JRA賞特別賞とは、中央競馬において特別に称えられるべき馬や人物に贈られる賞である。
概要
毎年1月に発表されるJRA賞の一部門である。ただし、非常設の部門なので毎年選出されるべきではない。
常設の各部門において受賞を逃がした馬や人物が対象なので、各部門で受賞された馬や人物はその年のJRA賞特別賞の対象外である。
特別賞という名称に至ったのは1983年で、それ以前は『大衆賞』『マスコミ賞』『ドリーム賞』などといった名称で受賞されていた。また、地方馬であるコスモバルクについては2004年に特別敢闘賞として授与された。
競走馬部門は受賞馬選考委員会(競馬記者クラブ・競馬新聞協会の代表者8名で構成)の4分の3以上の同意、調教師・騎手部門は理事長の同意を必要とする。
歴代受賞馬
優駿賞時代
年 | 馬名 | 賞名 | 戦績 主な勝ち鞍 |
受賞理由 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1973 | ハイセイコー | 大衆賞 | 8戦4勝 皐月賞 |
アイドルホースとして、 クラシック戦線で活躍 |
最優秀4歳牡馬は タケホープ |
1978 | テンポイント | マスコミ賞 | 1戦0勝 | 日本経済新春杯での故障から 死亡までの報道に対して |
最優秀5歳以上牡馬は カネミノブ |
1982 | モンテプリンス | ドリーム賞 | 5戦3勝 天皇賞(春) |
「無冠の帝王」を返上する 八大競走初制覇 |
最優秀5歳以上牡馬は ヒカリデユール |
1983 | アンバーシャダイ | 特別賞 | 6戦2勝 天皇賞(春) |
5度目の挑戦にして初の 天皇賞制覇 |
最優秀5歳以上牡馬は キョウエイプロミス |
JRA賞時代
年 | 馬名 | 戦績 主な勝ち鞍 |
受賞理由 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1989 | オグリキャップ | 6戦3勝 マイルCS |
ジャパンカップでWRと 同タイムでの2着など |
最優秀スプリンターは バンブーメモリー |
1993 | トウカイテイオー | 1戦1勝 有馬記念 |
前年有馬記念以来の出走での優勝 | 最優秀5歳以上牡馬は ヤマニンゼファー |
1995 | ライスシャワー | 4戦1勝 天皇賞(春) |
天皇賞春での奇跡の復活と 宝塚記念の事故 |
最優秀5歳以上牡馬は サクラチトセオー |
1998 | サイレンススズカ | 7戦6勝 宝塚記念 |
天皇賞(秋)で故障するまで 圧倒的な逃げでの6連勝 |
最優秀5歳以上牡馬は タイキシャトル |
1999 | グラスワンダー | 5戦4勝 宝塚記念 有馬記念 |
春秋グランプリ制覇 | 最優秀5歳以上牡馬は エルコンドルパサー |
スペシャルウィーク | 8戦5勝 天皇賞(春) 天皇賞(秋) |
天皇賞春秋連覇 | ||
2001 | ステイゴールド | 7戦3勝 香港ヴァーズ |
内国産調教馬初の海外G1制覇 | 最優秀4歳以上牡馬は アグネスデジタル |
2004 | コスモバルク | 8戦3勝 | 地方馬で皐月賞2着 | 特別敢闘賞 ホッカイドウ競馬所属 |
2007 | ウオッカ | 8戦3勝 東京優駿 |
クリフジ以来64年ぶりとなる 牝馬のダービー制覇 |
最優秀3歳牝馬は ダイワスカーレット |
メイショウサムソン | 6戦3勝 天皇賞(春) 天皇賞(秋) |
天皇賞春秋連覇 | 最優秀4歳以上牡馬は アドマイヤムーン |
|
2009 | カンパニー | 7戦4勝 天皇賞(秋) マイルCS |
8歳馬として史上初の 平地GI競走制覇 |
最優秀4歳以上牡馬は ドリームジャーニー 最優秀短距離馬は ローレルゲレイロ |
2016 | モーリス | 5戦3勝 チャンピオンズM 天皇賞(秋) 香港カップ |
香港での2勝を含むGI競走3勝 | 最優秀4歳以上牡馬は キタサンブラック 最優秀短距離馬は ミッキーアイル |
2020 | クロノジェネシス | 5戦3勝 宝塚記念 有馬記念 |
春秋グランプリ制覇 | 最優秀4歳以上牝馬は アーモンドアイ |
2023 | ウシュバテソーロ | 5戦4勝 川崎記念 ドバイワールドカップ 東京大賞典 |
ダートコースの ドバイワールドカップ初制覇 |
最優秀4歳以上牡馬は イクイノックス 最優秀ダートホースは レモンポップ |
歴代受賞者
年 | 受賞者 | 受賞理由 |
---|---|---|
1994 | 南井克己(騎手) | JRA史上初のGI年間5勝 |
2007 | 武豊(騎手) | JRA史上初の3,000勝 |
2013 | JRA史上初の3,500勝&GI100勝 東京優駿5勝目 |
|
2016 | 熊沢重文(騎手) | 長年にわたる障害・平地の両方で活躍 |
2018 | 武豊(騎手) | JRA通算4,000勝という前人未到の大記録 |
2020 | 藤沢和雄(調教師) | JRA史上2人目の1,500勝 |
問題点
特別賞の問題点として、選出方法や選出経緯、そして選出可否の理由が挙げられる。
選出方法に関しては、通常のJRA賞各部門が200人近くが対象の記者投票で決まるのに対し、特別賞は8人の選考委員のうち3分の4(6票)以上の賛成を以てJRAに推薦される。そのため、特別賞の選考対象になっても選ばれないというケースが存在する。
直近では内国調教馬として初の米国ダートGIを勝利したマルシュロレーヌに対し、特別賞を授与するかの議論が選考委員の間でなされた。しかし、「ダート部門でテイオーケインズにもう少し肉薄していれば」「ライトファンの認知度などを考えると、歴代の受賞馬との比較で少し弱いのでは」という理由で規定以上の賛成が得られず、見送られた。
特別賞が検討された馬
特別賞を受賞した馬は除く
年 | 馬名 | 戦績 主な勝ち鞍 |
検討理由 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2006 | ハーツクライ | 3戦1勝 ドバイSC |
ドバイSC優勝 キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドS3着 |
情報元(ラジオNIKKEI) |
デルタブルース | 6戦1勝 メルボルンC |
メルボルンC優勝 | ||
2008 | ダイワスカーレット | 3戦2勝 有馬記念 |
牝馬による37年ぶり有馬記念優勝 | 情報元(スポニチ) 賛成4人、反対3人、欠席1人 |
2021 | マルシュロレーヌ | 6戦4勝 BCディスタフ |
BCディスタフ優勝 |
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関連項目
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