1994 FIFAワールドカップ単語

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1994 FIFAワールドカップとは、アメリカ合衆国で開催されたFIFA ワールドカップである。

概要

1994 FIFAワールドカップ
期間 1994年6月17日7月17日
場所 アメリカ合衆国アメリカ
出場 24ヶ
公式 クエストラ(アディダス
マスコット ストライカー

アメリカ合衆国での初開催となった。メキシコ以外の北中カリブ諸での開催も初であり、同協会地域では1986年メキシコ大会以来の開催である。北地域初の大会でもある。

アメリカ合衆国という土地柄からサッカー用の競技場が少なく、アメリカンフットボールの競技場が転用された例がある。アメリカにおいてはサッカーメジャースポーツというわけではなく、いわば「サッカー不毛の地」での開催ということで大会自体の盛り上がりを危惧するも多かった。

今大会ではギリシャナイジェリアサウジアラビアが初出場となった。一方、欧州予選では波乱が多発し、エリックカントナらスター選手を擁した強フランスは試合終了間際にブルガリアに決勝ゴールを奪われるショッキングな結末によって2大会連続で出場を逃している。また、前回ベスト4のイングランドEURO92優勝デンマークも予選で敗退。前回ベスト8のユーゴスラビアは内戦の舞台から閉め出されることとなった。

また、今大会から選手のユニフォーム背番号の上に選手名が入れられるようにめられた。ルール面では、勝ち点が「勝利2・引き分け1・敗戦0」から「勝利3・引き分け1・敗戦0」に変更された。オフサイドの解釈が緩和され、「攻撃側の選手がオフサイドポジションに残っていても、その選手がプレーに直接関与しなければ、オフサイドをとられない」という正が施された。

サッカー日本代表と1994ワールドカップ

1994ワールドカップ予選において、日本代表FIFAワールドカップ初出場を逃したドーハの悲劇が有名である。当時の日本代表は、1993年Jリーグ発足に伴いこれまで以上に強化にを入れ、空前サッカーブームが起きたことで民のサッカー熱はこれまでにないほど盛り上がり、アジア最終予選においてFIFAワールドカップ初出場に近づいていた。しかし、カタール国ドーハで行われた日本代表イラク代表戦において、ロスタイム間際にイラクの同点ゴールが入り日本は予選敗退、初出場を逃すこととなった。

「ドーハの悲劇」の動画

グループリーグ

※各グループ上位2チームと各組3位になったチームのうち上位4チームが決勝トーナメントに進出。
 順位は1994年5月17日発表のFIFAランキング

グループA グループB グループC グループD グループE グループF

アメリカ
(23位)

ブラジル
1位

ドイツ
2位

アルゼンチン
(6位)

イタリア
(16位)

ベルギー
(34位)

スイス
(8位)

ロシア
(20位)

ボリビア
(43位)

ギリシャ
(32位

アイルランド
(12位

モロッコ
(30位)

コロンビア
(18位)

カメルーン
(24位)

スペイン
(9位)

ナイジェリア
(7位)

ノルウェー
(4位)

オランダ
(11位

ルーマニア
(10位)

スウェーデン
(3位)

韓国
(37位)

ブルガリア
(29位)

メキシコ
(13位)

サウジアラビア
(35位)

グループA


勝点 得失
点差


1
ルーマニア

1-4

3-1

1-0
6 0 5 5
2
スイス

4-1

1-1

0-2
4 +1 5 4
3
アメリカ

0-1

1-1

2-1
4 0 3 3
4
コロンビア

1-3

2-0

1-2
3 -1 4 5

86年大会のメキシコ、90年大会のコスタリカベスト16進出に導いた名将ボラミルティビッチを招へいした開催アメリカだったが、前回ベスト16のコロンビアルーマニアFIFAランク8位のスイスと同居し、グループリーグ突破は厳しいと見られていた。

初戦のスイス戦を引き分けで乗り切ったアメリカは、続くコロンビア戦では相手のオウンゴールによる幸運な形で先制すると、後半にもスチュアートが追加点を奪う。全にリズムが狂ったコロンビアアメリカが押し込む展開が続き、優勝補にも挙げられた強相手に金星を奪う。この歴史的な勝利が追いとなり、1勝1分1敗で3位となりながら決勝トーナメント進出を果たす。

1989年ルーマニア革命による民主化により、多くの選手が外のトップリーグプレーするようになったルーマニアは4年前よりも実を付けていた。強コロンビアと対戦することとなった初戦ではハジ、ラドチョウの両エースが活躍し、3-1の快勝。その後、アメリカ戦にも勝利し首位でグループリーグを突破。そのルーマニア相手に4-1で勝利したスイス2位グループリーグを突破する。

大きく期待を裏切ったのがコロンビアだった。バルデラマ、アスプリージャら優れた個人技を持つ選手がい、大会前はペレ優勝補に挙げるほど前評判の高いチームだったが、ルーマニア戦の敗北で大きく歯車が狂い、最初の2試合を連敗したことでグループリーグ敗退が決まる。だが、コロンビアにとっての本当の悲劇は大会後だった。アメリカ戦で致命的なオウンゴールを犯したエスコバルが帰後に射殺されるという痛ましい事件が起きてしまう・・・。

グループB


勝点 得失
点差


1
ブラジル

1-1

2-0

3-0
7 +5 6 1
2
スウェーデン

1-1

3-1

2-2
5 +2 6 4
3
ロシア

0-2

1-3

6-1
3 +1 7 6
4
カメルーン

0-3

2-2

1-6
0 -8 3 11

優勝補のブラジル、前回大躍進を遂げたカメルーン北欧の雄スウェーデンソ連崩壊後初の大舞台となるロシアったグループは、大会前もっとも厳しい「死のグループ」と予想されていた。

本命と見られたブラジルはロマーリオベベットの強な2トップが期待通りの働きを見せる。特にエースのロマーリオは驚異的な得点感覚を発揮し、グループリーグ3試合連続ゴールで首位での突破に大きく貢献。実は不仲だと言われていたロマーリオベベットのコンビだが、ピッチに立つと息の合った連携を見せ、24年ぶりの優勝へ期待を膨らませる。ブラジルに続いたのは、こちらもダーリンとケネットアンデションの強2トップを筆頭に随所にタレントを擁するスウェーデンだった。

第3戦のロシアカメルーンの試合は記録が次々と飛び出した試合となった。ロシアサレンコはこの試合でワールドカップ史上初となる1試合5ゴールという記録を打ち立てる。また、前回大会で時の人となったカメルーンロジェ・ミラは42歳となった今大会にも出場し、ワールドカップ最年長ゴール記録する。もっともこの2チームはいずれもブラジルスウェーデンレベルに達しておらず、グループリーグで敗退となった。

グループC


勝点 得失
点差


1
ドイツ

1-1

3-2

1-0
7 +2 5 3
2
スペイン

1-1

2-2

3-1
7 +2 6 4
3
韓国

2-3

2-2

0-0
2 -1 4 5
4
ボリビア

0-1

1-3

0-0
1 -3 1 4

前回優勝ドイツ、2年前のバルセロナ五輪優勝スペインが優位な2強2弱のグループと見られたが、実際その通りの結果となった。ただし、ドイツスペインも思ったより楽な戦いぶりでもなかった。

今回が南北統一後初のワールドカップとなるドイツは、大会開幕戦でボリビアと対戦。前回の優勝を経験したメンバーが大半を占めるドイツだったが、南米特有の足技を持つボリビア相手に予想以上に手こずる。それでも、クリンスマンゴールで辛くも勝利。第3戦の韓国戦でもクリンスマンの2ゴールなど前半で3点をリードしながら後半に2点を取り返され追い上げられるなど、安定感を欠きながらも首位で突破する。

スペインは初戦の韓国戦で2点をリードしながら、終盤にホン・ミョンボとソ・ジョンウォンゴールを許し、まさかのドロー発進。続くドイツ戦でもリードを守り切れず、2引き分けという状況に陥る。それでもボリビア戦ではFCバルセロナ黄金期を支えたメンバーを中心にボリビアを圧倒。2位グループを突破し、下評通りの結果となる。

3大会連続の出場となった韓国は、スペインドイツという強を相手に驚異的なりで立ち向かうなど、前回よりも格段に進歩したが、やはり1勝の壁は厚く、3位に入ったもののグループリーグ敗退となった。南米予選でブラジル相手に勝利したボリビアも奮闘はしたが、やはり本拠地ラパスの神通しで強相手に勝利することは難しかった。

グループD


勝点 得失
点差


1
ナイジェリア

3-0

1-2

2-0
6 +4 6 2
2
ブルガリア

0-3

2-0

4-0
6 +3 6 3
3
アルゼンチン

2-1

0-2

4-0
6 +3 6 3
4
ギリシャ

0-2

0-4

0-4
0 -10 0 10

やはり大本命はアルゼンチンだった。コカイン使用など様々なドラブルを引き起こし、一時は大会出場が危ぶまれたアルゼンチン英雄マラドーナだったが、大会の1年前から代表に復帰。33歳となっても彼の出来がチームを左右することに変わりはなかった。初戦のギリシャ戦ではバティストゥータハットトリックの大活躍。マラドーナにもゴールが生まれ、最高のスタートを切る。続くナイジェリア戦でもカニーヒアの2ゴールによって連勝。

ところが、ナイジェリア戦の後、マラドーナが禁止物を使用していたことが発覚。事態を重く見たFIFA事実マラドーナを大会から追放する。動揺を隠せないアルゼンチンは、ブルガリア戦に敗。グループを大混戦にしてしまう。

初出場ながらダークホースとして注されていたナイジェリアは、前評判通りの実を見せる。初戦のブルガリア戦でアフリカ最優秀選手イエキニのゴールを皮切りにアモカチ、アムニケが追加点を挙げ、衝撃的なワールドカップデビューを果たす。第3戦でも弱小ギリシャに快勝したナイジェリアは、高い身体と個人技でインパクトを残し、首位でグループを勝ち抜ける。

初戦でナイジェリア敗したブルガリアだったが、続くギリシャ戦、アルゼンチン戦をストイチコフの活躍によって快勝。結果、ブルガリアアルゼンチンが勝ち点、得失点差で並ぶが、当該チームの直接対決の結果によりブルガリア2位アルゼンチンが3位で決勝トーナメントに進出。

こちらも初出場のギリシャだったが、3連敗、しかも0得点10失点というぐうの音が出ないほどの敗となった。他の3チームとのレベルの差がありすぎた。

グループE


勝点 得失
点差


1
メキシコ

2-1

1-1

0-1
4 0 3 3
2
アイルランド

1-2

1-0

0-0
4 0 2 2
3
イタリア

0-1

1-1

2-1
4 0 2 2
4
ノルウェー

1-0

0-1

0-0
4 0 1 1

93年のバロンドールFIFA世界最優秀選手を受賞したロベルト・バッジョを擁するイタリアだったが、イタリアR・バッジョにとって受難のグループとなる。メキシコアイルランドノルウェーという実者がったこのグループグループDどころではない歴史に名を残す大混戦となる。

初戦で前回の準々決勝で戦ったアイルランドと顔を合わせたイタリアだったが、アイルランドに敗れてリベンジを許してしまう。続くノルウェー戦は苦難続きの試合となった。前半21分にGKパリューカが退場となり、残り時間を10人で戦うことに。アリーゴ・サッキ監督は、控えGKを投入するためになんとエースR・バッジョを交代させるという驚きの決断を下す。さらに後半3分守備の要であるバレージが膝を負傷し戦線離脱となる。攻守両方の中心を失ったイタリアだったが、後半24分にディノ・バッジョゴールを決め、満身創痍ながらも辛うじて勝ち点3を手にする。

イタリアが予想以上に低調だったこともあり、最終的にグループEはなんと4チーム全てが1勝1分1敗の勝ち点4で並び、得失点差も0で並ぶという前代未聞の大混戦となった。最終順位は総得点で上回るメキシコ1位、次に総得点で並んでいる2チームを直接対決の結果で決めるため、2位アイルランド、3位イタリアの3チームが決勝トーナメントに進出。

4チーム中総得点がもっとも劣っていたノルウェーは最下位となり、グループリーグ敗退となった。持ち前の堅守でイタリア戦以外は失点で抑えていただけに残酷な結末となった。

グループF


勝点 得失
点差


1
オランダ

2-1

0-1

2-1
6 +1 4 3
2
サウジアラビア

1-2

1-0

2-1
6 +1 4 3
3
ベルギー

1-0

0-1

2-1
6 +1 3 2
4
モロッコ

1-2

0-1

1-2
0 -3 2 5

フリットがアドフォカート監督との対立で大会直前に代表入りを拒否するという内紛が起こり、不安を抱えたまま大会に入ったオランダは、初戦でサウジアラビアを下し順調にスタートを切るが、続く隣ベルギーとのライバル対決ではベルギーの守護神プロドームの壁を崩せずに敗戦。それでも、モロッコ戦では新たに10番を背負ったベルカンプに初ゴールが生まれ、勝ち点6とする。

オランダベルギー欧州勢が楽に突破するという戦前の予想だったが、それを覆したのが初出場のサウジアラビアだった。第2戦のモロッコ戦でワールドカップ勝利を飾ると、第3戦のベルギー戦で世界を驚かせることになる。前半5分オワイランがドリブルで30mほどを単独突破すると、最後は大会NO.1GKの呼びが高いプロドームからゴールを奪う。その後、シーフォにボールを集め攻勢に出るベルギーだったが、サウジアラビアGKデアイエを中心に鉄壁の守備で応戦。虎の子の1点を守り切り、金星を挙げる。

この結果、ここでも勝ち点と得失点差で3チームが並ぶという事態が起こり、総得点で下回るベルギーが3位となり、直接対決の結果によって首位オランダ2位サウジアラビアという結果となる。サウジアラビアアジア勢として1966年大会の北朝鮮以来28年ぶりとなる決勝トーナメント進出という快挙を成し遂げた。3戦全敗で敗退となったモロッコだが、全て1点差の接戦であり、ギリシャべるとだいぶ救いのある結果となった。

2つの暗いニュース

1つグループリーグ第2戦のアメリカ戦でチームの敗退の原因となるオウンゴールを犯したコロンビア代表のアンドレス・エスコバルが帰後に射殺された事件。1994年7月2日深夜3時半頃、エスコバルはコロンビアのメデジン郊外バー友人と歓談した後、店から出たところを暴撃され死亡した。享年27歳。

2つアルゼンチン英雄ディエゴ・マラドーナの追放事件。グループリーグ第2戦のナイジェリア戦後ドーピングにおいて尿から禁止物であるエフェドリンが検出。マラドーナは「2人に誓って違反するようなことはしていない」と訴えたが、判定は覆らず。マラドーナには1991年コカイン所持で逮捕され、出場停止処分を受けた前科もあるため、FIFAは大会からの追放と15カの出場停止処分という重い処分を下している。

決勝トーナメント

ラウンド16

スタメン起用に応えたベテランフェラーがNO.1GKを攻略

GKプロドームを擁するベルギーを相手に、ドイツリードレに代えて34歳のベテランFWフェラーを今大会初めてスタメンに起用。この采配が吉と出る。開始々にフェラーがプロドームからゴールを奪う。すぐにベルギーが同点とするが、前半11分にクリンスマンが勝ち越しのゴールを決める。

守備を固めてカウンターを狙うスタイルシフトしたドイツは前半終了間際にもフェラーがゴールを決め、リードを2点差に広げる。その後のベルギーの反撃を抑え逃げ切ったドイツが連覇へ向け一歩駒を進める。

ベルギーはこの試合でもプロドームが好セーブを連発し、終盤にはゴール前に攻めあがる執念を見せた。しかし、シーフォがドイツのザマーに封じられ、ゲームメイクがうまくいかなかったのがいた。

スペイン3発快勝でベスト8進出

前半15分この試合、グアルディオラに代わってスタメンに起用されたイエロが先制ゴールを決め、スペインが先制。その後もスペインボールを支配し、スイスを圧倒する流れが続く。また、イエロスイスフォルツァを監視し、シャプイザへのパスを遮断することでスイスの攻撃を流れを断ち切っていた。

疲れの見えたスイスに対し、スペインは後半29分にルイス・エンリケが追加点を奪えば、41分に得たPKをベギリスタインが決め、終わってみれば3-0の快勝。

この勝利に地元スペインでは、歓喜のあまり奮したサポーターによってマドリードの噴水広場の像が壊されるという事が起きている。

スウェーデンツインタワーサウジの快進撃を食い止める。

前半6分ダーリンの高い打点のヘディンシュートスウェーデンリードし、堅守速攻が売りのサウジアラビアリズムを狂わせる。スウェーデンサウジの堅守を上回るパワーとフィジカルで圧倒していた。

後半6分にはK・アンデションのミドルシュートスウェーデンが追加点を奪う。終盤にサウジも1点を返すが、後半43分にもK・アンデションがダメ押しの3点を決めて万事休す。

アジア勢で28年ぶりに決勝トーナメントに残ったサウジダーリンとK・アンデションの2トップでねじせた。

東欧マラドーナ」を擁するルーマニアが「本家マラドーナ」を失ったアルゼンチンを打ち砕く。

マラドーナショックを払拭したいアルゼンチンだったが、前半11分ドミトレスクにFKを決められ、出を挫かれる。それでも、15分に強引な突破で自らが得たPKをバティストゥータが決め、すぐに追いつく。ところが、そのわずか2分後ハジ芸術的なパスからドミトレスクが決め、ルーマニアがまたもリードを奪う。

焦るアルゼンチンは前がかりになった背後のスペースカウンターで狙われる悪循環に陥っていた。後半13分にはカウンターからハジが決め、ルーマニアリードを広げる。その後、1点を返したアルゼンチンだったが、マラドーナを欠いた攻撃では守りを固めたルーマニア攻略することは難しかった。

守護ボナーがまさかのキャッチミスオランダが余裕を残してのベスト8進出。

アイルランドの堅守にオランダの攻撃がどう挑むかという試合だったが、前半11分カウンターからベルカンプが2試合連続ゴールを決め、オランダがあっさりと先制する。

前半41分にはヨンクが放ったロングシュートGKボナーがまさかのキャッチミス。手の間をすり抜けボールゴールに吸い込まれる。前回、今回と躍進の立役者となっていたボナーにとってはあまりにも残酷な間であった。

後半流し気味にプレーするオランダに対し、アイルランドチャンスらしいチャンスを作れず。オランダが余を残しながらベスト8へと進出する。

開催アメリカの大善戦に予想以上に苦しんだブラジル

7月4日独立記念日に王ブラジルに挑戦することとなったホストアメリカ。多くのアメリカ民が見守ることとなった最高の舞台アメリカGKメオラ、DFララスを中心とした気迫の守備でゴールをかける。

そして前半43分執拗なマークに苛立ったブラジルレオナルドが相手の顔面に肘打ちをしてしまい退場となる。

10人になったブラジルだが、それでも地の差によりアメリカを攻め立てるが、ゴールが遠い。だが、後半27分ベベットがようやくアメリカゴールをこじ開ける。その後はブラジル逃げ切り、予想以上に苦しみながらもアメリカの挑戦を退けた。

敗れたアメリカだが、独立記念日の戦いは民の心を掴み、1年後プロリーグが発足。

「ようやく男になりました、R・バッジョ

GLをわずか2ゴールに終わり、辛うじて3位で這い上がってきたイタリアだったが、ナイジェリアの規格外のパワースピードに苦戦。前半25分セットプレーからアムニケが決め、ナイジェリアが先制する。

試合の導権が握れず苦しむイタリアにさらに悪夢が待ち受ける。後半34分途中出場のゾラが不可解な判定によって一発退場となる。GLで低調だったR・バッジョ批判を浴び、この試合でも沈黙したままだった。

R・バッジョの94年というのはこのまま終わってしまうんでしょうかね?」「そうでしょうね」ともが思った後半42分R・バッジョが起死回生の同点ゴールを決め、土壇場でイタリアが追いつく。

エース覚醒で息を吹き返したイタリアは、延長前半10分PKを得る。これをR・バッジョが決め、絶体絶命ピンチ英雄に救われたイタリア勝利を掴む。

今大会初のPK戦を制したブルガリアが初のベスト8進出。

前半6分エースのストイチコフがゴールを決め、ブルガリア々と先制。対するメキシコも前半18分に得たPKをガルシアアスペが決め、譲らない。

ストイチコフ、バラコフを中心としたブルガリアの攻撃に対し、メキシコ手な動きとユニフォーム話題となっていたGKカンポスが立ちはだかる。闘は延長戦でも決着が付かず、今大会初のPK戦へ突入。

ブルガリアの1人を止めたカンポスだったが、メキシコは3人までが立て続けに失敗。逆に2人以降は全員が決めたブルガリア勝利し、初のベスト8進出を果たす。

準々決勝

またもR・バッジョがアズーリを救う。

前半25分D・バッジョがミドルシュート叩き込み、イタリアが先制。今大会イタリアが前半にゴールを決めたのはこれが初めてだった。強スペイン流石にここで引きさがらず、反撃に出る。後半13分鮮やかな連携からカミネロが同点ゴールを決める。

勢いづいたスペインは猛攻を見せるが、なかなかゴールを割ることができない。スペインルイス・エンリケがタソッティに顔面を肘打ちをされ、骨折を負わされる。しかし審はこれを見逃してしまい、カードすら出されなかった。

劣勢の続いたイタリアだったが、またもあの男がイタリアを救う。後半42分麗なテクニックGKスビサレッタをかわしたR・バッジョゴールを決め、イタリアが2大会連続のベスト4進出を果たす。

ポジションタレントえるスペインだったが、試合を決められるFWの不在がイタリアとの差になってしまった。

壮絶な打ち合いに決着を付けたのはベテランSBのFK。

個人技のブラジルと組織オランダという好カードは、前半は互いにしく潰し合う着状態が続き、後半まずブラジル自慢の2トップが牙を剥く。後半8分カウンターからロマーリオが先制ゴールを決めれば、後半18分にはオフサイドの新ルールをうまく利用したベベットが抜け出し、追加点を奪う。ちなみに有名なゆりかごダンスはこの時生まれている。

だが、追加点のわずか1分後、ブラジルDFが気を抜いた隙を突いたベルカンプゴールを決め、オランダが反撃を開始。31分にはCKからヴィンターが決め、オランダが同点に追いつく。

2点のリードを失い焦るブラジルを救ったのは出場停止のレオナルドの代役として起用されたベテランブランコだった。自らが得たFKを直接ゴールに決め、ブラジルが勝ち越し。兵が試合を決め、底を見せたブラジルオランダとの死闘を制し、1978年以来となるベスト4進出を果たす。

魔法がかかったブルガリアが前回王者ドイツを破る大金星

評では圧倒的に優位と見られたドイツは前半からブルガリアを攻め立てる。後半2分にはクリンスマンが得たPKを将のマテウスが決め、ドイツが先制。もがいつも通りドイツが勝つと思っていた。

ところが、後半30分ストイチコフの左足によって魔法がかかったかのような完璧なFKが決まり、ブルガリアが同点に追いつく。疲れで足が止まっていたドイツに対し、ブルガリアは33分にレチコフが逆転のヘディンシュートを決める。

最後まで1点を追いかけたドイツだったが、ゴールは遠く、大会前ノーマークだったブルガリアベスト4進出。試合後、ストイチコフは「これはブルガリア歴史に残る勝利だ」とコメントしている。

時代の荒波を乗り越えたルーマニアの冒険はPK戦で終わる。

初のベスト8で民の期待は膨らみ、「ハジ大統領に」というさえあがったルーマニアスウェーデンキーマンであるハジ底的にマークし、拮抗した試合展開となる。

後半33分セットプレーからブローリンが決め、スウェーデンが先制。しかし、ルーマニアも後半43分こちらもセットプレーからラドチョウが決め、試合は延長戦に突入。

延長戦に入り、またもラドチョウが決めルーマニアリードするが、スウェーデンも終了5分前にK・アンデションが決め、両者譲らず決着はPK戦へ。PK戦でもサドンデスに突入する死闘となるが、スウェーデンGKラベリがベロデディチのシュートを止め、36年ぶりにベスト4へ進出。

準決勝

R・バッジョの2ゴールを守り切った満身創痍イタリアブルガリアを撃破。

ここまでイタリア勝利に導いてきたエースがこの試合でも躍動する。前半20分個人技からR・バッジョが先制ゴールを決めると、前半25分にはアルベルティーニの浮き球パスに反応したR・バッジョが右足ダイレクトでのシュートを決める。

2点のリードを失ったブルガリアも前半終了間際の44分にPKを得ると、ストイチコフが決め、1点を返す。ストイチコフは大会6ゴールとなり、サレンコと並んで大会得点ランクトップに立つ。

後半イタリアに受難が襲い掛かる。後半25分右太もも離れを起こしたR・バッジョピッチを後にする。エースを失ったイタリアは防戦一方となるが、守備が踏んり、ブルガリアのその後の反撃を許さなかった。

数々の苦難を乗り越え、決勝へ進んだイタリアだが、最大の立役者であるR・バッジョの状態は大きな不安材料となった。

GLの再戦は、ロマーリオの一撃でブラジルに軍配が上がる。

GLでも対戦している両チームの対戦は、高い個人技を駆使してほぼ一方的に攻めるブラジルに対し、パワー運動量で対抗するスウェーデンが耐えるという前回と同じ試合展開となる。

守りを固めるスウェーデンに対し、何度も決定機を作り出すブラジルだったが、なかなかゴールを決めることができない。一方のスウェーデンも守るだけで手一杯となり、後半25分にはドゥンガを削った将のテルンが一発退場となる。

1点が遠いブラジルだったが、後半35分ジョルジーニョの右からのクロスをロマーリオが頭で合わせ、ようやくゴールをこじ開ける。

この試合のブラジルにはこの1点で十分だった。終始試合を支配したブラジルが24年ぶりの優勝へ王手をかける。

3位決定戦

イタリア戦ですでにを使い果たしたブルガリアに対し、スウェーデンは前半8分ブローリンゴールで先制すると、30分ミルドが追加点。前半終了間際にはダーリン、K・アンデションの2トップがそれぞれゴールを決め、スウェーデンが前半だけで4点をリードするワンサイドゲームとなった。

準決勝で敗れたことで魔法が解けたかのようなブルガリアは、もはや抜け殻と化していた。単独得点王のかかったストイチコフにもゴールは生まれず。

前半で試合を決めたスウェーデンが快勝し、1950年大会以来の3位入賞となる。

決勝

ブラジル 0 - 0
( 3 - 2 )
イタリア

共に最多の3回の優勝経験を持つ両強豪国の対戦は、間の開催となったための炎下での死闘となった。イタリアは、戦線を離脱していた将のバレージが奇跡の復帰。ブルガリア戦で離れを起こし出場が危ぶまれたR・バッジョもスタメンに名を連ねた。

試合はコンディション面で優位に立つブラジルがロマーリオベベットの2トップを中心に攻め込む展開となるが、バレージ復帰で統率が取れたイタリアの守備を崩すことができない。一方のイタリアは頼みのR・バッジョが本来のコンディションとは程遠く、攻撃になかなかリズムが生まれない。

お互いに決め手を欠いたまま時間が進んだ試合は、次第に暑さと疲労で選手たちの動きが重くなり、延長戦になると足に不安を抱えるR・バッジョバレージが足を攣るなど、特にイタリアは極限をえていた。結局120分間でゴールは生まれず、ワールドカップ史上初めてPK戦優勝を決めることになる。

チームの1人失敗した後、3人が立て続けに成功したブラジルに対し、イタリアは4人マッサーロがGKタファレルに止められる。後がなくなったイタリアの5人キッカーはR・バッジョだった。しかし、R・バッジョが蹴ったボールは大きくを外れてしまい、ブラジル1970年以来24年ぶりとなる史上最多4度優勝を飾る。

大会まとめ

1994 FIFAワールドカップ 大会結果
優勝 ブラジルブラジル(4回)
優勝 イタリアイタリア
3位 スウェーデンスウェーデン
4位 ブルガリアブルガリア
個人表
大会MVP ブラジルロマーリオ
得点 ブルガリアリスト・ストイチコ
ロシアオレグサレン
最優秀GK ベルギーミシェルプロドーム

サッカー不毛の地」での開催というこれまでにないチャレンジをした15回ワールドカップだったが、蓋を開けてみると地元アメリカ代表の奮闘もあって大会は盛り上がりを見せ、観客動員数は約359万人、1試合あたり約6.9万人を記録。決勝には9万人を動員。いずれも大会の歴代最高記録叩き出した。この大会の大成功を受けて、アメリカでは1996年プロリーグであるMLSスタートしている。

優勝したのはブラジルだったが、大会後もっとも話題となったのは決勝でイタリア敗退となるPK失敗をし、悲劇のヒーローとなったロベルト・バッジョだった。特に、PKを外した直後のR・バッジョの哀愁を漂わせる後姿は、今大会のハイライトシーンとなり、サッカー史に残るシーンとしてり継がれることになる。また、ブルガリアルーマニアといった東欧勢、新アフリカで脅威となったナイジェリアアジア勢28年ぶりの決勝トーナメント進出を果たしたサウジアラビアなど、これまでワールドカップで活躍したことのないの躍進が立った大会でもあった。

クラブレベルで見ると、準優勝したイタリアは大半がACミランであり、活躍が立ったロマーリオ、ストイチコフ、ハジはいずれもFCバルセロナの所属と当時黄金期を迎えていた2チームの選手が活躍した。また、これまで以上にGKクローズアップされた大会でもあり、堅実な守備がったミシェルプロドーム、開催アメリカの躍進を支えたトニーメオラ、GKとしては小柄ながら俊敏なセービングと手なユニフォーム立ったメキシコのホルヘ・カンポスが話題となった。

大会の得点数は総得点141点、1試合均2.71得点記録し、史上最低記録となった前回大会から大きく善され、FIFAが施したルール正は成功したと言えるだろう。一方で、アメリカ広大大陸舞台にするため、各会場間の長距離移動、時差、気温・湿度の変化といったコンディションの厳しさが問題となり、加えてヨーロッパゴールデンアワーのテレビ中継に合うようスケジュールが組まれたため、の炎下でのデーゲームが多くなり、ベテラン勢の多かったドイツ期敗退、決勝に残った2チームの疲弊ぶりなど悪を与えている。

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1994 FIFAワールドカップ

1 ななしのよっしん
2018/02/18(日) 00:22:44 ID: K5gKXfTMOe
ここまでサッカーマイナーでやったのも初めてだろ
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2 ななしのよっしん
2023/11/15(水) 14:23:42 ID: ldUGbA4Hvy
日本ドーハの悲劇でこの大会行きを逃したけど、逆に世間がサッカーワールドカップにすすんで興味や関心を持つきっかけとなった大会でもある。
この大会でサッカー熱が高まったのはアメリカ、これまでアメリカにおいてマイナースポーツだったサッカー人気を博すきっかけになった大会でもある。
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