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この記事を「王道進行」または「4536進行」に改名する提案(>>349)が出されています。 あなたが名付け親になれるかも。ご意見、掲示板で待ってます。 |
IV△7→V7→IIIm7→VImとは、J-POPでよく使われるコード進行である。通称王道進行。
概要
JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた 前編によると、30年以上の長きに亘り日本で愛されている進行であり、J-POPのサビの部分で多用されている。
Cメジャー(ハ長調)だと、F△7→G7→Em7→Amになる。コレを繰り返したり、後にツーファイブを繋げたりしてフレーズを作ることができる。
小室コード(逆循環)のように一アーティストが同じコード進行を様々な楽曲に用いるというケースはよくあることである(この王道進行についても後述のサザンやカーペンターズが当てはまる)が、多くのアーティストが同じコード進行を積極的に好んで用いるというケースは特筆すべきである。音極道氏は「王道進行」と名付けたが、冒頭に記した氏の箴言や後述の氏の意見からわかる通り、決して単純に悪者呼ばわりしている訳ではない。しかしながら、このコード進行を擁護する側には、王道進行の呼び名が定番と言うより「本来の意味の『王道』に当たる『楽な道』、『安易な道』を辿って日本のミュージシャン達が楽曲を量産している」との揶揄を込めて「王道進行」という言葉を使っているように聞こえてくるようである。
近年のパクリ騒動について、前掲動画を投稿した音極道氏は、後編動画において、パクリとされている元ネタにもオリジナリティは殆ど感じられない、今後こういう騒動が増える可能性は高いが、盗作というよりも(IV△7→V7→IIIm7→VImの進行によって)J-POPサウンドの形骸化が進んだ故の必然ではないかと述べている。一方で、この進行を使っているから手抜きだ・パターン化しているというような短絡的な話ではない、問題なのはコード進行に依存しすぎて「新しさ」の追求をおろそかにした作り手側の「姿勢」にあるとも述べている。
ジャズやロック等では「III→VI→II→V→I」等の五度圏の理論やツーファイブ、スリーコードといった所謂お決まりのパターンが(批判もあるとはいえ)「理論」として確立・常用されているのに対し、J-POPにおいては決して理論として持ち上げられることは無く、禁忌的なものとして暗黙のうちにあつかわれている。
なお、著作権法上「盗作」が問題になるのは「一定の小節数を超えるメロディーラインの一致」であり(判例:記念樹事件ただしあくまでも「編曲権」、即ち二次的著作物として解釈した場合である)、コード進行はいくらでも使い回しができる。著作権で保護されているのはあくまで「具体的な創作表現」に係る部分のみであって、誰が作っても似たようなものとなる「ありふれた表現」や、「選択の幅が狭い表現」まで著作権で保護してしまうと却って創作活動を阻害してしまう、と考えられているからである。
これをストーリー作品で言うとメロディーラインは「ストーリーの中身そのもの」であり、コード進行は「その作品の世界観や基本設定」に例えることが出来る。例えば「魔法少女もの」や「女子高生ものの4コマ漫画」といった設定そのものに著作権を与えてしまうと、たちまち創作に行き詰まってしまうことは想像に難くないであろう。
たくさん売れる魔法のコード
作り手の姿勢が批判される一方でIV△7→V7→IIIm7→VImを使った楽曲がヒットしていることは事実である。また音極道氏曰く、売れてなかったアーティストにこの進行の歌曲を提供したところたちまちヒットしたという逸話もあり、そのことがかえって(少なくとも、利益を求めなければならない産業音楽における)作り手の手法を保守的にしてしまったともいえる。
2010年8月現在CDとしては最大売り上げを記録しているサザンオールスターズのTSUNAMIも、コードだけをみてみればカノンコードとIV△7→V7→IIIm7→VIm、そしてツーファイブの組み合わせだけで殆成立している楽曲であり(それらが使われていないBメロも、既述の五度圏の進行や循環コード等今まで用いられ続けてきた真新しくもなんともないコードでできている)、神話を裏付ける一事例となっている。
一方、「王道進行を使ったのにまったく売れなかった」という事例はあまり喧伝されない。探せばたくさん出てくるかもしれない。
小悪魔コード進行
日本を代表する音楽プロデューサーの亀田誠治は、NHKの番組「亀田音楽専門学校」の中でこのコードを「小悪魔コード進行」と名づけ、集中的に特集した。興味がある者は調べてみてほしい。
ピコカキコで

関連楽曲
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に例として挙げられていた楽曲
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では直接触れられてはいなかったが、それっぽく聞こえる楽曲
- ガチャガチャきゅーっとふぃぎゅあっと(ふぃぎゅ@メイト)
- みくみくにしてあげる♪ (後述の亜種を含めると楽曲の9割がこのコードでできている)
- きしめん
- 奴隷人生
- ○○がトレーニング
- God knows...
- エアーマンが倒せない
- あんこ入り☆パスタライス
- RIP=RELEASE
- レッツゴー!陰陽師
- 時報を歌にしてみたら原形がなくなった的な感じ風のノリみたいなアレ
- 情熱大陸
- Super Driver(Bメロ前半・サビ3フレーズ目)
- only my railgun
- 恋スルVOC@LOID
- 歌に形はないけれど
- 負けないで(Aメロ1フレーズ目)
- 100万の微笑み(Aメロ)
- BLUE BIRD(浜崎あゆみ Bメロ)
- ブルーバード(いきものがかりの曲)(間奏・Bメロ)
- もう恋なんてしない
- 侵略ノススメ☆
- コネクト(
魔法少女まどか☆マギカ) - forフルーツバスケット
- 甲賀忍法帖
亜種
以下、コード数字に並んでいる「□」はマイナー・セブンス等付加のバリエーションがあることを表す (「IV□」は「IVだったりIVmだったりIV△7だったりする」という意味) 。
- IV→V□→IIIm7→VIm: 1つめのコードの不協和音を取り除いたもの。緊張感がなくなる為、なお多用される。
- IV□→V□→III7→VIm: 3つめのコードをドミナントセブンスにしたもの。「III7→VIm」の進行が部分的に解決(Vの和音がIに行き、音階上のシの音がドにうつることによる安心感) の効果を出している。
- e.g. みくみくにしてあげる♪(サビ後半)、雪、無音、窓辺にて、さくらんぼ(大塚愛)、100万の微笑み(Bメロ)、Super Driver(Bメロ後半)、IN MY DREAM、死体旅行、blue bird(とくp)
- IV□→V□→IIIm7→VI7: 4つめのコードをドミナントセブンスにしたもの。次に「IIm」(乃至IV &c.)をおくことによって解決の効果を出す。
- e.g. GO MY WAY!!(Bメロ後半)、きしめん(サビ後半)、キラメキラリ(Bメロ)、 負けないで(Aメロ2フレーズ目)、恋スルVOC@LOID(イントロ・サビ後半・間奏)、めてお☆いんぱくと(間奏)、フライデーナイト・ファンタジー(B部分)
- IV□→IV□→III□→VI□: 2つめのコードをIVに置き換えたもの。緊張感を軽くした進行。
- e.g. Butter-fly、ロミオとシンデレラ(Bメロ)、めてお☆いんぱくと(サビ)
- II□→V□→III□→VI□: 前半をツーファイブにしたもの。
2つめ・3つめの例にあるように前半は基本形を使い後半だけこれらに差し替えるという方法もとられる(緊張感をさらに増して少しでもマンネリ化を防ぐ為の策であり、例えば基本形の後に続くフレーズに、亜種一つ目のテンションの薄い進行が置かれることはない)。
日本以外での使用
後編動画でも指摘されているとおり、洋楽ではユーロビートブーム前後で多少もてはやされた程度で、決して支配的な進行であるとはいえないが、ユーロビートブームの少し前にカーペンターズのトップ・オブ・ザ・ワールドや青春の輝きなどで用いられ、当時のロック全盛期において一線を画すサウンドとなっていた。
近代以前の所謂クラシックにおいては殆ど使われなかったといっていい。F.ショパン作曲のノクターン第2番変ホ長調Op.9-2では、主題においてII-V7-III7-VIという似たような進行がでてくるが、楽節(文章における文節みたいなもん)をまたいだ進行(IIは前半、他は後半の楽節) なので既述の進行とは効果・役割が違う。
また、クラシックやジャズ、ロック、ポップス等で幅広く使われている基本的な進行、IV-V7-I-VIも似た響きを持つように聞こえるが、Iの部分で一度解決してしまっている為、緊張感の物足りない進行といえる。
関連動画
関連商品
関連項目
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https://dic.nicovideo.jp/t/a/iv%E2%96%B37%E2%86%92v7%E2%86%92iiim7%E2%86%92vim