AMラジオとは、中波帯の電波を用いた振幅変調方式の音声放送である。AM放送とも。
概要
526.5~1606.5kHzを使った音声放送で、標準放送と呼ばれている。1978年に国際的な周波数変更で日本では10kHzステップから9kHzステップへ変更されている。周波数が半端な数字になっているのはこのせい。この変更により120チャンネル分用意されている。1チャンネルごと使用できる周波数は15kHzだという。FM放送(FMラジオ。超短波、VHF)は200kHzだからめちゃくちゃ狭い。
歴史
トーマス・エジソンの弟子でカナダ人の技術者レジナルド・フェッセンデンが1900年12月23日に電波に音声をのせることに成功、1906年12月24日にラジオ放送の実験に成功した。当日の放送内容はレコードで「クセルクセスのラルゴ」を流し、自身が「さやかに星はきらめき」を歌い、聖書のルカの福音書第2章の一節を朗読したとされる。場所はアメリカのマサチューセッツ州。
世界初の商業放送はアメリカペンシルバニア州ピッツバーグの当時ウェステングハウス社が運営していたKDKA(当時のコールサイン8ZZ、当時の周波数545 kHz)で1920年の放送開始。最初の番組はアメリカ大統領選挙開票情報だった。運営は変わっているようだが、2023年現在でも現存している。
日本では社団法人東京放送局(JOAK)がはじめて1925年に放送開始した。日本政府では当初から民間資本で運営させる方針で、公募したところたくさんの応募があり、絞り込むために非営利と制限した。とりあえず東京(JOAK)、大阪(JOBK)、名古屋(JOCK)で開始することになった。早期普及を目指し運営者を一本化した。戦後、放送法によって民間商業放送が解禁され今日に至る。主にコスト面の問題で多くの放送局はFM放送に移行する方向である。
仕組み
キャリア発振器(PLLシンセサイザ回路)にて電波を作り、電気信号化した音声信号を振幅変調器にて電波の振幅を変化させ(振幅変調)、増幅回路にて増幅し指定された出力で音声情報を送る。
送ることができる音の周波数範囲は100Hz~7,500Hzと比較的狭く音質に劣る一方、鉱石ラジオを使うと電源なしで受信できる。
AMステレオ放送
ステレオ放送もでき、日本では世界標準のモトローラ方式(位相多重方式)が採用されている。受信機や送信機器等が高価、FM補完放送(ワイドFM)などの影響で普及しなかった。海外ではカーン方式(周波数多重方式)での放送もされている。
米国で提唱された方式
日本においての実施局
終了している放送局も含む
北海道地区
- 北海道放送(HBCラジオの記事あり) - 札幌局(1287kHz)のみ実施。1992年(平成4年)8月開始、2010年(平成21年)2月28日終了。
- STVラジオ - 札幌局(1440kHz)のみ実施。1996年(平成8年)10月開始、2010年(平成21年)3月28日終了。
東北地区
実施局なし。
関東甲信越地区
- TBSラジオ - 1992年(平成4年)3月15日開始、2011年(平成23年)1月30日終了。
- 文化放送 - 1992年(平成4年)3月15日開始、2012年(平成24年)2月5日終了。
- ニッポン放送 - 1992年(平成4年)3月15日開始。
東海北陸地区
関西地区
中国四国地区
九州沖縄地区
関連項目
- AM放送
- AMステレオ放送
- ゼネラルエレクトリック - 日本初の仮放送時に使われた送信機のメーカー。エジソンが創業者。
- ウェスタンエレクトリック - 日本初の本放送時に使われた送信機のメーカー。今はノキアらしい。
- 後藤新平 - 日本初の放送局社団法人東京放送局(JOAK)の総裁。いわゆる一番偉い人。
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