SCP-2719とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
概要
SCP-2719 | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Keter |
収容場所 | N/A |
著者 | Randomini |
作成日 | 2015年7月5日 |
タグ | ブライト博士 不死身の爬虫類 概念 |
リンク | SCP-2719 |
SCPテンプレート |
SCP-2719は特別収容プロトコルが「ただ、内側に留め置かれていなくてはいけない」の一言で示されてしまう。説明は『可変性抽象的-形而上学的概念構成ポインタ』であるとされ、これによって影響された概念は内側に入るか、内側になるということだけが報告書で述べられており、SCP-2719についてのさらなる情報は知覚のある生物学的職員に提供されてはならないのだという。
いやいや、待ってくれよと読者諸兄は思っただろう。何しろ、知覚のある生物学的職員って人間は皆そうだろうと思う。財団には人間かどうか怪しい職員も存在するが、その職員たちだって知覚があることは間違いはないだろう。一応、財団にはAIの職員と呼べる、人工知能徴募員(Artificially Intelligent Conscript)が存在するので、まったくの生物ではない職員はいないこともないが、こうしてみるとSCP-2719について、生きとし生けるものには情報は殆ど開示されないときた。代わりに、実験データなるものが以下のように添付されている。
ポインタ | 結果 |
---|---|
2008 Opel Astra | 内側だった。 |
D-5789 | 内側に入った。 |
D-5794 | 内側に入った。 |
D-5796 | 内側になった。 |
D-5802 | 内側に入った。 内側は苦悩した。 |
収容ユニット2719-A | 内側に入った。 内側は死ぬ。 |
収容ユニット2719-B | 内側に入った。 |
収容ユニット2719-C | 内側になった。 |
D-5803 | 内側に入った。 |
D-5805 | 内側に入った。 |
D-5812 | 内側に入った。 |
D-5813 | 内側になった。 |
収容ユニット2719-B | 内側になった。 |
ウレオボルイ、フィンランド | 内側になった。 |
ウレオボルイの人々 | 内側に入った。避難手順として成功した使用法。 |
収容ユニット682-V | 内側になった。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 内側になった。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 外側。 |
O5 | 内側になった。 |
Zermelo博士 | 内側に入った。 |
処罰 | 内側になった。 |
O5-7 | 内側に入った。 |
ブライト博士 | 内側になった。 |
腸の苦しみ | 外側。 (ナイストライ。) |
腸の苦しみ | 内側になった。 |
████博士 | 内側に入った。 (もう二度としない様に。) |
タリー、オーストラリア | 内側になった。 |
タリーの人々 | 内側に入った。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-1 | 内側になった。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-2 | 内側になった。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-3 | 内側になった。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-4 | 内側に入った。 |
超越性 | 外側。 |
超越性 | 外側。 |
超越性 | 外側。 |
しかしながら、これだけではわかりにくい。そこで、ここではSCP-2719において示されるポインタという語句に着目しよう。
まず、この実験記録は「ポインタ」と「結果」だけが示されている。具体的に何をしたかは書かれていないわけだ。しかし、その結果は(一部を除き)かなり機械的な出力である。これを見るに、何かしらのプログラムをコンソール上で動かしたものと見るのがよかろう。……であるならば、当然、ポインタもプログラムに関係する語句、つまり「変数や関数の置かれるアドレスを記憶する変数」であり、今回で言うなら「何かしらの物や概念が、入れ物になっている(内側になった)か、内容物になっている(内側に入った。)か」を示しているということになる。
読解
ポインタ | 結果 |
---|---|
2008 Opel Astra | 内側だった。 |
D-5789 | 内側に入った。 |
D-5794 | 内側に入った。 |
D-5796 | 内側になった。 |
D-5802 | 内側に入った。 内側は苦悩した。 |
収容ユニット2719-A | 内側に入った。 内側は死ぬ。 |
収容ユニット2719-B | 内側に入った。 |
まずは冒頭から読み解いていこう。2008 Opel Astraとドイツの民生用自動車のブランドである。まあ要は普通の車だと思えばいい。で、その車を「入れ物」にして、Dクラスを何人か「内容物」として車の中に転移させたわけだ。しかし突然、D-5796が「入れ物」になってしまう。財団はそのまま実験を続行し、別のDクラスをD-5796に挿入した。どういう光景になっているかはわからないが、突然別の人間が体内に入ったのだからそりゃ苦しいだろう。そして、そこに収容ユニットが「入れられ」てしまう。収容ユニットは行ってしまえば部屋のようなものだから、人体に収まるサイズではない。なのでD-5796は死ぬ (D-5802はどうなったのかはわからない。おそらくは死んでいるだろうが)。
ポインタ | 結果 |
---|---|
収容ユニット2719-C | 内側になった。 |
D-5803 | 内側に入った。 |
D-5805 | 内側に入った。 |
D-5812 | 内側に入った。 |
D-5813 | 内側になった。 |
収容ユニット2719-B | 内側になった。 |
で、今度は収容ユニットが入れ物になって、Dクラスがどんどん挿入されていく。しかし、途中でやっぱりひとりのDクラスが入れ物になる。今回は直後に、別の収容ユニットが入れ物になって事なきを得たが。
ポインタ | 結果 |
---|---|
ウレオボルイ、フィンランド | 内側になった。 |
ウレオボルイの人々 | 内側に入った。避難手順として成功した使用法。 |
今度はフィンランドのウレオボルイを入れ物にして、そこに住んでいる人を挿入した。結果としては何も起きないが、「町」ひとつを選択して、それを入れ物にすることで避難に使えるとわかったのは収穫であろう。
ポインタ | 結果 |
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収容ユニット682-V | 内側になった。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 内側になった。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 内側に入った。 |
SCP-682 | 外側。 |
それでは、今日のクソトカゲ終了実験、やっていきたいと思います。まずはクソトカゲくんを予め収容ユニットに入れまして、次にクソトカゲくん自身を入れ物にします。その後、そこにクソトカゲくん自身を挿入します。何が起きてるのか想像つきませんが、とにかく入れ子にしまくります。しかし、クソトカゲくんは唐突に「外側」になります (入れ子状態から脱却)。つまり今回もダメだったわけである。 こいつ何なら殺せるの?
ポインタ | 結果 |
---|---|
O5 | 内側になった。 |
Zermelo博士 | 内側に入った。 |
処罰 | 内側になった。 |
O5-7 | 内側に入った。 |
ここで、財団のとある博士が、これを使えばO5になれるのではないかと画策。どうやら成功したようだが、当然これは背任行為である。よって、この博士を同じようにSCP-2719で処罰した。この時点で、「知っている人なら誰でも気軽に使える」というSCP-2719の危険性が垣間見える。なお、O5-7の体に入ったのか役職のみを奪ったのかは不明だが、元のO5-7はどこにいったのだろうか。
ポインタ | 結果 |
---|---|
ブライト博士 | 内側になった。 |
腸の苦しみ | 外側。 (ナイストライ。) |
腸の苦しみ | 内側になった。 |
████博士 | 内側に入った。 (もう二度としない様に。) |
……ブライト博士は平常運転である。ブライト博士の腸の苦しみを肩代わりさせられた別の博士、お気の毒に。なおナイストライには「惜しい!」という意味もあるので、この博士がブライト博士に腸の苦しみを押し付けようとしたが失敗し、ブライト博士にやり返されたのではという説もある。
次のタリーの実験はウレオボルイの実験と同じなので省略。最後の、一番きな臭くて、このオブジェクトがKeterであるもっともわかりやすい理由である部分を読もう。
ポインタ | 結果 |
---|---|
超越性 | 内側になった。 |
O5-1 | 内側になった。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-2 | 内側になった。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-3 | 内側になった。 |
超越性 | 内側になった。 |
O5-4 | 内側に入った。 |
超越性 | 外側。 |
超越性 | 外側。 |
超越性 | 外側。 |
O5はこのオブジェクトを使うことで超越性を獲得しようとした。超越性を得るというのが概念的すぎてよくわからないが、おそらくは神にでもなろうとしたのだろう。財団の指導者はそうそう死んではいられない。しかし3人目まではうまくいかず、4人目で超越性をようやく獲得できたようだ。しかしつかの間、超越性は突如外側になってしまう。つまり、O5-4はこの世界から唐突に消えてしまったようだ。人の分際であらゆるものを超越しようというのが過ぎた願いだったのかもしれない。
こうして、「知っている人なら誰でも気軽に使える」ことと並ぶ、このオブジェクトのもう一つの問題が明らかになるだろう。「なぜか一部ケースでは内容物になるはずが入れ物の方にされてしまったり、唐突に外側に放り出されてしまう」こと。そしてこれを調べようにも、これを知った人はZermelo博士やO5のように悪用したり無茶をしようとするため、実験させることがリスクになりえる。極端な話「滅亡」を入れ物にして、「世界」を入れればお手軽なK-クラスシナリオである。
そして、特別収容プロトコルに戻る。SCP-2719は内側に留め置かれなければいけない。これは、収容違反 (外側)なのも問題なのだが、何かしらの別の知的生命体の頭脳にこの概念が入る(内側に入る)のも問題だからだろう。こうして、それ自体が動いたりもせず、一応はちゃんと収容できているのにKeterという珍しいオブジェクトになっているのである。
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関連項目
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