98MULTiとは、NEC(日本電気)がかつて販売していたPC-9821シリーズの一ブランドである。
概要
98MULTiは、当初Windowsに対応したマルチメディアパソコンとして開発されたが、急速に進出したAT互換機への対抗として、当初の企画の上に家庭向けWindowsパソコンとしての位置づけとなった。
そのため、モニター一体型もしくは付属している構成が基本となった。
基本スペックは98MATE Aシリーズとほぼ同じだが、32ビットローカルバスは内蔵されなかった。
初代からしばらくの間、独自のユーザーインターフェースを持つメニュー画面を持ち、パソコンの操作を知らないユーザーでも簡単操作ができる工夫がされた。
1994年、4代目からは「CanBe」(キャンビー)の愛称が付けられ、テレビチューナーを内蔵するなどさらにマルチメディア志向へと発展した。
ユーザーインターフェースも、独自の98ランチとなり、Windowsのアプリケーションも簡単に起動できる工夫がされた。
1997年には、ワイドテレビが付属し、AV家電としての利用を想定した「CEREB」(セレブ)へと発展したが、PC98-NXシリーズが発表されると、CEREB NXとして発売された後、VALUESTARに統合された。
ラインナップ
PC-9821(無印)
1992年発売。ウィンドウアクセラレータチップを搭載しない以外はPC-9821シリーズの基本スペックを持っていたが、当時は実験的なモデルと見なされて、ほとんど注目されなかった。
PC-9821 Ce
1993年発売。初代と筐体は同じで、CPUが強化、メモリーが増加された。HDD内蔵モデルにはWindows 3.1がプレインストールされた。
PC-9821 Cs2 / Ce2
1994年発売。筐体は初代から変わらず、CPUが強化されたCs2がラインナップされた。また、CD-ROMドライブは倍速対応となった。
PC-9821 Cf / Cx / Cb
初代CanBe。Cbはモニター一体型の筐体になり、CfとCxは従来と同じ本体だが、モニターがマルチスキャン対応となった。
また、ウィンドウアクセラレータチップが内蔵され、1024×768ドットの表示にも対応し、TVチューナーも内蔵された。
- CPU:Pentium 60MHz(Cf)/i486SX 33MHz(Cx、Cb)
- メモリー:7.6MB
- CD-ROM:倍速
- HDD:210MB(Cb)、270MB(Cx/S2)、540MB(Cx/S3、Cf)
- グラフィック:シーラス・ロジック GD-5430搭載(VRAM:1MB)
1024×768ピクセル256色(Cf、Cx)、640×480ピクセル1677万色 - モニター:15インチCRT付属(Cf、Cx)、15インチCRT内蔵(Cb)
PC-9821 Cx2 / Cb2
1995年発売。どちらも筐体が新しくなった。
Cb2は14インチモニターと小さくなったものの1024×768ピクセル表示に対応した。
Cx2ではPentiumプロセッサーを搭載し、17インチモニターがラインナップされた。
- CPU:Pentium 75MHz(Cx2)/i486DX 66MHz(Cb2)
- メモリー:7.6MB
- CD-ROM:倍速(Cb2)、4倍速(Cx2)
- HDD:420MB(Cb2、Cx2/B)、850MB(Cx2/T)
- グラフィック:シーラス・ロジック GD-5430搭載(VRAM:1MB)
1024×768ピクセル256色、640×480ピクセル1677万色 - モニター:17インチまたは15インチCRT付属(Cx2)、14インチCRT内蔵(Cb2)
PC-9821 Cx3 / Cb3
筐体は同じだが、CPUとグラフィック機能が強化され、メモリーは16MBに、サウンド機能としてSound Blaster 16相当のFM音源が搭載、そしてWindows 95がプレインストールされた。
- CPU:Pentium 100MHz(Cx3)/75MHz(Cb3)
- メモリー:16MB
- CD-ROM:4倍速
- HDD:850MB(Cb3、Cx3/S15T)、1.2GB(Cx3/S17M)
- グラフィック:シーラス・ロジック GD-5440搭載(VRAM:1MB)
1024×768ピクセル256色、640×480ピクセル1677万色 - サウンド:ステレオFM音源6音+SSG音源3音+ADPCM音源1音、ステレオFM音源20音
- モニター:17インチまたは15インチCRT付属(Cx3)、14インチCRT内蔵(Cb3)
PC-9821 Cr13 / Cx13 / Cb10
1996年発売。
新たに、液晶モニター一体型のCr13が加わった(愛称、CanBe Jam)。10インチTFT液晶を本体に組み込み、タッチパッド内蔵のキーボードは全面部分に収納、キャリングハンドルによる持ち運びが可能だった。
しかしモニターが小さく価格も高価で持ち運べるほどの重さではなかったこともあり、後継機は出なかった。
PC-9821 Ct16 / Cu10
筐体が一新され、モニター一体型のCuとタワー型のCtのラインナップに変更された。
Ct16には4連装のCD-ROMドライブが内蔵され、4枚のディスクを入れてボタンで交換できるようになった。
PC-9821 Ct20 / Cu16 / Cu13
Cuには6倍速4連装のCD-ROMドライブ、Ct20には、当時まだ高価だったCD-Rドライブが内蔵された。
PC-9821 Cu13T
1997年発売。Cu13のモニター部分にタッチパネルが組み込まれた。このモデルを最後に98MULTiならびにCanBeは終了となり、CEREBへと継承された。
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関連項目
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