SCP-2772-JPとは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
概要
SCP-2772-JPは日本国内のコンビニエンスストア店外の傘立てに不定期に出現するビニール傘。非異常のビニール傘と外見・組成は変わらないが、不定期にコンビニの傘立てに出現する。
雨の日にSCP-2772-JPを見た人間は、SCP-2772-JPを盗みたいという願望が強くなる。このときに実際に盗むかは人それぞれだが、盗んだ人はその後もビニール傘を盗むことを繰り返すようになる。また、その人は自分のビニール傘を盗まれてもそれに憤ることはなく、『まあ、ビニール傘くらい仕方ない』『ビニール傘くらいくれてやる』『ビニール傘は共有財産みたいなものだし』といったことを述べる。この発言を聞いた人も、SCP-2772-JPの影響下におかれ、ビニール傘を盗まれても問題視しなくなる可能性がある。
それがどうした、って?実際、日本において実際に盗むかはともかく、盗まれたとしてもあまり問題視しない人は多かろう。『ビニール傘くらいで被害届なんて大袈裟な……』と。そう、それがSCP-2772-JPの影響によるものなのだ。こうして、『ビニール傘』に限定した倫理観の低下が引き起こされる。
ということで、一応収容はできていないのでKeterなのだが、『ぶっちゃけ、ビニール傘が盗み盗まれくらいしか影響ないなら』と軽く考えている人も多かろう。財団も多くの事案を特筆性がないとしてアーカイブ化している。しかし、事案134において由々しき事態が起きた。
ビニール傘くらいなら、いいか
2025年1月16日、とある小学校で死者2名、失明者19名を含む、計37名の児童及び教職員が死傷する事案が発生した。被害者は、ビニール傘で激しく殴打・刺突されていた。加害者の一人とされた夏木教員は、カウンセラーに扮しインタビューを行った職員に対し、その日までのことを述懐した。
以前から忘れ物をした児童に、同僚がビニール傘で目をついて罰していたこと。これを咎めるものは教職員・保護者の中で誰もいなかった。夏木教員は少しやりすぎでは、と思っていたという。眼窩底骨折や眼球破裂が、『少し』……?しかし、夏木教員はその違和感をやがて持たなくなった。理由は一つ。「ビニール傘くらいなら、いいかな」というものだ。ビニール傘は盗んでも構わないように、ビニール傘でなら叩いても突いても構わないだろう、と。夏木教員は体罰が如何にいけないかは理解していた。しかし、「それがビニール傘によるもの」なら、まあいいだろう、と思ったというのだ。読者諸兄ならそもそも前段の時点で違和感はあったろう。子供を教え導く者が、『ビニール傘なら盗んでもいい』と思うこと自体論外であるし、ましてそれを基軸に『ビニール傘ならば暴行は許される』と思うなど論外である。そしていつの間にか、その小学校では教員が皆、ビニール傘を持って仕事するのが常態化していった。その結果として、体育で全校集会に遅れたクラスに対して、『罰を与えた』のが前段の事案だったのだ。
やり直せるかと悩む夏木教員に、職員は大丈夫だとエールを送る。夏木教員は自信を取り戻したが、不意に質問をこぼした。
これからは、何で子供を殴ればいいのか、と。
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