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概要
3D酔いとは、3D映像や3Dで構成されたビデオゲームのプレイ中に起きる乗り物酔いのような症状である。
3D酔いは、目で見ている3D映像が現実の物である=自分の体も動いているはず、という無意識の感覚と、実際の自分の体は動いていない、という状態のギャップによって引き起こされる。これは視覚で認識している映像情報と平衡感覚を司る三半規管で感じている平衡情報のずれが原因である。気持ち悪くなり、ひどくなると嘔吐する場合もある。3D酔いの発生は個人差が大きく、同じゲームを同じようにプレイしても3D酔いの症状が起きる人とまったく起きない人がいる。
ゲームジャンルではFPSやフライトシミュレーターなどをはじめとする自由視点を導入したゲームで3D酔いとなる人が目立つと言われている。例えばFPSの場合は主観視点という設計上、視点の移動が激しいことが原因と考えられる。ただし、これも個人差が多く、ヘッドボブ(画面の揺れ)の有無や、FOV(視野角)の広さ、視点の移動速度の設定やモニターの大きさなどで酔う人酔わない人はバラバラであり、デバイス環境の最適設定はあるものの、プレイヤーへの最適設定というものはなく、自身で設定が変更可能な場合がほとんどである。そして、ゲームジャンルの影響もほんの一例にすぎず、激しいスポーツ系FPSでも全く問題ない人もいれば、客観視点や見下ろし視点のRPGでも酔ってしまう人はいる。
前置きが長くなってしまったが、結局のところ人やゲームで合う合わないそれぞれで、しょーがない話である。
なお、国内のネット上の一部では3D酔いは日本人特有のものと解釈している文言も散見されるが、人種が関係するような根拠は全くなく、海外のコミュニティでもゲームでの3D酔いの悩みや、ゲームのグラフィックの設定の問題はよく語られている話である。このような解釈が流布されてしまっている一因としては、「3D酔い」という用語が日本独自のものであることが考えられる。英語圏には該当する英単語は無く、ゲームや映像での酔いの症状は「Motion Sickness(乗り物酔い)」の一種や単に「Vertigo(めまい)」と呼ばれているのが一般的である。(本記事の掲示板の>>99も要参照)
- Why Video Games Make You Feel Sick (and What You Can Do About It)
- FPSキーワード探究 第一回 「FOV」
※両方ともゲームにおけるFOV(視野角)の影響を解説した文章。海外のコミュニティ間での3D酔いの話題にも触れている。
3D酔い状態となった時の対処方法は、モニターの枠などのモニターの外を意識して視界に入れるようにし、映像に過度に没入しないようにする事である程度回避できる。ただし個人差が以下略…。また乗り物の酔い止め薬をつかっても軽減出来る。最初はひどく酔っても、休憩を挟みながらしばらく続けるうちに慣れて酔わなくなったりもする。
一番の対処法は、そのゲームを一旦中止してしばらく休むことである。
シミュレーターによる3D酔い
航空機の操縦訓練用にシミュレーターにおいて、何らかの事情で動揺装置を停止させたままシミュレーションを行うと、乗り物酔いの症状、つまり3D酔いが起きると言う。
今日のシミュレーターは非常に良くできており、計器類は本物と同じものを使い、画面上で再現される自機の動きもリアルなものになっている。元全日空パイロットで小説家の故・内田幹樹によると、初めて実機に搭乗する新人パイロットには「あっ、シミュレーターと同じだ」と感動するものが何人もいたとのこと。さらにシミュレーター稼働中は動揺装置が作動し、機体のピッチやロール、加速に伴って座席に体が押し付けられる感覚までも再現している。
しかし取材時の撮影などで動揺が邪魔になる場合は、これを停止させてシミュレーションを行う。するとパイロットは視覚情報としては機体の動きを認識しているが、通常であれば感じるはずの傾斜や加速の感覚を得られないため、視覚情報と体の感覚とに差が生じて酔う場合がある。これも3D酔いの一種と言えるだろう。
同様の事は自動車の運転シミュレーターでも起こりうる。自動車教習所やゲームセンターにある運転シミュレーターには、動揺装置がついていないものが多い。よって先述のパイロットの事例と同じく、視覚と体の感覚とでズレが生じ3D酔いを起こすことがある。編集者はそうであった。
関連動画
ニコニコ動画では3D酔いしやすいプレイヤーによる(反応を視聴者が楽しむ)プレイ動画や、3D酔いを引き起こしやすい激しい視点移動の映像が投稿されている。動画の内容がバラバラであることからも個人差が大きいことが伺えると思う。
関連項目
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