ADVANCE OF Ζとは、アスキー・メディアワークスの模型雑誌「電撃ホビーマガジン」で連載されているガンダムシリーズの模型・小説企画。通称は「AOZ」。
そのあり方は「ガンダム・センチネル」からの影響が見受けられる。
概要
サンライズとアスキー・メディアワークスとの共同企画として誕生した機動戦士Ζガンダムの公式外伝。
これまでにティターンズに所属するテストパイロットからの視点で描かれた「ティターンズの旗のもとに」(著:今野敏 2002-2007)と、反地球連邦活動に身を投じる事になった士官候補生の視点から描いた「刻に抗いし者」(著:神野淳一 2010-2012)、グリプス戦役後にジオン残党・エゥーゴ双方に接収されたTRシリーズ同士の戦いを描いた「AOZ Re-Boot」(作:藤岡建機 2014-)の三種類が展開されている。
なお、「ティターンズの旗のもとに」と「刻に抗いし者」の二作品の間には世界観を共有する以外直接的な接点は見られないが、「隻足のジオン軍パイロットがザンジバルの艦長になる」「主人公は物語当初ジム改の系列機に乗り、物語の進行に伴いガンダムへと乗り換える」といった共通点が存在する。
また、「ティターンズの旗のもとに」が模型写真と小説(及びイラスト)によるフォトストーリーが全編雑誌掲載であるのに対して、「刻に抗いし者」は設定や模型作例および、それを用いた特撮を本編の一場面と共に雑誌へ掲載し、本編の完全版をウェブサイトにアップロードするという形式が取られている。
ティターンズの旗のもとに
『機動戦士Ζガンダム』の敵側組織であるティターンズのパイロットを主人公とし、彼らの視点から見た展開を行う作品である。違う視点から見ることで、『機動戦士Ζガンダム』を深く掘り下げる目的を持っている。
物語は主人公のティターンズ配属からグリプス戦役終結までを描いた「グリプス戦役編」と戦後逮捕された主人公の軍事裁判を描いた「裁判編」の二つが同時進行し、正義感と誇りを持った若きティターンズ士官達の栄光と挫折、そして不当な「賊軍」扱いへの反抗を描いていく。
ガンダムシリーズの関連作品としては初めて本格的な法廷ドラマを描いた作品であり、立体物作例と平行して展開していく模型雑誌の連載企画としては若干の異彩を放っている(作者である今野敏は本作や宇宙海兵隊ギガースのようなSF小説の他にも「ハンチョウ」の原作である安積班シリーズなどに代表される警察小説などを手がけている為、ある意味では氏の得意分野での勝負とも言える)。
また、既存のMSやMAをベース機として追加パーツを施した「TRシリーズ」と呼ばれる試作機群、兎をモチーフにしたエンブレムや指先を赤く塗装したマニピュレータなど、そのメカニックデザインも特徴である。
今のところゲームへの出演やHGUC化などされたのは、このシリーズのみである。
刻に抗いし者
『ティターンズの旗のもとに』とは逆に、反地球連邦組織側からの視点で描かれたもう一つのAOZ。
偶然にも30バンチ事件の証拠映像を手に入れた主人公と、その幼馴染の兄妹が敵味方に分かれて戦う様子を描く。
主人公がカラバの一員として地上を転戦する「地上編」と、宇宙へ上がりエゥーゴとして戦う「宇宙編(エゥーゴの蒼翼)」の二部構成。また、連載終了後に番外編である「審判のメイス」が短期連載された。
「ティターンズの~」とストーリー的なつながりは無いが、描写の一部で前作のストーリーが反映されている。
登場するメカニックはTRシリーズほどのインパクトは無いものの、GPシリーズやMSVからのフィードバックを受け、後の時代の様々な兵器へ繋がっていくかのような意匠、設定がちりばめられている。
また、作中で彗星の採掘(水資源の確保)や火星の開拓の様子が語られるなど、宇宙世紀の世界観をより深める設定も魅力と言える。
前述の通り、本編をウェブサイトにアップロードする形式の作品である為に模型主導企画で発生しがちな文章表現や誌幅の制約が緩和されているのが特徴であり、その為、「ティターンズの旗のもとに」よりも連載期間は短いが、小説としてはこちらの方が文章量が多い。本編はガンダムインフォにて最新4話は閲覧可能で、現在も実は最終話と番外編だけ読める。むしろ番外編は単行本化されていないので、これで読むしかない。
機動戦士Ζガンダム本編からゲスト的な扱いではあるが劇中にアムロ・レイやエマ・シーンが登場しており、特にアムロに関してはΖガンダム本編では描かれなかったニューギニア基地攻防戦においてティターンズを手玉に取る活躍を見せている。
また、本作新規機体以上に既存設定機の活躍が目立つのも特徴で、マラサイやザクマリナー、ザクフリッパーなどの活躍は目覚ましい。また宇宙編に入ってから作者が個人的に思い入れがあるというバーザムの活躍が異常に目立つようになり、その反響も大きかったとされる。
コミカライズは「ヤッタネ!ウレシード」の作者である暁葉悠が手がけた事も(一部ファンから)注目されたが、こちらは作者体調不良に伴い現在は連載休止となっている。
A.O.Z Re-Boot
「ティターンズの旗のもとに」でメインメカニックデザインを担当した藤岡建機によるシリーズ第三弾。
小説作品であった「ティターンズの~」および「刻に~」とは違い最初から(WEB)漫画作品として展開されている。
キャッチコピーは「輝けるあの星をもう一度」。
「ティターンズの~」に登場した機体の後継機・改修機を主軸に置いた実質的な続編にあたり、火星を拠点とするジオン残党勢力と連邦軍に合流したエゥーゴ、そして両勢力に流れたTRシリーズの後継機による戦いを描く。
登場人物や世界観については、後述の「OVER THE MIND」 からの引用が目立つ為、「OVER THE MIND」の続編と見る事もできる。
本編となる漫画は電撃ホビーWEBで連載。
電撃ホビーマガジンでは設定解説、機体ピンナップ、空山竜司氏による模型が掲載された。
電撃ホビーマガジン休刊後は隔月での連載が電撃ホビーWEBで続いており、設定に関しても特集が組まれている。
OVER THE MIND
ガンダムエース2003年7月号に掲載された藤岡建機の読みきり作品。AOZの姉妹作。
「ティターンズの旗のもとに」に登場するガンダムTR-6[ウーンドウォート]に搭載されているシステムの開発の顛末が語られており、本作の登場人物が「AOZ Re-Boot」にも登場する。
登場機体
ニコニコ大百科に記事がある機体。
ティターンズの旗のもとに
刻に抗いし者
- RGM-79C ジム改[ワグテイル]
- MSK-003 ワグテイルⅡ
- RMS-106 ハイザック[アイリス]
- RMS-106 ハイザック[エピデンドルム]
- RX-106E ハイザック[ヴァナルガンド]
- NRX-033 マタ・ビリ
- MSW-004 ガンダム[ケストレル]
- ORX-008 ガンダム[グリンブルスティ]
- RX-110C ガブスレイ[フギン]
- RX-110NT ガブスレイ[ムニン]
- MSA-003+FXA-05D ネモ・ディフェンサー
- ORX-008 ハティ
- ORX-009 ガンダム[スコル]
- RX-136-1 ラクシャサ
A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎの見た夢-
- ARZ-055 リバウンド・ドック
- ARZ-139 ノンブラビ
- RX-123 ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]
- RX-123 ガンダムTR-S[エルアライラー]
- RX-123 ガンダムTR-S[ラブスカトル]
- RX-124 ガンダムTR-6[バーザムⅡ]
- ΖΖΖガンダム
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関連項目
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