Nの部屋とは、ポケットモンスターブラック・ホワイトにおける随一のホワイトであり、ブラックである。
概要
ポケットモンスターシリーズは一見万人向けの優等生ゲームに見えて、実は毎度必ずと言っていいほどブラックな要素が含まれていることでも有名である(シオンタウン、ポケモンやしき、レジ系、もりのようかん、きんのたまおじさん等)。特に今作ブラック・ホワイトでは明らかに「子供向けという前提」に真っ向からそむいたような要素が多く、そのため一部で騒がれていた。
そういった今作のブラック要素が端的に現れたのがこの「Nの部屋」であり、主人公のライバルポジションにしてプラズマ団幹部ゲーチスの養子であるN個人にあてがわれた部屋である。
入る前、ゲーチスの部下であるダークトリニティから「あの部屋はNさまに与えられた世界……私は入っても何も感じないが、お前なら何か感じるかもな」と説明される点からしても、この部屋が通り一遍のものではないことが分かるだろう。
その内容は一言でいえば「荒れたプレイルーム」。ちょうど現実世界ではポケモンを買い与えられる前の園児が遊ぶような遊具やおもちゃが、青空と白雲を映した壁紙の部屋一面に転がっているという、それそのものではいたずら好きな子供が暴れた後という程度の部屋である。
しかし、Nはどう見ても青年である。
さらに、ゲーチスの傀儡とはいえ七賢人の王とされ、自身の主張を持っている。
そして、その姿と体面と主張で4回主人公と戦っているのである。
プラズマ団の内情が少なからず宗教団体に近く、プラズマ団やNが掲げる思想もかなり哲学的であり、その旗印としてNが君臨させられていること、Nの育てられ方がかなり異様であること(トレーナーに虐待され捨てられたポケモン達と同棲させられている)、そうやって養子を育てていたゲーチスが後にアレな本性を見せることなどもあって、この部屋を見てしまったトレーナーは2つの反応を示すことが多い。
「きもちわるい」と「そうでもない」と。
また、養父のゲーチスはそうして育てられたNが主人公に敗北すると「不完全で歪な人間」「人の心をもたぬバケモノ」と酷評した。
その部屋の内容の一部としては、
- テレビ、本、窓、端末といった外部の情報を得る物が一切ない。
- 少なくとも「数式に関心を寄せる」青年の部屋であるにも関わらず、幼児が遊ぶおもちゃしかない。
- 大型の遊具にポケモンの引っかき痕がある。
- 下記に挙げる、本来の遊び方から大きく逸脱したまま置き去られた数々の遊具。
- そうした部屋のまんなかに転がっているふしぎなアメ。
等々。発達段階にある子供の部屋としてみてもかなり異様な光景であり、謎の青年・Nの生い立ちもあり彼の内面性や境遇が垣間見える。見る人が見ればいくらでも隠喩や暗喩を読み取れる部屋であり、そのため各地で様々な解釈がなされている。
初版ポケモンを作った田尻智も「ポケモンはMOTHERを参考にして作られた」と発言したことといい、今作ブラック・ホワイトにて今までのシリーズではタブー視された問題を扱うことといい、その裏設定の黒さはMOTHERに似ていると発言する人も少なくない。
ちなみにこの部屋で流れる恐ろしいほどに単調なオルゴール調のBGMのタイトルは「ポケモンの子、N」 [1]である。Nに幸あれ。
BW2におけるNの部屋
続編のポケットモンスターブラック2・ホワイト2においてもNとNの部屋が現れる。部屋の様子は変わらないものの、オルゴール調のBGMの、特にテンポが異常におかしくなっている。不気味さに磨きがかかったようにも聞こえるが、ちょうどゼンマイバネが切れかけたオルゴールのようになっていることを考えると、2ではNの部屋ひいてはかつてのNの過去やトラウマが、Nの部屋に打ち捨てられた玩具のように「古びて過去の遺物となったモノ」になったことを示しているのかもしれない。Nに幸あれ。
スマブラBGM
なんと「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS」に収録のBGM「Nの城 メドレー」において上述の「ポケモンの子、N」がイントロとして採用された。イッシュポケモンリーグのステージを選択したら突然この曲が流れて驚いたプレイヤーも多いのではないだろうか。
ちなみにこのメドレーはイントロの「ポケモンの子、N」に始まり「Nの城」「ENDING ~それぞれの未来へ~」へと続いていくものとなっている。編曲は景山将太。
関連動画
関連項目
脚注
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