正式名称は「西日本旅客鉄道株式会社」。英称は「West Japan Railway Company」。
概要
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東日本旅客鉄道(JR東日本)と同じく、アーバンネットワークと山陽新幹線という優良路線を有しているが、前者は私鉄王国関西と言われるくらいにまで発達した私鉄との激しい競争が行われ、後者も航空機との利用客争奪戦が続いているため、首都圏の地盤が安定しているJR東日本や東海道新幹線の利益が突出しているJR東海のように安定して稼げているわけではなく、2023年度決算における営業利益は約839億円で、前出の2社と比べると1/5~1/6程度の額に留まる。会社全体の営業係数も90弱(=100円の運賃収入を得るために、90円近い経費を使っている)で、これも本州3社の中では最下位の数字である。
2022年現在、売上げ構成比は新幹線27%、在来線26.5%、流通業など関連事業24.3%、その他22%となっている。
国鉄時代・JR黎明期からの車両が数多く残っており、同社の厳しい経営状態を物語っているが、趣味者にとってはある意味楽園でもある。幹線級で30年、40年選手が多数残っており、たとえば広島近郊では一切、JR後新造された通勤電車が入らず「國鐵廣島」(1日4回だけキハ120系が走る)などといわれたことがある(2014年に227系が導入され2019年に完全民営化されたが)。
大阪近郊区間においても、JR京都・神戸線(東海道線)の221系が大和路線へと転属し201系を置き換えるも、未だにしぶとく205系が生き残っていたりする。ただし車内は新車と見まごう程の改造工事を施しているので、乗客の不満は少ない……訳はないが、しないよりはマシだろう。
JRグループで史上最悪の脱線事故を起こしている企業でもある。2017年12月にはのぞみ号の台車に亀裂が入ったまま博多から名古屋まで走らせ、JR東海を激怒させた。また2023年1月24日~25日に降雪の影響で立ち往生した際に乗客を10時間閉じ込める不祥事も起こした。
組織本社機構
- 福知山線列車事故ご被害者対策本部
- 福知山線列車事故対策審議室
- 企業倫理・リスク統括部
- 総合企画本部
- IT本部
- 秘書室
- 総務部
- 広報部
- 人事部
- 財務部
- 東京本部
- 鉄道本部
- 安全研究所
- 構造技術室
- 建設工事部
- 創造本部
付属機関・支社以外の地方機関
「経営理念」と「安全憲章」
同社は、JR(旅客鉄道会社)系列で唯一国鉄の「運転安全規範(安全綱領)」を”なぜか”廃止した唯一の企業だが、その理由は定かではない。しかしながら、JR福知山線脱線事故以降あらためて、「JR西日本 経営理念」および「安全憲章」(2005年4月25日)に”(お客様=乗客の)安全確保”を最優先とする各箇条(経営理念6箇条、安全憲章5箇条)を掲げた。
JR西日本の主な車両
ここではJR西日本の主な車両について簡単に触れる。詳細は個別記事を参照して頂きたい。
- 500系新幹線電車
空路との競争が激しい山陽新幹線に投入された。
日本初の300km/h運転を行った車両であり、その特徴的な先頭形状から現在でも人気がある車両である。現在は8両編成になり「こだま」として山陽新幹線を支える。が、2026年度末までに6編成中4編成が用途廃止となる。残る2編成も2027年に引退予定。 - 223系・225系
アーバンネットワークなどに投入されている在来線主力車両。後継の225系は2010年12月1日より投入され運用されている。2016年導入分より227系の様な柔らかめの顔になった。Aシートという指定席車両に改造された車両(223系1000番台)と、新造した車両(225系700番台)も居る。 - 681系・683系
北陸特急に投入されている交直流対応車両。2011年まで増備が続けられ、JR系列で特急型としては最大車両数の270両を誇った(現在は一部が289系化したり廃車されているため減少している)。2024年の北陸新幹線敦賀延伸に伴い681系に廃車が発生している。 - W7系
特急はくたか・サンダーバードに変わって2014年度末に北陸新幹線に投入された。JR東日本の車両と思われがちだがJR西日本も共同開発に携わっている。500系ほどではないが見るものにインパクトを与える。2024年3月に北陸新幹線敦賀延伸開業で福井県敦賀駅までやってきた。E7系との最大の違いは車内チャイムで「北陸ロマン」が流れるか否かである。
補足:車両の投入に関して
概要でも触れている通り国鉄時代の車両がしぶとく残っているのが特徴の会社であるが、収益の見込める山陽新幹線やアーバンネットワーク、看板でもある北陸特急/北陸新幹線に関しては自社で資金を捻出して積極的に新車を投入する。
その一方で地方路線に関しては
を除き、地方自治体が融資(という名の負担)を行う事で新車を投入している(駅改装や路線の高速化も地方では同様に自治体が負担)。これにより投入された車両として主にキハ187系(鳥取県・島根県が負担)や521系1次車(滋賀県・福井県が負担)などがある。つまり自治体が積極的にJRを支援するか否かで新車が投入されるようなものであるので「国鉄型しかないので新車を入れろ」と言うだけでは新車は来ないのである(但し近年は収益の見込める路線も大体JR車両になったためか地方路線にも3両編成以下で扱う場合に支援なしに新車が入る事もある)。
速度に関して
在来線ではアーバンネットワークの新快速が130km/hを出し、それが特急よりも速かったりする事も珍しくないし、新幹線「ひかり」や「こだま」より速い事もあったりする(※注・新幹線が西明石駅で通過待ち合わせのため長時間停車する間に一時的に抜き去る場合があった。
過去の例として「こだま752号」は姫路を20時20分に出発、20時31分に西明石駅に到着するが、通過待ち合わせのため18分間停車し、西明石駅を20時49分に出発する。その間に、7分後に姫路駅を出発した新快速が西明石駅で追いつき、「こだま」より2分速い20時47分に出発する、ということである。これと同様に、現在でも朝に西明石駅で9分の待ち合わせをする「こだま」を一時的に追い抜く新快速がある。)。
また、681系を160km/h対応・683系を160km/h準備工事とするなどしており、160km/hで運転されていた「はくたか」は在来線特急最速を誇っていた(もっとも、681系は当初は北陸新幹線のスーパー特急計画に対応する車両として開発されていた事も影響している)。また、「スーパーいなば」のキハ187系も160km/h運転が可能となっている。
なお、かつては新快速の更なる速度向上(140km/h化)も検討されていたが脱線事故によるダイヤ見直しもあってその計画は凍結状態にある。
新幹線では日本で初めて営業車両(500系)での300km/h運転を行っており、ギネスにも登録された。
現在も山陽新幹線姫路以西ではN700系で300km/h運転を行っている。
副業
JR西日本は連結売上高における非鉄道事業を2016年9月期の34%から2022年までに40%まで引き上げることを目標としている。そのためにJR西日本イノベーションズというベンチャービジネス事業育成専門の子会社を2016年12月1日に設立した。
- 地下海水で養殖したサバを「お嬢サバ」という名称にて出荷。
- 地下海水で養殖したカキを出荷。
- 富山県射水市と提携してサクラマスを陸上養殖。
- 三菱重工業の不動産子会社「菱重プロパティーズ」の株式70%を取得。
- キャビンスタイルの簡易宿所を展開する合弁会社「株式会社JR西日本ファーストキャビン」を2017年1月に設立。
- 2019年春からJR京都駅前に大型ホテルを二棟開業する。
- 2017年3月13日子会社のジェイアール西日本フードサービスネットが洋菓子店デリチュースを完全子会社化する。
コンビニ運営
子会社のジェイアール西日本デイリーサービスネットがセブンイレブンのフランチャイズとなっており、キヨスクや保持していたコンビニを転換したセブンイレブンをJR西日本の営業区域で運営している。それぞれ元の名を関してセブンイレブンキヨスク、セブンイレブンハートインの名称となっている。
JR西日本キャリア
JR西日本が51%、人材派遣業のキャリアが49%出資しての設立となるシニア層の派遣業。関西圏を中心に中国、北陸も対象に人材派遣する。
今後の計画
山陽・九州新幹線、東海道・山陽・九州新幹線車内のすべての喫煙ルームを2024年3月15日をもって廃止した。
新幹線では北陸新幹線が敦賀まで2024年3月16日に延伸開業し、合わせてJR東日本と共同でキャンペーンを行っている。これにより東京とは乗り換え無しで北陸が結ばれた一方、関西とは敦賀で乗り換え必須になった。
在来線では273系による381系の置き換えを2024年4月6日より開始し6月15日をもって定期列車は置き換えを完了。381系の臨時運用も終了し、同社から国鉄型特急車両は形式消滅した。JR京都線・神戸線への新型車両225系100番台の追加投入が2024年度に一段落、221系のJR京都・神戸線からの撤退、キハ189系の観光列車改造、岡山地区の国鉄型車両の227系置き換え、城端線・氷見線のあいの風とやま鉄道への移管、500系・700系7000番台の置き換えなどがある。
また、三ノ宮駅の再開発にうめきた関連の事業関連、広島駅新駅ビル開発(2025年3月24日開業)やなにわ筋線建設、それからホームドア等の安全に関わる整備、赤字ローカル線に関しては路線の廃止とバス輸送への転換などを行う方針である。(2023年夏に被災した美祢線はその先駆けになりそうだ・・・)。
なお、同岡山支社にも20年ぶりに新車が投入された(227系参照)。
2024年9月27日に銀行4行(りそな銀行・京都銀行・山陰合同銀行・中国銀行)とグリーンローン契約を締結。225系・227系・273系及びN700Sの導入に使用される。
支社と管轄路線
近畿統括本部
山陽新幹線(駅業務)
京滋支社
- A東海道本線(米原駅~吹田駅)
- B湖西線
- A北陸本線(米原駅~近江塩津駅)
- E山陰本線(京都駅~園部駅)
- C草津線
- D奈良線
- H片町線(神崎川橋梁付近~吹田駅)
- 吹田総合車両所(吹田工場・京都総合運転所)
阪奈支社
- A東海道本線(東淀川駅~尼崎駅)
- G福知山線(尼崎駅~新三田駅)
- H片町線(木津駅~京橋駅)
- HJR東西線
- R阪和線(天王寺駅~日根野駅間及び東羽衣駅)
- O大阪環状線
- Fおおさか東線
- P桜島線
- S関西空港線(りんくうタウン駅は南海電気鉄道の管轄)
- V関西本線(亀山駅~JR難波駅、但し亀山駅はJR東海の管轄)
- C草津線
- U桜井線
- T和歌山線(王寺駅~五条駅)
- 宮原総合運転所
兵庫支社
和歌山支社
福知山管理部
金沢支社
北陸新幹線(上越妙高駅~敦賀駅、但し上越妙高駅はJR東日本の管轄、乗務員は長野駅で交代)
- AB北陸本線(近江塩津駅~敦賀駅、但し近江塩津駅は京滋支社の管轄)
- 七尾線(津幡駅はIRいしかわ鉄道の管轄)
- 越美北線(越前花堂駅はハピラインふくいの管轄)
- 氷見線(高岡駅はあいの風とやま鉄道の管轄)
- 小浜線(東舞鶴駅は福知山管理部の管轄)
- 城端線(高岡駅はあいの風とやま鉄道の管轄)
- 高山本線(富山駅~猪谷駅、但し在来線の富山駅はあいの風とやま鉄道の管轄)
- 大糸線(糸魚川駅~南小谷駅、但し南小谷駅はJR東日本の管轄、在来線の糸魚川駅はえちごトキめき鉄道の管轄)
- 金沢車両区(在来線)
- 白山総合車両所(北陸新幹線)
中国統括本部
山陽新幹線(駅業務)
岡山支社
- SWX山陽本線(上郡駅~笠岡駅、但し上郡駅は兵庫支社の管轄)
- N赤穂線(寒河駅~東岡山駅)
- T津山線
- 姫新線(上月駅~新見駅、但し上月駅は兵庫支社の管轄)
- 因美線(美作河井駅~東津山駅)
- U吉備線
- L宇野線
- M本四備讃線(茶屋町駅~児島駅)
- V伯備線(倉敷駅~新郷駅)
- 芸備線(備中神代駅~野馳駅)
- Z福塩線(福山駅~府中駅)
山陰支社
- AD山陰本線(居組駅~飯浦駅、但し居組駅は兵庫支社の管轄)
- B因美線(鳥取駅~那岐駅)
- V伯備線(新郷駅~伯耆大山駅、但し新郷駅は岡山支社の管轄)
- C境線
- E木次線(宍道駅~三井野原駅)
- 山口線(津和野駅~益田駅)
- 後藤総合車両所
広島支社
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