P・クリソゲヌムとは、不完全菌の一種。 医薬品のペニシリンが本種から発見されたことで有名。発見当時の学名P・ノタトゥムもよく知られている。
概要
旧学名
【学名】Penicillium notatum
(学名の由来)Penicillium→絵筆/notatum→紋のある
新学名
【学名】Penicillium chrysogenum
(学名の由来)Penicillium→絵筆/chrysogenum→黄金色+生じる
いわゆるアオカビの仲間。広く環境に存在し、最も普遍的に見られるカビの一つである。。分生子は青色~青緑色で、コロニーは時に黄色味を帯びることがある(これが種小名の由来)。
1928年に本種(当時の学名はP・ノタトゥム)からフレミングによってペニシリンが発見されたことは非常に有名。ペニシリンは世界で初めて発見された抗生物質で、1940年にフローリーとチェインによって単離された。1942年にベンジルペニシリン(ペニシリンG)が単離されて実用化され、第二次世界大戦中に多くの負傷兵や戦傷者を感染症から救った。この功績により、1945年にフレミング・フローリー・チェインの3名にノーベル医学・生理学賞が授与された。
ペニシリンはβ-ラクタム系の抗生物質で、細菌の細胞壁の主要成分であるペプチドグリカンを合成する酵素(PBP)を阻害し、増殖しようとする細菌に対して溶菌を起こすことによってそれを死滅させる。ヒトに対する毒性が低い点が画期的だったが、アレルゲンとしてはたらくことがあり、特に数万人に一人程度の確率でアナフィラキシー・ショック(ペニシリン・ショック)を引き起こすことがある。ペニシリン耐性細菌の出現も起こり問題となった。
本種からはペニシリン以外にもキサントシリンX(1950年に単離)などいくつかのβ-ラクタム系抗生物質が得られた。また、工業的には、本種の持つ酵素・グルコースオキシダーゼがジュースの保存料として利用されている。しかし、このように非常に有用な菌ではあるが、その胞子はヒトのアレルギーの原因物質になる。
「もやしもん」におけるP・クリソゲヌム
石川雅之の漫画・テレビアニメ「もやしもん」に登場する様々な菌たちの代表格としてもおなじみ。全体が青緑色で、頭部からは連なった分生子およびフィアライドをモチーフにしたと思われる棒状の突起が何本か(典型的には5本)伸びている。作中では現行の学名のP・クリソゲヌムで通っている。アニメ版の声優は神田朱未。
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関連項目
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