ここでは、動画撮影用フイルムのフォーマットの「8ミリ」について述べる。
曖昧さ回避の為、他の「8ミリ」の記述が必要であれば、遠慮無く掲示板で指摘していただきたい。
概要
一言で8ミリといっても、その内容には大きく分けて二つある。
前者は、世代の古いものであり、銀塩カメラ用のフィルムのように一コマ一コマがポジで撮影され、それを専用の映写機で連続再生するものである。
後者は、前者に比べれば新しい規格で、動画の一コマ一コマをデータ化して磁気テープに記録したものであり、ビデオデッキで再生しないと内容を確認することはできない。乱暴にいえば、ビデオテープを小型化したものである。
一時期VHSを小型にしたVHS-Cとシェアを争っていたが、SONYハンディカムなどの普及などで'90年代にはホームビデオ市場を制圧。長らく一般家庭でのビデオ撮影手段として活躍したが、2011年7月21日、ついに同年9月末でSONYが8ミリビデオの再生機の販売を終了することがアナウンスされた。これにより、8ミリテープに画像を記録する規格はすべてディスコンとなる。
ニコニコ動画では、8ミリのタグが付く動画は主に前者であるため、この記事でも前者について扱う。
8ミリフィルムの歴史
日本における8ミリフィルムの歴史は古く、戦前まで遡ることができる。 ただし、一般に認知されたのは戦後、1960年代にまで下る。
古来より、映画の撮影用フィルムには35ミリ幅のフィルムが用いられていた。(これを1コマずつ使うのが、我々が一般に目にすることができるカメラ用の135フィルムである。)しかし、これではカメラが大型化し、簡便な撮影には向かないものであった。
そこで、フイルムの幅を狭くしてカメラも小型化し、一般家庭での使用に耐えるものとすることを目指したのが8ミリフイルムである。
8ミリフィルムの特徴
細かい規格の相違はあるが、おおむね以下のような特徴を持っている。
- 撮影後、現像が必要である
現像の段階で後処理を加えたり、スチルカメラの技法を応用することが可能だった。 - コマそのものを目視しながら編集ができる
編集を行う場合は、フイルムを実際に切り貼りするのである。 - 基本的に、録画と同時に録音をすることはできない
必要な場合は、動画撮影機材とは別に、録音用の機材を持参する必要があった。後年、録音も可能な8ミリフィルムが登場したが、カメラ側にもマイクなど録音用装備が必要となった。 - フイルムの走行速度が遅い
これにより1秒あたりのフイルム枚数=テープの長さを減らすことができたのだが、カクカクとした動きになってしまった。
一長一短ではあるが、当時は映画撮影入門用の機材としては最適であり、8ミリフィルムで腕を磨き、その後、本格的な映画の世界へ飛び込んでいった映像作家は洋の東西を問わず多い。
8ミリフィルムの現在
残念ながら、8ミリフィルムの終焉は刻一刻と迫っているといわざるを得ない。
前述の8ミリビデオを始め、後継となる規格は多く、贔屓目に見てもその歴史的寿命はすでに尽きている。
しかしながら、ビデオ撮影が当たり前となった現在においてもフィルムでの撮影にこだわる映像作家がいるように、8ミリフィルムの味は単なる懐古趣味を超えて一定の評価を得ている。(でなければこんなタグが付く動画なぞうpされないだろう)
現在では8ミリフィルムの現像はどこでもできるものではなく、国内では限られたラボでのみ行われている。(それすらいつまで続くか不透明である。)
一線での使命を終えたとはいえ、そのフィルムならではの味わいやノスタルジーから、現在でも少なからぬ愛好家がいるのも事実である。
これは筆者の雑感であるが、工業製品としての衰退は避けられぬ定めだとしても、フィルムに収められた映像は二度と得ることができない不滅の文化遺産であり、後世に伝えるべきものである。
少しでも多くの文化遺産が後世に伝わることを願って止まない。
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