もしかして → ASROC(アスロック)? |
ASRock(アスロック)とは、PCパーツ企業の一つである。
概要
元は同じ台湾のパーツ企業であるASUSの子会社だった。関係性を匂わせるような社名「ASRock」は、設立当時のエンジニアリーダーが提唱した「As Solid as Rock(石のように固い)」な製品を市場に出したい、という発想が元になっている。
かつての親会社ASUSが、OEMパーツ市場の最大手であるFOXCONNと競合するため2002年に子会社として設立したのが始まり。当初はOEMパーツがメインだったが後に自作パーツ市場でも成長が始まり、2007年には株式の一部上場を果たす。2008年にASUSがOEM専門として分離した「ペガトロンコーポレーション」の子会社となったが、2009年にペガトロンが株式上場したことでASUSとASRockの資本関係が解消され、以後はASUSから独立した別個の企業として活動しているらしい。
設立されてからの成長スピードが非常に速く、2011年にはパーツ販売点数でECSやMSIに並んだ。現在ではPCパーツ市場の中核をなす巨大企業の1社であり、親会社だったASUSとは今や完全なライバルとしてしのぎを削りあう立場である。
製品の主力はマザーボードで、市場でGIGABYTE、ASUS、MSIと合わせ最大手4社の一角を担っている。マザーボード以外にはベアボーンも展開しているほか、一部グラフィックボード(AMD Radeonに限られる)も生産している。
変態マザー
ASRockを語るうえで外せないのが、個性的なマザーボード製品群の存在である。
普通のパーツメーカーが出すマザーボードは、その時代の技術や規格端子を乗せるなど"標準的"なマザーボードで、仕様に大差がない場合も多い。しかしASRockはそうした一般的な仕様から離れた数々の実験的なマザーボードを出してきた。それらのマザーボードは普通でないマザーとして「変態マザー」の異名を持つ(基本的には褒め言葉)。
- 変態マザー(一例)
- ソケット478(旧型のCPU)にDDR3のメモリ
- 一つのマザーボードにDDR2メモリスロットとDDR3メモリスロットが同居
一つのマザーボードにDDR3メモリスロットとDDR4メモリスロットが同居 - CPUソケットのSocket478とLGA775が同居
- Socket754のマザーにSocket939が載ったボードを搭載
- SATA3の接続端子が22ポート搭載
- 除湿機能つき
- LGA1156(初代Core i)対応マザーボードに新機能を取り込むため、自前で配線設計してP67チップセット(第2世代Core i向け)を搭載
- 防水機能つき
- USB3.0が普通になってきた第3世代Core iシリーズのIvy Bridge対応のLGA1155ソケットのZ77チップセットの時までフロッピーディスクドライブポートを搭載していた(同Z77 Extreme6が市場製品で最後のFDD対応品)
- ↑と同じように第2世代Core iシリーズのP67チップセットの時までIDEポートもサポートしてた(つまり、Ivy BridgeまでFDDとMOを搭載とかも標準機能としてできた)
- 1つのソケットでAM2からAM3+までのCPUに対応
- mini-ITX(すごくちっさい)マザーにLGA2011-v3ソケット(でかい)搭載
microATX(ちっさい)マザーにソケットTR4(すごくでかい)搭載←New!
変態マザーを出すタイミングは基本的に新しい規格が登場した時とされており、旧規格対応のパーツも使えるマザーを出すことで、ユーザーが低コストで次のプラットフォームに移行できるようにする、という狙いで出しているとのこと(ちなみにこのコンセプトは全ての変態マザー共通らしい)。
設立当初はASUSの子会社であったため、ハイエンド~ミドルレンジまでを強みとするASUSの穴を補完する形でミドルレンジ以下の製品のみを展開していた。しかしミドル以下の製品ではユニークな特徴がなければ売れにくいため、設立当初からユニーク路線が決まっていたことがインタビューで明かされている。
近年のASRockマザーの動向
近年はぶっ飛んだ変態仕様のマザーボードは以前ほどは目立っていない。むしろ堅実でコストパフォーマンスに優れた一般的な製品が主軸となっており、変態さに頼らない正統な技術面・性能面でも既に定評を得ている。
それどころか、今では当たり前のフロントパネル用USB3.0端子を世界ではじめて採用したのも実はASRockだったりするなど、むしろ業界の仕様を牽引するという従来は考えられなかったような立ち回りを見せる立場にもなりつつある。…が、それでもなお、「こんな仕様ASRockしか出さないだろ常考…」と唸らされる製品が飛び出してくることがあり侮れない。
かつてのASRockしか知らない人にとっては、依然として「コスパ重視の安物メーカー」「変態」などのイメージが強い場合がある。しかし現在はローエンド「Pro4」からミドルレンジ「Steel Legend」「Phantom Gaming」「PG Velocita」、ハイエンド「Taichi」「Extreme4」に至るまでマザーを全レンジで満遍なくブランド化しており、自作用マザーボード最大手の一角にまで登りつめている。
関連動画
自作関連
関連リンク
- ASRock 公式サイト
- PEGATORON 公式サイト
- ASRockに聞く「“変態さ”の秘密と今後の展望」 ~フロントUSB 3.0や3D VisionなHTPCなど~ (AKIBA PC HOTLINE)
- ASRockマザーボード“変態”列伝 (ASCII.jp)
関連項目
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