概要
現在のVOICEROID等音声合成読み上げソフトを用いた動画には製品名を元とした「読み上げソフト名+動画のジャンル」という形でのタグ付けが定着している(例:VOICEROID実況プレイ、CeVIO劇場等)
しかし、この形式では使用するソフトによってタグが変わる事となり、実質的な動画のジャンルやユーザーコミュニティは同一であっても
- 「同一ジャンルの動画をソフト間横断しての新着検索がしづらい」
- 「タグ検索でやってくる視聴者数がソフトウェアのもつコミュニティ規模と直結している為VOICEROID/CeVIO以外のソフトを単独で運用しづらい(視聴されづらい)」
- 「一つの動画内で複数のソフトウェア(のキャラクター)を運用した際、類似のタグが重複する事態となり、(キャラクターやソフトウェアの種類が増えると)動画につけるタグが足りなくなる」
といった潜在的な問題を抱えており、これは読み上げソフト界隈の健全な発展を阻害する要因として視聴者/投稿者双方の観点から状態の改善を望む声が各所において度々上がる状態となっている。
また昨今の業界動向として、
- A.I.VOICEやCeVIO AIといった新しい読み上げソフトウェアのシリーズが登場してきたことで今後タグの更なる重複・複雑化が進む
- 旧VOICEROIDのキャラクターがA.I.VOICEやCeVIO AIから登場することで複数のソフトウェア間をまたがるキャラクターが増える
- 動画タグが分散すると視聴者も分散するので動画が全体的にランキングで上がりにくくなる
といった問題の発生が予想されることも統合案が真剣に模索されるようになった背景となっている。
議論の目的と具体的な案
上記に説明した現状の「読み上げソフト名+動画のジャンル」という形でのタグ付けではA.I.VOICEやCeVIO AI等、今後新しいソフトが増えるにつれ類似のタグが増える!ソフトをまたがるキャラが増えるにつれ動画につけるタグが複雑化する!という問題を抱えており、これらは本来似たようなタグなのだからなんとかしてもっとタグの種類を簡略化したい、簡単に検索出来るようにしたい!
なお、ニコニコ動画では他にもAquesTalk、所謂ゆっくりボイスが音声合成読み上げソフトとしていちジャンルを築いているが、こちらとはキャラクターやコミュニティの性質の違いなどから住み分けがなされている状態であり「VOICEROID・CeVIO・AITalk系動画の統合」という本来の趣旨から逸脱するため、ここでの議論の対象には含めないものとする。
(当初はそちらに配慮した案も議論されていたが、決まらない・テキスピ(Text to Speech)の先例のように対象とする利用者層がぼやけて定着しない可能性が高い為)
A、「VOICEROID」の総合タグ化
問題のジャンルにおいて代表的かつ最大多数派である「VOICEROID」を総合タグ扱いとし、関連するVOICEROID以外のソフトを用いた動画もこのタグを付けられるようにする
利点
欠点
- 特定の製品名がジャンル総合代表扱いとなる事について他のソフトウェアユーザーからの反発は大きく、またVOICEROID勢内部においても他種のソフトウェアの混在を歓迎しない空気が強い
- VOICEROIDシリーズの今後の展開が公式の発表で先行き不透明なため、将来的な「ジャンルの代名詞」としての存在を不安視する声もある
- いずれにせよ周囲への強制力が強く影響を受ける動画の数が膨大であるため、運営の旗振りなくユーザーレベルでの実行は難しい統合案といえる
B、AItalk派生系は「VOICEROID」、CeVIO系は「CeVIO」で既存のタグに合流
AItalk派生系ソフト(A.I.VOICE含む)のVOICEROIDタグ使用、CeVIO AIのCeVIOタグ使用を許可する
利点
- 既存かつ登録数の多いVOICEROID及びCeVIOのタグにそのままスライドする形であり、移行の難度はもっとも低い
- 今後新設された「A.I.VOICE〇〇」や「CeVIO AI〇〇」のタグが「思ったより普及しなかった」という場合も自動的にこの形に推移することになる
- VOICEROIDの名称のタグに各種AItalk派生系ソフトが合流している構図は「歌うボイスロイド」のタグで成立していた形でもある
欠点
C、「ボイチェビトーク」の総合タグ化
VOICEROIDとCeVIOを指す造語として一定の知名度と使用実績がある「ボイチェビ」にAITalk系の「トーク」を加えた「ボイチェビトーク」の名称を統合タグとして採用する
利点
- ガイノイドTALKやA.I.VOICEにも部分的に名称が重なっているので現状分かっている範囲のソフトには対応できる
- 「ボイチェビトーク1分弱劇場祭」「多人数ボイチェビ実況プレイ」などの形でタグにも名称の使用実績があり、完全新規名称のタグより馴染みがある
欠点
D、その他の新規名称での総合タグの新設
新たに総合的な名称を作り、それを元にしたタグを用いていくようにする案
(太字は肯定的な意見が多かった案)
【C案派生、または製品名称の一部を使用する案】
→製品名称の一部を使用する案の場合、C案と同じ問題を抱える上に呼称の定着において知名度に劣る点が指摘されている
【歌唱音声合成ソフトにおいて徐々に広がっている「ソフトウェアシンガー」の呼称に対応する案】
→理念そのものには賛同者が比較的多くみられるが、SofTalkとの呼称の類似性が指摘されている
【読み上げ「キャラクター」の要素を強く押し出す案】
→本来ソフトウェア単体ではキャラクター性を持たないAquesTalk類(ゆっくり)との差別化を明らかにする為にも「キャラクター付き」の要素が強い語が望ましいとされたが、「ゆっくりが"キャラクター"に含まれない理由を初見の人に説明することは難しいのでは?」「”音声合成”や”ソフト”の単語が含まれない場合、Vtuberなどにも該当者が出てくるのでは?」という問題が指摘されている
【その他の名称】
……などの名称が案として挙がっている。
製品名称に近いほど範囲が限定され今後の状況の変化に対応しづらくなり、製品名称から離れるほど普及難度は高まる点が、各名称共通の弱点と言える。
新規名称でのタグ新設を考える際の注意点
- 音声合成界隈全体を指すものでないこと:VOCALOID等の歌唱合成ソフトも含まれる事となりキャラクター付き読み上げソフトの範疇を越えてしまう
- ゆっくりを含まない(含まれにくい)語であること:意味合い的にゆっくりが含まれる用語で勝手にタグを新設する事はコミュニティ間で問題が起きる可能性がある
新タグ策定後の具体的な運用について
ここからはC案、D案を総合タグとして採用した場合として話を進める。
運用としては、当面において既存の「ソフトウェア名称+ジャンル名」タグの置換えではなく、空いているタグ枠に決定した「ソフト総合+ジャンル名」タグを追加して使用することを想定しており、これまで通りのタグの使用を否定するものではない。
例として、
「VOICEROID2結月ゆかり」「CeVIOさとうささら」「A.I.VOICE琴葉姉妹」
を使ったゲーム実況動画があったとする。これに
「ゲーム名」「VOICEROID実況プレイ」「CeVIO実況プレイ」「A.I.VOICE実況プレイ」
「結月ゆかり実況プレイ」「さとうささら実況プレイ」「琴葉姉妹実況プレイ」
に当たるタグを追加でタグロックすることができるならば、今後同じようにタグの利用者が増えることで検索する際は「(キャラ付き音声合成ソフト総合)実況プレイ」のタグでどのソフトを使っていようがVOICEROID、CeVIO、他ソフト全件の新着が漏れなく検索できるようになる。特定キャラ名で動画を探したい場合はキーワード検索で後ろにキャラ名を追加で指定するだけでよい(し、既存のキャラ名タグを使ってもよい)。これはキャラクターが増えて「登場キャラタグを全員分載せられない」という場合でも機能する。
当面は利用者の少ないタグが一つ増えることになるが、今後タグの利用者数が増えるほどタグのメリットは大きくなる。何よりVOICEROIDやA.I.VOICE、CeVIOといったソフトの種類に依存しない為、タグの増加速度はソフト単体のものより早い。
タグの利用者が増えることで、最も総合タグ使用の恩恵を受けやすいのは少数派のソフトの利用者、あるいは複数の読み上げソフトを使っている動画だが、何より、使用ソフト関わらず同じジャンルの仲間を探したい投稿者、そのジャンルの良作動画を広く探したい視聴者にとってそれは福音となるだろう。
ただし視聴者が投稿者の意思を尊重せずタグを押し付けることは新規統合タグ・既存ソフト固有タグ関わらず推奨される行為ではない。特に、視聴者が勝手にタグを消して上書きするようなことはトラブルの元であることをしっかりと認識すること。
一方で、上記の理念に賛同してもらえる投稿者においては、積極的に統合タグのタグロックを行うことを勧める。
で、どのタグ使えばいいのよ
……という話についての結論だが、
それはニコニコ的に言っても「使う人が多いタグが皆の選んだタグ」ということになるだろう。
有望な案は出たので自分の中で各意見を総合し、その中から投稿者に選んでもらう形、つまり、
「この問題を知る投稿者がそれぞれ自分の動画に総合タグに相応しいと考えるタグをロックすることで徐々に普及させ、最終的に1個にまとめる」
といった形がこの問題の現実的解決手法となるだろう。
何もかも解決し全員が納得する会心の答えなどなく、ここまで挙がった全ての案に一長一短がある。
掲示板での議論においても各人それぞれに「こちらの案の方が韻がいい」「こちらの案の方が現実的だ」「こちらの方が将来性に優れる」という譲れない意見がある以上は、いくら議論したところで最終的な決着を見ることは無いだろう。
それならば、ここまでまとまった話を広く知ってもらうこと、知ったうえでそれぞれ行動してもらうこと、が具体的にこの問題解決の為に行えることではないだろうか。
例えば自分が「ソフトウェアトーク」を推進したいと思ったならば、自分で投稿した動画にタグロックを行ったり、身内に掛け合ってみたり、あるいはタグの単語記事を作って内容を充実させたりして、少しでもそのタグの使用者の母数を増やすことが結局は一番統合の説得力となる、というように。
VOICEROID、CeVIO、AITalk他音声合成ソフトで作られた動画に、既存の慣習でこれまで付けられてきた
「読み上げソフト名+動画のジャンル」のタグが、だんだんと時代に合わなくなってきている。その問題点と我々でできる改善点を、少しでも多くの投稿者や視聴者に認識してもらう。
それがこの問題の解決のために、VOICEROID・CeVIO・AITalk系音声合成ソフトの界隈とニコニコの明るい未来の為に、いま我々ができることではないだろうか。
今後のソフトウェア事情
- CeVIO AI
CeVIO Creative Studioを開発・販売するCeVIOプロジェクトにより新たに開発中の、AI技術の導入により人間らしい声を高精度に再現可能とした音声合成ソフト。CeVIO Creative Studioとは別ソフトとして開発されており、また仕様も若干異なる。 - A.I.VOICE
VOICEROID等に利用されている音声合成エンジンAITalkの開発元である株式会社エーアイにより新たに立ち上げられた個人向け製品ブランド。最新のAITalk5を採用する他、歌声合成ソフト・外国語音声合成ソフトのリリースも予定されている。 - VOICEROID
AITalkを音声合成エンジンに採用したAHSの個人向け製品ブランドであり長らく同社がパッケージングから販売までを行っていたが、AHSがパッケージングしたものを他社が販売するという形態も新たに登場している。 - CoeFont
株式会社Yellstonによる音声合成サービス。
2021年4月23日よりCoeFont STUDIOをリリース。Web上で完結、無償、規約内であれば法人・営利利用可能などの特徴があり、サービス開始直後から急速に普及した。
2021年7月28日よりCoeFont CLOUDをリリース。ユーザー自身の声を簡単に収録・公開できるようになり、利用可能なボイスが大きく増加した。 - VOICEVOX
2021年8月1日公開、ヒホ氏製作のソフト。オープンソースかつ一部ボイスは無償で商用利用可能。ディープラーニングを用いながらも、イントネーションの細かい調整が可能。 - VOICEPEAK
Synthesizer Vを開発したDreamtonics社が新たに開発した音声合成エンジン「Syllaflow」を採用したAHSの個人向け製品ブランド。こちらもシステムにAI技術を導入しており、人間らしい声を高精度に再現可能となっている。2022年3月11日にキャラクター性のない「商用可能6ナレーターセット」を発売した後、同年12月15日よりキャラクター製品シリーズの提供を開始した。 - その他個人製作ソフト
近年、オープンソースの利用によって個人でも高品質な音声合成ソフトの制作が可能となった。そんな中、いくつかのソフトが利用しやすい形で配布されている。
関連動画
関連項目
- 音声合成
- VOICEROID
- AITalk
- ギャラ子Talk
- 音街ウナTalk Ex
- ガイノイドTalk
- A.I.VOICE
- CeVIO
- CoeFont
- TALQu
- VOICEVOX
- VOICEPEAK
- つくよみちゃん
- テキスピ(Text to Speech)
- ニコニコ動画カテゴリ検討Slack
- ソフトウェアトーク界の年表
- 28
- 0pt