「ahamo」(アハモ)とは、2020年12月3日にNTTドコモが発表し、2021年3月26日に開始された新ブランドである。
概要
2020年時点で大手携帯会社(ドコモ・KDDI・ソフトバンク)各社は、過去のしがらみから技術料・サポート費用・人件費などのあらゆる項目をプラン内に含めた料金体型を設定し、そこから各種割引を用いてお得になるよう提示していた。しかし、これらが複雑な料金形態を生み出して利用者に理解が得られづらく、かつ高額な金額設定の原因になっていた。
そんな状況下で時の内閣官房長官・菅義偉は何を思ったのか誰にそそのかされたのか不明だが、官房長官記者会見において「携帯料金が高い」と発言。菅が内閣総理大臣に就任してからもこの圧力は緩まることがなく、大手3社は文句を言いつつ仕方なしに検討を始めることとなった。
そのうちの1つ、ドコモが2020年12月3日に発表したのがこのahamoである。“従来のドコモ回線とほとんど同じ通信網(5G/4Gへの対応を公表)で、 最大20ギガバイトの通信量が使用可能”かつ“複雑な割引適用などを用いず、回線そのものが2980円”という、 MVNO(仮想移動体通信事業者)の格安SIMプラン並みの破格な内容だったことから、ユーザーからは大手3社の「アンチ通信トンネル会社化」に抗う内容として称賛を受けた。事実、2021年2月時点で事前エントリーが100万件を突破しており、その期待の高さを表している。
ただ、「ドコモがメインブランドで格安プランを設定」というよりも「『auに対するUQモバイル』『ソフトバンクに対するワイモバイル』などに倣ったサブブランドの新構築」という解釈が正しく、 “基本オンライン受付であるために、ドコモショップでの契約は出来ない”などの制約がある。
その後、ソフトバンクがLINEMO、KDDIがpovoを発表、 特にpovoが5分通話定額をオプションとして切り離し月額2480円とし、LINEMOもLINEカウントフリーという状況も込みでそれに追随。 だが、ahamoはそれに追随せず、5分通話定額を維持したまま月額2700円(税込2970円)に料金変更を発表。さらなる激化が予想される。
利点
- 前述のように、ドコモとほぼ同様の回線品質・利用エリアで20GBの月間データ容量を設定。
- 従来と同じ機種+SIMの形態のほか、SIM単体での契約も可能。
- 有料のローミングサービスを用いずに海外82の国々・地域で利用可能。
- 2年定期契約(いわゆる「縛り契約」)や解約金が存在しない。
- デフォルトでは1回あたり音声通話が5分間無料で、現行のドコモのプランと同様に+1000円で国内通話が全て無料。LINEなどの通話アプリを使用すれば、もちろんデータ通信扱いとなるため無料になる。
- 発表当初は「ドコモから移る場合もMNPと同等の手続きが必要で、2021年5月までには不要になるよう対応する」としていたが、後に開始時点から不要となることをリリースした。これに関わらず、dアカウントやdポイントは所定の手続きを経て引き継ぎが可能である。また、これまでの契約年数・継続利用期間もそのまま引き継がれることになった。
- eSIMにも対応予定。これによりiPhoneやGoogle Pixelなどの対応端末で物理SIMカードなしで運用可能、あるいはデュアルSIMにすることも可能となる。
制約
- 店頭契約は一切できず、契約受付・サポートは全てオンラインのみ。紛失・盗難・故障など緊急時のみ電話対応可能。
→ 2021年4月22日より、3300円の支払いでdocomoショップでの一部対応が可能になった。ただし、契約操作は基本契約者が行うため不親切とか言ってはいけない、こういった意味で修理の対応(端末取り替え)として使うのが正しい。 - 個人契約かつ18歳以上限定で、学割やみんなドコモ割などが適用されない見込み。「登録者が親・利用者は子供」という契約は許容されている。 ファミリー割引は適用可能だが割引非適用であるため、家族間通話無料はahamoからの発信については無料通話対象外となる。みんなドコモ割の回線カウントやドコモ光セット割の紐付けは可能。
- ドコモとahamoの請求を一括化するのも非対応だが、NTTファイナンスのおまとめ請求を使えば擬似的には可能となる。
- エリアは基本的にXi(4G)・5Gのみで、(海上など)わずかに残存しているFOMA(3G)エリアでは通話通信が不可。
- 前述の海外ローミングは、利用初日から15日を超えると通信速度の制限が発生する。
- キャリアメール(「@docomo.ne.jp」ドメイン)の使用は不可。基本GmailやiCloudなどの各フリーメールを用いることとなる。また、電源OFFの場合によく使われる留守番電話サービスや、携帯の電話を自宅におくる転送電話やキャッチホンについても提供されない。
→ 2021年12月16日より月額330円(これはdocomoの旧imode契約と同じ)で、docomo.ne.jpドメインが一部利用可になった。
ターゲット層は?
狙いとしては若年層かつ「スマートフォンの利用に長けている人間」向けであり、セットアップが自ら可能であったりファミリー向けの契約を用いなかったりという場合には、従来の契約に比べて特に格安となる。特にUQモバイルやワイモバイル、新興勢力の楽天モバイル、そしてMVNOの同等容量のプランを狙い撃ちした形となる。
一方、「自宅等にWi-Fiなどがあって、そんなにモバイルデータ通信を行わない」「基本的に通信よりも通話がメイン」というユーザーについてはデータ容量を持て余すことになり、却って割高となってしまう。ドコモ側もそれを理解しており、記者発表において「そういった層に向けてはMVNOとの連携を図っていく」とした。
逆に「ファミリー割引やシェアプランなどで契約をまとめる必要がある」「様々な割引を適用させたい」「20GBよりも使うヘビーユーザー」と言ったユーザー層についても、 既存のギガホ・5Gギガホをギガホプレミア・5Gギガホプレミアに変更し値下げ、かつ最大データ容量を前者は60GB、後者は無制限に変更している。 またギガライト・5Gギガライトについても上限設定オプション(サービス開始時は1GBまで、それ以上の容量については様子見とのこと)を設けることになっており、この辺の使い分けをどうするかが鍵となるだろう。
備考
2023年7月からは、それまでドコモ本体で展開していた「5Gギガホ プレミア」プランを内容改定した上で「eximo」に名称変更したほか、ドコモに統合されたNTTレゾナントのMVNO「OCN モバイル ONE」の代替として、ahamoの更に下位プランとなる「irumo」を新規創立。料金プランがすべて「〇〇mo」ブランドで統一されることとなった。
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関連項目
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