Hotline Miami 2:Wrong Numberとは、2015年発売の2D見下ろし型アクションゲームであり、「Hotline Miami」の続編である。制作はDennaton Games。
PC版がSteam、GOG.com、MaginoDriveにて配信。
2015年6月25日、PS4・PSVitaで日本語対応版「Hotline Miami Collected Edition」が発売。前作「Hotline Miami」とのバンドルであり、データ配信専用となっている。
また、Steamにおいてデジタルコミック(英語)が無料で配信されている。前作から今作の間の出来事、過去に起きた事件、劇中劇などを知る事が出来る。
概要
今作では主人公が複数存在し、群像劇といった趣が強い。また、物語そのものも時系列が入れ替わって進行し、プレイヤーを混乱させつつ考察を促す仕様となっている。
衝撃的な内容の前作を継承しつつ、その後の出来事を追いかけてゆく。同時に(「良く出来た後付」と言われる事しばしばであるが)前作の主人公・Jacketを含めた、特定の登場人物の過去も描かれている。
「死に覚えゲー」は健在だが、広いマップ・画面外からの攻撃など、前作よりも難易度が高い。プレイヤーは、操作するキャラクターそれぞれのアクションや武器をうまく使いこなす事が求められる。
狂気、流血、死。繰り返される暴力の連鎖の果てに行き着く「衝撃の終局」とは。
ストーリー
本編は時系列が大きく前後しており、そのたびにビデオテープを巻き戻し/早送りする演出が入る。また、チャプターもビデオパッケージをイメージした作りになっている。
詳細は割愛するが、おおまかな時系列は以下の通り。
1985年
ロシア、アメリカに侵攻。ミッドウェー付近まで侵略される。
特殊部隊「Ghost Wolves」の活躍により、ロシア軍は大打撃を受ける。
1986年
サンフランシスコに(ネタバレ)核攻撃。多くの市民が犠牲となる。
反ロシア感情が高まり、愛国団体「50の祝福」によるニュースレターを用いた活動が盛んになる。
戦争に乗じ、ロシアンマフィアが流入。犯罪が激増する。
1989年
『Hotline Miami』。Jacket、Jake、Biker、Richterが活動していた時期。
(ネタバレ)最終的にJacketはロシアンマフィアを壊滅させ、その後逮捕される。
1991年
『Hotline Miami 2』。The Fans、Pardo、Evan、その他が活動していた時期。
(ネタバレ)Jacket、裁判を受けて拘留中。
登場人物
The Pig Butcher(ピッグ・ブッチャー)
ブタのマスクを被った不気味な大男。凶器を手に人々を惨殺し、女を暴行して自宅に監禁していた殺人鬼。
後に逮捕されるが、拘留された警察署をも殺戮の舞台に変え、「ガールフレンド」を取り戻す為に暴走する。
(ネタバレ)その正体は人気俳優のMartin Brown(マーティン・ブラウン)。ホラー映画「Midnight Animal」の主人公であり、登場するエピソードは全て映画の話――かと思いきや、虚実が入り乱れており、映画なのか、単なる殺人鬼の妄想なのか、本当にMartin Brownという人気俳優は存在していたのか、曖昧にぼかされている。
終盤で「ガールフレンド」に射殺されて返り討ちに合い、『撮影』は大成功かと思われたが……
The Fans(ファン)
前作の主人公Jacketを崇める若者の集団。思い思いの動物マスクを被り、Jacketを真似て夜ごと街に繰り出しては悪党を「退治」している。
メンバーはCorey(シマウマ/回避行動)、Tony(トラ/素手で撲殺)、Mark(クマ/マシンガン)、Alex&Ash姉弟(白鳥/チェーンソー&銃)。
ちなみにCoreyとAlexは女性。またAlexは素顔で登場するシーンがあり、美人の評価を受けている。
自警団を語るだけあり、Coreyを除きメンバーは凄まじい戦闘力を誇る。
彼らのステージでは、選んだメンバーによってかなり難易度が上下する。
(ネタバレ)本人達は「自警団」を標榜しているが、本質は単純に暴れたいだけである。彼らが殺害していたのは、ロシアンマフィアとは無関係のギャング。前作で電話の主が意図していた理念、およびそれに基づいたJacketの行動の意味を理解しない、粗悪な模倣だった。
最終的に「本物の」ロシアンマフィアのアジトに殴り込みをかける事となったが、ほぼ全員が殺害される。辛うじて生き延びたTonyだったが……
Pardo(パルド)
マイアミ警察署の刑事。職務に忠実で、正当防衛の為の発砲もいとわない。
行く先々でドンパチに巻き込まれるが、返り討ちにするほどの実力者。マイアミを震撼させる連続殺人を担当する事となり、奇妙なメッセージを現場に残す犯人を追いかける内に有名人となっていく。
丸腰でギャングのアジトに乗り込むため、相当な自信家な様子。
相手もギャングだけあって銃器持ち、近接攻撃が通用しないタフガイが多く登場する。
銃器による制圧もしやすい代わりに、画面外からの射撃でよく死んでしまう。
(ネタバレ)連続殺人の真犯人。有名になりたいという自己顕示欲から、適当な犠牲者を見つけては殺害していた。現場に「いかにもそれらしい」血文字のメッセージを残しつつ、徐々に被害者の死体の損壊が激しくなり、終盤ではほぼ原型をとどめないほど破壊されている。
同時期に活動して有名になりつつあったThe Fansに嫉妬を抱く。ロシアンマフィアのアジトの襲撃事件を受けて乗り込んだ先で、唯一の生き残りであるTonyが降参するのを無視して射殺、正当防衛として隠蔽した。
「明日は我が身」と嘯くその身には、しかし既に破滅が迫っていた。悪事が露見する夢を見て疑心暗鬼に陥り、最後には自宅に立て籠もり銃を構えて震えるだけの日々を送る事に。
Jake(ジェイク)
頭がよくない上に無職、さらにはデブと、何をとってもダメな男。愛国団体「50の祝福」のニュースレターを購読するほどの極右で、敵国であるロシアを蛇蝎のごとく嫌う。
電話が命じるまま、コブラのマスクを被って殺人を繰り返す。
後述する「Ghost Wolves」の隊員の一人にちょっとだけ似ているが、まるっきり別人である。
せまいマップに敵が所狭しと詰め込まれているステージが多い。
近接攻撃で一撃で敵を殺せるマスクも解禁になるので、銃よりは近接攻撃で素早く敵を殲滅する必要がある。
画面外の銃持ちの射線が通るように窓が設置されているステージがいくつかあるので、敵の配置には特に注意。
(ネタバレ)1989年の人物。Jacketと同時期に活動していたマスクマンの一人だった。自宅にかかってきた電話について、発信者である「50の祝福」にその話を持ちかけ、偶然にも電話の主の正体を知ってしまう。
後にロシアンマフィアに返り討ちに合い、拷問の果てに殺害される。その死体は前作において登場しており、彼が使用していたマスクはJacketが回収した。
別ルート(敵を全滅させる)ではエージェントの手引きで「安全な場所」に案内される。組織が拡大し、よりうまく自分を運用してくれる事をJakeは期待するが、知りすぎた男に対して彼らが下す処分は一つしかなかった。
Evan(エヴァン)
Jacketが起こした連続殺人事件に関するドキュメンタリーを執筆中の、売れない作家。稼ぎがない上に家族をかえりみる事がない為、妻には愛想を尽かされている。
Pardoとは友人であり、そのツテでロシアンマフィアを訪ねて事件の真相を聞き出そうとする。事件を追いかける内、ある人物から「本当の事」を教えられ、少しずつ真相が明らかになっていく。
本作で唯一「人を殺さない」キャラクターであり、アクション場面では鈍器かパンチで相手を気絶させて進んでいく事となる。銃を手にしても銃弾を抜いて捨ててしまう。
また過去には従軍記者として活動しており、その頃撮影した一枚の写真が、ある人物にとって重要な意味を持つ事となる。
銃を拾っても弾を抜いたり、マウントをとっても近接攻撃をためらうモーションがあるため、ノーキルを狙うと敵を一人行動不能にさせるたびにいちいち隙ができる。
そのせいか敵の数も他のキャラのステージに比べると少なく、敵と敵の間隔も広いため、攻略は楽な方。
(ネタバレ)実は、鈍器で殴り続けると普通に殺害できてしまう。2人以上殺すとリミッターが外れて上着を脱ぎ、他のキャラ同様殺人をためらわなくなる。
家族とやり直すか、真相の究明を選ぶかで少しだけエンディングが変わるが……
The Son(サン)
前作のラスボスであるロシアンマフィアのボスの「息子」。傷だらけの顔とひきつれた瞼が特徴。
前作でボロボロになった組織を立て直し、商売敵であるコロンビアマフィアの壊滅を目論む。ドのつく派手な車を乗り回し、コロンビアマフィアが運営するナイトクラブ、資金が納められた銀行を襲い、かつて強大な権力をふるっていた父を超えていこうとする。
キャラがロシアンマフィアのドンであり、相手も大手マフィアの息がかかった拠点。
銃器も敵の数も多く、暗く見えにくいステージもかなり多い。かなりステージの難易度は高め。
アサルトライフルや近接攻撃用の武器も解禁になるので、ステージによって使い分けたい。
(ネタバレ)最終的にコロンビアマフィアを滅ぼして天下を取るが、ドラッグをキメすぎて幻覚を見る事となる。味方であるはずの部下達さえ顔が判別出来なくなり、襲いかかってくるのを殺害しながらビルの中を彷徨う。
同時に、The Fansによる襲撃を受ける。幻覚の中でクマに襲われて撲殺、シマウマに銃を向け、トラを撃ち抜いて双頭の白鳥を斧で肉片に変える。
壮麗なゲートを潜り、ビル屋上から空にかかる虹の橋を渡っていくが、現実世界では……
The Henchman(ヘンチマン)
The Sonの「部下」。恋人がおり、年の事もあって商売から足を洗いたいと考えている。
組織を抜ける代わりに「一仕事」するよう命じられ、コロンビアマフィアの息がかかったチョップショップ(車の盗品パーツを扱う店)を襲撃。そこに残されていた大金を「退職金」としてかき集め、自宅に隠すが……
ステージは広いがやはりギャング相手。銃器が多く、マップもかなり広い。
視界外からの射撃で死にやすいので注意。
(ネタバレ)彼が寝ている間に恋人はあっさりと裏切り、置手紙を残して大金と車を持ち逃げしていた。絶望し、クラブの個室でドラッグに溺れる彼の元に、「チョップショップを襲撃した犯人」を狙ってきたThe Fansがやってくる。
混濁した意識で恋人の名を呼び「家に帰りたい」と繰り返す彼に、何度も何度も鉄棒が振り下ろされる。
惨殺された彼の死体の傍に落ちていた携帯電話はThe Fansに回収され、ここにかかってきたThe Sonの「間違い電話」が、彼らを終焉の地――ロシアンマフィアのアジトへと導く事となる。
The Soldier(ソルジャー)
特殊部隊「Ghost Wolves(ゴースト・ウルヴズ)」の隊長。
1985年にアメリカ本土に向けて侵攻してきたロシア軍を迎え撃ち、たった4人の隊員で数百人のロシア兵を殺害した。指揮官に命じられ、重火器とナイフ一本でハワイに駐留するロシア軍の基地を壊滅させていく。
戦争中であるだけに最高難易度と言ってもいい程難しいステージばかり。
ステージが複数マップに渡り、1つのマップも広い上に敵が多い。
さらに最初に選んだ銃しか使えず、敵の銃を使うことも近接武器を拾うこともできない。
最初に選んだ銃の弾が尽きると特定の弾薬箱からしか弾が補充できなくなってしまい、ナイフしか使えなくなる。
銃でしか倒せない敵がマップ中をふらふらしているため、敵を倒す順番、撃つ弾数などさまざまな部分で注意をしなければクリアできない。
(ネタバレ)前作に登場した「Beard(ビアード)」その人。Ghost Wolvesの隊員であったJacketとは親友であり、命の恩人でもある。従軍記者時代のEvanにツーショット写真を撮ってもらうほどに仲が良かった。
後に退役し、サンフランシスコで小さな店を開く。1986年、電話越しにJacketと会話を楽しんでいたが、店の外が騒がしくなった為に外に出たところ、ロシアによる核攻撃に直面する。パッケージに描かれた「炎に包まれる割れた眼鏡の男」。
前作で「無料で商品を提供し、励ます存在」として登場しているのは、Jacketの妄想(願望)である。
親友の死に直面したJacketは改めてロシアを憎悪する事となり、「50の祝福」のニュースレターを購読。電話に導かれるまま、戦争に乗じてマイアミに流入してきたロシアンマフィアを殺害していく事となる。
Biker(バイカー)
前作に登場したフルフェイスヘルメットの男。Jacket同様電話に指示されて殺人を行っていたが、顔も知らない相手に指示されるのにウンザリして仕事を放棄。電話の主を突き止めようとして、Jacketと対峙する事になる。
(ネタバレ)電話の主から差し向けられた刺客であるJacketに敗北するも生き延びる。どうやら顔の傷はその時に出来たらしい。目は血走り、アルコールに溺れ、ホームレス同然の姿に落ちぶれてしまっている。カワイソス。
Jacketの事件に関して情報提供者に礼金を出すというEvanにコンタクトを取って当時の話をするが、あまりに荒唐無稽であった為に支払いを拒否されてしまう。つくづくカワイソス。
ちなみにJacketの公判が行われている裁判所の外で、騒ぎ立てるThe Fansや一般人に紛れてこっそり立っている。
Richter(リヒター)
前作に登場したネズミマスクのハゲ。電話に命じられ、拒絶する事も逃げる事も出来ずに殺人を繰り返していた。
今作では電話越しに登場。事件の真相を追いかけるEvanに、彼が遭遇した出来事について語り出す。
元は一般人のため、銃器、武器を所持していない。丸腰で挑むことになり、武器の解禁もない。
狭いマップに詰め込まれた敵、暗いマップ、銃を使わなければ倒せない敵の複数配置など、難易度は難しいとされる本作においてもトップクラス。
途中警察に逮捕され刑務所に入れられるため、脱獄に際し刑務所内をうろつくことになるが、
刑務所内にはなんと初登場の銃器がきかない敵が登場する。銃で撃ってもしゃがんで躱される上、脚もはやい。
その一方で銃でしか倒せない敵もいるため、武器の持ち替えや倒す順番など、かなり計画を練らなければクリアできない。
(ネタバレ)当時のRichterは仕事を探す傍ら、病弱な母の世話をし続けていた。家にかかってきた奇妙な電話により、意味不明の指示(電話をかけてメッセージを発信、街中に印をつけて回るなど)を受けていたが、気味悪がって従う事はなかった。警告として車を燃やされ、母の安全が脅かされるようになり、しぶしぶ殺人に加担していく事となる。
電話に命じられ、Jacketが匿っていたHookerを殺害。(Jacketと「50の祝福」の繋がりを知る証人に成り得る為と推測される)その後警察署に収監される。更には刑務所に送られ、囚人同士の決闘に見せかけて始末されそうになるが、囚人の暴徒化に乗じて脱獄に成功。ハワイまで逃げ延び、身の安全を確保する。
Evanに対して、情報の見返りとして母をハワイに呼ぶ為のチケットを手配してくれるよう頼む。引き離された母と息子は再会し、穏やかな波が打ち寄せる海辺の家で平和な時間を過ごすのだった……
「こんな時によく言われることわざ、知ってるよな?」
you know what they say about good times,don't you?
「ああ」
Yeah.
「『楽しい時間は長くは続かない』」
Good times never last.
「もう戦わなくていいんだな」
No need to fight it then.
「解ってもらえて嬉しいよ」
I'm glad you understand.
「『この世を去る』ってのも案外怖くないだろ」
Leaving this world is not as scary as it sounds.
よくある質問
Q.なんでアメリカとロシアが戦争してんの?
A.パラレルワールドだから。
Q.電話の主は何がしたいの?
A.本作では直接描写されていないが、前作のBiker編で真相が判明している。
今回電話によって殺人を依頼されているのは、実はJakeとRichterだけである。他はすべて「間違い電話(wrong number)」か、自発的に殺人を繰り返しているのみである。
(ネタバレ)電話の主は、愛国団体「50の祝福」の連中。アメリカの上層部とも強い繋がりを持っている。
ニュースレターを購読するほど愛国心のある人間を選定して動物マスクを送り付け、電話を使って指示を飛ばし、ロシアンマフィアをはじめとする「アメリカに敵対する存在」を壊滅させていた。曰く、あと5年もすれば結果が見えてくるらしい。
基本的にマスクマンは手駒であり、返り討ちにあった者も少なくない。また全ての対象を暗殺者に仕立て上げる訳ではなく、実際にRichterは最初の内は電話をかける、街中に印をつけるなどの仕事を持ちかけられていた。
Q.ラストで何があったの?
A.(ネタバレ)ワシントンDCにおいてアメリカとロシアの大統領が会談中、アメリカ陸軍によるクーデターに乗じて共に暗殺される。
これにより戦争が勃発し、アメリカ(おそらくはロシアにも)に核攻撃。
Pardo、Evan、Richter親子、Jacket、その他全員死亡。(Bikerは不明だが多分死亡)
ちなみに「50の祝福」事務所はどう見ても核シェルターである。こうなる事を予測していた?
Q.結局ニワトリマスク(Richard)って何なの?
A.公式から答えは出ていない。「Jacketの別人格」「人間の良心」「死神」などの説が出ている。
Q.最後のアレってほんとに出るの?
A.出ません。マジで出ません。製作者が宣言している。つまりはお遊び。
(ネタバレ)「核戦争で滅亡した世界でも、暴力の連鎖は続くという暗喩」という説もある。
Q.後付け設定多すぎ!
A.気にしてはいけない。
様々な考察が出ているが、製作者によると
「私達の考えるストーリーを完全に理解しているプレイヤーはいない」そうな。何という挑戦状。
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