誤伝達部門より通達 当報告書にはセクションの欠落、文脈の切断、システムエラーなどが含まれていますが、それらは広く既知の情報であるため、全く問題ありません。円滑なコミュニケーションに不要な情報は省略されます。 SCP-2199-JP - SCP財団より,2022/07/14閲覧 |
SCP-2199-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『ハイコンテクスタリゲーター』。
概要
SCP-2199-JP | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Euclid [1] |
収容場所 | エリア-81JH[2] |
著者 | stengan774 |
作成日 | 2020年10月15日 |
タグ | [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] [省略] エルマ外教 誤伝達部門 形式部門 |
リンク | SCP-2199-JP |
SCPテンプレート |
SCP-2199-JPはエリア-81JHに収容されている。これ以上の手順は担当者から現地で口頭にて伝達を受けることになっている。ただし、SCP-2911-JPについての伝達は、一部限定された知識でのみ適切な誤伝達にて行う。
入力 | 出力 |
---|---|
"SCP-2199-JP"という呼称 | 限定された知識 |
[性質についての言及] | 広く既知 |
[種族についての言及] | 広く既知 |
[外見についての言及] | 広く既知 |
[種族に基づいた呼称] | 広く既知 |
[外見に基づいた呼称] | 広く既知 |
[性質に基づいた呼称] | 一部限定された知識 |
"あのめんどくさいやつ"という呼称 | 限定された知識 |
"みんな知ってるアレ"という呼称 | 限定された知識 |
"あのアノマリー"という呼称 | 限定された知識 |
"アレ"という呼称 | 限定された知識 |
性質/種族/外見についてのハイパーリンクを利用した誘導 | 広く既知 |
[婉曲を用いた言及] | 一部限定された知識 |
初期収容に関する説明 | 広く既知 |
性質/種族/外見に言及しない初期収容に関する説明 | 広く既知 |
性質の起源に関する説明 | 広く既知 |
性質/種族/外見に直接言及しない性質の起源に関する説明 | 限定された知識 |
脚注による性質/種族/外見に対する直接的言及でない示唆 | 限定された知識 |
ビジュアル資料 | 広く既知 |
外見/種族を暗示するビジュアル資料 | 広く既知 |
図像2199-JP | 限定された知識 |
図像2199-JPについての説明 | 広く既知 |
SCP-2199-JPの性質/種族/外見に言及しない図像2199-JPについての説明 | 限定された知識 |
図像2199-JPへの視覚的強調処理 | 広く既知 |
キャプションによる図像2199-JPの一部要素の強調 | 広く既知 |
こうした性質にも関わらず、以下の図像2199-JPは現在までSCP-2199-JPの影響を受けない唯一の言及となっている (以下のTweetの画像がそれ)。この理由は不明であるが、研究チームは「この画像が物理的に劣化している、あるいは同時に写り込んでいる実体がなんらかの変化要因になっているのではないか」という見解を示している。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/snsnojisan/status/1316665246669438981
SCP-2199-JPは、外見的評価から、GoI-101 ("エルマ外教")に関連すると見られている。この要注意団体は異世界への移動を教義上の目的とする宗教団体であり、その移動先の現地の在住者たちとの円滑なコミュニケーションの補助として、必要な"[省略]の共有"を容易にするための試みとして、SCP-2199-JPに異常性を付与した (作成したわけではない)。これは形式上は成功しているが、実践面としてはエルマ外教の想定から真逆に外れた失敗といえよう。
付属資料
本報告書には、SCP-2199-JPについて直接的言及ではないいくつかの資料が付属している。
カウンセリング申請記録
上記表を作成した形式部門の所属者のひとりは財団のカウンセラーにカウンセリングの申請を行った。この人間はSCP-2199-JPの実験担当を務めているが、この異常性の形式を検証するために何度も繰り返し当たり前のことを試さないといけないことが辛くてたまらないのだという。これがオブジェクトを由来とするのか、職場のせいなのかを調べてほしいという。
Ketergrams 2009年度版
Ketergramsは、業務中の財団職員が死亡する要因となった事実および出来事の概略を速やかに広めるため年度ごとに実施されている安全小委員会プログラムである。要は他の職場でもよくある事故事例共有というやつである。
2009年、5年間の研究職務経験を有する研究員が、第26号通路を移動する際にSCP-2199-JPにより頭部に致命傷を負った。この被害者はSCP-2199-JPに関連しないヒューマノイド型オブジェクトに割り当てられており、SCP-2199-JPとは別件の収容違反のために勤務区画から対比する際に、こちらも収容違反していたSCP-2199-JPに遭遇した。SCP-2199-JPに類するオブジェクトに対処訓練を受けていなかった被害者はSCP-2199-JPに気付くことなく近づいてしまい、その外傷が元で失血死した。
SCP-2199-JP収容房を監視していた保安職員は、その収容違反を認知していながらも保安プロトコルに規定されている通りの収容違反オフィス及びサイト保安部への速やかな伝達を怠っていた。この理由として保安職員は「そのことはみんなすでに知っているものだと思った」と回答している。
誤伝達部門職員による、SCP-2199-JPの性質に関する誤伝達対話の音声記録
誤伝達部門日本支部の濃霧院博士と色敷研究員の会話ログが付随している。濃霧院博士は色敷研究員に、SCP-2199-JPはどういう性質と言えると考えるか尋ねる。すると色敷研究員は「SCP-2199-JPを言及する際には恥ずかしさや恐怖感を覚える」と回答。いわく、無知であることを晒してしまうんじゃないか、と。
濃霧院博士は、色敷研究員に、「ミーム」と「SRA」について解説させる。色敷研究員は双方にスラスラと解答する。濃霧院博士は、色敷研究員はわざわざみんな知っていて当たり前の事柄を説明させられた色敷君は面倒だと感じただろう、と色敷研究員に語る。私がミームとSRAを知っていれば、色敷君に説明させる手間を取らせずに円滑なコミュニケーションを取れたはずだ、と。
色敷研究員は濃霧院博士の言に同意しつつも、「自分だけが知っている限定された知識を、広く既知な常識と思い込み、あえて伝えないミスを犯すかもしれない」と回答する。濃霧院博士も頷き、「知らない人と友達になるときも[省略]の共有は大事であり、内輪ネタも[省略]を知らない人には面白みがわからないと言う意味で揶揄に使われるが、[省略]を知っている人には連帯感が産まれる」と語る。しかしそれは一緒に説明しようとすれば冗長になる。コミュニケーションの受け手に甘え、広く既知な事柄は詳述しないほうが円滑なコミュニケーションができる、しかし受け手が[省略]を持っているとは限らない、悩ましい問題ですね、と色敷研究員が語ると、濃霧院博士も今も悩んでいる、と吐露して音声記録は終了する。
メタ的な解説
SCP-2199-JP | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Euclid |
収容場所 | エリア-81JH |
著者 | stengan774 |
作成日 | 2020年10月15日 |
タグ | 概念 感情 自我 生命 知識 動物 肉食 強制力 情報災害 爬虫類 ミーム メタ 交換 エルマ外教 誤伝達部門 形式部門 |
リンク | SCP-2199-JP |
SCPテンプレート |
SCP-2199-JPとは何なのか。ここからはメタ的な解説を行っていこう。
SCP-2199-JPの影響を受けない唯一の画像は図像2199-JPのみである。エリア-81JHは異常な動物を主に収容するサイトであることを考えれば、図像右側のワニがSCP-2199-JPであろうと考えられる。ワニ故に意思を持つので、オブジェクトクラスはEuclidとなっている。
エルマ外教がこのSCP-2199-JPに指定されるワニに付与しようとした能力とは、ズバリ「前提となる知識を言及せずに会話ができるようにする」こと。[省略]とは前提知識となる部分のことである。というより、報告書中の[省略]は全て「前提知識」と置き換えて読めばわかりやすい。
さて、この「前提となる知識を言及せずに会話ができるようにする」だが、エルマ外教が作りたかったのは「相手もそのワニをみたとき、どんな特性があるかひと目見てわかる特性」のような類の異常性を持ったワニであろう。しかし出来上がったのはむしろ、「このワニに関する情報は、それを知る人にとってそれが広く既知なことである」と思わせてしまうワニ、になってしまった。その結果、困ったことになる。
眼の前の貴方がニコ百編集者だったとしよう。あなたは『東方Project』について非常に豊富な知識を有していて、最新作のキャラクターについての解説記事を作成したいと考えている。記事中において、そのキャラクターと関わりを持つ別のキャラクターについても、詳述はそのキャラクターのページに譲るだろうが、簡単な概要くらいは説明を行うはずだ。しかし、例えば『博麗霊夢』や『霧雨魔理沙』についての説明を挟もうとするだろうか。おそらく、「そんな皆知ってる霊夢と魔理沙なんて説明しなくていいだろう」と判断するはずである。いちいち解説をするのも野暮だ、文字稼ぎと思われるかもしれない、と。
ところがある日そんなあなたが解説したキャラクターが、特定のフェチを刺激して大ブームが発生する。その影響で東方をまったく知らない人が読んだとする。おそらくその読者は「え?霊夢って誰?魔理沙?なんかそんなにこのキャラと関係なさそうなのになんでこんなゲーム中で会話してるの?」とクエスチョンマークが浮かぶはずだ。そして、その記事を説明が欠如した記事と看做すであろう。
これが色敷研究員が指摘する内容である。「皆知っていると思った」から記載しない。というより、言及するのが憚られるのであえて書かない。「当たり前のことを書いてんじゃねえよ」と思われそうだ。野暮だ。カウンセリングを求める職員も、皆知っている当たり前のことを何度も何度も実験させられたことで心を病んでしまう。……しかし、知らない人は知らないがゆえに、困ることになる。保安職員はワニの脱走している事実を認知しながらも、ワニの異常性の影響下にあるため「皆ワニが脱走していることを知っているだろう」と思い込んだ。当たり前のことをわざわざ収容違反オフィスや保安部に報告するのは職務の妨害だ。いちいち報告のために人の手を煩わせるわけにはいかない。そうして報告していないので、SCP-2199-JPというワニが収容されていることも、そしてそのワニが脱走していることも知らない研究者は通りかかってワニに食われてしまった。頭部にダメージを負っているのは、このワニが写真でも立ち上がっていることから、おそらくワニは二足歩行できるのであろう。
上記の異常性はワニとの情報としての関連性が低い状況では働かないことがわかる。だから財団はオブジェクトクラスやサイトの情報といった「広く既知」な内容をあえてわざわざ記述している。「このオブジェクトは生き物なんですよ」と読者に察してもらうためである。またエルマ外教についてもワニとの直接的な情報の関連性はないため言及が可能となる (ワニの異常性がエルマ外教由来というだけであり、エルマ外教はワニなしでも成立する宗教だからである)。
まさに、「High Context Alligator」というわけである。
関連動画
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関連項目
脚注
- *Euclidクラスのオブジェクトというは完全に収容するのにSafeクラスと比較してより多くの資源を必要とするアノマリーや、その収容が必ずしも信頼できるものではない、つまり暫定的に収容できているがその手法が問題ないという確認が取れていないアノマリーである。特に自律性、自我、知性を持つ、平たく言えば意思を持つオブジェクトは、それ自身が思考または活動することにより本質的に予測不可能であるため、通常はEuclidに分類されている。
- *財団に非友好的な要注意団体によって作られたオブジェクトの収容を目的とする。特に外部委託せずに生物アノマリーを収容できるという強みを持つエリアである。
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