AMラジオとは、振幅変調(AM,amplitude modulation)との変調方式を使った音声放送。
概要
一般に中波帯の電波(526.5~1606.5kHz)を使った音声放送で、標準放送と呼ばれている。
1978年に国際的な周波数変更で日本では10kHzステップから9kHzステップへ変更されている。周波数が半端な数字になっているのはこのせい。この変更により120チャンネル分用意されている。1チャンネルごと使用できる周波数は15kHzだという。FM放送(FMラジオ。超短波、VHF)は200kHzだからめちゃくちゃ狭い。
振幅変調のうち「DSB-WC(Double Sideband With Carrier、ダブルサイドバンド・ウィズ・キャリア、全搬送波両側波帯)」といわれる変調方式を採用し、電子回路を単純化しつつできるだけ高音質で受信できるようにしている。なお、日本の地上アナログテレビの映像の送信もAM(振幅変調)の別方式を使っていた(→アナログ放送、NTSC)。
周波数のこともあってか夜になるといろいろな地域、国から放送がびゅんびゅん飛んでくるので、それを遠距離受信といい高性能なラジオがあればすぐにできることだ。
ちなみに、AMラジオ受信機は、ポケット型の場合は1000円あればホームセンターですぐに買える。優れものだ。でも、音質には満足できないであろう。しょうがないね。物理的な何かが関係しているから。
中波帯以外でも、短波帯や長波帯でも振幅変調方式で放送しているが一般にAMラジオとは言わない。それぞれ短波放送・短波ラジオ(ラジオNIKKEIや国際放送)、長波放送(ロシアやモンゴルなどの国内放送)と呼ぶ。
歴史
トーマス・エジソンの弟子でカナダ人の技術者レジナルド・フェッセンデンが1900年12月23日に電波に音声をのせることに成功、1906年12月24日にラジオ放送の実験に成功した。当日の放送内容はレコードで「クセルクセスのラルゴ」を流し、自身が「さやかに星はきらめき」を歌い、聖書のルカの福音書第2章の一節を朗読したとされる。場所はアメリカのマサチューセッツ州。
世界初の商業放送はアメリカペンシルべニア(ペンシルバニア)州ピッツバーグの当時ウェステングハウス社が運営していたKDKA(当時のコールサイン8ZZ、当時の周波数545 kHz)で1920年の放送開始。最初の番組はアメリカ大統領選挙開票情報だった。運営は変わっているようだが、2023年現在でも現存している。
日本では社団法人東京放送局(JOAK)がはじめて1925年に放送開始した。日本政府では当初から民間資本で運営させる方針で、公募したところたくさんの応募があり、絞り込むために非営利と制限した。とりあえず東京(JOAK)、大阪(JOBK)、名古屋(JOCK)で開始することになった。早期普及を目指し運営者を一本化した。戦後、放送法によって民間商業放送が解禁され今日に至る。主にコスト面の問題で多くの放送局はFM放送に移行する方向である。
送信
仕組み
キャリア発振器(PLLシンセサイザ回路)にて電波を作り、電気信号化した音声信号を振幅変調器にて電波の振幅を変化させ(振幅変調)、増幅回路にて増幅し指定された出力で音声情報を送る。
送ることができる音の周波数範囲は100Hz~7,500Hzと比較的狭く音質に劣る一方、鉱石ラジオを使うと電源なしで受信できる。
送信アンテナ
送信アンテナは全方向に対して電波を送り出すことができる「無指向性アンテナ」と混信を避けるなどで特定方向に電波を飛ばないように抑える工夫をした「指向性アンテナ」が使われている。
主流の支線式アンテナの場合、アンテナ本体は地面に対して垂直に立てられ、円管柱またはトラス柱が用いられる。長さは30mから240mと巨大。先端に頂冠と呼ばれる傘のようなものが被せられていることもある。チョークコイルや碍子がつけられた支線がアンテナ本体を支えている。地下にはラジアルアースが埋設されている。少数派であるが自立式アンテナもある。
指向性アンテナは双給電式と単給電式あり、前者は2本が組み合わされていて、後者は2本のものと1本のものがある。資料に「D」と書かれている場合は指向性アンテナ。
受信アンテナ
バーアンテナと呼ばれるループアンテナの一種が用いられている。通常ラジオ受信機の本体に内蔵されている。
AMステレオ放送
関連コミュニティ
関連項目
- ラジオ
- 中波
- NHKラジオ第1 - 日本初のAM放送(実験放送は除く)。NHK放送センターや割当られたコールサイン(無線局の呼び出し符号)のJOAKの頁も参照。
- 後藤新平 - 日本初の放送局社団法人東京放送局(JOAK)の総裁。いわゆる一番偉い人。
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