BIOSHOCK(バイオショック)とは、2K Boston/2K Australia(現:Irrational Games(イラショナル・ゲームズ))によって開発された、FPS(ファーストパーソンシューティング)スタイルのロールプレイングゲームである。
日本ではPC(Windows)版、Xbox 360版、PS3(プレイステーション3)版が発売されており、XboxとPS3版は株式会社スパイクがローカライズを担当している。
BIOSHOCKの概要
BIOSHOCKは2004年後半から開発が開始された作品。
開発者によりPCタイトルであるSFアクションRPG「System Shock 2」(1999年発売)の実質的な続編(ストーリーなどが繋がっている訳ではない)と言われる。
アメリカでは2007年8月にPC版とXbox 360版が発売され、後に新難易度やDLC等が追加されたPS3版も10月に発売された。
日本では2008年2月にXbox 360版、6月にPC版、12月にPS3版が発売されている。
ジャンルとしてはホラー系FPSに属しながらも、物語や世界観を楽しむRPGの要素を多く含み、完全に一人用としてゲームが設計されていることが特徴。
またゲームエンジンにUnreal Engine2.5を使用したことにより、当時としては高度で美麗なグラフィックを実現している。
ニコニコ動画では下記の動画シリーズ『テクテク海底記』などで名が広まり、今では数多くのプレイヤー、実況者を輩出するタイトルとなっている。
ゲーム内容
時は1960年代。主人公を載せた飛行機が突如墜落。海上に投げ出された主人公はなんとか近くの灯台に泳ぎ着き、中に入りこむ。
その中にあった不思議な潜水艇に乗りこんだ先は、アンドリュー・ライアンが提唱した“洋の東西、主義に縛られない科学者のユートピア”を体現した、オーバーテクノロジーの粋を集めた海底都市「ラプチャー」であった。
主人公はラプチャーで発見された新物質「ADAM」の過剰投与によって発狂・変質した人間である“スプライサー”を、ラプチャー内各所で手に入れた銃器(あとレンチ)と、自身に投与した「プラスミド」から得た超能力で迎撃しながら進んでゆく。
自身を強化、新能力を得るためには「ADAM」が必要なのだが、施設内をスプライサーが常に徘徊し、都市機能を完全に失ったラプチャーでは“リトルシスター”と呼ばれる少女型スプライサーからそれを提供してもらうほかない。
しかし同時に、そのリトルシスターを守る“ビッグダディ”というボス以上に強力な敵を倒す必要があるため、攻略の全過程において計画性、取捨選択の判断が重要なスリルあるゲームとなっている。
主人公はラプチャーに生き残っているさまざまなキャラクターから無線で依頼を受け、それを実行しながらラプチャーからの脱出を図る、という王道的な"お使い型"のストーリー。そんなご都合主義で、ある意味不自然とも思える台本筋ですら演出であるという、深いシナリオと演出方法も本作が一流タイトルとして名を連ねる要因の1つである。
グラフィックも美麗であり、一人用なので自身のペースで進めることができ、何より日本の新世代家庭用ゲーム機でプレイ可能ということから、比較的手を付けやすいFPSタイトルである。
登場人物
- ジャック (Jack)
本作の主人公。飛行機事故によって水中都市「ラプチャー」へと迷い込んでしまう。様々な武器の使用に長けている。不自然な潜水球に乗りこんだり、プラスミドを説明も聞かず注射して超人化してしまうなどかなりの無鉄砲でもある。
- アトラス (Atlas)(声優:森川智之)
主人公と最初にコンタクトしたラプチャーの住人。正気を失っていない少数派の人間で「ラプチャー」から逃げ出すために、はぐれた家族を助けてくれるよう恐縮しながらもジャックに協力を申し出る。
北米版の話ではあるがアイルランド訛りがある為、一部の者には『アイルランド野郎』と呼ばれる事もある。フォンテインとの対立以降、市民に対し専制的になったライアンに対するレジスタンスの中心人物でもあった。
- アンドリュー・ライアン (Andrew Ryan)(声優:石塚運昇)
あらゆる国家・思想・宗教の干渉を受けつけない海底都市「ラプチャー」の創設者にして天才科学者。ラプチャーの最高権力者でもある。
ラプチャーが荒廃し、事実上の無政府状態と化して以降もその権力は揺ぎ無いものであり、主人公に襲い掛かってくるスプライサーの大半は彼の手下と言っても過言ではない。アトラスとは敵対関係にあり、主人公を外部からの侵入者とみなして様々な妨害を仕掛けてくる。
金儲けの道具になると睨んだリトルシスターを守護する為に、スーチョンという研究者にビッグダディを開発させたのも彼である。
- ブリジット・テネンバウム (Brigitte Tenenbaum)(声優:園崎未恵)
ラプチャー周辺に生息していた特殊なウミウシの一種から、ADAMを発見した遺伝子工学の女性研究者。第二次世界大戦の折はドイツの捕虜収容所で人体実験に従事していた。
ラプチャーに研究の場を移しADAMを発見した後はフォンテインの援助を受けてリトルシスターを開発したが、この事が最終的にラプチャーを破滅へと導いてしまった。アンドリュー・ライアンだけでなくアトラスとも敵対しており、主人公に(自身の贖罪も兼ねた)リトルシスターたちの救済を説く。
- フランク・フォンテイン (Frank Fontaine)
かつてラプチャーに住んでいた商人にして密輸業者。野心家であり、人を欺く事や商才に長け『フォンテイン水産』『フォンテイン未来技術社』などを起業。大きな財産を築きラプチャー内に己の勢力を作り上げた。
特にラプチャーの社会体制の矛盾を上手く利用し、『フォンテイン救済センター』なる施設を設立し秘密裏にスプライサーの私兵部隊を構築したり、テネンバウムに出資して生きたADAM製造工場としてリトルシスターを開発させる等、数々のあくどい行為に手を染めていた。
最終的にADAMの独占を目論みアンドリュー・ライアンと対立、1958年にライアンが放った襲撃部隊によって死亡したとされる。
- リトルシスター (Little Sister)
巨大な注射器を片手にラプチャー内を徘徊する少女たち。注射器で死体から血液を抜き取って飲み干し、それを体内に寄生しているウミウシが「ADAM」へと精製する。ラプチャー内で「ADAM」を作ることができる唯一の存在であるため、スプライサーから狙われ続けている。
どんな傷を負ってもたちどころに回復するためほぼ不死身ではあるが、それは体内のウミウシによるものであり、ウミウシを摘出されるとリトルシスターは死に至る。リトルシスター自身は自衛力を持たないため、フォンテイン未来技術社により開発された“ビッグダディ”に護衛されている。
プレーヤーは自身を強化して生き残るために、このリトルシスターからADAMの抽出、もしくは体内のウミウシを摘出することが必要となってくる。
敵・施設
- スプライサー
“身体を進化させる”という「ADAM」の過剰投与により、理性を失い凶暴化したラプチャーの住人。中には社会的な生活を営む者も(理性が残っているかどうかはともかく)いるようだが、自身の肉体を改造しているような存在もいるらしく、生々しい手術痕や動物の面を被っていたり、古びた衣服に付着した夥しい血痕といった小道具が狂気を表わしている。
いくつか種類がおり、打撃武器や銃器を扱う一般的なものから、遠くから爆弾を投げつけてくるもの、身体的に優れ壁面を這い飛び回るもの、中には超能力で転移するものまで存在する。
FPS系の敵としてはかなり機敏な上、物量戦を挑んでくるため、主人公は地形や位置取りといったものを重視しつつ敵を捌いてゆかねばならない。
- タレット
ラプチャー内に固定設置された自動警備システム。主人公を見つけると搭載されたマシンガンを掃射してくる厄介な存在。中にはロケット砲や火炎放射器を扱う凶悪な種類も。超能力「エレクトロボルト(電撃)」で一時的に機能停止させた後、近づいてハッキングすることで味方につけることが可能。
一度ハッキングしてしまえば、破壊されるまでエリア内に侵入してきたスプライサーを自動迎撃してくれる。ただし、射程内に敵が来ると問答無用で攻撃し始めるため、こと閉所での誤射率が高いというウザ可愛い奴ら。
特にロケットタレットは必ずと言っていいほど一発分余計に撃ち込むため、活躍するたび毎回プレイヤーや視聴者からその件について突っ込まれている。
- 監視カメラ
タレットと同じく、ラプチャー内の壁に固定設置された警備システム。周囲の人間を監視し、侵入者を認識すると警報を発して一定時間の間、迎撃用のセキュリティボット(後述)を呼び出し続ける。
警報が鳴ってしまった場合は鳴り終わるまで逃げ続けるか、警報停止装置(大抵カメラから少し遠いところにある)に20ドルを支払うことで警報を停止できる他、タレットと同じくエレクトロボルトで一時的に機能停止させることもできる。ちなみにエレクトロボルトを使わなくても、ハッキングすることで味方につけることが可能。
ハッキング後は主人公を感知・迎撃しなくなり、スプライサーを発見すると自動でセキュリティボットを呼んで一定時間迎撃してくれるようになる。
- セキュリティボット
タレットと同じ警備システム。小型ヘリのような独特の外見をしており、侵入者をとらえた監視カメラが警報を発すると、どこからともなく飛んできてマシンガンを掃射する。エレクトロボルト、または警報停止装置に20ドルを支払うことで機能を停止させられる他、さらにハッキングで味方につける(連れ歩く)ことも可能。
他にもスプライサーが護衛として一緒に連れていることがあり、その場合は該当のスプライサーを倒すことでも機能を停止させることができる。
ハッキング後はタレットや監視カメラと異なり自動迎撃は行わないが、主人公にダメージを与えた者、または主人公がダメージを与えた者に対してのみ攻撃を行ってくれる。
その回転翼の音が蜂の羽音に似ているためか、プレイヤーたちからは愛着を込めて「ブンブン」と称されていることが多い。
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自動販売機
ラプチャーは通常の施設機能が停止しているため、交換・購入と呼ばれるものは各所に配置された自動販売機によって行う。
- 回復アイテムから物騒な銃弾まで取り扱っている「バリュー・サーカス(ピエロ)」
- 武器の弾薬を専門に扱っている「弾薬販売機(スペインの西部劇)」
- ADAMで能力を入手する「ギャザラー・ガーデン(リトルシスター人形)」
- 武器を強化・改造する「パワー・ステーション」
- お金を対価に体力を全快する宿屋「ライフ・ステーション」
またライフ・ステーションのみ、敵も利用することがあるので注意。破壊すると回復アイテムを入手できるので、時には壊してしまうことも必要。
いわゆる『よろず屋』であるピエロが取引後に叫ぶ『HAHAHAHA~』はやたら耳に残るためか、弾幕コメントが流れるのは最早お約束。
- ビッグダディ(Big Daddy)
リトルシスターから「ADAM」の提供を受ける見返りに、彼女たちの護衛を請け負う改造人間。巨大な潜水服のような外装の中身は生身の人間(ただし身体的な部品が正しく揃っているかは別)である。リトルシスターおよび自身へ危害を加えた者には、その充実した武装をもって容赦なく攻撃を加える強敵。強烈な低音の唸り声で敵を威嚇し、某王蟲よろしく敵対した場合には目(に当たる部分)が赤く光る。
攻撃の一つ一つが致命傷クラスの重さを持つ。またその巨体に反し、自動車並みの速度で突進してくる。耐久力もスプライサーとは比較にならないほど高く、倒すためにはかなりの弾薬が必要。ゴリ押しでは回復アイテムがまず足りないため、地形や武器を活かしたゲリラ戦を展開しなければならない。
晴れて倒すことができれば、スーパーロリコンタイムリトルシスターからADAMの抽出をすることができる。ちなみに、ダディが生きている間はリトルシスターに危害を加える事はできない。
ちなみにドリルを装備した格闘装備型と、リベットガンを持った砲撃装備型の二種が存在。ジャケット絵を飾っているのは格闘装備型である。さらに場所によっては通常より強化された「エリート」と呼ばれる個体も存在し、主人公を容赦なく追い詰める。
厄介な敵ではあるが、例えばダディを上手く怒らせてスプライサーの居る場所まで誘導すれば、スプライサーを攻撃してくれるなど、利用法もさまざま。
余談だがリトルシスターからは「ミスターバブルス(Mr.BUbbles)」や「ミスターB(Mr.B)」と呼ばれている。またリトルシスターの護衛のほかに施設の修理などをしている個体もいるらしく、海中をゆっくり歩行している様子も目撃されている。
関連動画
BGM
プレイ動画
BIOSHOCK -テクテク海底記-(左) BIOSHOCK 武器はレンチだけ(右)
その他
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関連項目
- 13
- 0pt