M2ブラッドレーとは、アメリカ合衆国で開発された歩兵戦闘車(IFV)である。
概要
1970年代から開発が始まり1980年から量産・配備が開始され1994年までに基本形4600両以上、後述する偵察型2100両近くが生産された後は改修を重ねながらアメリカ陸軍の機甲戦力の要として運用されている。
なお、『ブラッドレー』の名は第2次世界大戦の欧州戦線で機甲部隊の指揮を執っていたオマール・ブラッドレー元帥に由来する。
配備に至るまで
1950年代、欧州ではフランス、西ドイツにおいて歩兵戦闘車の開発・運用が始められアメリカ軍もこれに倣って開発試験が実施されたが試作成果は芳しくないものだった。
そして1967年、ソビエト連邦が『BMP-1』を公表したことに刺激を受けたアメリカ軍は歩兵戦闘車の開発を仕切り直す事になった。ちょうど同じ頃、新型偵察用装甲車の開発も実施されていたがこちらも芳しくなかった事に加えベトナム戦争の戦費に伴う軍事費削減も相まって開発計画は統合され、歩兵戦闘車型は『M2』、偵察車型は『M3』とされ1979年に制式化、翌1980年に量産が認可された。
構造・装備
全長6.5m、全幅3.2mの車体の外観は前方寄りに砲塔を備えているため戦車と見間違えられるが砲塔には25㎜機関砲+7.62㎜同軸機関銃とTOW対戦車ミサイル発射機(2連装)を装備している為、戦車と比べると火力はやや劣るが基本任務は随伴歩兵の輸送・支援である事からあまり問題とされていない。
使われる装甲は基本的に防弾仕様のアルミ合金を使用するが砲塔は防弾鋼板が追加、側面は中空装甲に加え後に爆発反応装甲が追加されている。
機関出力は当初500馬力、後の改良で600馬力に引き上げられているが装甲強化も実施されていることから最高速度は66㎞/hを維持している。
なお、側面にバルーン式浮舟を装備する事で水上航行も可能とされているがその時の最高速度は7㎞/hに過ぎない上、重量も当初の23t弱から改良・改修に伴って30tに増量されているため実用性は低い。
因みに乗員は固有乗員3名+随伴歩兵6、7名の編成になるが下車戦闘の場合は固有乗員の内、車長が加わって随伴歩兵の指揮を執る事になる。
その一方で前述の砲塔の武装に加え兵員室の左右側面・後部には歩兵が射撃するための銃眼が設けられていた。但しこの銃眼は歩兵が装備している小銃ではなくM16ベースの専用小銃『M231』しか使用できない。
この非効率さに加え銃眼が防御上の弱点になる事から改良によって銃眼は削減・廃止されている[1]。
形式・派生型
- M2A1
最初の改修型。搭乗歩兵が増え、対NBCフィルター、消火システムの強化がされた。 - M2A2
2度目の改修型。エンジン出力とサスペンションの改修・強化に加え、装甲と弾薬庫の強化がなされた。
その後湾岸戦争の経験から通信装置の強化を中心とした電子装備の追加を行った『ODS』[2]が実施された。 - M2A3
3度目の改修型。通信装備や搭乗員の端末など電子装備のアップデートが実施された。 - M3
基本的にはM2と同様の機構・改良を施されているが正式には『騎兵戦闘車』(偵察戦闘車)。搭乗歩兵を2名に減らした代わりに通信機や予備弾薬を追加している。 - M6ラインバッカー
砲塔のTOW発射機をFIM-92発射機(4連装)に変更した対空戦闘型。イラク戦争後に運用を停止してM2に戻された。 - M7ブラッドレーFISTV
機甲部隊に所属する砲兵の目となる弾着観測型。これも砲塔のTOW発射機を射撃観測センサーに変更している。
関連作品
動画
静画・MMDモデル
関連コミュニティ・チャンネル
関連項目
脚注
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