインズ)
- 葵ステークス(ウインマーベル)
- 函館スプリントステークス(ナムラクレア)
- 関屋記念(ウインカーネリアン)
- 札幌2歳ステークス(ドゥーラ)
- 紫苑ステークス(スタニングローズ)
- 京成杯オータムハンデキャップ(ファルコニア)
- セントウルステークス(メイケイエール)
- ローズステークス(アートハウス)
- 毎日王冠(サリオス)
- 富士ステークス(セリフォス)
- 天皇賞(秋)(イクイノックス)
- 京阪杯(トウシンマカオ)
- チャレンジカップ(ソーヴァリアント)
- 阪神ジュベナイルフィリーズ(リバティアイランド)
- 朝日杯フューチュリティステークス(ドルチェモア)
- 阪神カップ(ダイアトニック)
- 有馬記念(イクイノックス)
の26レース(緑はGⅢ、赤はGⅡ、青太字はGⅠ)。
通常、競馬において1番人気が勝つ確率は3割強といわれているので、2022年は平地重賞全体で見ても勝率.202と、平均より1番人気が勝てなかったということになる。
歴代の年間1番人気の勝利数最少記録と勝率最低記録
1984年のグレード制導入以降、JRA平地GⅠでの1番人気最少勝利数は1989年・1992年・1995年の3勝。ただしいずれもGⅠレース自体が現在よりずっと少ない、年間15戦~16戦しかなかった頃の数字であるので、年24戦ある現在と単純に比較はできない。
2022年はイクイノックスが天皇賞(秋)で勝利し、とりあえず「年間1番人気全敗」は回避。その後リバティアイランド、ドルチェモアの連勝で勝利数の最少記録更新は免れ、イクイノックスの有馬記念制覇で勝利数の最少タイも回避した。
いっぽう勝率では、1992年・1995年の.188(16戦3勝)が最低記録であったが、2022年は前述の通りチャンピオンズカップを終えた時点で.050(20戦1勝)であり、残る4戦(阪神JF、朝日杯FS、有馬記念、ホープフルS)を全て勝たないと最低記録更新が確定するというリーチ状態。
その後、上記の通り阪神JF、朝日杯FS、有馬記念と1番人気が3連勝して回避に逆王手をかけたが、最後のホープフルSで1番人気のミッキーカプチーノが沈んだため、1番人気の年間最低勝率記録を更新する.167(24戦4勝)となった。
2021年12月(ホープフルS)~2022年のGI・1番人気馬/勝利馬比較表
レース名 | 1番人気馬選定馬 | 勝利馬 | 備考 |
---|---|---|---|
2021年 | |||
有馬記念 | エフフォーリア(2.1) | 粗品の本命だったが、彼自身はキセキの単勝を買っていた | |
ホープフルS | コマンドライン (2.9、12着) |
キラーアビリティ (3.1、2番人気) |
全てはここから始まった |
2022年 | |||
フェブラリーS | レッドルゼル (3.9、6着) |
カフェファラオ (5.1、2番人気) |
|
高松宮記念 | レシステンシア (2.2、6着) |
ナランフレグ (27.8、8番人気) |
3着が17番人気キルロードで3連単約278万円 |
大阪杯 | エフフォーリア (1.5、9着) |
ポタジェ (58.7、8番人気) |
粗品の呪いと同時発動 |
桜花賞 | ナミュール (3.2、10着) |
スターズオンアース (14.5、7番人気) |
|
皐月賞 | ドウデュース (3.9、3着) |
ジオグリフ (9.1、5番人気) |
|
天皇賞(春) | ディープボンド (2.1、2着) |
タイトルホルダー (4.9、2番人気) |
|
NHKマイルカップ | セリフォス (3.9、4着) |
ダノンスコーピオン (7.1、4番人気) |
3着が18番人気カワキタレブリーで3連単約153万円 |
ヴィクトリアマイル | レイパパレ (4.1、12着) |
ソダシ (5.7、4番人気) |
粗品の呪いと同時発動 |
優駿牝馬 | サークルオブライフ (3.2、12着) |
スターズオンアース (6.5、3番人気) |
|
東京優駿 | ダノンベルーガ (3.5、4着) |
ドウデュース (4.2、3番人気) |
|
安田記念 | イルーシヴパンサー (4.5、8着) |
ソングライン (8.2、4番人気) |
勝ち馬は粗品の本命、鞍上・池添謙一 |
宝塚記念 | エフフォーリア (3.3、6着) |
タイトルホルダー (4.2、2番人気) |
粗品の呪いと同時発動。ここでGI・1番人気連敗記録が更新されてしまう |
スプリンターズS | メイケイエール (2.5、14着) |
ジャンダルム (20.3、8番人気) |
鞍上・池添謙一だが敗れた |
秋華賞 | スターズオンアース (3.0、3着) |
スタニングローズ (5.7、3番人気) |
|
菊花賞 | ガイアフォース (3.5、8着) |
アスクビクターモア (4.1、2番人気) |
|
天皇賞(秋) | イクイノックス(2.6) | 1番人気の呪いが年内15連敗、前年継続16連敗で遂に止まる | |
エリザベス女王杯 | デアリングタクト (4.3、6着) |
ジェラルディーナ (8.1、4番人気) |
|
マイルCS | シュネルマイスター [4](3.6、5着) |
セリフォス (9.2、6番人気) |
粗品の呪いと同時発動[5] |
ジャパンカップ | シャフリヤール (3.4、2着) |
ヴェラアズール (4.5、3番人気) |
|
チャンピオンズC | テーオーケインズ (1.5、4着) |
ジュンライトボルト (7.9、3番人気) |
粗品の呪いと同時発動 秋GIはここまで8戦全て勝ち馬はGI初制覇 |
阪神JF | リバティアイランド(2.6) | 2022年度2勝目 | |
朝日杯FS | ドルチェモア(3.1) | 2022年度3勝目 | |
有馬記念 | イクイノックス(2.3) | 2022年度4勝目 | |
ホープフルS | ミッキーカプチーノ(3.0、5着) | ドゥラエレーデ(90.6、14番人気) | 1番人気の年間最低勝率記録更新。三連単は246万6010円と最後の最後で大荒れとなった |
グレード制導入以降の中央平地GⅠ1番人気勝利数・勝率
関連コミュニティ・チャンネル
関連リンク
関連項目
- 競馬
- JRA
- ジンクス
- 新聞の読める馬
- 天皇賞(秋) - かつて1番人気が勝てないジンクスが存在した
- エリザベス女王杯 - 1番人気が負けるケースが多く、馬券が荒れることで有名
- 杉本清 - レース前に「私の夢は○○です」と言った馬は高確率で負ける
- 霜降り明星 - 粗品の別名義「生涯収支マイナス1億円君」(通称マイ億君、現在は生涯収支マイナス2億円君に改名)が本命をことごとく外すことから、粗品の呪いと呼ばれている
- 2022年競馬レース回顧
脚注
- *J・GⅠでは中山グランドジャンプで1番人気のオジュウチョウサンが、地方のJpnⅠでは川崎記念でチュウワウィザード、マイルCS南部杯でカフェファラオ、JBCクラシックでテーオーケインズが1番人気で勝利している
- *これまでの最長記録は、2007年桜花賞(1番人気ウオッカ、1着ダイワスカーレット)から菊花賞(1番人気ロックドゥカンブ、1着アサクサキングス)までの12連敗
- *実際、単勝1倍台の支持を集めたのは大阪杯のエフフォーリアとチャンピオンズカップのテーオーケインズのみで、ホープフルステークスまでの24戦中16戦で1番人気の単勝が3.0倍以上である。また1番人気以外の勝利馬は2~4番人気が過半数であった
- *締め切り間際までソダシが1番人気で、最終オッズで入れ替わった(2番人気)が、ソダシも敗戦(3着)したため、どっちみち発動していた
- *予想動画投稿時点ではソダシが1番人気であり、彼女以外の馬で3連単の予想をしていた。しかし結果はご覧の有様であり、ソダシが馬券外になることも外れた
- *この年は東京競馬場開催
- *この年はJRAが京都競馬場でJBCを開催
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