JR九州(九州旅客鉄道)とは、福岡県に本社を置く鉄道会社。1987年の国鉄分割民営化に伴い発足した。正式名称は九州旅客鉄道株式会社。英称:Kyushu Railway Company
概要
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九州地方の旧国鉄の路線を引き継いだ鉄道事業のほか、かなり多角的に事業を展開している。特記すべきは年間売り上げのおよそ6割以上が、運輸事業以外からの稼ぎであり、JR旅客6社の中で最も民間私鉄に近い収益構造を持っているといえる(2020年3月期連結決算ではグループの連結売上は4326億円。運輸サービスは1,737億円であり、収益の60.5%を運輸以外が占める)。これは初代社長の石井幸孝が国鉄常務理事時代にホテルや不動産事業を持つ近鉄を研究していたためで、民営化後にも後の社長となる唐池恒二をマルイに短期出向させるなどした結果である。
2016年10月25日に東証1部に上場を果たし、株主が鉄道・運輸機構でなくなったことを受け、同年11月6日に世界貿易機関(WTO)政府調達協定の適用除外を受ける。
なお、車体デザインについてはデザイナー水戸岡鋭治氏による特徴的なものが多い。水戸岡氏曰く、経営者が率先して大胆なものを好んで選ぶ会社であるとのこと。
「いまだかつてないものを作ってよ」「日本一になりたいよね」「世界一じゃないとね」という経営陣の要望に水戸岡氏がこたえた結果が今のJR九州の車両たちである。(週間ダイアモンド(2011/7/30号))
上記のような恒常的な努力が実を結び、2011年に全社的なデザインに対する姿勢に最も優れた企業・団体に贈られるブルネル賞審査員賞(Jury Prize)を受賞した。日本の企業で初めての受賞である。
タイ国鉄と協力関係を結んでおり、タイ国鉄の安全・定時運行のためのシステム構築や観光列車導入、駅ビル開発などを支援する一方で、タイでの外食事業展開や観光客誘致などで支援を得ている。
2016年以降は熊本地震や九州北部豪雨、令和2年7月豪雨などの自然災害に相次いで見舞われているが、主要幹線の復旧に早い段階でめどをつけるなどの底力を見せている。
コーポレートカラーは赤。本社は福岡市博多区。なお、民営化で本社を福岡市に置く際、国鉄九州総局のあった門司から反発があったため、代替措置として同地にも拠点を置くこととなった。
組織本社機構
付属機関・支社以外の地方機関
特徴
- JR九州といえば、とにかく特急。博多駅と九州の主要駅を結ぶ特急が数多く発着している。
- 佐賀県と熊本県は通過点。宮崎県はJR九州中古車市場だったが西九州新幹線開業時のゴタゴタで817系がやってきた。
- 車両(特に特急車両)に定評がある。787系出現以降、ずっと水戸岡氏のターン。
- 博多港−釜山港航路に世界一速い高速船を運行している(現在は子会社)。
- JR九州バスは赤い。SUGOCA・nimocaは使えないが、鹿児島のRapica・いわさきICカードは使える。
- ラッシュでもクロスシート。おかげで乗車率が高い。
- 一部の列車(817系、813系1000番台以降等)は混雑対策のために入り口のつり革が円形に配置されており、その珍しさから大阪の毎日放送が取材に来た事がある。
- コストカットのために駅員が不在の時間帯が増えた結果初乗り切符でのキセル乗車が横行するようになったため小倉駅からの切符の発売で初乗りの切符だけ券売機の項目から削除して対応した。(初乗り切符が必要な場合は駅員に申し出る方式に)
- 1989年にデビューした「ゆふいんの森」をはじめとして九州内各地のローカル線に観光列車を運転しており、同社ではD&S列車と呼んで目玉の一つにしている。車両は従来から使用された車両を魔改造したものが多い。2013年からは豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行を開始した。
- JRグループの路線の無い沖縄県におけるJRグループの窓口であり、同県は管轄としてはJR九州である。
- 国鉄時代からの第3種縦型駅名標を民営化後にJR旅客6社で唯一廃止していた。
- ネット予約に力を入れているが、JR他社のようなチケットレスサービスがなく発券が必要。このため、発券のために並ぶのが名物化している。今後改善予定。
九州新幹線
- 2004年3月13日に新八代-鹿児島中央間に九州新幹線が部分開業した。全線は2011年3月12日に開通した。
- 全線開通日の前日に東北地方太平洋沖地震が起きたため、予定されていた全線開通記念イベントのほとんどは中止となった。
- 各駅停車の「つばめ」、一部通過の「さくら」、博多・熊本・鹿児島中央のみ停車(一部は久留米・川内にも停車)の最速列車「みずほ」が運行されている。
- 並行在来線である鹿児島本線の八代〜川内間は第三セクター方式の「肥薩おれんじ鉄道」となった。元々あった交流電化設備等は残され、それらの保守はJR貨物が行っている。
- 在来線特急時代は新大阪駅・大阪駅-西鹿児島駅で約5時間2分を要していた所、新大阪駅-鹿児島中央駅を3時間45分で結び「4時間の壁」を破った。
西九州新幹線
- 2023年9月23日に長崎-武雄温泉間に西九州新幹線が開業した。全線開業は佐賀県知事の気分次第
- もともとはスーパー特急方式やフリーゲージトレインで走らせる予定だったがフリーゲージトレインがコケたためフル規格の新幹線を走らせることになった。
- この関係かどうかは知らないが開業直後の2022年9月28日、10月11日、11月14日、10月20日に爆破予告があった。
- 各駅停車の「かもめ」、一部通過の「かもめ」が運行されている。(長崎~武雄温泉無停車の便を設定する構想があるのか将来の博多延伸開業を見越してか「かもめ」の表示も開業直後には見られた。)
- 並行在来線である長崎本線の江北(旧肥前山口)〜諫早間は上下分離方式となり、長崎県が設備の維持管理費用を担うようになった。元々あった交流電化設備等は江北~肥前浜は残され、肥前浜~諫早は諫早~長崎間も含めて交流電化設備等が撤去された。(これにより特急かもめは勿論817系等の普通電車も肥前浜から先に入れなくなり、長崎まではトイレ等をキレイにしたキハ40系が担当することになった)
- 在来線特急時代は新大阪駅・大阪駅-長崎駅で約4時間半を要していた所、新大阪駅-新鳥栖-武雄温泉-長崎駅を3時間59分で行けるようになり「4時間の壁」を破った。(2回も乗り換える必要あるけどね・・・)
支社と路線・車両基地
本社鉄道事業本部(本社直轄)
- 鹿児島本線(門司港駅~大牟田駅)
- 日豊本線(西小倉駅~中津駅)
- 山陽本線(下関駅~門司駅)
- 長崎本線(鳥栖駅~肥前大浦駅)
- 久大本線(久留米駅~日田駅)
- 日田彦山線(城野駅~夜明駅:全線)
- 筑豊本線(若松駅~原田駅:全線)
- 後藤寺線(田川後藤寺駅~新飯塚駅:全線)
- 香椎線(西戸崎駅~宇美駅:全線)
- 篠栗線(桂川駅~吉塚駅:全線)
- 唐津線(久保田駅~西唐津駅:全線)
- 筑肥線(姪浜駅~唐津駅・山本駅~伊万里駅:全線)
- 南福岡車両区(本ミフ)
- 筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センター(本チク)
- 小倉総合車両センター門司港車両派出(本コラ)
- 佐賀鉄道事業部唐津車両センター(本カラ)
新幹線部
長崎支社
大分支社
熊本支社
鹿児島支社
宮崎支社
その他
列車に関して
特急列車
前記の通り博多駅には日中多くの特急が発着しており、特に博多−鳥栖間は複々線ではないにも関わらず長崎本線の特急が直通するために九州新幹線の博多延伸まで超過密ダイヤとなっていた。
ちなみに在来線特急列車の種類・発着本数ではJR西日本の京都駅と1・2を争っている。
九州新幹線全線開通までは基本的に1時間の間に上下線それぞれに、「リレーつばめ」2本 「有明」1本 「白いかもめ」1本 「みどり」+「ハウステンボス」+「かもめ」1本が走っていた。更に久大線を通る「ゆふいんの森(ゆふDX)」が1本走る事もある。さらにここに快速が3本、普通が4本程度ずつあるためにまさに遅延が許されない区間であった。(九州新幹線全通後は「白いかもめ」1本 「かもめ」1本「みどり」+「ハウステンボス」1本 になり、西九州新幹線開業後は「リレーかもめ」or「かささぎ」2本 「みどり」+「ハウステンボス」1本)
そのため普通列車は待避線のある駅で特急にガンガン抜かれるのを待つため、博多−二日市間で30分を要する列車もある(特急なら10~15分程度)。また、普通列車の2~3分の遅延が特急列車の信号停車を招き、さらに遅延が拡大することも日常茶飯事である。しかもその遅延が毎日のように発生する。
博多−小倉に関しては小倉で折り返して日豊線へ入る「ソニック」が2本、熊本から直通の「有明」が1本であった。こちらも特急による追い越しがあるが特記するほどでもない。2011年3月12日現在は「ソニック・きらめき」による3本体制となっている。
また、2009年3月まで運行していた寝台特急「はやぶさ」は特急とは言え鈍足であるため、上りは「有明」、下りは「ソニック」にそれぞれ追い抜かれるダイヤを組んでいた。そのため、上りの場合、博多で乗り遅れてもすぐあとの「有明」に乗れば小倉から乗車が可能であった。
日豊線の佐伯-延岡は特急だけと言っていいほど普通列車が少ない(下り1本、上り2本)。
787系は唯一DXグリーン席とグリーン個室を備えている。前者はグリーン席を豪華にしたものである。後者は4人用個室であるが、追加料金さえ払えば1人で貸し切ることが可能。これらは基本的に空いているかはみどりの窓口で確認するしかないが、例外としてDXグリーン席はJR東日本が運営する「えきねっと」では予約可能(座席選択も可能)……ん?
D&S列車
JR九州ではローカル線を中心に観光列車「D&S(デザイン&ストーリー)列車」を運行している。D&Sは「デザインと物語のある列車」に由来し、個性のある九州をデザインと物語で楽しんでもらいたいというJR九州の願いが込められている。D&S列車はすべて水戸岡鋭治によるデザイン・設計であり、キハ40系などの既存の車両をリニューアルして運行することが多い。1989年に「ゆふいんの森」が運行を開始し、現在では12列車が運行している。
運転車両
2020年8月現在22系統の特急が運転されており、4種の電車と5種の気動車で運転されている。787系を除き、予備車が著しく少ないため、時刻表などで編成や運行日時を確認したほうがよい。
このため塗色と運用が食い違っていることがよく見られる。(みどり塗色の783系がハウステンボス運用に入ったりするなど)
1994年まではわずかながらジョイフルトレインが在籍していた。
電車
- 485系
- 国鉄より継承。車体カラーの変更、直流機器取り外しなどの改造を受け九州各地への特急として運転されていたが現在は運行されていない。大分、宮崎、鹿児島の「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」で運行されていた。
- 昔は「みどり」、「ソニック」でも使用されており、それぞれ「赤いみどり」「ウソニック」と呼ばれていた。
- 真っ赤なシャア専用塗装と赤・緑・青・黄で塗り分けられたきりしま&ひゅうが塗装がある。
平成23年3月12日の改正で九州からの撤退が発表された(後継は787系)。但し、国鉄色に戻されている5編成は廃車とならず臨時列車や団体専用列車として運行していたが、平成28年10月2日に全車廃車となった。 - 783系
- 1988年営業運転開始。国鉄からJRグループ化して初の新系列電車であったため、注目を集めた。翌年に第29回鉄道友の会ローレル賞を受賞した。登場初期は「有明」として運行されていたが、現在は2度のリニューアルの後、主に「みどり」「ハウステンボス」の二階建てや、「にちりん」で運行中。
- 少ない両数でもグリーン席を設置できるように車体を中央で区切る珍しい構造をしている。
なお、「かもめ」「みどり」「ハウステンボス」三階建て列車は平成23年3月12日の改正で廃止となっている。また、「かいおう」や「きらめき」に新たに投入された事で運用範囲を広げていたが、西九州新幹線開業時に「かもめ」での運用を終了し、「リレーかもめ」運用には入らなかった。 - 787系
- 1992年営業運転開始。博多~西鹿児島間を結ぶ「つばめ」として登場。なお「つばめ」は国鉄の看板列車の愛称であったため、JR九州は格式に見合うための車両を用意し、他のJR各社から了承を得たほどである。
- 1993年には第36回鉄道友の会ブルーリボン賞と通商産業省のグッドデザイン商品の賞を、さらに翌年には第5回ブルネル賞を受賞した。2003年以前はビュッフェがあったが現在は普通車化されている。2011年3月11日までは、DXグリーンの設置や短編成化され、一部開通した九州新幹線へ接続する「リレーつばめ」や、小倉~熊本の「有明」、朝夜の直方~博多の通勤特急「かいおう」として運行していた。2011年3月12日のダイヤ改正で、九州新幹線開業によって余剰となった「リレーつばめ」は、日豊本線の「にちりん」「にちりんシーガイア」「きりしま」「ひゅうが」に置き換えられた。たまに「かもめ」で走る事もある。西九州新幹線開業時に「リレーかもめ」の運用を担うことになった。
- ガンメタリックの全面塗装で、表面にはチョコボールを連想させる凹凸がある。
- このように格式ある車両だが、最近は振り子車両の台頭によりレトロな雰囲気が漂っている。
- BEC819系
- 2016年営業運転開始。 BEC819系電車、愛称は「DENCHA」。電化区間でバッテリーに充電を行い非電化区間も電気で走れる蓄電池方式の電車である。デザインはもちろん水戸岡鋭治氏。今後、非電化区間での活躍が増えていくと思われる。
- 883系
- 1995年営業運転開始。「にちりん」、「ソニックにちりん」として登場、後に博多~大分の列車は「ソニック」に改称される。1995年グッドデザイン商品、翌年にブルネル賞ブルーリボン賞を受賞。JR九州初の振り子式車両で、博多~大分の所要時間を20分ほど短縮した。
- フジテレビのトリビアの泉で「グリーン車の座席を後ろから見るとあのねずみがいっぱいいるように見える」と言うトリビアが紹介されたことがある。現在は塗装変更と内装リニューアル、5両編成車の7両編成化をうけ、「ソニック」として運行中。
- 青色の全面塗装で通称「青いソニック」と呼ばれる。
- 885系
- 2000年営業運転開始。博多~長崎の「かもめ」の速度向上を目的に登場。2001年ブルーリボン賞ブルネル賞グッドデザイン賞を受賞。883系に続き振り子式車両であり、2001年にはソニック用にも製造された。かもめ用が6両編成、ソニック用が5両編成で運転されていたが2003年にソニック用編成をすべて6両化した。黄色い帯がかもめ編成、青い帯がソニック編成だが、両編成とも予備車に乏しいため、783系や787系が代走することもあるほか、小倉工場への検査入場などの理由が重なると、博多駅で「かもめ編成で運転されるソニック」と「ソニック編成で運転されるかもめ」を同時に見ることが出来ることがある。
- 白色の全面塗装に青色のラインで、通称「白いかもめ」「白いソニック」と呼ばれる。
- 西九州新幹線部分開業後は「リレーかもめ」の他「かささぎ」「みどり」の運用にも入る。
なお、これらの特急列車のほとんどは、実際に就いている運用専用のデザインで作られていたが、予備車の不足等による代打で他の列車が割り当てられる事が多くなってきたため、「AROUND THE KYUSHU」デザインに統一されている。
気動車
- キハ71系
- 1989年営業運転開始。博多~別府を九大本線経由で運転する特急「ゆふいんの森」に導入された。
いずれもキハ58・65系からの改造車である。 - キハ72系
- 1999年営業運転開始。キハ183系1000番台を別の運用に転用するためその後継として導入された。
- 登場以来一貫して特急「ゆふいんの森」で運用されている。
- キハ183系1000番台
- 1988年「オランダ村特急」で運用開始。初の電車との併結協調運転が話題になった。その後「ゆふいんの森」「シーボルト」「ゆふDX」と運用が変更。
- このように何度も運用・塗色変更に遭っている波瀾万丈の車両である。2011年現在は「ゆふDX」が廃止になったため、豊肥本線の観光特急「あそぼーい!」に転属し活躍中。
- キハ185系
- JR四国でニートレイン状態であった車両をJR九州が救済した車両。水戸岡センセーにリデザインされ、久大本線と豊肥本線でそれぞれ「ゆふ」「あそ」で運用開始。
- 2004年に「くまがわ」を特急に格上げした列車と「あそ」と「くまがわ」を統合した観光特急「九州横断特急」でも運用されるようになった。
- キハ140/147系
- 2004年に誕生した観光特急「はやとの風」運行開始により種車キハ40/47系を改造したもの。
姉妹車としてキハ40/47系8000/9000番台がある。こちらは観光特急「指宿のたまて箱」に充当。 - キハ58・28・65系
- 国鉄時代に大量に製造された急行型気動車。かつては多くの線区で走っていたが、キハ200系気動車の投入により現在は全車廃車となった。
- キハ58・28のコンビ1組が熊本車両センターに保存されていた。このコンビは「あそ1962」に使用されていたもので動態保存車を含めもっとも若番の車両であったが平成30年3月に廃車回送された。
- 大分車両センターにもキハ58 569とキハ65 36が保存されていたが、平成27年3月に廃車となった。
主な列車
新幹線クルーズトレイン |
特急列車 |
D&S列車 |
特別企画乗車券(トクトクきっぷ)等に関して
九州ネットきっぷ
現在メインの片道タイプの特別企画乗車券。JR九州インターネット列車予約での販売であり、JR九州Web会員(無料)限定のきっぷである。
乗車6分前までに予約が必要であるが、発券前であれば何度でも変更が可能であり、非常に使い勝手の良いきっぷである。料金は後述の2枚きっぷ1枚分とほぼ同額。グリーン車指定席・普通車指定席・普通車自由席の3種を取り揃えており、200を超える区間で販売されている。また、一部区間では更にお得になる「九州ネット早得3」や「九州ネット早得7」も販売されている。
2枚きっぷ・4枚きっぷ・10枚きっぷ・20枚きっぷ
回数券タイプの特別企画乗車券。以前は4枚きっぷ・10枚きっぷ・20枚きっぷが販売されていたが現在は2枚きっぷのみ販売している。
割引率は2枚<4枚=10枚=20枚で、10枚きっぷは「窓口に行く手間が省ける」、20枚きっぷは「グリーン引換券が付属する」というメリットがあった。
歴史的には、国鉄末期に一般人には到底把握できないほど乱立した特企券にシンプルな統一名称を付けたものである。
しかし、ネット予約の普及や金券ショップへの転売防止のために徐々に販売数が減少。2018年5月31日に4枚きっぷが廃止され、現在は2枚きっぷのみとなっている。
旅名人の九州満喫きっぷ
九州内のJR九州・私鉄・第三セクターの普通列車・快速列車・路面電車に1日乗り放題の特別企画乗車券。
3回分発行され、値段は大人・子どもどちらとも11,000円。18きっぷのように複数人で使用することも可能。
2007年に「20周年記念」という建前で発売されたが、その後も毎年発売されている。
ガチきっぷ
18~24歳の若者限定販売で九州新幹線や在来線特急列車などの自由席が安くなる片道タイプの切符である。
ゲキ★ヤス土日乗り放題きっぷ
指定された期間内の連続する土・日曜日に、九州新幹線を含むJR九州全線が1日乗り放題となるきっぷで、2007年と2009年に発売された。
値段は、大人10,000円、子供1,000円で、もっとも割引率が高くなる大人1人と子供3人のケースでは、一人1日あたり1625円となる((10,000円 + 1,000円*3) / 2日 / 4人 = 1625円/人日)。
また、指定券およびグリーン券を追加して使用することもでき、この他ホテルとレンタカーの割引特典も付属している。
夏の思い出きっぷ
2008年7月30日から8月31日に発売された特別企画乗車券。有効日は2008年8月30日と31日の2日間のみで、内容的には上の「ゲキ★ヤス〜」と同様である。九州内の特急と新幹線を含むすべての列車の自由席に乗り放題になるきっぷ。大人10,000円、子供5,000円。
また、指定券およびグリーン券を追加して使用することもでき、この他ホテルとレンタカーの割引特典も付属している。
ナイスゴーイングカード
若年者向けの割引カードで、101km以上の乗車券を購入するときに提示すると運賃が最大4割引(ただし九州新幹線が含まれると3割引、このため博多~八代間は繁忙期以外は分割購入する方が安くなる)となる。利用できるのは金、土、日曜、ゴールデンウィーク、年末年始のみ。入会資格は16~29歳、年会費500円が必要だが、1回の使用で元が取れてしまうことも多い。
JR各社共通の学割制度では乗車券のみ2割引きになるのに対し、NGC使用では乗車券のみならず特急券まで割引が適用される。またNGC所有者向けの回数券なども販売されるほか、指定のレストラン、レンタカーなどの割引も受けることができる。
入会資格を満たしており、年に数回程度でも週末に101km以上の区間を利用する予定があるのであれば、NGC会員になっておいて損はなかった。
元気に! 九州パス
2016年に発売された1日乗降り自由のフリーきっぷ。使用は6月4日~7月18日の土休日に限定されるが利用前日の購入が可能で使い勝手のいい切符となっている。
JR九州 鉄道株主優待券
株主優待について
株主優待券は2023年度より制度が変更された。これまで株式市場上場済みの旅客鉄道4社(東日本・東海・西日本・九州)はどの企業も片道運賃・特急券の割引クーポンであったが、JR九州は2023年度以降より運賃割引クーポンに代わり、一日乗車券の進呈に変更された。
毎年3月31日時点で株主名簿に掲載されている人物・企業に進呈される。6月下旬に発送開始。7月1日~翌年6月30日の間の好きな1日で、JR九州管内の鉄道・BRT路線全線に乗車可能。青春18きっぷや旅名人の九州満喫きっぷと異なり新幹線・特急列車は特急券を別途購入すれば乗車可能なほか、首都圏・関西の電車特定区間の特例と同じく利用日の終電まで有効。36ぷらす3は座席のみ利用プランの場合のみ乗車可能(グリーン車特急券を購入すること)。ななつ星in九州・或る列車・36ぷらす3の食事付きプランはツアー商品扱いの為利用不可。
副業について
概要にもあるとおり売上のうち6割近くを副業が占めており会社の大黒柱となっている。
他のJRと比較しても突出したその比重は不動産などに幅広く手を出す東京や大阪の民鉄のビジネスモデルと同様のものであり、会社の体質が良くも悪くも一般的な民間鉄道に近いものとなっている。
今後、JR九州固有の運用資産である豪華寝台列車「ななつ星in九州」や新幹線等と絡め相乗効果を出すことにより、さらに幅広い事業展開が可能となる可能性がある。
駅ビル・不動産事業
主要駅を中心に駅ビル事業・オフィスビル事業を経営している。テナント売上は2700億円に達しており、JR九州の鉄道と並ぶ基幹事業となっている。JR九州駅ビルホールディングスを中間持株会社とし、以下の6社が駅ビルの運営を行う。
- JR博多シティ
博多駅博多口側にある「JR博多シティ」を運営する。 - JR小倉シティ
小倉駅南口側にある「アミュプラザ小倉」を運営する。 - JR長崎シティ
長崎駅にある「アミュプラザ長崎」を運営する。 - JR熊本シティ
熊本駅に建設中の「アミュプラザくまもと」を運営する。 - JR大分シティ
大分駅にある「JRおおいたシティ」を運営する。 - JR宮崎シティ
宮崎駅にある「アミュプラザみやざき」を運営する。 - JR鹿児島シティ
鹿児島中央駅にある「アミュプラザ鹿児島」を運営する。 - JR九州ビルマネジメント
その他主要駅の駅ビルや街中の商業施設、ゴルフ練習場の管理、マンション管理事業を行う。
JR九州ホテルズ
九州・沖縄エリア
- JR九州ホテル小倉
- THE BLOSSOM HAKATA Premier(ザ ブラッサム 博多プレミア)
- JR九州ホテルブラッサム福岡
- JR九州ホテルブラッサム博多中央
- JR九州ホテル長崎
- THE BLOSSOM KUMAMOTO(ザ ブラッサム熊本)※2021年4月開館予定
- JR九州ホテルブラッサム大分
- JR九州ホテル宮崎
- JR九州ホテル鹿児島
- JR九州ホテル屋久島
- JR九州ホテルブラッサム那覇
東京エリア
JR九州フードサービス
飲食料事業はJR九州フードサービスが運営している。
2015年12月現在、居酒屋「うまや」を九州内9店舗に加え、東京都に8店舗、中国上海に1店舗展開。
JR九州フードサービスはその他、弁当事業、うどん屋12店舗、ラーメン店8店舗、レストラン、うちのたまご直売所、吉野家を3店舗、華都飯店3店舗、軽食(甘味含む)9店舗ととにかく幅広く飲食店を展開している。駅弁の店もここで運営している。
JR九州ファーム
現在、JR九州では農業生産事業を育成している。
売上が順調に推移しており平成26年7月1日には農業生産法人「JR九州ファーム株式会社」を設立した。これは更なる収益増を狙ってのものである。設立後は食料品の製造、加工、販売までこの会社が一手に担っている。
このやり方は近年ブームである第六次産業と呼ばれるものであり、生産から加工、販売まで一手に担う事で関連する全事業の利益を全て企業内に確保するものである。また、唐池恒二会長自身がJR九州ファームの会長を兼任していることからわかるようにかなり本気での参入となっている。
生産している品目は以下のとおり。(カッコ内は生産地)
農場一覧
- 内野宿養鶏場(福岡県飯塚市 / たまご)
- 糸島農場(福岡県糸島市 / キャベツ ・ レタス ・ 大根 ・ 人参 ・ 芥屋かぶなど )
- 玉名農場(熊本県玉名市 / ミニトマト)
- 大分農場(大分県大分市 / ニラ)
- 新富農場(宮崎県児湯郡新富町 / ピーマン)
- 臼杵農場(大分県臼杵市 / さつまいも ・ 甘夏)
- 宇土農場(熊本県宇土市 / 温州みかん ・ デコポン ・ ネーブル)
- 松浦農場(長崎県松浦市 / アスパラガス ・ ブロッコリー )
生産品目一覧
- 甘夏、さつまいも(大分県臼杵市)
- 卵(福岡県飯塚市、福岡県筑前町、販売商品名は『うちのたまご』)
- キャベツ、レタス、大根、人参、芥屋かぶ(福岡県糸島市)
- トマト、ミニトマト(熊本県玉名市)
- ニラ(大分県大分市)
- ピーマン(宮崎県新富町)
- ブロッコリー、アスパラガス(長崎県松浦市)
目標として自社産の生産物によるカレーライスの生産が当時の唐池社長の口から明言されており、長期的には玉ねぎ、じゃがいも、米なども生産対象の候補に入れている。いつかJR九州のカレー(素材の全てが自社製)が食べれる日が来るとおもわれる。
甘夏の規格外品を活用して「うすきの甘夏スカッシュ」を製品化に成功。熊本県水俣市にある福田農場ワイナリーに製造を委託、年間約五千本を生産し観光列車「ゆふいんの森」の車内にて販売している。これによりさらなる売上高増加を見込んでいる。
八百屋の九ちゃん
1号店
鹿児島線千早駅(福岡市東区)に作ったJR九州の八百屋である。
現在、直営農場で栽培する野菜を販売している。 全国的に見ても鉄道事業者直営の八百屋はかなり珍しい部類に入る。
2号店
3号店
洋菓子店
福岡県筑紫野市のJR天拝山駅近くに「うちのたまごEGG&SWEETS」として2016年5月下旬開業。
自社生産している卵を使ったスイーツを製造・販売している。
2016年11月11日に二号店を博多駅構内の「いっぴん通り」向かいに出店。
八百屋の九ちゃんネット
八百屋の九ちゃんのインターネット通信販売チャンネルである。JR九州ファーム直営農場の農産品を販売している。
道の駅
大分県日田市の第三セクター「おおやま夢工房」の全株式の72%を3700万円で買収
道の駅「水辺の郷おおやま」の運営他、温泉宿を新築、宿泊施設は現在の11室から30室程度させる。
上記、農業部門との連携も行い高い品質のサービスを提供する。
ベーカリーカフェ運営、製パン
トランドールという名称にて事業を行っている。
パン生地は資本参加してるタカキベーカリーより提供を受けていたが、2023年にそのタカキベーカリーに全株式を譲渡した。
老人ホーム
子会社「JR九州シニアライフサポート」を通じて鉄筋コンクリート12階建の住宅型有料老人ホーム「SJR千早」など以下の老人ホームを運営している。
小売事業
子会社であるJR九州リテールが取りまとめている。
キヨスク、am/pmから転換したファミリーマートを北部九州(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分各県)の共同エリアフランチャイザーとして210店舗を展開している。
かつて参加だったコンビニ「生活列車」は現在は上記のファミリーマート店舗として一緒にリニューアルされている。なお、駅構内以外の市内全域も担当する。その他自動販売機(約2,300台)やユニクロ(2店舗)も運営している。
ドラッグチェーン
関連会社のドラッグイレブンを通じて医薬品・化粧品・健康食品販売をしている。
2012年度の売上額は404億円。2020年にツルハホールディングス傘下となり、2023年に全株式を譲渡した。
ファミリーマートドラッグイレブン
上記のドラッグチェーン・ドラッグイレブンとフランチャイズ権を持つファミリーマートを組み合わせた一体型店舗を展開する。
JR九州としては両方の強みを生かし更なる売り上げ増を期待している。
海運事業
JR九州高速船株式会社が博多-釜山の国際航路を就航中。
ウォータージェット推進式の水中翼船を運用している。
発電事業
都城駅横の車両基地跡地に建設した都城太陽光発電所で約210万キロワット/時を発電している。
これによる年間収入は8400万円とされる。
みやまスマートエネルギー
福岡県みやま市に本拠を置く新電力会社「みやまスマートエネルギー」から電力を購入している。駅で使う電力のうち約3分の2の供給をここから受けている。
JRJP博多ビル
JR九州と日本郵便が博多駅前に共同建設した複合オフィスビル。
2016年4月25日開業。
海外事業
タイ
東南アジアにおける事業実現を目標としてバンコクに「バンコク事務所」を2017年5月2日に設立。現地名はKyushu Railway Companyで日本人の2人、タイ人が2人駐在している。 今後はこの事務所を通じて、東南アジアでのホテルやマンションなどの不動産開発事業を行う予定。タイは外資規制があり、タイ人に51%以上出資してもらう必要があるため現在は現地のパートナーをさがしている。これまでも数多の挑戦をしてきたJR九州の新たな挑戦となる。
サービスアパートメント
不動産関連事業の一段目として運営権のみ取得する形で長期滞在できるホテルの運営を始める。サービスアパートメントはホテルと賃貸マンションの中間に近い業態で日本でマンスリーマンションが近い形となる。当面はこの事業によってノウハウをためるとしている。
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JRグループ
関連項目
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