SCP-2996とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
概要(第一版)
SCP-2996はインディアナ州ナッシュビルの廃屋で発見されたクラスII霊的人型実体であり、ヨーロッパ系の黒髪と青い目を持つ若年の人間女性である。まあつまり、若い女性の幽霊ということである。全身には多数の傷、右眼には大きな銃創と見ていて痛々しいルックスをしている。彼女は自身について、1929年に殺害されたEmily Nashと主張している。財団の調べではその年に家屋で亡くなっていることは確かに確認できたのだが、死因は『自殺』であった。しかし彼女にそれを伝えても、自身のボーイフレンドであったJames Franklinに殺害されたと主張して、自殺であったことを認めない。このJames Franklinに関しては、Emily Nashとは真逆に、そんな人物が戸籍上ナッシュビルにいたことは確認できていない。
さて、SCP-2996ことEmily Nashは、再度述べるが幽霊少女である。つまり、そのままでは実体がないため壁も檻もすり抜けてしまうので収容できない。そこで、財団は非物質変位無効装置(nPDN装置)という装置を取り出してきた。これを使えば、非物質を物理的な状態に固定できるようになる。簡単にいえば、幽霊に実体を与えることで収容可能にするということである。かがくの ちからって すげー SCP-2996もずっと幽霊として生きてきた(?)こともあり、この状態はストレスを感じ心理的に不安定になっているようす。財団にも殺意を抱き、職員に殴りかかろうとしては顔面をガラスにぶつけたりしている。
David Rudolph博士の精神鑑定では、SCP-2996は自身について、「自分は未だに生き続けている元カレに復讐するために霊魂としてこの世にとどまっているんだ」と強く信じ込んでおり、財団が提供した記録上のEmily Nashの死因と認識が相反する上、その目的を達成しようにも財団収容下であるため彼女はJames Franklinを探しに行くことができない。更にEmily Nashの事実の多数は依然曖昧であり、SCP-2996の不安を煽ることで、鬱病及び自滅的思考を招いてしまっている。復讐を果たせないことに自暴自棄になり、幽霊が自殺願望を抱くという異常事態に対して、サイト副管理官は「ぶっちゃけ女の子で、しかも『自身の主張する死因 (彼氏に殺害された)』的に男が嫌いなのではないか、だから男性のRudolph博士が対応するのことにストレスフルになるのではないか」と考えたのかもしれない。Rudolph博士を別の業務に転勤させ、代わりにAngela Kidwell博士をSCP-2996の担当として着任させた。
Kidwell博士は事態を急がず、ゆっくりSCP-2996と対話する方針をとった。これにより、当初こそ敵対的だったSCP-2996も徐々に態度を軟化させ、彼女の身体検査を行うことに同意させた。彼女の『存在しない対象』への怒りを納め、ようやくここまで漕ぎ着けた。
しかしその身体検査の日、2021年8月19日、事件は起こったのだ。
日付: 2012年8月19日
担当医師: N/A
被験体:SCP-2996Emily Anne Nash
視覚的検査: █████████████████████████████ ████████ ██████████████ █████████████ ██ ██████████████ █████ █████████ ███████████ ██████████████████ █████ ████████████████ ██████████ ███████████████████████ ███████████████████████████████████████ █████████████ ██████████████████████████ █████████████
██████████████ █████████████████████████ ████████████████████████ ██████ ███████████ ████████████████████████ ████████ ██████████ ██████████ ████ ██████ ███████ ███ ███████ █████████████ ███████████████████ ████████████ █████ ██████████████████████████ █████████████ █████████████ ███████████████████████████████████████ ██████████████████████████ █████████████
血液検査: ██████████████████████
██████████
████████
████ █████████
███ ████████████ ████
内診: ███████████████████ ███████████████████████ █████████████████████ █████████████████████████████████ ██████████████████ █████████████ █████████████ █████████████ ████████████████████████████ ██████████████████████ ████████████████████████ █████████████████ █████████████████████████████ ██████████ ████████ ████ ███████████ ███████ ████████ █████████
生体解剖手術結果: ████████████ ████ ██████████ █████████v
結論: ███ █████████ █████ ███████ █████████████ ███ ██████ ████████ ███ ████████ █████████████████████ █████████ ██ ████████ ████████████ ████████ ████████████████ ██████████████ ████████ █████████ █████████ ███
次回の検査は███████████████████████の予定。
SCP-2996 - SCP財団より,2022/06/02閲覧
この日SCP-2996は、財団によって身体検査が行われる手筈であった。しかしサイト-81に何者かの素性不明の人物が侵入した。身長1.8m、茶髪で茶色の眼をした、右眼と首周りに傷を持つその白人の男はサイト-81の医師3名と看護師4名を不明な方法で消失させ、意識のある状態でSCP-2996を――いや、あえてEmilyと呼ぼう、Emilyを生体解剖したのである。Emilyはこれ以降再び財団に心を開かなくなってしまった。
Emilyからすれば当然であろう。いままで「お前の恨みは存在しない対象への怒りだよ、そんなのはウソだよ」と言われていたのに、自分を殺害した当の元カレJames Franklinが、しかもあちらからわざわざやってきて再び自分を切り刻んだのだから。もはや狂った猟奇的なストーカーであるが、精神面だけでなく他の面でも異常であろう。何しろ、戸籍上James Franklinは存在しないはずである。また財団のセキュリティをなんなく突破し、やりたいことを邪魔されずにやったうえ、今後の予定まで書き残して立ち去っているのだ。本来の担当医師を消失させてもいる。財団はこのJames FranklinはクラスIII以上の現実改変者と考えており、行方を追っている。
本当に怖いのは幽霊か、それとも――生きた人間の狂気だろうか?
SCP-2996
ついてくる
SCP-2996とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『The Angry Spirit (怒れる亡霊)』。
概要(第二版)
SCP-2996 | |
基本情報 | |
---|---|
OC |
|
収容場所 | サイト-81 |
著者 | djkaktus |
作成日 | 2014年8月20日 |
タグ | 人間型 知性 自我 蘇生 |
リンク | SCP-2996 |
SCPテンプレート |
SCP-2996はインディアナ州ナッシュビルの廃屋で発見されたクラスII霊的人型実体であり、ヨーロッパ系の黒髪と青い目を持つ若年の人間少女である。まあつまり、小さな女の子の幽霊ということである。全身には多数の傷、右眼には大きな銃創と見ていて痛々しいルックスをしている。彼女は自身について、1929年に殺害された8歳のEmily Nashと主張している。財団の調べではその年に家屋で亡くなっていることは確かに確認できたのだが、死因は『自殺』であった。しかし彼女にそれを伝えても、近所に住んでいた13歳少年のJames Franklinに殺害されたと主張して、自殺であったことを認めない。このJames Franklinに関しては、Emily Nashとは真逆に、そんな人物が戸籍上ナッシュビルにいたことは確認できていない。
さて、SCP-2996ことEmily Nashは、再度述べるが幽霊少女である。つまり、そのままでは実体がないため壁も檻もすり抜けてしまうので収容できない。そこで、財団は非物質変位無効装置(nPDN装置)という装置を取り出してきた。これを使えば、非物質を物理的な状態に固定できるようになる。簡単にいえば、幽霊に実体を与えることで収容可能にするということである。かがくの ちからって すげー SCP-2996もずっと幽霊として生きてきた(?)こともあり、この状態はストレスを感じ心理的に不安定になっているようす。財団にも殺意を抱き、職員に殴りかかろうとしては顔面をガラスにぶつけたりしている。
David Rudolph博士の精神鑑定では、SCP-2996は自身について、「自分は未だに生き続けている近所の少年に復讐するために霊魂としてこの世にとどまっているんだ」と強く信じ込んでおり、財団が提供した記録上のEmily Nashの死因と認識が相反する上、その目的を達成しようにも財団収容下であるため彼女はJames Franklinを探しに行くことができない。更にEmily Nashの事実の多数は依然曖昧であり、SCP-2996の不安を煽ることで、鬱病及び自滅的思考を招いてしまっている。復讐を果たせないことに自暴自棄になり、幽霊が自殺願望を抱くという異常事態に対して、サイト副管理官は「ぶっちゃけ女の子で、しかも『自身の主張する死因 (少年に殺害された)』的に男が嫌いなのではないか、だから男性のRudolph博士が対応するのことにストレスフルになるのではないか」と考えたのかもしれない。Rudolph博士を別の業務に転勤させ、代わりにAngela Kidwell博士をSCP-2996の担当として着任させた。
Kidwell博士は事態を急がず、ゆっくりSCP-2996と対話する方針をとった。これにより、当初こそ敵対的だったSCP-2996も徐々に態度を軟化させ、養親の元、再び少女として送るべきだった人生を送ることを決意した。彼女の『存在しない対象』への怒りを納め、ようやくここまで漕ぎ着けた。
Kidwell博士とサイト-81スタッフのカウンセラーたちにより、SCP-2996は暴力的発作を見せなくなっていった。彼女は自身の死を取り巻く出来事に折り合いをつけられ、2012年8月15日、最後の生理検査を通して、SCP-2996は正常な人間の少女であるとされ、同月18日にNeutralized指定への移行が決定され、サイト-81管理官Aktusとサイト-81研究室長Bishop博士の署名・認証をへてSCP-2996はSamantha Pendletonと改名された少女は、一連の記憶処理を受けたあと、財団のフロント組織である養子縁組斡旋団体に身柄を譲り渡された。報告書には彼女の写真が載っている。彼女はこれから、普通の女の子として、新たな人生を生きて行くのだろう。
« WARNING WARNING WARNING » 当記録のセキュリティは侵害されています。以下に記されている情報は正確でない可能性があります。 財団情報保安部門による調査中のため、当記録は[凍結]されています。当記録へのあらゆるアクセスは監視され、当記録への編集は一切禁止されます。 詳細に関しては、下記の"特別補遺2996.A"を参照してください。 SCP-2996 - SCP財団より,2022/06/02閲覧 |
SCP-2996とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『 ( )』。
概要(最新版)
SCP-2996 | |
基本情報 | |
---|---|
OC |
|
収容場所 | サイト-81 |
著者 | djkaktus |
作成日 | 2014年8月20日 |
タグ | 人間型 知性 自我 蘇生 |
リンク | SCP-2996 |
SCPテンプレート |
SCP-2996はインディアナ州ナッシュビルの廃屋で発見されたクラスII霊的人型実体であり、ヨーロッパ系の黒髪と青い目を持つ若年の人間少女である。まあつまり、小さな女の子の幽霊ということである。全身には多数の傷、右眼には大きな銃創と見ていて痛々しいルックスをしている。彼女は自身について、1929年に殺害された8歳のEmily Nashと主張している。財団の調べではその年に家屋で亡くなっていることは確かに確認できたのだが、死因は『自殺』であった。しかし彼女にそれを伝えても、近所に住んでいた13歳少年のJames Franklinに殺害されたと主張して、自殺であったことを認めない。このJames Franklinに関しては、Emily Nashとは真逆に、そんな人物が戸籍上ナッシュビルにいたことは確認できていない。
さて、SCP-2996ことEmily Nashは、再度述べるが幽霊少女である。つまり、そのままでは実体がないため壁も檻もすり抜けてしまうので収容できない。そこで、財団は非物質変位無効装置(nPDN装置)という装置を取り出してきた。これを使えば、非物質を物理的な状態に固定できるようになる。簡単にいえば、幽霊に実体を与えることで収容可能にするということである。かがくの ちからって すげー SCP-2996もずっと幽霊として生きてきた(?)こともあり、この状態はストレスを感じ心理的に不安定になっているようす。財団にも殺意を抱き、職員に殴りかかろうとしては顔面をガラスにぶつけたりしている。
David Rudolph博士の精神鑑定では、SCP-2996は自身について、「自分は未だに生き続けている近所の少年に復讐するために霊魂としてこの世にとどまっているんだ」と強く信じ込んでおり、財団が提供した記録上のEmily Nashの死因と認識が相反する上、その目的を達成しようにも財団収容下であるため彼女はJames Franklinを探しに行くことができない。更にEmily Nashの事実の多数は依然曖昧であり、SCP-2996の不安を煽ることで、鬱病及び自滅的思考を招いてしまっている。復讐を果たせないことに自暴自棄になり、幽霊が自殺願望を抱くという異常事態に対して、サイト副管理官は「ぶっちゃけ女の子で、しかも『自身の主張する死因 (少年に殺害された)』的に男が嫌いなのではないか、だから男性のRudolph博士が対応するのことにストレスフルになるのではないか」と考えたのかもしれない。Rudolph博士を別の業務に転勤させ、代わりにAngela Kidwell博士をSCP-2996の担当として着任させた。
Kidwell博士は事態を急がず、ゆっくりSCP-2996と対話する方針をとった。これにより、当初こそ敵対的だったSCP-2996も徐々に態度を軟化させ、養親の元、再び少女として送るべきだった人生を送ることを決意した。彼女の『存在しない対象』への怒りを納め、ようやくここまで漕ぎ着けた。
Kidwell博士とサイト-81スタッフのカウンセラーたちにより、SCP-2996は暴力的発作を見せなくなっていった。彼女は自身の死を取り巻く出来事に折り合いをつけられ、2012年8月15日、最後の生理検査を通して、SCP-2996は正常な人間の少女であるとされ、同月18日にNeutralized指定への移行が決定され、サイト-81管理官Aktusとサイト-81研究室長Bishop博士の署名・認証をへてSCP-2996はSamantha Pendletonと改名された少女は、一連の記憶処理を受けたあと、財団のフロント組織である養子縁組斡旋団体に身柄を譲り渡された。報告書には彼女の写真が載って――あれ?データが削除されているんだけど?
自動化メッセージ FROM: サイト-81所属の管理職員(サイト-19所属の管理職員経由) TO: レベル4職員 2016/1/19、自動化された財団システムはこの記録を含むサイト-17のデータ領域内にて発生した幾つかのエラーを報告した。更なる調査によって、この記録の特定箇所に消失、変更、明らかな捏造が発見された。変更に関する情報は改竄、あるいは消失してしまったため、編集元は分かっていない。 著しい相違は以下の通り。
SCP-2996に関するより正確な情報を集めようと、情報復旧チームはこの記録の過去版へのアクセスを試みている。ビデオ監視ログと音声ファイルは主要な財団データアーカイブから削除されており、失われてしまったと見なされている。 職員各位は当記録、またはセキュリティ違反に関するいかなる情報もサイト-81管理職員まで報告されたし。 これはサイト-81からサイト-19を経由して送信された自動化メッセージです。このメッセージの内容を変更しないでください。 SCP-2996 - SCP財団より,2022/06/02閲覧 |
SCP-2996
解説
この項目を読んできて、どう思っただろうか。同じような文章を3度も読ませるんじゃないと思っただろうか。そもそも第一版で登場したJames Franklinは何処に行ったんだと思っただろうか。第一版では若い女性だったEmily Nashが第2版以降では少女と更に若返っていることに疑問を持っただろうか。
順番にネタバラシをしていきたい。まず、この項目の流れだが、実はこれは本オブジェクトの著者であるdjkaktus氏が投稿したバージョンの順に並べている。通常であれば、改稿した場合前の記事の内容はなかったことになる。しかし、本項では過去版がなかったことになるのではなく、むしろ「最新版の内容こそ事実から乖離している」という珍しいオブジェクトなのである。
この項目の最初の投稿版『It Follows You (ついてくる)』では、Emily NashがJames Franklinに切り刻まれたところで話が終了している。しかしその後のバージョンである『The Angry Spirit (怒れる亡霊)』・『ERROR / ERROR』では、Emily NashはJames Franklinと再会することなく、Samantha Pendletonという名前で財団から離れている。いずれにしても、検査が最後に行われた日は2012年8月15日である。
そしてJames Franklinは現実改変者であることが推測されている。このことからわかるのは、『第二版』はJames Franklinが執筆したニセの報告書であり、James FranklinはEmily Nashを外に連れ出すため、あたかも『SCP-2996』をサイト-81のスタッフが養子斡旋団体に送り出したかのような記述をすることで、これから連れ出そうとしている『SCP-2996』の収容実態 (=収容違反)と報告書の結論 (=収容からの解放)を一致させ、更に関係したすべての記録・全サイト-81職員の記憶・あるいは場合によってはその存在そのものを改変した。そして財団を欺き通して悠々と元カノを連れ去ったのである。
しかし、財団のシステムはSCP-2996の報告書が改竄されていることを検知する。事ここに至り、Kidwell博士やAktus管理官の記憶と摺合せを行うと「SCP-2996を養子縁組に出した記憶はない」ことがわかった (というより、そもそも財団がアノマリーを外の世界に安易に放り出すはずもない。)。SCP-2996が収容違反してしまっていることを確認したわけである。
とはいえ、この狂気のストーカーが哀れな女の子を連れ出してから既に3年半が経過している。もはや遅きに失しており、加えてなんとか復元した第一版も、よくよく考えると「切り刻まれたEmily Nashが敵意を見せこそすれ、インタビューに落ち着いて回答している」ことから、これすら正しいバージョンではないことが推察される状況。James Franklinは一度Emily Nashを切り刻んで殺害し、改めて実体を獲得したEmily Nashを再び裂いた上で連れ去った。今頃どんな目に遭わされているのだろう。
あらためて問おう。本当に怖いのは幽霊か、それとも――生きた人間の狂気だろうか?
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関連項目
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