1912年(明治45年 / 大正元年)
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| 年 | 1900年 | 1911年 | 1912年 | 1913年 | 1924年 |
| 干支 | 子 |
亥 |
子 |
丑 |
子 |
1912年の事柄
明治天皇崩御。新元号「大正」
中国の儒教の経典『易経』より「大亨以正、天之道也」の一節より名付けられる。大いに亨(とほ)りて以(もっ)て正しきは天の道なり=天が民の言葉を進んで受け入れれば、政治が正しく行われる、の意。
ちなみに「大正」は過去4度、新元号の候補に上がったことがある。
30日の明治天皇崩御後、主要新聞が全ページを黒枠で囲み(9月17日まで)、市民の間で喪章の着用が流行。犬の尻尾や猫の首に喪章をつける者も現れ、黒色の衣服やネクタイが高騰した。春から夏にかけて米価格が高騰し「諒闇(りょうあん)不景気」と呼ばれた(諒闇とは天皇の喪中のこと)。
タイタニック号沈没事故
イギリスの豪華客船タイタニック号がイギリスのサウサンプトンからニューヨークへの航海中に氷山へ接触し沈没。乗員乗客1500人あまりが死亡し20世紀最大の海難事故となる。
ヴォイニッチ手稿が発見される
古書商のウィルフリッド・ヴォイニッチがイタリアの寺院で、植物や天体図のように見て取れる挿絵などが描かれた奇妙な書物を発見。未知の言語で文字が書かれており、1915年にその存在が公表されて以降、様々な観点から解読が試みられているが、現在のところその内容は完全に解明されていない。
→ ヴォイニッチ手稿
釜山航路へ接続する列車の運行が開始される
6月15日、新橋~下関間に史上初となる1・2等席だけで構成された特別急行の運行が開始される。
下関~釜山間を結んでいた航路に接続しており、食堂車はもちろん1等席には展望車を備えた豪華列車だった。日露戦争後に朝鮮や満州、ヨーロッパを行き来する人が増えたことに対応したものだった。新橋~釜山間の所要時間は約38時間で、鉄道を乗り継げば北京に約84時間で到着することができた。
同日には新橋~金ヶ崎(現在の敦賀港)を結ぶ直通急行列車の運行も開始された。こちらは敦賀~ウラジオストクを結ぶ航路に接続されており、シベリア鉄道に乗り継いでヨーロッパを目指すことが出来た。これにより海路で40日間かかった東京~パリ間の移動時間が17日間に短縮された。
いずれも富裕層に向けたもので、庶民にはとても手が出せるものではなかった。
当時飛行機は発明されていたが旅客機はまだ存在しておらず、各国間の長距離移動は列車や船を乗り継ぐしかなかった(旅客機の誕生は1919年)。
大正琴が発売される
名古屋大須の旅館「森田屋」の主人であった森田吾郎が、欧米旅行で見たタイプライターの構造から発想した音階ボタン式の琴を1台5円で発売。簡便な家庭用楽器として大正6年ごろより人気を集める。発売日の9月9日=菊の節句(重陽の節句)にちなみ、当初は「菊琴」という名称だった。
→ 大正琴
ストックホルムオリンピック開催
第5回夏季五輪として5月5日よりストックホルムオリンピックが開催。北欧で初めて開催された五輪であり、初参加となった日本からは金栗四三、三島弥彦の2人が参加。開会式では「JAPAN」ではなく「NIPPON」のプラカードが史上唯一用いられた。
現地は猛暑に見舞われ、ポルトガルのラザロ選手がマラソンの競技中に脱水症状で意識を失い、翌日死亡した。これは近代五輪で初となる競技中の死者である。
日本の金栗四三も同じくマラソン中に日射病で倒れ、地元の住民に介抱された。翌朝目を覚ました金栗は失意のまま宿舎に戻ったが、棄権の意思が運営側に届いておらず「失踪」したことになってしまった。
スウェーデンオリンピック委員会は1967年のストックホルム大会55周年記念式典に金栗を招待し、「走り続けている」と扱われていた金栗は当時のスタジアムに用意されたゴールテープをついに切った。
「日本の金栗、ただいまゴールイン。タイム、54年と8月6日5時間32分20秒3。これをもって、第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了します。」とアナウンスされた。これはオリンピック史上最も遅い男子マラソン記録とされる。
「長い道のりでした。この間に嫁をめとり、6人の子供と10人の孫に恵まれました。」という金栗のスピーチで、開場は拍手に包まれた。
1912年の出来事
架空の出来事
1912年生まれの著名人
| 1月12日 | 北野ミヤ | メジロ牧場会長、名物馬主「メジロのおばあちゃん」 |
| 2月3日 | 檀一雄 | 小説家、檀ふみの父 |
| 2月9日 | 双葉山定次 | 力士、第35代横綱、69連勝の大相撲記録を樹立 |
| 3月11日 | 岩本義行 | プロ野球選手 |
| 3月23日 | フォン・ブラウン | 工学者、V2ロケット、サターンロケットを開発 |
| 4月15日 | 金日成 | 政治家、軍人、北朝鮮初代最高指導者 |
| 7月20日 | 糸川英夫 | 工学者、日本のロケット開発の父 |
| 7月28日 | 早川清 | 早川書房創業者 |
| ここまでが「明治生まれ」である。 | ||
| 8月23日 | ジーン・ケリー | 俳優、「雨に唄えば」 |
| 8月30日 | エドワード・ミルズ・パーセル | 物理学者、核磁気共鳴(NMR)を発見 |
| 9月5日 | ジョン・ケージ | 音楽家、「4分33秒」 |
| 9月7日 | デビッド・パッカード | 工学者、ヒューレット・パッカード(hp)創業者 |
| 9月12日 | 北村正喜 | カメラのキタムラ創業者 |
| 9月22日 | 清水崑 | 漫画家、黄桜のカッパのキャラクターをデザイン |
| 10月17日 | ヨハネ・パウロ1世 | 第263代ローマ教皇、在位してわずか33日で急逝した |
| 11月24日 | 清川虹子 | 女優 |
| 12月25日 | ルーベン・マタス | ハーゲンダッツ創業者 |
1912年に亡くなった著名人
| 2月12日 | アルマウェル・ハンセン | 医師、らい菌の発見者 |
| 下山順一郎 | 薬学者、薬学博士第1号、東京薬科大学初代校長 | |
| 2月15日 | ヘルマン・ネッケ | 作曲家、「クシコス・ポスト」 |
| 4月4日 | 岸本辰雄 | 法学者、明治大学創設者 |
| 4月13日 | 石川啄木 | 歌人、「一握の砂」 |
| 4月15日 | トーマス・アンドリューズ | タイタニック号設計者、処女航海に同行し沈没事故に遭う |
| 4月20日 | ブラム・ストーカー | 作家、「吸血鬼ドラキュラ」 |
| 5月28日 | ポール・ボアボードラン | 化学者、ガリウム、サマリウム、ジスプロシウムの発見者 |
| 5月30日 | ウィルバー・ライト | ライト兄弟の兄、有人動力飛行機の開発に世界で初めて成功 |
| 6月1日 | イーライ・ハミルトン・ジャニー | 鉄道技術者、自動連結器を発明 |
| 7月17日 | アンリ・ポアンカレ | 数学者、トポロジー概念の発見、ポアンカレ予想の提唱 |
| 7月30日 | 明治天皇 | 第122代天皇 |
| 8月13日 | ジュール・マスネ | 作曲家、「タイスの瞑想曲」 |
| 9月13日 | 乃木希典 | 陸軍軍人 |
| 12月2日 | 川崎正蔵 | 川崎造船所(現・川崎重工業)創業者 |
関連動画
関連項目
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