S2Uとは、原作版『魔法少女リリカルなのは』およびテレビアニメ版『魔法少女リリカルなのは』、『魔法少女リリカルなのはA's』に登場する魔法の杖である。
以降、原作版とアニメ版で大きく設定や活躍の度合いが異なるため、ここでは分けて解説する。
概要(原作版)
原作版『魔法少女リリカルなのは』においては、クロノ・ハーヴェイ(クロノ・ハラオウン)が愛用する魔法の杖。この時の正式名称は「高速計算法術杖 S2U」。また、レイジングハートと同じく起動の呪文が存在しており、その呪文は「レイデン・イリカル・クロルフル……我…誓約を持って、命ずるものなり」。なお、ボタン一つで名刺大のカードに折り畳まれ、普段はその形で所持されている。
物語の序盤では法術着に換装したクロノが手にするただの「敵役の杖」に過ぎず、中盤も久遠の電撃でショートしたり、
なのはとクロノ(Not魔法使いモード)との交流が物語のメインとなるため活躍の場は無いが、第12話と最終話ではスポットライトが当てられ、それまで忘れられていた分を取り返すかのように大活躍する。クライマックスではレイジングハートと協力して大いなる災いを退けた、レイジングハートの対となった最初の杖。
なのはとの直接の絆に重きが置かれたレイジングハートに対して、S2Uはクロノと彼の愛する者との絆の中にその存在意義を置く杖である。その対応関係はアニメ版無印のレイジングハートに対するバルディッシュに近い。もともとはリンディがクロノに贈った杖であり、クロノがそれにいろいろと手を加えたものが現在のS2Uである。「S2U」の名付け親もリンディであり、その真の意味は「SONG TO YOU(歌をあなたに)」。歌をうたえない[1]リンディが我が子に贈った歌という意味があり、オルゴールのようなメロディを奏でる機能がついている。
こ の杖を手に、当初のクロノはひとり災厄に立ち向かっていた。災厄との戦いの中でクロノとなのはは運命の出会いを果たし、友情と恋を育み、最後には二人の力で災厄を退ける。そして、この世界を去らねばならなくなったとき、クロノはこの愛杖をなのはに贈り、S2Uは力を失くしたレイジングハートとともになのはの思い出の品となる。なのははそれを形見にクロノとの再会の時をひたすら信じて待ち続け、幾年か後のある日、不意に流れ出すメロディが彼女に最愛の良人の帰還を告げた。
ちなみにそのメロディは劇中BGMとして、エピローグや二人が結ばれるシーンで嫌というほど聞かされる。曲名もズバリそのまま「Song To You」。ピアノの音色の静かで優しい曲である。
このように、原作版のS2Uは武器・デバイスというよりもイベントアイテムとしての意味合いが強い。この杖はリンディとクロノ、そしてクロノとなのはの絆の象徴なのである。そのため、原作版からのファンは、後述するアニメ版においてもS2Uにはスペックよりも情感を求める声が大きい。原作をプレイしたか否かによってキャラソート等の格付けや思い入れが、クロノやリンディ以上にやたら激しく上下する杖である。
概要(アニメ版)
アニメ版CVは久川綾で、数少ないネイティブではないデバイス音声の担当である[2]。
アニメ版では思考も変形もしない質実剛健な「ストレージデバイス」という形で登場しているが、所有者であるクロノの主役落ちに伴って影がきわめて薄くなる。待機形態は原作の記述に準じてカード型だが、オルゴール機能は当然ながらオミットされ、代わりにシステムボイスがリンディの声となり、わかる人にしかわからないファンサービスアイテムと化した。
『A's』ではそのボイスも流れずめぼしい活躍も来ないまま、終盤にほんのわずかしか登場していない超高性能デバイス「デュランダル」に活躍と人気を奪われお役御免と相成った。というわけで『StrikerS』ではまったく登場していない。
関連動画
関連項目
脚注
- *なお注釈を入れると、「歌をうたえない」というのは、多忙過ぎて子供に歌をうたってあげる程度のふれあいの時間すら取れなかった、という意味であり、別に音痴だとかそんな意味は微塵も無いので。念のため。
- *レイジングハートやバルディッシュは元より、グラーフアイゼンやレヴァンティンを担当する柿原徹也もドイツからの帰国子女でネイティブスピーカーである。
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