SCP-1710-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
カノンハブ『1998年』のはじまりのオブジェクトであり、いわばプロローグに当たる。
概要
SCP-1710-JP | |
基本情報 | |
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OC | Euclid |
収容場所 | エリア-1710 |
著者 | Dr_Kasugai |
作成日 | 2019年9月13日 |
タグ | 1998 k-クラスシナリオ ショパン・カルト プロメテウス ポータル 世界オカルト連合 儀式 動物 国外収容 場所 変容 宗教 捕食 敵対的 昆虫 現実改変 異次元 群れ 雑食 音楽 |
リンク | SCP-1710-JP |
SCPテンプレート |
ポーランドはマウォポルスカ県に存在する、最大幅120mの巨大な陥没穴。今に至る前でこの穴の底は確認されておらず、未知のポケットディメンションに接続すると考えられている。この穴からは毎年6-8月にかけて1-2万匹ほどのセミ (SCP-1710-JP-A)が出現する。このセミは通常のセミと遺伝的には同じだが、顔が故フレデリック・フランソワ・ショパンに酷似しており、その楽曲を発声する。このセミが初めて登場したのは1998年、イベント・ペルセポネと指定されたとある事件である。このイベント・ペルセポネとは1998年7月12-13日に発生した、一連の奇跡論的超常イベントの名前である。奇跡論というのは雑に言えば『魔法』ということである。
ポーランドの要注意団体に『ショパン・カルト (GoI-484)』というものがある。1年に1度、ショパンを召喚しようとするカルトであり、異常性のあるコンサートを主催している。このショパン・カルトには、主流派の他にいくつかの分派が存在しており、そのうち聴者を殺害し得る異常性を持つオブジェクトを運用する『ブラッディー・ショパン・カルト』の、更に分派であるGoI-484E ("聖ショパン再誕のための音術師協会")という団体が、このイベント・ペルセポネを引き起こした。この団体はヴォイチェフ・ノヴァク司祭が率いており、現実改変能力や奇跡論行使能力を有しそれによって超常的な音楽能力や大衆人気の獲得、聖人(歴史的な音楽家)の召喚を行うことで、ポーランド国内のメディアに一定の影響力を有していた。
彼らの目的もまた、聖ショパン、すなわちフレデリック・フランソワ・ショパンの召喚である。より丁寧に言うなら、神格化したフレデリック・フランソワ・ショパンの召喚が最終目的となる。GoI-484Eのなかではショパンが全音楽を統べる神として信仰されており、その力の維持と異常能力の獲得の契約を目的に様々な頽廃的儀式が敢行されてきた。しかし財団進学部門は、彼らの崇めるショパンが、実際にはショパンではなくそれに擬態したピスティファージ実体である可能性が高いとされている。ピスティファージ実体とはSCP-ENで言うところのSCP-3004 (イマーゴ)やSCP-6777 (バーチャルライバー一富士ばくぅ)に代表される「知性体の信仰を餌に生きる実体」である。メディアミックス『東方Project』の神様を想像するとわかりやすいかもしれない。彼女たちも信仰がなければ存在を維持できないように、この『偽ショパン』もショパン・カルトの聖ショパンに対する信仰をごはんとして生きているわけである。
イベント・ペルセポネ
このGoI-484Eのリーダー、ノヴァク司祭はメンバーに、音楽界への接続システムの構築を依頼していた。メンバーは、数百人の思考を接続して音楽界を具象化させることを目指していた。このシステムの開発は難航していたが、ノヴァク司祭はふとよそのシステムを拝借することを思いつく。そうしてGoI-484Eはプロメテウス研究所という異常技術を専門としたコングロマリットの、ひとつの子会社を襲いその技術資産を強奪。こうしてなんとかショパン召喚への道筋をつけていた。
しかし、大きく暴れておいてまったく警戒されないわけもない。世界オカルト連合 (以下GOC)はGoI-484Eの動きを問題視しはじめ、GoI-484Eのメンバーと交戦したり、計画に探りを入れ始めた。これを危機と感じたノヴァク司祭は、本来なら2001年を目指していたこのシステムの完成を1998年に早めさせたのである。
GOCとしても一刻も早くこのイカれたカルトを叩きたかったが、財団敷地内であることと、財団ほど優秀な記憶処理技術がないことを理由に財団に協力を要請していた。しかしその会議中にカルトサイドは早めに早めた工期で儀式を決行する。ショパンの楽曲を演奏し、円陣にはとある街の住人を磔にして強制的に意識を接続させ、機械と音楽と魔法で、ショパンの召喚に取り組んだ。やがて円陣からは光の柱が立ち上がり、Drugie przyjście(再臨)という声とともに、何かしらの実体が現れた。
当初こそカルトは歓喜していたが、やがて虫の羽音のような音が響くと、不安の声を上げ始める。彼らはその場から逃げようとするが、彼らをおおかた上述のショパンの顔をしたセミたちが襲い、喰らい尽くす。そして――
ショパンの顔をしたセミの幼虫のような実体 (UE-1076)が出現した。幼虫なのだが、このUE-1076は見立て90m弱にも及び、先程まで散々述べてきたSCP-1710-JP-A、つまり成体のショパン顔のセミを指揮し、彼らに自身の餌をとってこさせるというとんでもないバケモノとなっていたのである。
更にこの巨大不明生物は、ゆったりと民家を破壊しつつ北上。財団とGOCは速やかにSCP財団=世界オカルト連合間合同 巨大神格実体対策本部を設立し、対応に当たる。偵察に向かった財団ヘリ、及び財団とGOCの武装した航空部隊はセミの大群に襲われ撃墜。追加で別の部隊が、神格実体に対して有効となる神聖砲弾を掃射するも、巨大不明生物から放たれたビーム状の極高度アスペクト放射により弾丸と機体が溶解してしまう。
財団とGOCはポーランド政府に協力を要請。この間で民間人は既に1万名の死者をだし、気がつけば巨大不明生物のサイズは140mほどまでに成長していた。財団神学部門は「セミが幼虫であり、進行方向と実体の創造背景を考えると、このセミはショパンの生誕地であるジェラゾヴァ・ヴォラ村で"羽化"するのではないか?」という提言がなされる。無論、そんなことになればK-クラスシナリオ待ったなしであるため、財団とGOCはなんとしてもその手前であるプロショヴィツェ郡で実体への総攻撃を仕掛けることを計画。そして財団・GOC・そしてやってきたポーランド軍によって戦闘資産が展開されるとともに、GOCがポーランド南部全体に魔術結界を敷いて総攻撃を開始。
数万匹のショパン顔のセミに囲まれた巨大不明生物は240mにまで成長しており、財団・GOC・ポーランド軍の前にセミの総数は減ったものの、それでも三軍を蹂躙する。
しかし万事休すと思われた矢先、この巨大不明生物にヒビが入り、緑の光が漏れ出て周辺現実が落ち着く。弱体化したのである。このときショパン・カルトの主流派がワルシャワの聖十字架教会で、そこに保管されているショパンの心臓を使い、儀式を行っていたのだ。要は馬鹿なことをやらかした挙げ句後始末すらできなくなった分派のケツを拭いて巨大不明生物の鎮静化を図ったのだ。こうして弱体化した巨大不明生物は、財団・GOC・ポーランド軍の続く攻撃に耐えられず爆死。
こうして辛くも勝利を収めたものの、爆死した巨大不明生物は超極大規模の奇跡論パルスを発生させ、武力資産のみならず、ポーランド南部もろとも溶解させ消失させてしまった。流石に、この規模の超常事件を隠蔽する手段は財団もGOCもあいにく持ち合わせてはいない。財団とGOCは、この事件、そして二大正常性維持期間である自分たちを国際社会に知らせることに合意した。
国際社会は当然混乱した。無いと思っていた魔法の存在、ポーランドを襲った巨大な怪獣、そしてメン・イン・ブラック染みた研究機関 (財団)と、数多くの陰謀論の主体となった国連下部組織 (GOC)の実在、更に神様や異常存在・異常技術、そしてそれらを扱う組織が山のように存在することを一度に知らされたのだ。
世界は、不条理を受け入れて次の時代に進んでいく。
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関連項目
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