《EMモンキーボード》とは、遊戯王OCGのモンスターである。
スペック
OCG版は以下の通り。
《EMモンキーボード/Performapal Monkeyboard》
ペンデュラム・効果モンスター(制限カード)
レベル6/地属性/獣族/攻1000/守2400
ペンデュラムスケール:青1/赤1
【ペンデュラム効果】
「EMモンキーボード」の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、
このカードのPスケールは4になる。
(2):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。
デッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
手札の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を相手に見せる。
このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。
アニメでは赤字の制約がなく、1ターンに1度という別の制約こそあるが、毎ターン発動できる。
概要
アニメ「遊☆戯☆王アーク・ファイブ」、同アニメのメディアミックス漫画「遊☆戯☆王アーク・ファイブ 最強デュエリスト遊矢!!」に登場するカードであり、ペンデュラムモンスターに属する「EM(エンタメイト)」の1体。
アニメではシンクロ次元転移直後、セキュリティに襲われた榊遊矢が使用。《EMギタートル》と共にセッティングされ、《EMラ・パンダ》をサーチした後ペンデュラム召喚に使用された。
モンスターカードとしてのこのカードの正式な効果書式は、カードが映るシーンでは遊矢の指に隠れていたため不明。
モンスターとしては、「遊矢&黒咲隼vsタイラー姉妹」戦において守備表示でペンデュラム召喚されている。
「最強デュエリスト遊矢!!」でも榊遊矢の使用カード。同漫画の方針としてOCG版の効果で登場し、「遊矢vsSSマスク」戦で《EMリザードロー》と共にペンデュラムゾーンに置かれている。「遊矢vs北斗」においては手札からペンデュラム召喚されて攻撃するという激レアな姿を見せたが、これについては後述。
ネーミングはそのまま「モンキー」と「キーボード」と思われ、歯がキーボードのようになっている。
OCG版は2015年10月17日に発売されたブレイカーズ・オブ・シャドウで登場。
このカードこそ、EMを環境トップに君臨させたパワーカードである。
(1)のペンデュラム効果はもう片方に「EM」を設置しない限りスケールが狭まるデメリットだが、(2)のペンデュラム効果を併用することでデメリットを帳消しに出来る為、元々のペンデュラムスケールである1がほぼ確実に発揮できる。
(2)のペンデュラム効果がメインであり、レベル4以下のEMを手札に加える(以下「サーチ」)ことができるのだが、このカードは以下のポイントがある。
- 相互にサーチしあえるモンスターが充実している
《EMドクロバット・ジョーカー》と《EMペンデュラム・マジシャン》はいずれもこのカードのサーチ対象であり、逆にこのカードをサーチすることもできる。
《EMドクロバット・ジョーカー》は召喚した時に、《EMペンデュラム・マジシャン》はペンデュラム召喚した時にそれぞれサーチ効果を発動できる。タイミングがこのカードと食い合うことなく、サーチしたこのカードを使ってさらにサーチすることができる。
つまり、このカードを発動した、或いは間に挟んだだけで2枚以上のカードのサーチに繋げることができる、ということである。 - ペンデュラムスケールにセッティングするだけでサーチできる
先述のサーチカードと食い合わないのもそうだが、制約こそあれど1ターンに何度も設置できるペンデュラムスケールでサーチ効果を発動できる。
故に召喚権を使う前にサーチしてそのモンスターを召喚するなどの手が自由にとれるため即効性が高い。 - 僅か手札1枚で高スケールのペンデュラム召喚が可能
先述の《EMドクロバット・ジョーカー》もそうだが、EMにはスケール8のペンデュラムモンスターが複数存在する。そのため、このカード1枚を張るだけで結果的にレベル2~7のモンスターが同時にペンデュラム召喚可能になる。
「最強デュエリスト遊矢!!」で共にセットされた《EMリザードロー》なら、スケール6のため2~5のペンデュラム召喚を行いつつ《EMリザードロー》の効果でドローができる為、アドバンテージを稼ぎやすい。
また、ペンデュラム主体のデッキは「ペンデュラムモンスターが1枚しかない場合、ペンデュラム召喚ができず息切れする」弱点があるが、このカードを手札に呼びこめばサーチ効果によりペンデュラムスケールを揃えられる為、それだけでペンデュラム召喚が可能。
欠点を挙げるとすればそれは「ペンデュラムモンスター全般」か「サーチカード全般」の欠点でしかない。
このカード特有の欠点が存在しない、ペンデュラムスケールとして恵まれたモンスターなのである。
その反面、モンスター効果は手札から捨てて発動するためペンデュラムの特性とあまり噛みあわず、レベルを下げる対象は全てレベルを下げる必要すらなくペンデュラム召喚できるため、この用途で使用されることは殆どない。
ただし全く役に立たないわけではなく、ペンデュラムスケールからペンデュラム召喚で呼び出されることがある。このカードのレベルが6であるため、2体並べれば《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と相性のいい《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》や墓地を整える《永遠の淑女 ベアトリーチェ》、カードを回収あるいは手札に送還できる《セイクリッド・トレミスM7》などをエクシーズ召喚できる。
また、上級モンスターであるため、通常召喚により強引に《飛翔するG》や《真帝王領域》を突破することができるため、モンスター単体としては活躍の場がある。
以上のことから、このカードの登場で「EM」が即座にペンデュラム召喚できるようになり、安定性と爆発力の両方が大幅に強化された。
混成デッキ【EMEm】が「Em(エンタメイジ)」規制により崩壊した時も「EM」の規制が一切なかったため、【EM竜剣士】という別のデッキが生み出され、環境に引き続き居座る結果となってしまう。
故に、2016年4月1日よりこのカードは制限を通り越し一発で禁止となってしまった。《Emヒグルミ》と並ぶ登場から167日での禁止化となり、歴代最速タイ。活躍・OCG化のタイミングがいずれも近いため、2枚もの最速禁止カードを立て続けに出してしまったことになる。
にも関わらず、禁止化直後のアニメARC-Vの第5OPに姿が確認でき、多くのデュエリストのトラウマを刺激した。また、「最強デュエリスト遊矢!!」の「遊矢vs北斗」が収録された最強ジャンプも2016年4月1日発売と禁止化当日のもの。これらは単純に禁止決定時、各制作側の修正が間に合わないタイミングだったと思われる。
・・・と思っていたが、その1ヶ月半後に正式に映像がついた第5EDにもその姿が確認されているどころか、「遊矢&黒咲隼vsタイラー姉妹」でカードとして登場した。この時は効果を使用せず壁として使用しており、このカードをセッティングしサーチ効果を使用することはなかった。
とはいえ、これはARC-Vだけの事情というわけでもない。
次シリーズ「遊☆戯☆王ヴレインズ」において、2017年10月1日に制限指定を受けた《トリックスター・リンカーネイション》が、その約3か月後にデッキに3枚投入されている話が描かれていた。
これについて正式にヴレインズの監督からコメントが発表されており、「アニメの脚本は3か月前に作成されている」=「リミットレギュレーションの適用が脚本に適用できるのは早くて3か月後から」という関係性が正式に明かされたといえる。
それを基準に考えれば、このカードの登場タイミングは、OP以外は修正が間に合わなかったものと思われる。
その活躍から、ニコニコ動画も含め通称が「過ち」「猿」とあんまりな名前で通ってしまっている。このカード=EM(コナミ)の過ちという認識が一部ユーザーの中で強く、蛇蝎の如く嫌われるようにコメントされるのがお約束となっている。
ちなみに、海外でもその活躍を危険視されたのか、2016年4月11日付けで正式に制限カードに指定される。
日本よりまだ甘い措置・・・と思いきや、実はそれ以前から一部大会で2016年2月8日以降適用される禁止・制限カードリストにて、登場から24日という凄まじい速さで制限カードに指定されている。
というよりその一部大会用の禁止・制限リストこそ、【EMEm】一強の環境を規制するために急遽取り入れざるを得なかったものである。海外の環境でもどれだけこのカードが危険であったかが伝わるだろうか。
日本と海外の環境はほぼ別物レベルのため、そのまま禁止に直行するかは微妙なところかとも言われていたが、同年8月29日に海外でも禁止カードに直行。これにより、日本でも海外でもこのカードの使用が不可能になった。
現代の遊戯王における評価
そして時は流れ2017年。アニメ「遊☆戯☆王アーク・ファイブ」の放送が終了し、3月25日から新マスタールールが施行された。新たに「リンク召喚」「リンクモンスター」が導入されたと同時にルール自体に以下の大きな変更がなされた。
- エクストラモンスターゾーンが新たに追加され、エクストラデッキからモンスターを特殊召喚する際はこのゾーンかリンクモンスターのリンク先に置かなければならなくなった。
- ペンデュラムゾーンが廃止され、魔法・罠ゾーンの両端をペンデュラムゾーンとして使用する形になった。
これによりペンデュラム召喚自体が大幅な弱体化を受けることになり、かつての様な大量展開をするにはリンクモンスターを併用するなど一手間を加える必要が出てきた。このエクストラデッキからの召喚制限は、2020年4月1日に施行された現行のマスタールールにて融合・シンクロ・エクシーズが制限を撤廃され、メインモンスターゾーンにも召喚できるようになった。しかしペンデュラム召喚は依然と制限を受けたままであり、全盛期の様なペンデュラム一強とはならなくなっていった。
更にモンキーボードが禁止指定を受けた後に発売された9期最後のパックである「マキシマム・クライシス」にて《灰流うらら》が新規収録された。サーチ・リクルート・墓地肥やしのいずれかの効果を手札から捨てる事で無効化できるこのカードの登場により環境は一変。現在、数多くのデッキに採用されており、相手の展開を後攻0ターンから妨害するのは当たり前の環境となった。
以上の点に加え、全体的にカードパワーがインフレしている事もあり、「制限に緩和しても良いのでは?」との声が一部から上がっていた。事実、海外のTCGでは2022年5月17日に禁止から制限に緩和された。(尤も、海外ではペンデュラム召喚をサポートする《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》や、ペンデュラム主体の【魔術師】デッキで活躍した《覇王眷竜スターヴ・ヴェノム》が禁止カードとなっている為、OCGの環境とは純粋には比べられない点は留意したい。)
そして禁止から約7年経った2023年7月1日、遂に制限カードへ緩和された。
10期以降のルールでは前述の通りペンデュラム召喚が弱体化されたことで、現在ではペンデュラム召喚自体が一部のテーマが環境に顔を出す程度となっているため緩和されたものと思われる。また、同時期に発売される新パック「AGE OF OVERLORD」にペンデュラム召喚を強化するカードが収録されるため、そちらの販促も兼ねていると考えられる。
ちなみに、半年前に強化された【超重武者】は禁止カードが出る環境で大活躍した。ただ、あちらはフルモンが前提なのでペンデュラム全体への影響力は低い。
関連動画
関連静画
関連項目
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- 0pt