KG-6 スレイプニールとは、TVアニメ「アルドノア・ゼロ」に登場する歩行兵器・カタフラクトの機種名である。
概要
地球連合軍が火星ヴァース帝国の機動兵器・カタフラクトに対抗するために開発した有人人型兵器。
また本作における主人公機でもある。
全高13.5m。主動力機関はガスタービンエンジン。
名前は北欧神話の主神オーディンの愛馬・スレイプニルに由来する。
作中では後継機種「KG-7 アレイオン」が量産・配備されているため、訓練機として高等学校での兵科教練などに使用されている。
このため訓練機を示すオレンジ色に塗装されている。
開発経緯
ヴァース帝国の独立宣言以来、火星との戦争は避けられなくなった地球側だが、1999年の「ヘブンズ・フォール」による被害で人的資源・輸送手段等が不足していた。
そんな状況下で大量の戦力を配備する必要があった地球軍は、初期月面技術由来の電気伸縮式特殊樹脂に着目する。
この特殊樹脂は人工筋肉のようなもので、安価でエネルギー効率が高くてトルクもある代物であった。
開発当初は新型戦車に使用するつもりであったが、技術的限界や秒間伸縮の限界数により車輪やエンジンにはとても使い難い代物と判明したため、戦車への転用は断念された。
そこで技術者たちは「筋肉として使えるならそのまま手足にしちゃえばいいんじゃね?」と脚を設計し、それが設計中の戦車以上の機動性を得られる可能性があること、何より遥かに安価であることが決め手となって採用される。
また攻撃面に関して「既存の如何なる砲も取っ手をつけることで使用可能」ということで巨大駐退機兼自動装填装置となる腕を採用。
そこに安上がりにするために手足を最低限の数で済まそうという考えが加わったことで、二腕二脚の人型兵器が開発されることとなる。
地球製カタフラクトの実戦投入は2003年。当時ヘブンズフォール後の政情不安によって各地で
大規模な暴動が発生しており、その鎮圧に用いられた。(公式HP:Tx005-2)
尚、上記の暴動鎮圧に投入されたのが本機なのかは不明。
構造・性能面
予算面の事情により、コクピット周辺すら覆いきれないほどに装甲が削減されている。
メカニックデザインのI-Ⅳ氏によると「火力は高くできるけど普通に背の高い柔らか棺桶」とのこと。
装甲は下方面からの攻撃を想定して配置されており、胸部および大腿部の上方はインテーク類が剥き出しである。
火星カタフラクトに対抗するためという開発経緯の割には上記暴動鎮圧に誂えたような装甲配置である。
一方でその装甲の薄さによって後継機のアレイオン以上の運動性があり、主人公界塚伊奈帆は徴兵後もスレイプニールに搭乗し続けている。(本人が乗りなれているという理由もある)
ソフトウェアは汎用OS「ASIMOV」(Accuracy System Image Module for Optimum Velocity:最適効率のための正確な視覚システムモジュール)を採用。ネーミングの由来にはSF作家アイザック・アシモフの名前も含まれているとのこと。(TVアニメ公式ガイドブック参照)
コクピットは首の下部にあり、頭部が前方に展開するとハッチが現われ、左側頭部から昇降用のワイヤーが展開する。
内部にはディスプレイが複数配置されており、外部カメラの映像やレーダー、各種データを切り替えて表示する。
その為中は薄暗く閉鎖的で、火星側の明るくて広々としたコクピットとは対照的になっている。
非常時にはバックパックを排除し、コクピットモジュールをベイルアウトすることで搭乗者の命を確保する。
脚部に推進器と大型の安定翼を持ち、ホバリングによる移動を行うことができる。(後継機では安定翼は小型化されている)
また歩行時には上方に大きく跳ね上げるように展開することでスタビライザーとしての役割を果たす。
が、開発当初はこの機能を使うとは想定されてはなかったため、主翼の畳み方が面倒なことになっている。(フェブリVol.25)
具体的には根元から上に跳ね上げ、真ん中から下に折り畳んでいる。
腕部にはワイヤーアンカーが装備されており、機体の移動や固定などに使用できる。
ワイヤーは片腕分で本体重量を(宙づりで)支えきるほどの剛性を持つ。
またヘラスのロケットパンチに貼り付け、軌道をずらして同士討ちさせるといった使い方もなされた。
デザイン面においてI-Ⅳ氏は、可動時のシルエットの変化、移動・攻撃を下半身と上半身で分担できる、背中にボリュームを与えつつ(立体化した時に)腰に負担を掛けないで済む、などの理由で今の形に至ったとフェブリVol.25で述べている。
装備
- 75mmサブマシンガン
ブルパッブ式の短機関銃(砲)。アンダーバレルにグレネードランチャーを装着可能。
地球製カタフラクトの標準装備で、本編でも多くの機体・パイロットが使用していた。 - 120mmライフル
ヘラス戦で使用。HE弾を装填し、ロケットパンチの軌道を逸らしたり、推進器・展開時の指を破壊した。
遠距離狙撃の照準補正を精密に行っており、地球製カタフラクトの射撃性能の高さを示した。
上記兵装は劇中、HE弾(榴弾)・AP弾(徹甲弾)などの弾頭をマガジン交換で変更していた。
また、この武装に限らずニロケラスのような次元バリアを展開中の機体でなければ、火星側カタフラクトにも損傷を与えることも可能(何らかの対策を施しているため、損傷を与えるにはその対策を破る必要がある)。 - 75mm狙撃砲
長銃身の長距離狙撃砲。(条件次第で)直撃させればヘラスのような火星カタフラクトも破壊可能。
3話では橋を側面から狙撃して、分断している。弾種は不明。 - 75mmハンドガン
短銃身の小型自動拳銃。口径が狙撃砲と同じであるため、射程こそ短いものの威力は小さくない。
また、銃身が短いため取り回しも良い。弾種は不明。
7話ではスレインが搭乗するスカイキャリアへの合図代わりに利用された。 - コンバットナイフ
詳細な設定は不明だが、ニロケラスの装甲を切り裂ける程度の強度と切断力がある。
また、2話でニロケラス相手に鞠戸孝一郎(アレイオンに搭乗)がこの武装を用いてホバリングを併用した近接戦闘も行っている。 - グレネードランチャー
ポンプアクション式でリロードするグレネードランチャー。
13話において伊奈帆が2丁同時に装備。目の前で炸裂させた爆風を浴びることで、氷結空間を突破した。
この際、銃を回転させることで装填する所謂片手リロードを披露した。(搭乗者と合わせてこれなんてターミネーター?)
オプション
・タクティカルスーツ
リアクティブアーマーの役割を持つ追加装甲を装着した状態。通称アップリケのパジャマ。
劇中では5話で登場。アルギュレのビームサーベルのプラズマを爆風で弾き飛ばし、
敵機に掴み掛る隙を作る為に用いられた。
二の腕、胸部、脚部前面に装着され、インテーク部が塞がれている。
・コンフォーマルパワーアシスト
I-Ⅳ氏のでっち上げた名づけた兵器上の分類は「侵攻作戦用弾薬輸送補助大型外骨格機」、
つまりは武装運搬用の装備である。
元々は格段の踏破性・戦闘可能エリア拡大を果たしたカタフラクトに対して、
従来の車両では補給物資を輸送できない問題への解決策として開発されたものである。
腕・脚を背面から覆うように「着せる」外骨格で、数百トンもの積載能力とカタフラクトに
随伴可能な機動力を付加する。
手・脚を連結することで荷重を本装備内で完結させていて、
各部に姿勢制御用のロケットが付けられている。
肩部にエンジンがあり、腕部にライフルやマシンガン、各種弾倉を積載する。
11話・12話においては脚部装甲内に多数の小型ミサイルポッド、腕部にチャフやフレアを
搭載した状態で運用された。
(本体の両腕はフリーであり、この状態でもマシンガンなどの手持ちの火器を使用可能)
パラシュートユニット使用時にはバックパックは機体前方に配置され、着地後に背面に移動する。
戦闘中の着脱も一応可能。
劇中ではアームを直接打撃に用いた場面があるが、殴った部分がひしゃげていたり、
直後に該当部分の動力カットをしている点から用途外使用の可能性がある。
視聴者からのあだ名として「フルアーマー練習機」とも呼ばれる。
訓練機が(ガンダム的な意味で)フルアーマーとはこれ如何に・・・
・宇宙装備
スラスターなどを機体背面を中心に配置し、脚部も安定翼からスラスターに換装されている。
肩部にはハーケン付のワイヤーが複数搭載され、デブリなどに突き刺すことでスイングバイを可能としている。
主武装はロングバレルの無反動小銃。
装備自体はアレイオンと共通だが、伊奈帆機はわざわざオレンジ色の物を用意している。
劇中の活躍
火星カタフラクト「ニロケラス」撃破のために界塚伊奈帆ら高校生3名の手により3機が実戦投入される。
同機の誇る次元バリアの穴を運河に落とすことによって看破、これを撃破する。
続く「アルギュレ」の襲撃に対し2機が出撃。
伊奈帆機が中破されるもデリッククレーンを用いた奇襲によって損傷を負わせ、増援による援護もあってこれを撃退する。
同機の再来襲の際はタクティカルスーツ装備で1機が出撃。諸共に海に転落させ、水蒸気爆破によって撃破した(パイロットの伊奈帆は脱出している)。
種子島における「ヘラス」との遭遇戦において、配備されたアレイオンが不調だった伊奈帆が本機に搭乗。
乱入してきた火星の戦術輸送機「スカイキャリア」と連携することによってヘラスのロケットパンチを全機撃破、戦艦「デューカリオン」の援護もあって同機を撃墜(トドメはライエ・アリアーシュ搭乗のアレイオン)。
その後スカイキャリアも撃墜している。
ロシア地球連合本部における揚陸城攻略作戦ではコンフォーマルパワーアシストを装備して降下、多数の砲台を破壊・後続の降下を支援している。
揚陸城内部にてザーツバルム卿のカタフラクト「ディオスクリア」と交戦、複数のアルドノアを持つ同機に苦戦するも、いずれも以前に対処した能力であったため弱点を看破。
これを衝くことで合体パーツを破壊し、残る本体も格闘戦で追い詰めた。
余談
活躍の欄にあるように、1期終了時点で対火星カタフラクト戦において撃破2、アシスト1、大破1と非常に目覚ましい戦果をあげており、視聴者からは「こんな練習機(と学徒兵)がいるか」「もうあいつ一人でいいんじゃないかな」「オレンジ色の悪魔」「練習機(エース用)」と言われる羽目になった。
また本編中において火星側の一部の人物は、(アレイオンとスレイプニールがパッと見似てることもあって)エース格のパーソナルカラーだと誤解している節がある。
それどころかVs28-EP14によると、1年以上前(=1期)から火星側に「オレンジ色のカタフラクト」として噂されていた模様。
「翠星のガルガンティア」でも量産機のチェインバーが無双に近い活躍をしているが、ハイテクの塊であったチェインバーとは逆にローテクの機体であり、立ち位置としてはアーマードトルーパーに近い。
実際のところ所詮は一般的な兵器でしかないため、天才的な判断力と豊富な知識を持つ伊奈帆にしても、超兵器の敵相手に死線ギリギリの立ち回りも多く、初戦を凌いで再戦で勝利、上記のとおり機体もろとも破壊(その後は元々僚機だったもので継続)、また予期せぬ幸運が重なって勝利を勝ち取ったところもある。2期では部分的なサイボーグとなった伊奈帆の機械的な補助や、他の味方との連携がなければどうなったか分からない展開もある。なお、それに際し隠密での攻撃機動伝達役に徹するため、スレイプニールに乗らずに生身で挑んだ回も存在する。
総合すると、普通そのまま戦うと大敗北必死の相手に、うまくいけば勝機あり、戦術的に劣性あるいは互角まで引き上げて戦って勝利しているため、いわゆる無双とは異なる。
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