CB400SFとは、本田技研工業が製造販売する水冷DOHC4バルブ直列四気筒399ccエンジンを搭載したネイキッドタイプのモーターサイクルである。
正式名称 CB400 Super Four。略してスーフォアなどと呼ばれる。本項では派生車種であるCB400 Super Bold'or(スーパーボルドール)も取り上げる。
概要
日本において125ccを超える排気量のモーターサイクルとしてはビッグスクーターを除くと最も多く新車販売されつづけている車両で、いわば日本のスポーツモーターサイクルのスタンダードであり、また代表する位置付けにいるバイクである。長年改良と熟成が行われてきた車種であるため、その信頼性は非常に高い。最初の一台のバイクとして、予算が許すならこれの新車を買っておけばまず間違いないと言われる車両の一つである。その高い信頼性のためバイク便やテレビ局の追跡中継バイクなどの事業用車両に使用されていることも多い。逆にそのスタンダードな位置付けを嫌い、優等生過ぎて面白みが無いと好まない向きも多い。
普通二輪免許の教習を受ける場合はたいていこれの教習車仕様(CB400SFK)に乗ることになる。ただし教習車仕様はコストカットの為に各種装備が簡略化されており、またエンジン出力も抑えられているため教習車仕様と市販仕様とで外観のみならず、走行性能の違いも多い。
長らく日本でしか販売されていない日本専用車種であったが、2008年から2016年にかけてオーストラリアでも販売されていた。
歴史
大きく分けて NC31型、NC39型、NC42型の三世代に分類できる。
NC31型(1992~1999)
1992年
- CB400 SUPER FOUR
- いわゆる初期型。それまで発売されていたCB-1からNC23Eエンジンを引き継ぎ、オーソドックスな鋼管ダブルクレードルフレームとツインサスペンション、ダブルディスクフロントブレーキで艤装した、PROJECT BIG-1の成果物の一つとしてデビュー。
1994年
- CB400 SUPER FOUR
- マイナーチェンジ。各所の見直しによる性能の向上調整、質感の向上など。これ以後、燃料計やハザードランプ機構が追加された。
1995年
- CB400 SUPER FOUR Version R
- スタンダードモデルのCB400SFをベースによりスポーツ走行に焦点を合わせたグレードとして発表。点火系、バルブ制御系、排気系、各所のディメンジョンなどが異なり、これにより出力特性・走行特性が従来とは全く異なるものになっている。ビキニカウルおよび角形ヘッドライトが外見上の特徴。
1996年
- CB400 SUPER FOUR Version S
- Version Rの性能を元に外形デザインをスタンダードモデルと同様の丸眼ヘッドライト・3眼メーターに戻したもの。エンジンに黒塗装を行うなど各所の質感を向上。4ポットキャリパーとフローティングディスクの採用によるブレーキ性能の向上が計られた。
- この従来よりも強化されたブレーキ周りについては後日スタンダードモデルにも標準装備されるようになっている。このタイミングで上位モデルである Version Sにはブレンボ社製のブレーキキャリパーが装備された。
NC39型(1999~)
1999年2月のフルモデルチェンジで登場。エンジンに低回転から中回転時に吸排気バルブを休止制御するHyper VTECが搭載された。 このHyper VTECが搭載されているのは2019年現在CB400SFとVFR800(RC46-2以降)のみである。
1999年
- CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC
- いわゆるHyper VTEC初期型。パッと見の外見で分かる点ではタンクやシート周りの形状、サイドパネル形状(NC31は三角形、NC39以降は異形五角形)がNC31型とは異なる。
- エンジン・フレーム・足回り等がNC31から全面再設計されている。一気筒あたり4バルブのエンジンではあるが、Hyper VTEC機構の搭載によりエンジン回転数6,750rpm以下では吸気排気共に1バルブ休止し2バルブのエンジンとして動作することで、燃費と低回転域でのトルクの向上を図っている。フロントサスペンションやブレーキにCBR900RRと同じ物を採用し高い運動性能を発揮。
- NC31型はバイアスタイヤであったがNC39型以降は幅広のラジアルタイヤを装備するようになった。このためこのモデル以後はリッタークラスの大型二輪と共通シリーズのタイヤを取り付けることがおおむね出来るようになっている。速度メーター・タコメーター等が従来の機械式からステッピングモーターによる電気制御となり、同時に距離計等も液晶パネル表示に変更された。
- このモデル以降、燃料タンクからの燃料給油パイプのコックが負圧コックに変更されたため、燃料タンク周りに燃料コック切り替えノブがない。
- 余談だが、このHyper VTEC初期型のみブレーキ、クラッチレバーの型番が他のCB400SFと異なる。部品取り寄せの場合には注意が必要。
2002年
- CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC SPEC II
- いわゆるSPEC2。Hyper VTECのセッティングが見直されバルブ切替回転数が6,750回転から6,300回転に変更。エンジンスイッチをONにすると速度メーター・タコメーターが一端振り切ってから0に戻るというメーターオープニング演出が追加。
- このモデル以後、セキュリティ機構の一種であるイモビライザー(HISS)が標準装備となる。正規の手順で事前登録された鍵でないとエンジン始動が出来ない。
2003年
- CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC SPEC III
- いわゆるSPEC3。HyperVTECの作動切り替え回転数が6速のみ6,750回転に再度変更(元に戻った)。これは6速で100km/hで巡航している際にSPEC2の6,300回転だとちょっとした加減速でHyper VTECの作動モードが切り替わり、出力特性が変わってしまい煩わしいという声が大きかったからだとされる。
シート形状の変更で足つきを向上し、マルチリフレクターヘッドライト、LEDブレーキランプなどを追加し、テールカウルのデザインを初代より変わらぬものから斬新な断面を伴った跳ね上がり形状に変更。
2005年
- CB400 SUPER BOLD'OR (HYPER VTEC SPEC III)
- いわゆるCB400SB。Bold'orとはフランス語で「金杯」の意で、フランスで行われている24時間耐久レースの名としても有名。
高速道路の二人乗り解禁に合わせ、高速巡航時の快適性を向上を図りSPEC3をベースにハーフカウルが付与されたモデル。このカウルの装備により前後の重量バランスがCB400SFとは異なるため、フロントサスペンションのセッティングが変更され、プリロード調整機構もこのモデル以降装備している。 - CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC SPEC III
- CB400SBのモデル追加と共にCB400SFもマイナーチェンジし、同様にフロントサスペンションにプリロード調整機構追加。2003年の同名のモデルとは、このプリロードアジャスターの有無およびメーター照明の色で区別できる。(前期型が橙色点灯、後期型が青点灯)
NC42型(2007~)
2007年末のフルモデルチェンジにて登場。電子制御燃料噴射機構(PGM-FI)の採用、アンチロックブレーキシステム(ABS)搭載モデルの登場が大きなトピックである。
エンジン設計、フレームの強度構造やサスペンションセッティング、エキゾーストパイプおよびサイレンサー等、全面的に再設計されている。単純に燃料噴射化されたのみならず、エンジン側面デザインがNC39とNC42では大幅に異なり、またエアクリーナーサイドカバーに「PGM-FI」の印字がある為、NC39との判別は難しくない。
平成19年排気ガス規制適合のため、燃料供給機構が従来のキャブレターから電子制御燃料噴射機構(PGM-FI)になり、排気ガス浄化のための三元触媒装置が装備された。電子制御になったためアクセル開度によってHyper VTEC切り替え回転数が6,300から6,750回転まで動的に変化させられるようになった。この世代では標準的に SUPER FOUR と SUPER BOL D'OR, および前後連動ABSである Combined ABS の装備あり/装備なし の掛け合わせで4モデルが用意されていた。エンジンの型式名も従来のNC23E型からNC42E型へと変更になっている。
2014年にマイナーチェンジ。新デザインの10本スポークのアルミダイキャストホイールに変更されたほか、サイドカバー、リアカウルなど外装が一部変更され、SUPER BOLD'ORにはLEDヘッドライトが装備された。メーターもギアインジケーターや燃費表示機能を持つ液晶パネルが追加されている。
2017年に10月に再びマイナーチェンジ。平成28年度排ガス規制に対応したことに加えて、スロットルボディーと排気系の刷新により、最高出力が3PSアップ(56PS/11,000rpm)。装備面ではSUPER FOURに待望のLEDヘッドライトの採用を始め、SUPER BOL D'OR全タイプにABSを標準装備、細かいところでは前後ホイールにL字型エアバルブやプッシュタイプのヘルメットホルダーを採用するなど、装備の充実化が図られている。
2007年
- CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC Revo
- いわゆるRevo。先述したように、より進化したHyper VTEC Revoを搭載されている。
- CB400 SUPER BOLD'OR HYPER VTEC Revo
- CB400SFと同時に派生車両であるCB400SBもフルモデルチェンジ。
2014年
- CB400 SUPER FOUR
- 車名からは外されているが、HYPER VTECは2007年式と同様のRevoを装備している。
- CB400 SUPER BOL D'OR
- 同時に派生車両であるCB400SBもモデルチェンジ。こちらはLEDヘッドライトの採用で外観の変化が大きい。
2017年
- CB400 SUPER FOUR
- CB400 SUPER BOLD'OR
- 現行モデル。このモデルチェンジでCB400SFは初代の発売から四半世紀を飾った。
入手に際しての注意
上記のように大きく分けて三世代が存在し、さらにHYPER VTECの世代や装備の差異で細かい世代の区別があり、NC31からNC42まですべて合わせるとパーツリストが20~30版程度出ているほど。
このためCB400SF、SBという名称だけではその世代を特定できず、メンテナンスやカスタム、修理にあたっては年式および型式を正確に把握する必要がある。幸いにも車検対象の排気量であるため車検証をみれば初度登録年月が確認でき、シート下フレームに貼られたラベルにモデルコード、カラーコードも記載されている。
2018年現在NC31は車齢25歳前後、NC39も初期型は20歳と古くなってきている。またCB400SFはバイク便のライダーなどにも多く愛用されており、20万や30万km乗った車体も確認されている。
非常に信頼性の高い部類に入るバイクだが、それでも故障しないわけではない。このバイクに限った話ではないが、中古車で入手する場合には販売店と打ち合わせの上で入念な点検整備と十分な消耗品の交換を行うようにされたし。ツーリング先の人跡乏しい山中で突然故障した時、泣くのはライダー自身である。
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