Netscapeとは、一世を風靡し既に過去の物となったウェブブラウザ、及び関連する事物の名称である。
概要
ソフトウェアの名称として
WWW黎明期に絶大なシェアを築いたブラウザ、インターネットスイートの名称。通称ネスケ、NN。
- Ver1~4
- 最初はMosaic Netscapeと言う名前だったが、Mosaic(画像を埋め込める世界初のブラウザ)の開発元に訴えられ、Netscape Navigatorと言う名前に。
Ver.2では、後にスタンダードな機能となるJavaScriptとHTTP Cookieを初めて搭載、フレームによって複数のページを分割表示する機能も追加された。このバージョンから日本語に対応した。
Ver.3ではGold Editionが追加され、HTMLエディタ、Eメールクライアントが含まれた。これが後にNetscape Communicatorとなっていく。この時点で絶大なシェアを得た(当時使われているブラウザの9割がNetscapeだったという)。
Ver.4ではプッシュ配信機能を加えたNetscape Communicatorも開発された。 - だが、後ろからMicrosoftが無償(実はWindowsの代金に上乗せ?)で送り出した、Internet Explorerの足音が…
- Ver6および7
- あれ?Ver5は? → オープンソースでの開発を進めていたものの、レンダリングエンジンに致命的な問題があって製品化を断念、ついでにこの間にIEにシェアを完全に奪われた。
結局レンダリングエンジンを買収した他社で開発されたGeckoをベースとして、Mozilla プロジェクト内部で開発、ベースとしてVer.6をリリースした。だが時既に遅し、開発した会社もAOLに買収されてしまった。
実際、Ver.6のGeckoにはバグが多く存在し、まともな製品といえなかった。Ver.7でGeckoは1.0.1となり、まともに扱える代物となった。 - Ver8および9
- Mozila Firefoxベースで制作された。Ver8はなぜかNetscape Browserという名称になっている。
- 現在
- 既にサポートも打ち切られ、脆弱性に対する修正も行われていない。
- サポート終了の際には、Netscape6以降に採用されているレンダリングエンジン「Gecko」を使用したブラウザ「Firefox」や「Flock」へ切り替えるように通知が出ていた。
社名として
- Netscape Communications
- 1994年4月4日にモザイク・コミュニケーションズ (Mosaic Communications Corporation) として設立され、同年11月14日にネットスケープコミュニケーションズに社名変更した(理由はVer1~4のところを参照)
- ネスケの開発元。AOLに買収されたため、今はもう無い。
余談
- バージョン4では、新たな機能としてJavaScriptと連動したダイナミックHTMLを搭載したが、IEとの互換性がない上に、W3Cが提唱したHTML 3.2に追加されたスタイルシート(CSS)の解釈でのバグが存在するなど、HTMLの標準から逸脱したものであった。
当時はNetscape用とIE用での互換性維持がWebデザイナー達にとっての課題であったが、全く異なる仕様のために新機能を導入できない問題が発生したことが、HTML 4.0でマークアップとデザインを分離する仕様へとシフトする引き金にもなった。
Netscape衰退の裏には、独占的な状況に酔いしれた独自規格追加の暴走があったともいえる。 - 現在は、ソフトが更新されていない関係上、セキュリティ的に問題があるため、使うことは危険である。ただしWebサイトによっては、未だ動作確認にネスケを推奨しているところもあるので注意。
- Netscape終了時に移行対象として推奨されたブラウザの一つ「Flock」だが、Geckoエンジンをベースとしたバージョンの開発は終了しており、「Safari」と同じWebkitエンジンベースで開発されていた。既に開発終了。
- Netscapeの元メンバーらは、FacebookやTwitterと連携できる新ブラウザ「RockMelt」を開発していた。ただ、このブラウザはNetscape復活に繋がるようなものではない(Chromiumプロジェクトから生まれたもので、エンジンもGeckoではなくWebkitが使われている)。既に開発終了。
関連項目
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