ボーイングB-52 ストラトフォートレス(Boeing B-52 Stratofortress)とは、アメリカ合衆国のボーイングが開発した戦略爆撃機である。
概要
ボーイングB-52 ストラトフォートレス Boeing B-52 Stratofortress |
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用途 | 戦略爆撃機 |
分類 | ジェット爆撃機 |
製造者 | ボーイング |
運用者 | アメリカ空軍 |
総生産数 | 744機 |
製造期間 | 1952年~1962年 |
初飛行 | 1952年4月15日 |
運用導入 | 1955年2月 |
ボーイングが開発・製造した多発式ジェット爆撃機。アメリカ空軍(USAF)にて1955年から運用・改良を重ね、2019年現在は最終量産型機B-52Hが使用されている非常に息の長い軍用機である。愛称のストラトフォートレス(Stratofortress)は、「成層圏の要塞」を意味する。
機体
全長、全幅共に50m近い巨人機。長大な後退翼に8発のジェットエンジンを搭載している。
日本人に馴染みの爆撃機といえば第二次大戦の空の要塞B-29であるが、最初の戦略爆撃機とも言えるB-29から、より大量の爆弾をより遠くへ、という進化の流れのその終端に立っている爆撃機。B-29に対して航続距離は1.5倍、速度は1.8倍、爆弾搭載量は3.5倍におよぶ。
先代の重爆撃機B-36の後継であり、米本土から飛び立ってソ連を核攻撃するため、長大な航続距離と当時の巨大な核爆弾を搭載する能力を実現した。
実は航続距離、搭載量いずれもB-36に若干劣るが、ジェット機となったことで速度では300km/h近く向上している。
経歴
開発
B-52の構想そのものは1946年2月に米陸軍航空隊(まだ空軍は独立していない)が航空メーカーに提案要求したことに端を発する。先代の重爆撃機となるB-36もまだ開発中で気の早い話であるが、B-36は基本的にはレシプロ機であり、遠からずジェットエンジンの時代が来ることもまた自明であった。
当初は直線翼のターボプロップ6発機として計画されていたが、性能的にB-36と大差無いものになってしまい、計画は難航。そうこうしているうちにジェットエンジンの技術が進み、紆余曲折の末、後退翼のターボジェット8発機となった。原型機XB-52の初飛行は1952年4月15日。
導入後も通常爆弾や巡航ミサイル運用への対応、電子装備の強化、ターボファンエンジンへの換装などの改修が行われている。
核攻撃任務
B-52の基本任務は核攻撃である。配備当初はまだICBMも無く、核爆弾の小型化も途上であり、戦略爆撃機は核戦争の主力であった。初期はまだ自由落下式の核爆弾で、ソ連防空網を焼き払いながら突っ込むような作戦が構想されていたが、後に核巡航ミサイルを装備し、防空網の外からスタンドオフ攻撃を行う構想にシフトした。
冷戦中は戦略パトロール任務についており、本土の基地が破壊された場合の報復、或いは速攻で先制核攻撃を行う為に、常時核爆弾を担いでソ連の近くで空中待機するという危なっかしい仕事をやっていた。核爆弾を搭載したまま墜落する事故を数件やらかしており、(より生存性の高いSLBMなどの登場もあって)冷戦期の後半には常時のパトロールは中止されたが、緊急発進できる体制は維持されていた。
実際に核攻撃をする事は無かったが、2019年現在も核攻撃能力を保有している。
実戦参加
核攻撃をする機会は無かったB-52であるが、通常の爆弾による爆撃任務ではベトナム戦争を皮切りに多くの戦争に参加している。
ベトナム戦争では大量の通常爆弾をばらまく第二次大戦以来の絨毯爆撃しか出来なかったが、その後の改修により巡航ミサイルや誘導爆弾の運用が可能になり、湾岸戦争では長距離からの精密攻撃を行っている。
対艦ミサイルでの対艦攻撃も可能だが、実戦でやったことはない。
後のアフガニスタンでは長い滞空時間を生かし、上空に待機して地上部隊のオーダーに応じてミサイルや誘導爆弾を放り込むという近接航空支援まで手を出していた。
老兵B-52
B-52自体は名機であったが、時代は冷戦真っ只中である。ソ連側の迎撃機や対空ミサイルの発達も著しく、いずれB-52も時代遅れになると見られていた。(実際にベトナム戦争では対空ミサイルに撃墜されている)
米空軍はソ連防空網を突破しうる戦略爆撃機を幾度も計画したが、軍縮、要求性能が高すぎるが故のハイコスト、新しい核攻撃手段である弾道ミサイルの登場、さらに冷戦そのものの終結という状況の変化により、いずれも計画の中止や大幅縮小を余儀なくされた。
そんな中、B-52も核軍縮の流れで300機以上が廃棄されたが、縮小されつつも運用は続けられ、米軍が戦争をするたびに実戦に参加している。2018年時点での保有数は75機。運用期間は既に半世紀を越え、親子孫と三代に渡って搭乗しているB-52一家も居り、そんなパイロット達曰く「B-52最後のパイロットはまだ産まれてさえいない」そうな。
2018年には、2020年代に予定されるB-21の配備に伴い、B-1、B-2を順次退役させる一方、その先代のB-52については少なくとも2045年まで運用を続ける方針が発表された。仮にその通りになった場合、今飛んでいる最終型の作られた1962年から数えても80年以上の長期運用となる。ひょっとしたら100年を越えて更に22世紀まで飛んでいるかも…?
仕様
B-52H | |
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乗員 | 5名 (操縦士、副操縦士、レーダーナビゲーター、航法士、電子戦士官) |
全長 | 48.5 m (159 ft 4 in) |
全幅 | 56.4 m (185 ft 0 in) |
全高 | 12.4 m (40 ft 8 in) |
主翼面積 | 371.6 m2 (4,000 ft2) |
空虚重量 | 83,250 kg (185,000 lb) |
全備重量 | 120,000 kg (265,000 lb) |
最大離陸重量 | 219,600 kg (488,000 lb) |
最高速度 | Mach 0.86 (1,000 km/h、650 mi/h、560KTAS) |
実用上昇高度 | 15,240 m (50,000 ft) |
最大上昇率 | 31.85 m/s (104.5 ft/s) |
航続距離 | 16,327 km (10,145 mi、8,816 nmi) |
エンジン製造者 | プラット&ホイットニー |
メインエンジン | プラット&ホイットニーTF33-P-3/103 低バイパス比ターボファンエンジン × 8基 |
最大推力 | 75,620 N (7,711 kgf、17,000 lbf) × 8 |
固定武装 | ゼネラル・エレクトリックM61 バルカン 20mmガトリング砲 × 1門 (現在は撤去済み) |
搭載武装 | 爆弾、ミサイル等の各種兵器を約31,500kgまで搭載可能 |
バリエーション
USAF
NASA
小ネタ
福島瑞穂議員の発言
国会会議録検索システムで「B52」を検索してみると、平成13年11月15日に参議院で行われた第153回予算委員会の議事録
には
という発言が記録されている。
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