The Police(ポリス)とは、イギリスの3人組ロックバンドである。
概要
1977年から1984年のわずか7年間にアルバム5枚のみという短い活動期間ながら、シンプルかつレベルの高いサウンドで多くのファンを魅了し、数多くのヒットを放った伝説のバンド。パンクバンドとしてデビューするも、徐々に音楽的完成度を上げ、ヒットメーカーのスティングの下、唯一無二のサウンドを作り上げる。スリーピースバンドの代名詞ひとつのように扱われており、古今東西に影響を受けたアーティストが存在する。
今でこそ「スティングが昔いたバンド」的扱いをされがちであるが、3人の個性のぶつかり合いが生んだサウンドはスティングのソロのそれとは似て非なるどころか全く異なるものである。
仲の悪いバンドとして有名で、インタビューで罵り合いをすることなど日常茶飯事であった。ちなみに、ブロンドの3人組として有名だが、これは染めただけらしい。
経歴
プログレバンドのカーブド・エアのドラマーのスチュワート・コープランドがニューカッスルでジャズロックバンドのラスト・イグジットのメンバーとして活動していたスティングを誘い結成。コルシカ島出身のフランス人ギタリスト、アンリ・パドヴァーニを加えて活動を開始、デビューシングル「Fall Out」をリリースする。
一方コープランドとスティングはストロンチウム90という別のバンドにも参加しており、そこでギタリストアンディ・サマーズと出会う。彼の演奏力に感銘を受けたスティングはポリスに勧誘する。しばらく4人体制が続いたが、パドヴァーニの演奏力があまり高くなかったこと、サマーズが加入条件として「パドヴァーニをクビにすること」を主張していたことから、数ヶ月後パドヴァーニは解雇され、その後解散まで続く3人体制がスタートする。
1978年にA&M社と契約し、シングル「ロクサーヌ Roxanne」でメジャーデビュー。数ヶ月後にファーストアルバム「アウトランドス・ダムール Outlandos d'Amour」をリリース。全員相当のテクニックを持った経験者であるが、当時のロンドンはパンクムーブメントの真っ最中であり、メンバーは誰もパンクバンドの経験はなく、興味もなかったが話題作りのためパンクバンドとしてデビューすることとなった。先行シングルの「Fall Out」とこの1stアルバムは当初のパンク路線が色濃く反映されているが、よく聴くとただのパンクバンドではないとわかるという仕掛けであった。このもくろみは成功し、アルバム・シングルともにイギリスではヒット、BBCで放送禁止になるなど話題を呼ぶが、アメリカでは今ひとつ人気が出なかった。このあたりからフロントマンのスティングの発言力が高まっていく。
1979年、前作の成功を受けて自信を深めたバンドは、セカンドアルバム「白いレガッタ Reggatta de Blanc」ではパンク色を後退させ、より音楽性を高める方向へシフトする。ロックとレゲエと融合させた完成度の高い音楽でイギリスでの人気を不動のものとし、アルバムおよびシングル「孤独のメッセージ Message In A Bottle」「ウォーキング・オン・ザ・ムーン Walking On The Moon」のいずれも1位を記録した。アメリカでのセールスは今作もいまひとつ振るわなかったが、2曲目の「白いレガッタ Reggatta de Blanc」がグラミー賞の最優秀ロックインストゥルメンタルパフォーマンス賞を受賞。このアルバムは初期の傑作として現在でも人気が高い。
1980年、初めてのワールドツアーを実施。この際初来日を果たしており、マネージメントのゴタゴタで京大西部講堂で伝説化されている騒ぎが起きている。帰国後、レコード会社の圧力で早々にサードアルバムの製作に取りかかり、わずか1ヶ月足らずでレコーディングを終わらせツアーに再出発した。このような経緯で「ゼニヤッタ・モンダッタ Zenyatta Mondatta」はリリースされた。このタイトルは「禅」から来てるんだとかなんとか。ちなみに「ジョジョの奇妙な冒険」第3部に登場するオインゴ・ポインゴ兄弟は海外版では大人の事情で「ゼニヤッタ・モンダッタ」兄弟となっているが、元ネタはもちろんこのアルバムである。全体的にポップな曲が目立ち、ツアーを受けてかアメリカで最高5位を記録するなど全世界でヒット、名実ともにトップスター入りを果たす。また、日本向けに「ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダ・ダ・ダ De Do Do Do, De Da Da Da」の日本語版がリリースされて黒歴史認定されたりした。また、シングルの「高校教師 Don't Stand Close To Me」とサマーズ作の「ビハインド・マイ・キャメル Behind My Camel」がグラミー賞を獲得した。
1981年、フォースアルバム「ゴースト・イン・ザ・マシーン Ghost In The Machine」をリリース。プロデューサーに80年代の売れっ子エンジニアとなるヒュー・パジャムを迎え、これまでの装飾を廃した荒削りながら技術の高いシンプルなサウンドから、ピアノやシンセサイザー、ホーンを大胆に取り入れた都会的なサウンドへと変貌を遂げた。反面、ギターの役割は大きく後退している。次作の陰に霞みがちであるが、アルバムとしての完成度は高く、ファンの人気は高い。もちろん全世界でヒットした。
前作のツアー終了後の1983年、最高傑作と名高い「シンクロニシティ Synchronicity」をリリース。ユングの共時性をテーマとして製作され、サウンド面では前作の延長上でよりバラエティ豊かな方向へと変化した。初期のポリスとはもはや似ても似つかぬものになってしまったが、非常に売れ各所から絶賛を受けた。またシングル「見つめていたい Every Breath You Take」がスマッシュヒットを記録し、アルバムともどもグラミー賞を受賞。最大のヒットとなったことで、バンドの中でも異色なこの曲が今でも代表曲とみなされてしまうという皮肉な結果となっている。
アルバムのクオリティの高さは誰もが認めるところであるが、特にB面を中心にスティングの色が濃すぎになってしまったきらいがあり、コアなファンの好みが別れる作品である。
( ちなみに「Every Breath You Take」は切ないメロディとスティングの甘い歌声、歌詞の内容からラブソングだと勘違いされがちだが、実際は悪意を持って監視をしている人のことを歌っているというとんでもない歌であり、スティングはソロで真逆の内容の曲を発表している)
上記のようにアルバムごとに音楽性を変え、大成功をおさめたものの、スティングのワンマン化が進みすぎた結果、もともと悪かったバンド内の人間関係が決定的に悪化したこと、ポリスとしてやるべきことはやりきったと燃え尽きたスティングがソロを志向し始めたことなどから1984年に活動休止状態となる。その後スティングのソロデビューを経て1986年に再び集まるものの「高校教師」のリメイクである「高校教師'86」を製作後、正式に解散してしまう。
時代は下り2003年にバンドがロックの殿堂入りを果たし、久々に集結しライブをしたり、2007年には結成30周年を記念して活動を再開。80本以上のワールドツアーを敢行したりと精力的に活動している。
メンバー
- スティング (Sting) - 本名はゴードン・マシュー・トーマス・サムナー。ボーカルとベースを担当。1951年生まれ。ハイトーンなハスキーボイスが特徴。英語教師の資格を持っていて、その時の体験を元にした曲も書いている。
悪名高いSex Pistolsのドキュメンタリー映画にSex Pistolsのポール・クックをシバき回す役で出演していたりする。
名前の由来は黄色と黒のハチみたいな柄のシャツを好んで着ていたからと言われている。
もともとジャズロック畑の人で、スローな音楽を好んでいたらしく、他のメンバー(特にコープランド)との諍いが絶えなかったが、その作曲センスでフロントマンとしての地位を確立する。なのでソロになってガラッと方向性が変わった。
とはいっても当時一番とんがっていたのもこの人であり、今の渋いオッサンのイメージとのギャップに驚くことうけあい。
顔がZガンダムのヤザン・ゲーブルによく似ている。 - アンディ・サマーズ (Andy Summers) - ギター担当。1942年生まれ。
他のメンバーより一回り近く年上で、ポリス結成前からアニマルズに参加して活動していた。
ディレイやコーラスを多用したアルペジオ奏法が特徴で、後に数多くのフォロワーを生み出す事になる。
ミュージシャン歴も先輩でギターも凄く上手いのに、仲の悪い他の2人の板挟みになり、さらにデビュー当時、ポリスのマネージャーをやってたコープランドのお兄さんにカメラの前で「ツアー中なのに夜遅くまで遊んでんじゃねーよ!」と怒られ、ガチ泣きし、その様子をポリスのドキュメンタリー映画で全世界に公開された可哀想な人。
作曲面では「ビハインド・マイ・キャメル」「マザー」などの怪作を生み出しており、前者はスティングの好みに合わずテープを庭に埋められたり(でもグラミー賞を受賞した)、後者では狂気じみたボーカルを披露したりしている。 - スチュワート・コープランド (Stewart Copeland) - ドラム担当。1952年生まれ。唯一のアメリカ人。
上述の通りポリスは彼がスティングを誘って結成されたバンドで、彼が居なければポリスは生まれていなかったと言える。初期は多くの曲を書いており、音楽の方向性において大きな役割を果たしたが、結局スティングに乗っ取られてしまった。
また兄のマイルス・コープランド3世はバンドのマネジメントを担当した。
真似したら手首が痛くなりそうなくらい硬質な音とレゲエのノリを取り入れた斬新なスタイルが特徴。実際ライブではしょっちゅうスティックを折っている。
他のメンバーが太ったりハゲたりする中、当時とあまり変わらず細くてフサフサしている。
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関連項目
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