RPGツクールDSとは、エンターブレインから発売されたニンテンドーDS用RPG作成ソフトである。
本作はコンシューマツクールとしては珍しく、開発元もエンターブレイン。 デバッグは猿楽庁が担当した。
概要
コンシューマではPS2版RPGツクールより実に6年振り、携帯ゲームでは7年振りという、ツクラー待望の新作ツクール。
「DSは二画面構造だしツクール向きじゃね?」と、ツクラーからのリリース希望もちらほら見受けられた中、2009年ついにDS版ツクールの発売がアナウンス。
搭載される新要素が日を追うごとに明らかにされ、ツクラーのwktkもイヤが上でも盛り上がっていった。
その期待度はまさしく有頂点に達し、ツクラーは己の妄想構想をDS上に披露するべく全裸待機で理想を語り合ったのである。
本作における最大の新要素はWi-Fiを利用した機能拡張である。
まず、複数のDSでデータ制作が可能になった。つまりモノホンのゲーム制作同様、複数人でゲームを作れるようになっているのである!こいつぁ画期的だ!
さらに作ったゲームを(セーブは無理だが)ダウンロードプレイで本ソフトを持っていない人間にも送信可能。送れるのはダウンロードプレイサイズ、通称『DPサイズ』だが、楽に友達に自作ゲームを遊んでもらえるのだ。
Wi-Fiでは追加素材・Pixivで公募したゲーム向けイラストの配信なども行われる。素材不足もこれで解消だ!
(2013年6月末日でWi-Fiサービス『ツクール城』『ツクール城+』共に終了しています)
見事クソゲーオブザイヤー2010の候補作にノミネート!
……………あれ?
どういうことなの?ツクールDS
クソゲーオブザイヤーにノミネート。もう読者にはお分かりであろう。
本作RPGツクールDSもコンシューマツクールにありがちなクソツクールの仲間入りを果たしている。
期待度との落差の酷さも相俟って、シリーズ最高の駄目ツールではないかとも言われている。
が、他にも酷いのは山ほどあるので一概には言い切れない。
ただし、他のダメツクールは、それぞれなんだかんだで見所があるので救われていいる。
- バグは多けれど、基本システムには目を見張るところのあった4
- 重くてゲームやるってレベルじゃねぇ!とは思うもののツクールの可能性を広げたRPGツクール(PS2)
- 番外として、容量の少なさが鬼だがシステムや素材に見所のあるPS版SRPGツクール
これらのコンシューマ作品と比べるとダメ要素があまりにも多い。
確かに、Wi-Fi機能を生かした新要素は魅力的である。が、バグや仕様が全てを台無しにしてしまっている。
例えて言うなら屋根だけ豪華な基礎崩壊建築。メインディッシュが腐敗したフルコース。
クソツクールの定義は様々だろうが、基礎を完膚無きまでにダメに仕上げたツクールとしては紛う事なきクソツクール大賞候補だろう。こんな悲劇は二度とごめんだ!
以下、ツクールDSの駄目ポイントを綴る。購入前の参考にしてもらいたい。
- 転職、変数、属性、状態異常耐性、まさかの廃止。
他にもいろいろ「どうしてこうなった…」と言いたくなるほど要素が削られているが後述する。 - 主人公は最大8人まで、職業は16種類まで作れるという仕様。
しかし思い出してみよう、本作は転職は不可。……………残りの8の職業欄どうすりゃええのよ。 - DPの容量(116万)が「ゲーム作るってレベルじゃねえぞ!」な少なさ。
具体的に言うと「人やイベントなし」の状態で城を作るだけでも大体40万、町では30万消費する。
さらにそういったマップにパーツを一個置くだけで30万消費する……。
いかにえげつない制限かが分かるだろうが、エンターブレインはこの制限でコンテストを開催した。 - こんな仕様のため、フルサイズで作るにもたかが知れている。
容量はGBA版より2倍増だが、音楽設定で10万、魔法・モンスターなどでも3万消費……。
と、とにかく容量を食うので実質は半減してしまっている。 - 配信素材はそれら数少ない容量の中から容量を消費するので一式用意しようとするとロクに使えない。
せっかくのpixivとのコラボもこれでは台なしである。 - サンプルゲームが手抜き、プレイ時間はなんとわずか10分!しかしこれでもDPでは余裕でオーバー。
こんなんでも作るのだいぶ苦労したんだろうなァ…。 - 魔法攻撃&防御or有効無効、ステータス増減アイテム、レベル&ステータス引き継ぎ、特技忘却などなど。
これらが全て不可。 - 敵は状態変化+ダメージ攻撃ができるのに主人公側は出来ない。
- 即死魔法なし。カンストダメージで演出するしかないが、やはりなんとも言い難い不満が残る。
- 特技でもアイテムでも何故か眠りを解消するアイテムがない。
バグ
ゲームにバグは大なり小なり付き物だが、今回は無慈悲なフリーズ要素がシリーズでも最大レベル。
もはやバグラッシュ。ゲームするってレベルじゃねぇ…
公式サイトで謝罪文は一応出したが「こういう操作をしないでくれ」という告知だけでアフターケアはなし。
- もっとも有名なものとして、マップを未作成の状態でメニューからイベント作成を選び
方向キーの右を押してからAボタンを押すとフリーズする。ツクラーもフリーズしたくなる。 - いわゆる「反撃」のスキルは一度発動すると以降必ず発動するようになる。「たまに」と設定しても無駄。
しかも二回目以降はほぼ0ダメージになる。追い打ちにも程がある。 - 「移動中のみ」のアイテムが戦闘中でも使えてしまう。逆は普通なのに。
- 先頭のキャラが戦闘不能(シャレではない)になると魔法で他キャラにHP回復魔法を使うと効果なしになる。ただしMPは消費する。なにこのMP消費詐欺。
- MP消費半減などといったアイテムを装備しても、元の消費MP分が足りないと使えない。
※例・消費100の特技が50消費で使える!今残りMPは99、よし使うぜ!→「MP足りません」 - あとテレポート魔法は消費MPを設定してもMP消費しない。(ただし上の理屈でMPが足りないと使えない)
- モンスターが逃走すると経験値や金銭の報酬はないものの、死亡扱いとなり死亡演出が強制的に行われる。
- 「はい、いいえ」のコマンドで10文字使うと消費容量が3倍化。赤くないのに。
- 物イベントの角度を90度に変更すると何故か白い線みたいな異物がついてしまう。
- ダッシュした状態で後ずさるイベントを発生させると、その後ずさるスピードもダッシュ化。
- イベントで2ページ目以降のページを作った際、ページの入れ替えなどでそれを1ページ目に移動させると
そこで設定したイベント条件がどんなにいじっても残ってしまう。条件は一応無視されるがスイッチでは影響が残る。 - マップにおける
「都市・通常の白レンガ・屋敷02」の「内部1Fの左上部の部屋、机・椅子のパーツ」
がオブジェクト一個分消えてしまっている。 - 例えば……
それでいいですか? 「→はい いいえ」
本当によろしいですか?「→はい いいえ」
というイベントを作ったとして、その分岐の中に何も設定していない(つまり空っぽ)、とする。
すると本当ならもう発動しないはずの最初の「いいえ」のイベントが発動してしまう。
- 回数・個数制限のあるHP回復アイテムを使いきっても使えてしまう。しかもその後フリーズ。
- 店コマンドで「買う」を選択し、カーソルを動かしていない状態だと、数値比較・装備可能者が表示されない。
- データロードでキーロックを設定していないデータを選び
「セーブデータ2」「サンプルゲーム」「BACK」のどれかをタッチしっ放しだと画面がバグってしまう。 - 画面の色変更……例えば画面をモノクロみたいにした状態のままゲームオーバーになるとする。
すると続きからスタートしてもその色が継続されてしまう。ゲーム終了を選びタイトルからやっても変わらず……。 - ソフトを持ってない人にDLプレイしてもらう機能で
1.ゲームにおけるパーティの初期位置が部屋の中
2.初期の部屋が所属するタウンマップからこの部屋につながるイベントがない
上の条件が揃うとバグでゲームが始まらないことがある。 - モンスターに特技を設定する。その状態で特技一覧で並び替えを行う。
すると行動パターンがイカレてしまい、あげくセーブするとフリーズ。 - 移動画面でHP消費の特技を使う際、消費HPが丁度その時のHPと同じ(例:HP5、消費HP5)でも使用可能。
しかもそのままゲームオーバーにならない。全員そういう状態にしても戦闘が出来てしまう。 - イベント分岐で命令が50以上あるものをコピー(切り取り)→ペーストするとフリーズ。
- メッセージの顔グラにDL素材を使った状態で、その素材データを消す。
そしてそのグラが使われた命令を選ぶとフリーズ。 - 「雪の整った土地」から同じ土地の建物に場所移動イベントを作るとフリーズ。(雪だけに?)
- DPサイズ限定。マップに建物を置くと自動的に外部と内部を繋ぐイベントが制作される機能がある。
この際、マップ側入り口にあるイベントを消してしまうと、内部がFULLサイズ扱いになる。
この状態だとDPでもFULL容量となり、容量越えのゲームが作れる。ただし人に送るとフリーズするので無意味。
まだまだ細かいもの(普通にやってれば出ないもの)はある。
が、書くだけ悲しくなるだけであるのでこれくらいにしておいてあげよう。
いいとこは…救いはないんですか…!?
前述の通り、ツクール制作環境としてのニンテンドーDSは相性がかなり良い。水を得た魚と言ってもいい。
ATOKの搭載により文字入力もスムーズになり、今後のコンシューマツクールの進むべき方向性を「制作環境」と言う点から見ると良いものを提示した…と言えるのではないだろうか。
搭載されているちびツク機能も結構扱いやすく、それを使わなくても内蔵された素材が全体的に良質。
特にBGMは他のツクールと同様、好評価を得ている。
まぁ大雑把に言うとこんなところである。しかしそれらも容量のせいで使い切れな……
「気にするな!」
とりあえず頑張れば遊べる、という理由でクソゲーオブザイヤー2010からは選外となった。
無念というべきかホッとするべきか…。
ユーザーとしては複雑だが、試行錯誤を繰り返せば確かに良作を作ることは可能ではある。
ただし、上級者は大作はまず作れないと断言しても過言ではない、という酷い内容であることは念頭におくべきである。
初心者にしてもツクール入門としては適した側面こそある、が……
バグ・地味に痛い制限・イミフ要素の多さによってツクール自体に偏見を持たれてしまう可能性もある。
薦めるには勇気と冷静な判断が必要だ。
これほどのダメツクールにも関わらず、やはりRPGを自由に作りたいと願うゲーマーが多いのか需要が高く、なかなか相場崩れしない小憎らしいソフトである。薦めるにしても中古すら高めと言う難儀さ。
誰かにあげるにしても売り相場もなかなかだから勿体無いし……。
コンシューマツクールはいらない子なのか?
きっとツクラーの諸君は本作でコンシューマツクールに失望した人も多いだろう。
だが、「コンシューマツクールなんてもういらない」とまで本当に考えているだろうか?
PC版よりもゲーム感覚で作れて、軽くイジるだけでも楽しい作品が多く、素材が良好なものも多い。(本作もその一つ)
また、(バグはともかく)制約の中で面白いゲームを作ってやる、という楽しみ方もある。
そういった意気込みを持っているツクラーは多いはずだ。
特に本作はニンテンドーDSという、PCよりも気軽に遊んでもらえる絶好のプラットフォームであった。
つまり、問題点さえ解消されれば、正にこのツクールは神ゲーになっていたはずなのだ。
DSにハマる子供たちにも、かつて絶頂期だった頃のツクールの面白さを伝えられたはずなのだ。
その機会をそっくり台無しにしたエンターブレイン(しかも珍しくコンシューマ自社開発なのに……)に恨みは絶えない。
が、これに懲りずにまたコンシューマツクールを作って欲しい、そう期待するのがツクラーではないだろうか?
つかぶっちゃけ
RPGツクールDS+
まさかの続編。
なんとこれだけの大不評を買っておきながら、本作の続編RPGツクールDS+なる新ツクールが突如発表された。
2011年12月15日発売と、意外と早い発売日設定である。
プラットフォームは今時ニンテンドーDSで継続。
今度は現代、時代劇、SFの素材が追加され、顔などの表情も四種類ある。
ちなみに素材追加ということはキャラだけでなく、世界観においてもそれぞれのタイルが存在しているというわけだ。
ただでさえ容量不足が指摘されまくっているのに、そんなに素材を追加して大丈夫か?
一番いいツクールを頼む。
と思いきや、今回は容量自体はそれほど変わらない代わりに、消費容量の大幅削減に成功している。
つまり結論として容量問題はほぼ解決されていると言っていいだろう。
開発元は布陣がほぼ変わらない。
ただし前作と打って変わって宣伝には多く金が使われ、新作ツクール宣伝生放送が全4回で配信された。
生放送といいつつ、収録が多いなど雑な点は残ったが……。
前作に比べ、圧倒的にユーザーの不満が減少し、いちおう評価としてはそこそことなっている。
が、ファンタジー系素材の全滅、いくつかに渡る致命的なバグなど、デバッグ不足としか思えない要素は多い。
よって本作も相変わらず駄ゲーだとする声も少なくはない。
ツクラーとしてはそろそろ空想科学にカムバックしてもらいたいものであるが、仕方ないね。
仕様
内容
- ファンタジー素材は現状全廃。ツクール城からいくらかとってはこれるが、活躍させる場は少ない。
- 素材は戦国、現代、SFの三種のみ。ただしこの三つを併用してタイムトラベル展開みたいなのは可能。
- 素材の数は少なめ(特にSF)。しかしツクール城ダウンロード品は基本容量とは別なのでちょっと安心。
- 演出を強化。メッセージ画面にも変化があり、怒鳴った時などに吹き出しを変えたり出来るデカ文字を追加。
- 作成出来るゲーム数が4つまでにと倍増。
- DSi以降の機器限定で、撮影した写真を背景として使える。
- キャラグラはそれぞれ表情が4種ずつデフォで存在する。(表情チョイス自体はそれぞれバラバラ)
- 前作のコンテスト素材は全てDL可能。
- スイッチが200~500へ増加。スイッチの名前も指定出来る。
バグ
- イベント戦闘でアイテムを使うと二重にアイテムが消費される。(今作最大の批判点の一つ)
- イベント条件の二つ目には、スイッチ257~500が何故か使えない。
- 移動中使用可能の魔法を二つ作る。そして移動中魔法でMPを使い切っても移動中魔法はそのまま使用可能。しかもMPの表示がバグる。
- セーブすると移動魔法の移動先が登録されない。
関連動画
公式プロモーションビデオ
DSのPVは属性設定が可能に見えるなど、詐欺的なもので、これはひどいと評判。あと青野武の無駄遣い。
BGM集
サウンドトラック版と有志が作成したオリジナルリマスター版がある。
BGMだけ聞きたい人は、購入する前にこの動画を見てみるのもいいだろう。
関連商品
ご購入は計画的に(違う意味で)
無印
DS+
関連項目
- RPGツクール
- RPGツクール SUPER DANTE
- RPGツクール2
- RPGツクール3
- RPGツクール4
- RPGツクール5
- RPGツクール(PS2)
- RPGツクールVX Ace(DS+と同時発売)
- ツクールシリーズ
- クソゲーオブザイヤー2010
最後に
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