『RING of RED』(リングオブレッド)とは、2000年にコナミから発売されたPS2用ロボットシミュレーションゲームである。
作品そのものはマイナーながら、架空戦記の様な世界観と、歩兵をまじえた独特のシステムを評価する声が多い。
概要
太平洋戦争に敗北した日本が米ソによって南北分割統治されるという、仮想の歴史世界を舞台としたゲーム。
主な登場人物は歩行兵器「AFW(アーマード・ファイティング・ウォーカー)」のパイロットであり、南日本(日本国)の視点から北日本(日本共和国)との内戦を追う形で物語が展開してゆく。
ゲームシステムにおいては「随伴兵」という独自の要素が取り入れられており、ロボット兵器だけではなく歩兵も参加しての激しい地上戦が演出される。
システム
ステージマップ
ステージが始まると、まずスクエアタイプのマップに敵味方のユニットが配置される。そして1ターンごとにそれぞれ自軍ユニットを動し、移動や攻撃などを行う。
各スクエアには自然地形や市街地など様々な属性が当てられており、その上にいるユニットは防御力の上昇など特別な効果を得られることがある。
ここまでは『スパロボ』などと同じオーソドックスなSRPGに見えるが、ユニット同士の戦闘になると随伴兵の存在が勝敗を決める鍵となる。
戦闘
このゲームにおける1ユニットはAFW1体だけではなく、随伴兵3班を含んだ部隊単位となっている。敵ユニットとの戦闘が始まる前に、まずそのうち1班を「搭乗兵」として選択する。
搭乗兵はAFW外部に露出した足場に乗り、主砲に様々な弾を装填する役目を持つ(メインパイロットとは完全に別の扱い)。残り2班はAFWと並んで移動し、それぞれ直接戦闘に参加する。
戦闘に突入すると、スクエアマップとは異なる3Dフィールドに画面が切り替わる。そこでプレイヤーはAFWの移動や砲撃をリアルタイムに操作するほか、随伴兵へも支持を出して敵部隊の撃破を目指すことになる。
AFWには複数の種類があり、それぞれ射撃や格闘など得意とする戦法が異なる。しかしどの機体も一様に鈍重であり、前進・後退の速度は遅く、弾丸の装填など攻撃準備にも時間がかかる。だが一撃の火力は大きく、さらにパイロットごとの「必殺技」を使えば攻撃や回避を効果的に行うことが出来る。
同様に随伴兵にも複数の兵科があり、それぞれ所有武器で敵部隊に攻撃を行うほか、個別のスキルを持っている。スキルは一定時間後衛に待機することで使用可能になり、敵随伴兵を効率的に倒したり、AFWへ直接攻撃を行うなど様々な効果を発揮する。随伴兵の支援をもたないAFWは単なる的も同然となる。
しかしあくまでユニットの母体はAFWなので、機体が破壊されれば、随伴兵が残存しているかどうかに関わらずユニットは消失する。
主要登場人物
主人公。光菱インダストリーに所属するテストパイロット。日本人とドイツ人のハーフ。
混血であることにコンプレックスを抱えており、「雅美」ではなく「ヴァイ」と呼ばれることを望んでいる。
テスト中に奪われた新型機を破壊するため傭兵部隊「シュトライフェン」のリーダーとなり、北日本へと潜入する。
搭乗AFW:甲脚砲「白虎」
光菱インダストリーに所属するテストパイロット。母親は既に死亡、父親とは幼い頃に生き別れている。
ヴァイと共に北日本へ潜入し、シュトライフェンの一員として戦いをくぐり抜けていく。
搭乗AFW:甲脚砲「水狐」
南日本軍第五AFW師団に所属。階級は少尉。マンイーター。
新型機奪還作戦のためヴァイやリョウコに同行し、AFW操縦のほか、情報分析能力の高さから参謀的な役割を果たす。
搭乗AFW:軽甲脚「九鬼」
元海兵隊隊員であり、現在は米GMI社のテストパイロット。
鬼無里とは長い付き合いの戦友だが、性格は対照的に粗野で豪快。
ある目的からシュトライフェンの一員となる。
搭乗AFW:多脚砲「リトルジョン」
光菱インダストリーAFW部門の責任者。南日本軍より全権を任されている。事件後は新型機破壊のため、南日本に留まりながらの指揮に当たる。
ロドリゲス(40)
光菱インダストリーAFW部門所属の軍事教官。ヴァイたちと同行し、部隊の現場指揮を採る。
かつてはドイツ軍のAFWパイロットだったが、負傷により前線を退き、さらに戦犯として逮捕されかけたため日本に亡命した。シュリンゲンとは大戦時から上司と部下の関係。
シュトライフェンのメンバーからは独軍での最終階級「大佐」と呼ばれている。
マチルダ(32)
AFWの整備・補給担当の女性。独ネーベルン社から光菱インダストリーに派遣され、そのまま部隊にも同行する。
海宝雄(28)
北日本義勇軍のエースパイロット。「クリムゾン・ファントム」の異名を持つ。
ある計画の第一段階として南日本へ潜入、テスト中の新型AFWを強奪した。その折に初めてヴァイと交戦し、以後新型機の破壊を目指すシュトライフェンと何度も砲火を交えることになる。
搭乗AFW:甲脚砲「豹牙」
長谷部純(15)
北日本解放戦線カルマのメンバー。戦争孤児。容姿から女性に見られがちだがれっきとした男。早く一人前の男として認められたいと思っている。
搭乗AFW:軽甲脚「鵺」
北日本解放戦線カルマのメンバー。日本人とロシア人のハーフ。桐野一兵の養女。
搭乗AFW:多脚砲「桜舞」
桐野一兵(70)
北日本解放戦線カルマのリーダー。大戦時代は「ウィッチ・ハウンド(魔女の猟犬)」の異名で恐れられていた。現在も高齢でありながらも現役のAFW乗り。
搭乗AFW:対甲脚「神夷」
エミリオ・パニーニ(24)
元イタリアのアルピニ(山岳兵)。イタリア人が強いことを証明するため、日本に傭兵としてやってきた。
搭乗AFW:対甲脚「テンペスタ」
皆川英臣(47)
北日本義勇軍の指揮者。表面上はソ連に従いながらも、水面下である計画を進める。
搭乗AFW:対甲脚「夜叉」
セルゲイ(41)
ソビエト極東方面軍司令。北日本義勇軍を直率しているが、それほど有能ではない。適当な功績を挙げ、故郷のカザフに帰ることを望んでいる。
搭乗AFW:甲脚砲「G.セルゲイ」
AFW
第二次大戦中、ドイツ軍によって考案された新兵器。歩行機能によって丘陵や山岳地帯では戦車以上の機動力を発揮すると期待された。
しかし開発・量産された初期型にはまだ不備も多く、戦場に投入されたものの効果的に運用されたとは言えなかった。機体の改良は徐々に進められたものの、連合軍との戦力差を埋めるには至らなかった。
一方アメリカやソ連もそれぞれ鹵獲した独機に改良を加え、より実戦的な兵器として戦場に投入。
遠く離れた日本もドイツとの同盟関係から設計図等を入手しており、独自開発したAFWが本土決戦に使用された。
戦後、日本の様な山地の多い国では非常に効果的な兵器であると判断され、南北の日本で地上戦の主力として運用されている。
ちなみに本作の世界観では、「極東地域での航空機による武器の運搬」を禁止する旨の国際条約が締結されており、地上兵器の天敵となる航空兵器は登場しない。
機種
甲脚砲
代表的な歩行タイプの兵器で、陸上兵器の主力。性能のバランスが良く、「陸戦の王」と称される。本体に機関銃、右腕に主砲、左腕に格闘腕と防盾を持つ。
得意距離は中距離だが、極端に苦手な距離もない。
軽甲脚
機動性を重視した機種。軽武装・軽装甲で、機関砲や軽戦車砲を主武装とする。格闘腕は持たない。主に観測や偵察を担当し、戦場での需要は高い。
得意距離は近距離。
多脚砲
自走砲をルーツに持つ、最も長い歴史を持つ元祖AFW. 高火力の長砲身砲を主武装とする。格闘腕は持たない。大型の砲身を支えるため、脚が複数あるのが特徴。
得意距離は長距離。
対甲脚
対「AFW」として新しく開発された、白兵戦を重視した機種。砲を胴体中央に固定し、両腕とも格闘腕と防盾になっている。西側陣営は長距離火力の運用が主で対甲脚のそのものが存在せず、東側陣営のみで運用されている。
得意距離は白兵距離。
随伴兵
戦場においてAFWを支援する歩兵。6種類の兵科に分けられており、それぞれ異なる特徴を持つ。
また戦闘中に一定時間後衛に下げることで、固有のスキルを発動させることが可能となる。
各兵科は男女それぞれ3Dモデルや顔グラフィックが異なり、女性兵の割合もかなり多い。
部隊はそれぞれ「○○班」と人名らしき呼ばれ方をするものの、基本的に名ありのキャラクターは存在せずストーリー上はモブである。
- 歩兵:もっとも基本となる兵科。敵歩兵との戦闘に優れるが、AFWへの効果的な攻撃手段を持たない。
- 猟兵:ロケットランチャーにより対AFW攻撃を行うことが出来る。しかし防御力は全兵科の中で最低。
- 偵察兵:味方の攻撃距離を伸ばしたり、敵の地形効果を消したりと戦闘補助に優れた兵科。スキル「狙撃」は対兵戦で、「照明弾」は夜間戦闘で重宝する。
- 衛生兵:随伴兵を治療・回復する能力を持つ。全兵科で防御力が最も高い。他にも「白燐弾」を使うことで敵随伴兵の行動を封じることができる。
- 工兵:地雷を仕掛ける、または敵の地雷を除去するなど特別なスキルを持つ。
- 補給兵:AFWの補給や修理を請け負う兵科。搭乗兵に選ぶと弾丸装填が速くなる。また、敵AFWの動きを止める「鉄条網」も効果的なスキル。
関連動画
関連商品
関連項目
- 3
- 0pt