BEASTARS(ビースターズ)とは、板垣巴留(いたがきぱる)による漫画作品である。画像は主人公であるハイイロオオカミのレゴシ。
概要
秋田書店の『週刊少年チャンピオン』で2016年9月より2020年10月まで連載された作品。同誌が”動物版ヒューマンドラマ”と打って宣伝している通り、人間社会をそのまま動物に置き換えた世界観で差別、愛、弱さ、希望、本能といったあらゆる要素を織り交ぜて描く。単行本は全22巻。
書店員を中心とした有志によるマンガ大賞2018で大賞を受賞。後に『このマンガがすごい!2018』オトコ編で第2位、第22回手塚治虫文化賞新生賞などを獲得している。
この受賞を機に作者の巴留(ちなみに女性である)は、マンガ大賞の発起人であるラジオ・パーソナリティーの吉田尚記がDJを務めるニッポン放送「ミュ~コミ+プラス」にゲストとして出演した。
種を超えた共存や上記のような要素などを、社会的なテーマをコミカルな描写も交えて描く『BEASTARS』について、巴留は『皆が一生懸命生きている作品で、誰かしらに情が湧くと思う。』と語っている。
ストーリー
ある日オスアルパカのテムが校内の講義室で惨殺されるという事件が起こり、犯人が見つからず肉食動物と草食動物の間に不和が生じ始める。殺されたテムと同じ演劇部に所属しているハイイロオオカミのレゴシに疑いの眼が向けられるが…。
世界観
- ■世界全般について
- この世界では動物が人語を話しており、二足歩行、五本指になっている。体のサイズは元となった動物に準拠しているためネズミは小さくゾウは大きい。イルカなど海洋種も存在するようだが本編には未登場で、海洋種の話す言語は外国語扱い。
- 肉食動物と草食動物が平和裏に共存しながら生きている社会になっている。そのため、肉食動物に対する偏見や恐怖心、草食動物に対する葛藤や自制心をいかにコントロールするかが重要な社会問題として存在する。
- 基本的に大型動物は小型動物に道をゆずることになっており、トイレや扉など動物のサイズに合わせた大小さまざまなインフラが用意されている。
- この世界では肉食は重罪とされており血すら取扱はない。純粋な肉食動物もサラダ中心の食生活を送っている。ただしタマゴや牛乳、および虫はOKらしい。 → 現実には人身売買や肉食を巡る犯罪が横行しており、闇市などでは草食動物の肉や血などが流通している。また、肉食を行わないという世界のルールを守らず堂々と肉食を行う反社会勢力もいるため、平和とは言いきれない空気がある。
- 異種間の恋愛、特に肉食動物と草食動物のあいだに恋愛感情や繁殖行為が起きないわけではないが、一般的には異常性癖の一種として扱われており、社会に出る前に"直しておく"のが普通とされている。
- 動物たちがそれぞれ快適な日常生活を送れるよう、動物の生態に合わせた環境の部屋で一定時間過ごす"生態時間"が定められており、どの動物も2日に一回"生態時間"を過ごす決まりになっている(トカゲ部屋は霧が散布されている、オオカミ部屋は月光を再現したライトが天井にある、など)。
- ■チェリートン学園について
- 中高一貫の全寮制エリート校である「チェリートン学園」では、肉食獣も草食獣も共に学ぶが、男女の別だけでなく動物の種類によって草食棟、肉食棟と居住エリアは分けられている。部屋も住む動物の種類がかぶらないよう科ごとに分散している(オオカミのレゴシは同じイヌ科のレトリーバーやハイエナなどと住んでいる)。
- 地下には"生態時間"用に設置された各動物の生態に合わせた部屋がある。
- 学園では肉食動物が草食動物をケガさせた場合は退学となる。また、草食動物に向けて牙をむくのも禁止されている。
- 「ビースター」とは、動物たちが暮らす全寮制の学校全体の統率を担い、差別や恐怖を超越する英雄的地位を意味する称号で、ビースターになった者は卒業後もスポーツ選手や政治家など世界を牽引するリーダー的な職業につくものが多い。[1] [2]
その他
- もともと巴留は動物を擬人化した関係を描くのを好んでおり、BEASTARSよりも前に同種の世界観を描いた短編集「BEAST COMPLEX」をチャンピオンにて短期連載している。デビュー作でもあるこの中の第3話「ラクダとオオカミ」が、後の本作の指針となった。なお本編連載終了後は、2021年1月より先述のBEAST COMPLEXの新作を短期集中連載予定との事。
- 彼女はこの動物を擬人化した世界観については幼い頃から温めていたようだが、よりによって、動物を擬人化した社会を描くディズニー映画「ズートピア」と発表する時期がかぶってしまい、心を痛めていたとされる。[3]
- 巴留は以前より、格闘マンガ「刃牙」シリーズで知られる漫画家の板垣恵介の娘ではないかとの噂があったが、2019年9月19日に発売された週刊少年チャンピオン42号にて「親娘誌上対面!!」と銘打たれた対談企画が掲載され、2人が実の親子であることが公式に明かされた。 [4] [5]
TVアニメ版
2019年2月6日に同じく週刊少年チャンピオンで掲載されている「魔入りました!入間くん」と共に、TVアニメ化が決定。PVが公開され、アニメーション制作に「宝石の国」を手掛けたオレンジである事が発表された。2月7日発売の週刊少年チャンピオン10号はTVアニメ化記念巻頭カラーが掲載。
主な製作スタッフには、監督に「牙狼-紅蓮ノ月-」で助監督を務めた松見真一、脚本は「リトルウィッチアカデミア」「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」などに関わった樋口七海。キャラクターデザインに「幼女戦記」の銃器デザインに携わった大津直、音楽はMONACAの神前暁がそれぞれ担当する。
第1期はフジテレビ「+ultra」枠にて2019年10月~12月に全12話で放送。レゴシとハルの出会いからルイのシシ組入りまでがアニメ化された。配信についてはNetflixで独占配信となっている。第1期放送終了後、第2期制作決定が発表。1期と同枠で2021年1月~3月にかけて全12話で放送された。リズとの接触から決戦までがアニメ化される模様。
第2期放送終了後には引き続き第3期の制作が発表。次回シリーズはNETFLIXアニメシリーズとして製作され、コーポ伏獣入居からメロンとの邂逅がアニメ化される。
放送局・配信サイト
第1期
放送局 | 放送日 | 曜日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
フジテレビ | 2019年10月9日 | 水曜 | 24時55分~ | 「+Ultra」枠 |
テレビ西日本 | 25時55分~ | |||
関西テレビ | 2019年10月10日 | 木曜 | ||
東海テレビ | 2019年10月12日 | 土曜 | ||
北海道文化放送 | 2019年10月13日 | 日曜 | 25時15分~ | |
BSフジ | 2019年10月16日 | 水曜 | 24時00分~ |
配信サイト | 配信日 | 曜日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Netflix | 2019年10月8日 | 火曜 | 不明 | 第2話は10/17(木)、以降木曜配信 |
FOD | 2020年4月10日 | 金曜 | 0時00分 | 都度課金 |
第2期
放送局 | 放送日 | 曜日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
フジテレビ | 2021年1月6日 | 水曜 | 24時55分~ | 「+Ultra」枠 |
テレビ西日本 | 25時55分~ | |||
関西テレビ | 2021年1月7日 | 木曜 | ||
東海テレビ | 2021年1月9日 | 土曜 | 25時45分~ | |
北海道文化放送 | 2021年1月10日 | 日曜 | 25時10分~ | |
BSフジ | 2021年1月13日 | 水曜 | 24時00分~ |
配信サイト | 配信日 | 曜日 | 時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Netflix | 2021年1月5日 | 火曜 | 不明 | 第2話以降木曜配信 |
スタッフ
- 原作:「BEASTARS」板垣巴留(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
- 監督:松見真一
- 脚本:樋口七海
- キャラクターデザイン:大津直
- CGチーフディレクター :井野元英二
- 美術監督:春日美波
- 色彩設計:橋本賢
- 撮影監督:古性史織 蔡伯崙
- 編集:植松淳一
- 音楽:神前暁(MONACA)
- 制作:オレンジ
キャスト
- レゴシ(ハイイロオオカミ)♂:小林親弘
- ハル(ドワーフウサギ)♀:千本木彩花
- ルイ(アカシカ)♂:小野友樹
- ジュノ(ハイイロオオカミ)♀:種﨑敦美
- ジャック(ラブラドールレトリバー)♂:榎木淳弥
- ミグノ(ブチハイエナ)♂:内田雄馬
- コロ(イングリッシュシープドッグ)♂:大塚剛央
- ダラム(コヨーテ)♂:小林直人
- ボス(フェネック)♂:下妻由幸
- カイ(マングース)♂:岡本信彦
- サヌ(ペリカン)♂:落合福嗣
- ビル(ベンガルトラ)♂:虎島貴明
- エルス(アンゴラヒツジ)♀:渡部紗弓
- ドーム(クジャク)♂:室元気
- キビ(アリクイ)♂:井口祐一
- シイラ(チーター)♀:原優子
- アオバ(ハクトウワシ)♂:兼政郁人
- エレン(シマウマ)♀:大内茜
- ミズチ(ハーレクインウサギ)♀:山村響
- レゴム(ニワトリ)♀:あんどうさくら
- ゴウヒン(パンダ)♂ :大塚明夫
- 市長(ライオン)♂:星野充昭
- オグマ(アカシカ)♂:堀内賢雄
主題歌
第1期
第2期
関連動画
関連静画
関連生放送
関連項目
関連リンク
- 板垣巴留 BEASTARS @itaparu99 (作者Twitter)
- 秋田書店「BEASTARS」特設サイト
- TVアニメ版公式サイト
- TVアニメ「BEASTARS」(@bst_anime) | Twitter
脚注
- *いわゆる、欧米のスクールカーストにおける最上位「ジョック」と同様と思われる。欧米圏のジョックについてはこれらの記事を参照。 → 「スクールカースト」 「ジョック」
- *作中では圧倒的なカリスマ性を持つアカシカのルイが最もその地位に近いと言われている。
- *第1巻あとがきより
- *「バキ道」板垣恵介×「BEASTARS」板垣巴留の親子対談が週チャンに掲載 (コミックナタリー 2019年9月19日)
- *【解禁】少年チャンピオン、今週号で『バキ』作者の重大情報をサラリと公表してしまうッッ! 触れたらアカンと思ってた…!! (RocketNews24 2019年9月20日)
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