AMラジオとは、振幅変調(AM,amplitude modulation)との変調方式を使った音声放送。
概要
日本国内では中波帯の電波(526.5~1606.5kHz)を使った音声放送で、日本では標準放送と呼ばれている。国土が広く平野部が多い国では有利に、国土が狭く通信網が発達している国では不利という。
放送チャンネル
1978年11月23日に国際的な周波数変更で日本では10kHzステップから9kHzステップへ変更されている。周波数が半端な数字になっているのはこのせい。この変更により120チャンネル分用意されている。1チャンネルごと使用できる周波数は15kHzだという。FM放送(FMラジオ。超短波、VHF)は200kHzだからめちゃくちゃ狭い。
変調方式と送信出力
変調方式は振幅変調(AM)のうち「DSB-WC(Double Sideband With Carrier、ダブルサイドバンド・ウィズ・キャリア、全搬送波両側波帯)」といわれる変調方式を採用し、電子回路を単純化しつつできるだけ高音質で受信できるようにしている。なお、日本の地上アナログテレビの映像の送信もAM(振幅変調)の別方式を使っていた(→アナログ放送、NTSC)。振幅変調は電波の振幅の変化度が送信品質に影響を与えるので比較的大きな送信出力になりがちである。
なお、中波帯以外でも、短波帯や長波帯でも振幅変調方式で放送しているが一般にAMラジオとは言わない。それぞれ短波放送・短波ラジオ(ラジオNIKKEIや国際放送)、長波放送(ロシアやモンゴルなどの国内放送)と呼ぶ。
電波の性質
電波にさまざまな伝わり方があるが、AMラジオはそのうち地表波(地面に沿って伝わる波)と空間波(上空にある電離層と地表面を反射しながら伝わる波)が利用されている。
昼間は地表波のみだが、夜になると空間波が加わるからいろいろな地域、国から放送がびゅんびゅん飛んでくるので、遠距離受信といい高性能なラジオがあれば受信できる。この性質を利用して本来は短波帯を使う国際放送にもに用いられる。日本ではロシア(ソ連)、中国、北朝鮮、韓国が有名。ファンは社会主義との政治思想で怪しまれ、オウム真理教ラジオで大炎上
→中波を参照
ただし日本においては空間波の利用は想定されておらず、地表波のみの利用を考えている。よって中波(AMラジオ)を用いた日本送信の国際放送は存在しない。
地表波は減衰が大きいので地上と仮定すると実用上は送信所から100kmぐらいまでがサービスエリアとされる。また垂直偏波(地面に対して垂直に送信された電波)が用いられる。水平偏波(地面に対して水平に送信された電波、主に地上波テレビ放送に使われている)だと大地に電流が流れて衰退が大きくなるから使われない。
周波数が低いほうが障害物を回り込みやすく、周波数が高いほど直進性が高まる。そのため前者のほうが遠くまで伝わりやすい。
送信機としては周波数が低いほうが大型のアンテナが必要な分コストがかさむ。受信機としてはだいたい中央部の800kHz付近が受信感度が高い。素人見解であるが、800kHz付近がベストではと思う。首都圏では810kHzのアメリカのAFNと954kHzの民放先発局のTBSラジオ。
受信機
AMラジオ受信機は、構造が簡単にできポケット型の場合は1000円あればホームセンターですぐに買える。でも、音質には満足できないであろう。しょうがないね。物理的な何かが関係しているから。
使用周波数とチャンネルセパレーション
地域によって使用する周波数やチャンネル間隔が違う。
現行の国際ルール「ジュネーブ・ラジオ周波数プラン」では、使用周波数を531kHzから1602kHzの間、ビート混信を防ぐためにチャンネルセパレーションは9kHzとし、その整数倍を搬送周波数にし120チャンネル分を確保すると定めたが、足並みは揃っていない。
歴史
コペンハーゲン・ラジオ周波数プラン(Copenhagen Radio Frequency Plan、1948年)
1950年3月15日発効の国際ルール。のちのジュネーブ・ラジオ周波数プランの発効により置き換えられた。
ジュネーブ・ラジオ周波数プラン(Geneva Radio Frequency Plan、1975年)
- チャンネルセパレーション8kHz案:西ヨーロッパ諸国が主張
- チャンネルセパレーション9kHz案:アフリカ諸国が主張
- チャンネルセパレーション10kHz案:アジア諸国が主張
- コペンハーゲンラジオ周波数プランの継続(8、9、10kHz混在等カオス):東ヨーロッパ諸国が主張
最終的に日本が9kHzの整数倍、条件として現行周波数をプラスマイナス4kHzの範囲で動かし、周波数を大きく動かすことでの費用の増大を防ぐ提案をした。
この提案を西ヨーロッパ諸国以外が支持し、ルールが決まった。しかし西ヨーロッパ諸国は9kHz以外もセパレーションも採用することがあるとの決議文を上程して自身の意見を認めさせようとしたり、英国は8kHzの採用の可能性を残すべきと声明した。それでもなんとかまとめたい発展途上国の意気込みの前には話を蒸し返すことはできなかった。
東ヨーロッパ「このままでいいよ」
日本「うむ、確かにそれは嫌だよね。よし、アフリカ案を先進国の俺が推そう」
なお、ドイツを中心とした西ヨーロッパ諸国の研究によると8kHz案が一番効率よく電波を利用できるとのこと。9kHz案は120チャンネル分であるが8kHz案は135チャンネル分…なるほどね。
トロピカルバンド
熱帯地域では下記周波数を雷ノイズ対策で国内放送として使っていて「トロピカルバンド」と呼ばれている。
少ない送信所で広範囲をカバーできる利点もあった。しかし20世紀の終わりごろからFMラジオの放送網が構築されるとコストの問題から敬遠された。
省電力チャンネル(LPC)
周辺諸国と簡易な調整で使用できる最大1kWのチャンネルが設けられている。周波数は1,485kHz、1,584kHz、1,602kHz。
歴史
カナダ人の技術者レジナルド・フェッセンデンが1900年12月23日に電波に音声をのせることに成功、1906年12月24日にラジオ放送の実験に成功した。当日の放送内容はレコードで「クセルクセスのラルゴ」を流し、自身が「さやかに星はきらめき」を歌い、聖書のルカの福音書第2章の一節を朗読したとされる。場所はアメリカのマサチューセッツ州。
世界初の商業放送はアメリカペンシルべニア(ペンシルバニア)州ピッツバーグの当時ウェステングハウス社が運営していたKDKA(当時のコールサイン8ZZ、当時の周波数545 kHz)で1920年の放送開始。最初の番組はアメリカ大統領選挙開票情報だった。運営は変わっているようだが、2023年現在でも現存している。
日本では社団法人東京放送局(JOAK)がはじめて1925年に放送開始した。日本政府では当初から民間資本で運営させる方針で、公募したところたくさんの応募があり、絞り込むために非営利と制限した。とりあえず東京(JOAK)、大阪(JOBK)、名古屋(JOCK)で開始することになった。早期普及を目指し運営者を一本化した。
1928年にオランダが自国植民地向けに短波ラジオを放送し始めたが、日本では一般人向けにはAMラジオ(550kc-1500kc)以外のラジオ受信、たとえば短波ラジオは簡単には許可しなかった。事実上禁止されていたという。アメリカやイギリスは自由であった。また鎖国かよ、電波鎖国。
戦後、放送法によって民間商業放送が解禁され今日に至るが、主にコスト面の問題で多くの放送局はFM放送に移行する方向である。
送信
仕組み
キャリア発振器(PLLシンセサイザ回路)にて電波を作り、電気信号化した音声信号を振幅変調器にて電波の振幅を変化させ(振幅変調)、増幅回路にて増幅し指定された出力で音声情報を送る。
送ることができる音の周波数範囲は100Hz~7,500Hzと比較的狭く音質に劣る一方、鉱石ラジオ(Crystal radio)やゲルマニウムラジオを使うと電源なしで受信できる(無電源ラジオ、Unpowered Radio)。
送信用真空管
かつて送信機に使われていた送信用真空管こと送信管も話題になりやすい。日本では大出力送信機用「東芝9F45
」が有名。1本出力150kWの4極管。長さ56.5cm、直径31cm、重さ63kg。夜間のメンテナンス作業で交換していたと思われる。
送信アンテナ
送信アンテナは全方向に対して電波を送り出すことができる「無指向性アンテナ」と混信を避けるなどで特定方向に電波を飛ばないように抑える工夫をした「指向性アンテナ」が使われている。
主流派の支線式アンテナ。アンテナ本体は地面に対して垂直に立てられ、円管柱またはトラス柱が用いられる。波長が186mから570mもあるため、長さは30mから240mと巨大。先端に頂冠と呼ばれる傘のようなものが被せられていることもある。チョークコイルや碍子がつけられた支線がアンテナ本体を支えている。地下にはラジアルアースが埋設されている。ただし強風などの外からの力に弱い欠点を持つ。
少数派であるが自立式アンテナがある(ラジオ関西淡路送信所が有名)。
指向性アンテナは双給電式と単給電式あり、前者は2本が組み合わされていて、後者は2本のものと1本のものがある。資料に「D」と書かれている場合は指向性アンテナ。
材質は溶融亜鉛メッキ鋼を用いる。
日本の送信機メーカー
受信
仕組みはゲルマニウムラジオを参照。
一番勘違いされやすいものだけを。受信にはバーアンテナと呼ばれるループアンテナの一種が用いられている。通常ラジオ受信機の本体に内蔵されているので受信状況の改善は本体を動かす。金属製の伸び縮みができるアンテナはFM用であり伸ばしたり向きを変えても受信しやすくはならない。
品質の向上
- 広帯域AM放送:当時電波にのせることができた音声信号の周波数帯域は50~10,000Hzであるが、周波数帯域を40~15,000Hzに拡大して送信する手法で音質の向上を図った。このため演奏所から送信所までの回線も有線回線でなく無線回線を用意してもちいたとか。前述のとおり現在は100Hzから7,500Hzに制限されている。日本の民放ではTBSラジオが1955年(昭和30年)4月7日深夜に「イングリッシュ・アワー」の中ではじめて実施した
- プリエンファシス:中音域を強めて周波数隣接局からの混信低減などを図る送信手法。日本では1982年以降認められた。
- AMステレオ放送:詳細は「AMステレオ放送」を参照。日本では絶滅危惧種である
日本の周波数割当要求
- 1kW以下:387局+計画2局
- 1kWをこえ10kW以下:75局
- 10kWをこえ50kW以下:19局
- 50kWをこえ100kW以下:3局
- 100kWをこえ200kW以下:0局
- 200kWをこえ500kW以下:9局
- 500kWをこえ1,000kW以下:1局
- 1,000kWをこえるもの:0局
FMラジオ局に転換した放送局
AM放送を休止している放送局
下記の放送局は、FM補完放送(ワイドFM)を運用中に総務省の「AM局の運用休止に係る特例措置」で認められ、FM放送への移行に向けた実証実験によってAM送信所を全局で休止している。日付は最後まで運用したAM送信所の停止日。
- 山口放送:2024年7月29日(周南局)
- 栃木放送:2025年12月1日(全局)
- LuckyFM茨城放送:2026年2月1日(水戸局)
- 青森放送:2026年2月8日(八戸局、十和田局)
- 南海放送:2026年2月10日(松山局)
- 山梨放送:2026年3月1日(全局)
- 福井放送:2026年3月16日(福井局)
- 四国放送:2026年3月23日(徳島局)
※上記の局を含めたAM放送を運用する放送局(北海道放送、STVラジオ、秋田放送を除く)は2028年秋までにFM局へ移行することを目指している。このため、上記以外の複数の放送局では一部分のAM送信所の休止、親局を除いたAM送信所を休止するとして対応が別れている。
閉局した放送局
AMラジオネットワーク
日本
日本でのAMラジオネットワークは2つあり、テレビでネットワークの構築に成功したTBSがラジオでも構築しようと1965年5月2日にJRNとして発足させ、その動きを察知したニッポン放送が同年5月3日にNRNを発足させた。排他協定などはほとんどないのでクロスネット局がある。もちろん両方に加盟しない独立局も存在する。
- JRN(Japan Radio Network、ジャパン・ラジオ・ネットワーク):TBSラジオをキー局とした日本のラジオネットワーク
- NRN(National Radio Network、全国ラジオネットワーク):文化放送・ニッポン放送をキー局とした日本のラジオネットワーク
アメリカ
関連項目
- ラジオ
- 長波(LF) - 中波(MF) - 短波(HF) - 超短波(VHF) - 極超短波(UHF)
- 放送局
- ハイウェイラジオ - 旧・日本道路公団である東日本高速道路(NEXCO東日本)、中日本高速道路(NEXCO中日本)、西日本高速道路(NEXCO西日本)が放送する路側放送。 ・))))1620kHz 1620kHzまたは1629kHz
- 道路情報ラジオ - 国土交通省が放送する路側放送。・))))1620kHz 1620kHzまたは1269kHz
- 交通情報ラジオ - 都道府県警察が放送する路側放送
- 灯台放送 - かつてあった船舶気象通報の一つ。1670.5kHz
- 瑠璃の宝石 - テレビアニメ第12話に鉱石ラジオが登場する
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