概要
Nゲージを取り巻く製品を幅広く発売する。トミーテック(旧TOMYホビー事業部)によって展開されている。
日本の鉄道車両やNゲージのレール・制御機器・ストラクチャ(建物)・ジオラマ用品などがラインナップされ、同社の製品のみで手軽にNゲージの楽しさを堪能できる。またミニカーブレールによってA4サイズに収まる手軽な楽しみ方や、カメラカー・サウンドコントローラーによるさながら実車のような環境を提案するなど、幅広い層に鉄道模型を普及させている。
HO(16番)ゲージの車両も安価なプラスチック製で供給している。一般の大型車両が中心だが、南部縦貫鉄道のレールバスなど小型車も結構発売している。
基本的には国内展開のみだが、2013年より米国の大手模型卸商ウォルサーズが扱いを始め、シーナリー製品などを中心に世界進出が期待される。
製品の特徴
- 車両
- 扱いやすく値段も並の新幹線・JR形電車と、リアルが追求された(HGモデル)国鉄形車両に力を入れている。それぞれ前者は若年層向け、後者はおっさん向けである。運行が終了した列車の限定版(「さよなら~」と銘打たれることが多い。大抵は最終列車を再現している)もよく発売している。
モールド(彫り)は他の完成品メーカーと比較してやや深め。塗装は厚ぼったいと言われるが、発色や表面の滑らかさは定評がある。ガラスパーツの平面度も見事で、ここ数年の製品は特に車体との嵌め合いに隙間が全く無い。オプションの連結器として独自のTNカプラーがあり、機能と見た目の両立から他メーカーのユーザーにも支持されている。車輪や動力装置の構造は摩耗する部品が多く、極端な連続運転ではオーバーホールが必要になることも。一方でズッシリ重い動力車は、ちょっとやそっとの勾配でスリップしてしまうことなどなく、非常に安心。 - 但し、「完成品」として販売されている車両であっても、他の鉄道模型メーカーの製品と比べるとユーザー取り付け部品の数は比較的多い傾向がある。
- また、単純に取り付けるだけでなく、列車無線アンテナ等、一部パーツの取り付けはユーザーが自力で取り付けのために穴を開ける(だいたい0.5mmのピンバイスが必要)必要もあったりする。車番や編成番号、一部車両のJRマークなどもインレタ(インスタントレタリング)で行うため、綺麗に転写するにはある程度の技術が要求される。そのため、細かい作業に自信がなければ「取り付けない」等の妥協が必要になるだろう。
- 尚、これらの仕様は基本的にはTOMIXが手抜きをしている結果というわけではない。列車無線アンテナやJRマーク等は国鉄時代に製造された車両の場合、民営化後に取り付けられたものなので、「JRマークや列車無線アンテナがない国鉄時代の姿を再現したい」というニーズも十分に想定され、結果として「取り付けるのであれば穴を開ける・自力でインレタ」という形にせざるを得ない。(115系新潟新色や211系長野色、キハ40西日本更新車などのように、本来JR仕様しかないにもかかわらず、金型流用のために列車無線アンテナ取り付けは穴を開けて、という車両も存在するので、これらは手抜きと言われても仕方が無いかもしれないけど)
- 車番にしても、同じキットを複数用意して同時に走らせるのであれば、車番は編成ごとに違うほうがリアリティがあるのは言うまでもない。
- このあたりは買ってきてすぐに走らせられることを目指すかわりに、ユーザーによる設定の選択肢が少なかったり、リアリティが下がることに目を瞑るしかないKATOとの設計思想の違い、と言ったところ。
- とりあえずTOMIX製品でがっつり遊ぶのであれば、+ドライバーとプラスチック用の精密ニッパー、ピンバイス(ドリル刃は0.5mmをよく使う。他に0.6mm、0.8mmもたまに必要)、そしてゴム系の瞬間接着剤は用意しておいたほうが無難。
- 代表製品:C57 EF81 700系7000番台 165系 209系 キハ58系 キハ187系カメラカー コキ104形
- レール
- 日本初の道床付き組み立て線路として、シリーズ発足と同時に発売。
TOMIX以前の日本のNゲージではボード等に固定して使うことを前提とした「固定式線路」を使うしかなかったが、これによりジュータンや畳の上など悪い走行条件下でも、安定して運転が楽しめるようになった。この発売が1970年代末のNゲージブームを招いたといっても過言ではなく、とても広く普及した。発売と同時にお座敷でも使える架線柱もラインナップし、Nゲージのリアル志向に貢献した。 - 砂利が少なめで複線間隔も広めだが、直線140mm=20m級モデル1両分を基本として徹底したシステム化が図られており、使いこなせばパズルのように複雑なレイアウトにも発展させやすくなっている。
- 2002年よりリアルなグレーのファイントラックシリーズを展開。カーブは基本となる半径280mmを中心に、緩いものでは539mm、きついものでは103mmと実に12種の半径を提供している。これは広く豪快に走らせることと、コンパクトにしっぽり走らせることの両方が可能であることを意味する。
- またポイントレールにも力を入れており、二又だけでも5種あるほか、シーサスクロッシング、ダブルスリップ、三又など謎の技術の塊を製品化に成功している。特に電気配線が不要なダブルスリップは世界でも唯一のものである。最近のリニューアルで既存のポイントもギャップを切る必要のない完全選択式に切り替わった。
- 代表製品:ミニカーブレール ダブルスリップポイント
- 制御機器
- 直流2線式12Vのパワーパックを揃えている。容量は廉価版を除きNゲージの運転には十分な1.2A。
- '80年代より走らせる楽しみを追求した商品展開をしている。実車さながらの2ハンドルコントローラー、センサー動作で鳴動する踏切、信号機、電動ターンテーブルなど、各方面で精力的な製品開発を続けている。
- 近年では2ハンドルにサウンド機能を加えた画期的な製品も登場している。さらに無線操作のコントローラーも発売されている。
- 代表製品:パワー&サウンドユニットN-S2-CL TCS5灯式信号機 腕木式信号機
- ストラクチャ
- 完成品のビルや住宅などを各種数種類ずつラインナップしている。初期よりラインナップの充実に注力しており、たとえば「わらぶき農家」は田舎の情景を再現するのに欠かせないロングセラー商品である。50mm四方程度の敷地に設置可能なサイズのものが多いが、ビルの迫力や拡張性も魅力。しかし色調が鮮やかな成型色によるものが多く、そのままでは設置したジオラマのイメージによって浮いてしまうことも。
日産セドリック、三菱ふそうバスといったミニカー商品も長らく貴重な1/150日本車モデルとしてラインナップされてきたが、安価な「バスコレクション」「カーコレクション」の登場後絶版となりフォークリフトだけが残っている。独プライザー社製の人形も多数扱っていたが、こちらも「ザ・人間」に取って代わられた。
このように近年は安価な「ジオコレ」シリーズ(発売元は同じトミーテックだがTOMIXブランドではない)に主軸が移っており、木造建築などこれまでにない建物も増えている。 - 代表製品:わらぶき農家 商店 角店 変電所 扇形機関庫 フォークリフト
- ジオラマ用品
- 本格的なジオラマを作る際に必要になるバラスト・カラーパウダー・ライケン(乾燥した海藻の一種。茂みを再現するのに使う)などをTOMIXブランドで発売している。特にライケンは鉄道模型を扱っていない模型店でも見掛けるほどの人気製品。ただしカラーパウダーも色調が鮮やかすぎるため、鉄道模型メーカー以外から発売されているものも試してみることをオススメする。
- 代表製品:シーナリーバラスト シーナリープラスター
マルチメディア展開
親会社にトミー(現タカラトミー)という強力なバックがあるためか、古くからビデオソフト「トミックスモデルワールド」(2002年で事実上打ち止め)を発売するなどメディア展開をしてきた。
'90年代末には運転シミュレータ(実写)やデジタルカタログなど、いくつかパソコンソフトを発売。特に25mプールのサイズで作られたレイアウトで運転するシミュレーター「ガタンゴトン」は、プレイステーションにも移植された。
現在はペースダウンした感があるが、パソコン用ソフト「鉄道模型レイアウター」やハウツーDVDを発売し、レイアウト制作派を助けている。
談話室
今となっては信じられないかもしれないが、公式サイト内に掲示板があったことがある。それが「談話室」である。
特徴
一般的なネット掲示板と異なり、専用の投稿フォームに投稿内容を書き込み、ときどきTOMIXの中の人(IN担当と呼ばれた。読み方は自由らしい)がアップロードする形をとっていた。そのため際どい内容(他社を貶めるなど)は反映されなかったが、一方で時々担当さんから返信がつくなど、ファン同士、また中の人との交流の場として機能していた。一例を挙げると、「サウンドコントローラーN-S2-CLはカセット交換式にしてバリエーションを楽しみたかった」という書き込みに対し「やりたかったがコスト上無理だった」という回答が付いたことがある。
投稿にはメールアドレス、本名の記入が必須であったが、ともに非公開にして投稿できた。そのため本名での投稿とハンドルネームでの投稿が混在する異質な場所でもあった。メールアドレスは前述の「際どい書き込み」があった場合、それが掲載されない理由を連絡する際などごく限定して使われていた。なお全くの余談だが、編者のHNもここで使っていたものに由来している。
公式サイト上だけに直接他社名を上げることは控えられ「K社」などの語が用いられた。他にも年始には「コミットメント」として一年の抱負を書き込むことが慣例となるなど、独自のコミュニティを築き上げていた。
公式カタログ発売後は誤植や表示ミスなどの指摘が多く上がり、談話室の書き込みも反映したものが公式発表としてまとめられるようなこともあった。逆に「インレタについてご意見をお聞かせください」(貼り付けやすいが跡が目立つベース付きインレタの是非など)のように、IN担当さんの側から利用者への問いかけもごく稀だったが行われた。
ちなみに、「製品化希望は扱いません」ということになっていた。IN担当さんの当時の書き込みいわく、一時期それを目的としたコーナーも設置したが、あまりに殺到したためすぐ閉鎖せざるをえなかった、とのこと。
閉鎖
1998年ごろから2000年代前半まで続いたが、末期、某ユーザーの書き込みが理由で性別選択(非公開)が強制された。そのデフォルトを「男性」にすることでも(そのユーザーなどから)紛糾され、加えて掲載できないような書き込みが増えたことなどから、閉鎖に至った。つまるところ、談話室を運営することがIN担当さんの業務上のキャパシティを超えてしまったということであろう。
閉鎖が予告された際、多くの利用者がそれを惜しみ、昔を懐かしむ書き込みを寄せた。
その後も長らくログは残り、URLさえ知っていればアクセス可能な状態だったが、のちのサイトリニューアルでそれも削除された。
今や談話室運営中の2002年に更新が止まった「よくある質問」のページスタイルにその名残を残すのみであが、こちらも2014年夏頃リニューアルが図られ公式サイト上からリンクが切られたため、ページの消滅も時間の問題と思われる。
「裏談話室」
現在、某大手掲示板のTOMIXスレッドが「真談話室」となっているのはこの名残であり、談話室閉鎖までは「裏談話室」を名乗っていた。いわゆるネットWatch行為も行われていたようで、「目が点になりました」。という一文を含む書き込みをコピペにしていろいろ改変し、今も受け継がれている。
閉鎖後、一定数の利用者が「裏」に流れ込んだともみられるが、少なくとも現在まで引き続き残っているコテハンはいない。
表の談話室で「裏」の話題が上がった(と勘違いした)IN担当さんが「相互不干渉でいきましょう」という旨のコメントを出したことがあり、双方を巻き込む大きなトラブルに至ったことはなかった。
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関連項目
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