概要
JR貨物が旺盛な貨物需要に対応する目的で開発された、国内では類を見ない大出力を誇る直流電気機関車。1990年に試作機が登場、91年から93年にかけて量産され計21両が落成した。
JRの発足当時、日本は好景気に沸き鉄道貨物も輸送力の増強が求められてた。そこでJR貨物は機関車の出力を上げることで、列車あたりの輸送量を向上すること目論んだ。その結果誕生したEF200は最大出力が6000kW(当社比1.5倍)となった。これは日本の電気機関車に於いて、単なる性能向上の範疇を超えた桁違いな数字である。
制御方式には当時技術が成熟しつつあったVVVFインバータ制御を、日本の量産電気機関車として初めて採用。きめ細かな加速制御やモーターの耐久性向上の恩恵で、従来と変わらない動輪6軸での出力向上が実現している。
他にもシングルアームパンタグラフ搭載や吊り掛け式モーターからの脱却など、先進的な技術を多数取り込んだ形式である。それらが評価され、1993年には鉄道友の会からローレル賞が贈られている。
大柄な車体は平面的でライトグレーを基調とした明るい塗装により、従来の電気機関車にあった複雑で重厚なイメージを一新した。ヨーロピアンスタイルとも評される前面はくの字折れでスピード感を感じさせ、ライトブルーの塗装は直流機の格式を爽やかに織り込んだ。
車体側面には「INVERTER HI-TECH LOCO」と書き込まれ、新技術の結晶であることをアピールしている。
変化
以上の性能を生かし活躍を期待されたEF200だが、結果として全開で運用されることはなくなった。消費する大電流が架線に許容を越える電圧降下を引き起こす、力行中に変電所間をわたり電流変化の保護回路を作動させるなど、電力設備に過大な負荷を与えたことが原因である。
鉄道は車両だけでなく、電力・軌道・信号・保守など取り巻く個々の設備全てが全体の性能を握っているのだ。残念なことに変電所の増強はその後の需要減少によって見送られ、EF200は出力を抑えて運用している。
2004年頃より車体の塗装が改められ、EF210に準じたダークグレー・ブルーのツートンになった。側面ロゴもJRFマークに描き変えられてしまったが、以前よりからし色だった運転室扉はそのままの色が残されアクセントになっている。
運用
主に東海道・山陽本線の高速コンテナ列車として運用されている。
EF66や後輩の経済型EF210でも牽引可能な、24両以下の列車の牽引が多い。しかし2007年から26両編成の列車が運行開始し、出力に余裕があるEF200が優先的に任に当たっている。
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関連項目
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